締め切り日!
締め切り日!
-オリジナル-
なんか落ち着かない、宇宙空間に居ると言うのに・・・
完全に地上とは隔絶して居る筈なのに。
それでも嫌な予感は尽きない。
何の事かって、決まってるじゃない、今日は連載して居るBL小説の締め切りの日なのだ。
あ、そうだ、私だけならまだ何とでもなるけど、先月から連載が決まって漫画を描いて居るタカシも今この庭園に居るんだった。
って言うかむしろあいつ、この庭園に来てから毎日のように、テディーとデートしつつゲーセンやパチ屋で遊んでるけど、大丈夫なのか?
呼び出して見るとしよう、艦内放送でタカシを呼び出すと、テディーと手を繋いで暢気にやって来た。
「どうしたんですか?エリーさん。」
「どうしたもこうしたも無いわよ、あんた、今日って締切日じゃ無いの?
私はもう今月分の小説は書き上げているけど、あんたどうなのよ?」
「ははは~、嫌だなぁ、エリーさん、今何処に居ると思ってます?宇宙空間っすよ?」
「あんたねぇ、シャーリーを甘く見ちゃダメよ?
あの子ってば私が突然で違う場所に居ても何故か原稿取りに来るのよ?
小湊の断崖の家に取りに来てくれればアインやツヴァイに留守番序でにシャーリー来たら渡せって頼んで有るのに、そっちに行かないんだから。」
「・・・・・・・・はは・・・ま、まさか・・・ここには来れません・・・よね?」
「さぁねぇ、一体どうやって違う大陸に居た私の元に現れたのかも判んない以上、ここにも来る可能性は否定出来ないのよね・・・」
「ま・・・マジで言ってます? それ。」
「冗談やおフザケで言ってる訳無いでしょ、実際に私は恐怖体験してるんだから。
マジであの子ってどうやってあっちの大陸に居た私の所まで来たのか判んねーんだから。」
「・・・・・・・・え、エリーさん・・・僕・・・まさか来ないと思って、半分くらい描いてあったけどそのままっすよ?」
「不味いわね・・・あんた、あんたのファンに成ってるAIアンドロイドが私の庭園の生活圏の管理してるから、あんたの仕事場に行くように命令しとくし、とっとと仕事しに行きなさい、シャーリーは侮ってると痛い目に遇うわよ、マジで。」
「うへぇ~、今からじゃ間に合いませんよぉ~。」
「テディーも手伝える所手伝ってやんなさい、アシスタント位出来るっしょ。」
「え? エリちゃん、無茶振りしてへん? 私絵心これっぽっちも無いで?」
「何言ってんのよ、印付けて貰った所をベタ塗りとかするだけなら出来るでしょう?
あんたも大庭園内をタカシ連れ回して遊んでたんだからその位お手伝いしてあげなさいよ。」
「しゃぁ無いなぁ、そんなに私の力が必要とか言うんやったら、手伝ってもえぇで?」
いつもながらテディーのスイッチって妙な所にあったりするんだよな、今の私の言葉の何処にテディーのやる気を入れるスイッチがあったのかゼンッゼン判んねー。
「エリーさんはどうなんです? BL小説も締め切り今日ですよね?」
私はと言うと、実は翌々月分の締め切り分までは既に書き上げてあったりして。
「私の心配なんか10万年早いわよ、何を隠そう二カ月先の締め切り分までもう出来てるし。」
「うえっ!?ズルいっす、エリーさん!」
「別にズルしてる訳じゃ無いわよ、仕事が速いだけでしょ?」
「そんな速いのはある意味ズルいですよぉ~。」
「何を言ってんの、今宇宙空間に居るから原稿取りに来られないだろうっつって仕事サボる方がズルいでしょうに。 ほら、頑張って描け描け。」
「う、そう言われると痛いですけど、でもマジでここ迄は来ないでしょう?」
「さぁねぇ、マジであの子の特異性は身に染みて知ってるからさ、私からは締め切りは守りなさいとしか言えないわよ。」
「と、特異性、っすか。」
「さ、私の言葉を信じてとっとと作業に掛かりなさい、シャーリーに常識は通用しないわよ。」
「マジかっ・・・」
「タナタカ先生、リエナ先生の仕事場で何してるんですか?」
「うわぁっ!」
ほら来た、ホントどうやって来たのか知らんけど、来るんだよね・・・
「ど、どうやってここに。」
「そんな事知りませんよ、リエナ先生の匂いを辿って居たら途中でタナタカ先生の匂いが混ざってるように感じたので一緒に受け取りにと思って匂いを辿っただけですから。」
「ほらね?この子に常識は通用しないんだから。」
