王都防衛の穴と要?
王都防衛の穴と要?
「ああ、そう言えばあんた、転生者だったっけ。
いつの時代かは知らないけど、ああいう人型兵器に興味がある訳ね?」
「ま、まぁ、そう言う事ではあります。」
「そっかそっか、テラノ君って呼んでも良いかな?」
「あ、構いません、本来僕は第一王子で王族なので不敬と成っても仕方が無い所ですが、僕も父も貴女には大恩が有ります。
同列、と言いたい所ですが、父に言わせると私達は国ごと救って貰って居るので貴方には頭が上がらないですから、此方が敬う側と言う事で決めましたので。」
「そうだったのね、じゃあ私はいつも道理のこの口調でも問題無い訳ね。」
「まぁ、そう言う事じゃ、ワシとしてもなかなかこんな砕けた口調で会話をしてくれる者が王宮内に居らんのでなかなか新鮮な気分じゃぞ。」
とうとう王様ってば朕って言わずにワシって言い出したよ。
「それはまぁ良いんだけど、この街の防衛にはいくつか問題点があるのよ。」
「問題点、ですか?」
「先ずは最大の問題、この街の近くの森ね、あそこにはグリーンドラゴンの王が住み着いてるのよ、これは知ってた?」
「いえ、知らなかったですね。」
「そんでね、普段はむっちゃ大人しいドラゴンなんだけれど、一度キレると手の付け所が無いらしいのよ。」
「ふむ、その情報は何方から手に入れたのですかな?」
「ドラゴン仲間からよ?」
「「は?」」
「だからぁ、他の龍王からの情報だってば。」
「大賢者殿、意味が解らんのだが?」
「意味も何も、そのまんまよ?
あ、そうか、んじゃ会って見る?」
「「あ、会えるのか・・・」」
「誰が良いかしらね・・・ん~・・・ボルタクスちゃんは人見知りだからイキナリぶっ放されたらあんたら死んじゃうから却下。
フレンドリーなのは三体だけど、ヨル君は新世代だから駄目だし、ファフニールはきっと悪戯好き過ぎてあんたら脅かされて終りそうだから、うん、やっぱ安定なのは、リバイアちゃんよね。」
「「り、リバイア・・・ちゃんって。」」
「じゃあ早速呼ぶわね?」
「「ちょっと待ったぁ~!!」」
「何で?ダメ?」
「い、いや、ダメ、と言う事では無く、いきなりすぎて心の準備が、じゃな・・・」
「しんぱい無いわよ~、優しい子だから大丈夫。」
「優しい・・・子?」
王も王子も、しどろもどろになってる、ちょっと可愛いかも知れない。
で、容赦なく呼んでみた。
『エリーよ、何用だ?』
「ああ、来た来た、オヒサ、リバイアちゃん。」
『うむ、久しいのう、こやつらは何者だ?』
「こっちがげんグローリー王で、その隣が第一王子よ。」
『ほう、すると、遂に奴を起こすのか?』
「まぁ、起こさないとダメでしょうね、間も無く戦争になる可能性が有るから。」
『それはいかん、あ奴が切れると周囲一帯が消し飛ぶぞ。』
「ほらね? っておーい、聞こえてますかぁ~?」
呼び出して頭だけ出したリバイアサンに対して完全に硬直し意識不明に陥りかけているグローリー王とテラノ君だった。
『のう、エリー、ワシ、そんなに怖い?』
最近やけに人が好きになったと言うリバイアサンが悲しそうな顔で私に問いかけるのだった・・・お前ら何なんだよ、全く。
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暫くして気を取り直した王都テラノに更にもう一つの問題点を提示する。
「更にこの街は、セドリックさんのとこの街と比べて、魔法が使えるようになった人が少な過ぎる、その上で使えるようになった人達もそんなに強い魔法が使える人がいないと言う事。」
「それは、何か問題でもあるのかね?」
「セドリックさんの街では生活魔法が普通に使える人が多く生まれた上に、戦闘用の魔法も使えるようになった人が結構な数発生したんだけれど、万が一敵兵に侵入された時に、戦闘用魔法が使える人が多く居ればそれだけ民間でも自衛できるでしょう?」