「なんで来てるのぉ~~???」
「リエナ先生、原稿を。」
「ハイこれ、いつもご苦労様。」
「拝見します・・・・・・はい、オッケーです。」
パラパラと捲って居るだけのように見えるけれど、速読でちゃんと読んで居るらしい、すげぇ能力だよね、これ。
「さて、タナタカ先生、ネーム上がってます?」
「すみません、未だです・・・」
「自業自得だから頑張ってね~、あ、マジで神無月にはアシスタントしてやれって連絡しといたから行って来い。」
「ふぁい・・・」
ガックリ項垂れて自分の仕事部屋へと移動するタカシを、っシャーリーがしっかり逃すまいと追いかけて行ったのだった。
「エリちゃんもお手伝いしたげて? 一生のお願いや。」
テディーよ、一生のお願いってそんなにしょっちゅう発動出来るもんじゃ無いでしょうに。
あんたが暇だっつーからゲームセンターとパチ屋無理してオープンさせたんだからさ。
「あのねぇ、テディー? 誰のせいで私がこんなに必死こいてこの遺跡の文字の解読してると思ってる? そもそも専門外なのよ?本当は。」
「さーせん・・・」
「そう思うならあんたがタカシをお手伝いして支えてやりなさい、アシスタントの作業が出来ないんだったらお茶淹れたりシャーリーのお相手してあげてタカシのプレッシャー緩和するとかしても良いんじゃ無いの?」
「あ、うん、そうやんね? ほんな行って来るわ、後でね。」
ふう、やっと行ったか、これで集中して解読作業に取り掛かれる。
まぁ、テディーに提案した内容って奥さんがやるような事だけどなw
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-タカシ-
まさか宇宙空間に居ると言うのに此処まで取りにくるなんて・・・
本当にこの人に常識は通用しないのだろうか・・・
「さぁ先生、原稿を見せて下さい。」
「すみません、まだ途中なんです。」
「それでも良いですから、出来てる所まで見せて下さい。」
「はい、これです・・・」
パラパラと捲ってチェックするシャーリーさん、この人本当に読めてるんだろうか、エリーさんの小説すらこんな具合に捲ってオーケー出してたし、読んでるんだろうね、こんなんでも・・・
「はい、ここ迄は概ね大丈夫です、ですがたった15ページしか有りませんね、30ページ描いて下さいとお願いしておいたはずですので、頑張って仕上げて下さい。」
「はい・・・」
そこに、メイドロイドの神無月ちゃんが入って来た。
「失礼致します、エリー様より申し付けられまして、タカシ様のお手伝いに参りました、と言うか、タナタカ先生の漫画の大ファンですので、アシスタントは私にお任せ下さい、完璧に仕上げ致します。」
AIアンドロイドの筈なのに何で僕の漫画見てファンになったってどういう事だろう、エリーさんの作るAIには面白いとか嬉しい楽しいって感情があるみたいで、不思議だ。
「ああ、神無月さん、助かります、お願いします。」
「お気になさらず、むしろ私に敬語は不要ですので、神無月と呼び捨てになさって下さい。」
「わ、わかった、じゃあ、こことここにベタ、こっちはトーン張って下さい。 押してるので大至急で、神無月・・・さん。」
「もう一度言います、わたくしは呼び捨てにして下さい。」
年上の綺麗なおねーさんにしか見えないので呼び捨てにするのは正直抵抗有るんだけどなぁ・・・
でも良く考えたら、僕もこっちに来てハイエルフに成ってしまったから既に200年以上も生きてるんだった・・・
じゃあ頑張って呼び捨てに出来るように努力しよう。
「それから、エリー様より、今日からタカシ様のアシスタント兼身辺のお世話を申し付かりましたので、よろしくお願いします。」
エリーさんって、本当に色んな所に気が回って、凄い人だなぁ。
「あ、はい、よろしくお願いしましゅっ! ・・・舌嚙んだ。」
ダメだなぁ、僕にはベアトリクスさんと言う、ちゃんと公式の彼女が出来たって言うのに、ちょっとキレイってだけで、神無月さんはAIのアンドロイドなのに・・・何でこんなに緊張してしまうんだろう。
「タナタカ先生、ボーっとしてないで手を動かして下さい、時間が有りませんよ。」
「は、はい、御免なさい。」
シャーリーさん、怖いっす。
兎に角、何とか残りのネーム仕上げないと・・・