「ああ、そう言う事か。」
「そうなのよ、多分、魔法を目の当たりにした事が無いから認識が出来て居ないのが原因だと思う、私の調べではこの街の人達にもちゃんとマナ回路を持ってる人も他と同等位の割合で居るのに、魔法が使えるようになる人が少ないからね。」
「それはどうすれば解消できるものなのですか?」
「魔法に慣れ親しむ事が重要だと思う、なので、私が魔法を広めるわ。」
「それはどの様にして広めるのだね?」
グローリー王は、楽しそうに問いかけた。
「そうねぇ、先ず私がここで有名人に成らないと広まらないと思う訳なのよ、それに、貴方達の事も私は守りたいと思っているから・・・」
「じゃあエリーさん、ぼ「私がテラノ君と結婚します。」」
「「え??」」
「何よ、ダメなの?」
「いや、むしろテラノと婚姻を結んで欲しいとは此方が言いたかった事なのだが、逆に其方から言い出されるとは思って居らなんだ、むしろ断られるかと思っておったわ、わはははは。」
「ええ、僕も驚きました、まさかエリーさんから言われるとは、今僕が言おうとしてた事を。」
「ま、じゃあ満場一致って事で良いじゃない?」
「じゃあまず手始めに、グリーンドラゴンの龍王を起こす事から始めましょう、ちょっと行って来るわね。」
「行って来るって! ちょっと待って下さいエリーさん!」
「なによ。」
「時期王妃候補がドラゴンに対峙しに行くって、何かあったら困るじゃ無いですか!」
「何言ってんのよ、功績上げて綬爵でもしないと問題でしょう、逆に。」
「うむ、そうであったな、エリー殿は未だ貴族でも何でも無いのだからそれこそいきなりテラノと婚姻を結んだとあっては、判って居る者共は良いが、そうでは無い者達もこの国の貴族として存在して居るのも事実、何かの功績は重要じゃな。」
「ほら、グローリー王は流石に判ってるわよね。
そう言う事だからちょっと行って来るわね~。」
そう言って、私はリモートで呼び出して居たフェンリルギアに跨って走り出したのだった。
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-帰らずの森-
この森は、一度踏み入れると帰って来た者は居ないと言われて居て、禁則地となって居た。
ここに住み着いたグリーンドラゴンの寝息に含まれる濃い魔素に影響を受けた強い魔物が多く生息する為である。
当然ながら、周囲を警戒する衛兵が、森に近付く者を排除しようと、パトロールして周っている。
私はそこへ、フェンリルギアで勢いよく走り込んだ。
「ま、まて! 森に入ってはならん~!!!」
当然走って来るが、私には追い付きもしない。
一応止まってやる事にした。
「何よ、私はここで功績を上げないといけないのだけど?」
「そう言っていく人の冒険者が帰らなかった事か知って居るのか?」
「知ってるわよ? さっきグローリー王やテラノ君から聞いたから。」
「な・・・王のお知り合い? すると貴女が大賢者殿か!」
「だったら何よ。」
「この森は、元々資源が豊富な良い森であったと聞いて居ます、ですがある時、龍王が住み着いてしまい、途端に強い魔物が増え始めた為に、禁則地とせざるを得なくなったと、私は祖父より聞いて育ちました。
この森が元の資源豊富な森になると言うならば、是非ともお願い致したく。」
「だから通して貰っても良いわよね。」
「判りました、お気をつけて。」
その衛兵は、数分後、腰を抜かす事となる。
森に入った私は、手始めにナノマシンとフェンリルギアのハウリングキャノンを応用したエコーロケーションで森の全容を探ると、森に踏み込んで未だ大して進んで居ない今の位置から、数㎞程離れた場所に巨大な生命反応を検知した、どんだけデケェのよ、この森、そりゃドラゴンも寝床にしたくなるわな。
さぁ、位置は把握した、ご対面と行きましょうか。




