短話:潜入成功報告・短話:遺跡
短話:潜入成功報告
-オリジナル-
小湊の家をツヴァイに任せ、私は巨大庭園に改造する為の無人島を探しに、空中庭園ごと移動中だ。
狙いは極力円形で直径10㎞程の島、かな?
一通り、その位の面積以上の島をリストアップしたものの、どうにも直径10㎞は小さ過ぎるみたいで、そんなに無い。
まぁ、この世界の、地球?で良いのかな・・・?が、元の世界の地球の1,5倍~1.8倍位の直径が有る(真球体では無いのでね)ので、島の規模も大き目なのが多いせいもあるのかとも思うけどな。
で、だ、候補に挙がったのが、北センチネル島っぽい四角い島(対角線距離45㎞程)か、硫黄島っぽい島の西の沖にある硫黄温泉付きの島(前世の地球だと嶽岩って言う只の岩だったようなのが隆起して細長い島っぽくなってた。 一番長い対角線で60㎞、近い対角で7㎞位)、若しくはトンガ島っぽい南の島で、大き目の塩湖に成ってる巨大湾と、単純塩泉を有する島(概ね円形で直径60㎞)
うん、デカいな、皆。
で、結局は北センチネル島っぽい所が良いかな~って事になって、その上空に来ている。
この形だったら空中庭園にした場合、下側は球体では無くてリバースピラミッド風で作ったらカッコイイかも、とか思いながら視察に降りて見ると。
何と、そこには、今は人が住んで居ないものの、痕跡があった。
神殿らしき大きな石造りの建物や、石を積み上げて建てたと思しき建物や生活の痕跡が発見された。
その内の一つの生活痕の有る建物内には、中々趣味の良さそうなデザインのペンダントらしきアクセサリーがあったので、何と無くだが、その生活痕の有る建物の残骸とは似つかわしく無いと思い、妙に気になったので後で色々調べてみようと思いポケットに入れて置く事にした。
神殿なのか宮殿なのかと言った建物を調べて行くと、予想を裏切らず、壁画が見つかった。
何だか、メソポタミア文明っぽい壁画だが、内容はマヤ文明にもインダス文明にも近い感じの壁画だ。
一応元素年代測定をしてみると、今より5000年も前らしいんだけど、既にこの文明では手術による治療や天文学があったのだろうと推測される、思った以上の高度の文明だった。
何故滅んだのかは判らないけれど、今の世界全体の方が平均文化水準低いんじゃね?
何があったこの文明、まぁあの阿保の管理してた世界だから仕方ない気はするんだけどな。
おっと、メールが来た、潜入班からだな。
『騎士団の見学と言う形で城に入る事は叶いましたので、取り合えずナノマシンは放っておきました。』
ってそれだけかいな、本人が騎士団辺りに取り立てられて内部を探れるようになってないとアカンやん。
「ちゃんと自ら潜入して詳細な情報を収集しなさい。」っと。
容赦無いって? そんな事無いわよ、ナノマシンで静止画とか送って来られても何の事だか判んないじゃ無いのよ。
『さーせんした!』
要らん返信してくんな。
さて、気を取り直してこの神殿の更に奥に踏み込んでみよう・・・
すると、地下へと向かうような階段が現れた。
何だこれ、地下があるの?
階段を下りて行くと、左奥へと暗い通路が現れる。
未だ奥があるのか・・・
先が見えない程の細く長い通路だ、すごい技術じゃないか。
そして遂にその通路の終わりが見えてきた。
何かの幾何学模様のようなものが掘られた、扉のように見えるが、押し開く物なのか、手掛かりが見当たらない。
フェンリルギアのライトで照らして見回して見るが、どうにも開け方が不明、フェンリルギアのパワーで圧して見るも、開かない。
そんなこんなで悩んでいる所に、電脳通話が入って来る。
何だ?又MkⅡみたいだが・・・
『チェックメイトキングⅡ応答願う、チェックメイトキングⅡ、此方はホワイトルーク。』
「お前な、コン〇ットかよっ! しょうもない前置き要らんからとっとと報告せーよ。」
『はっはっは、そちらは何をしている所です? 俺は何とか騎士団に取り立てられることには成功しました。』
「こっちは大庭園にしようと思って降り立った島に古代遺跡があって調査中よ、それよかアンタ、潜入に成功したのなら『こちらスネーク、潜入成功。』でしょうが、あぁ?」
『あ、それで良かったんですか? てっきりむしろそれのが怒られるかと思ってたんですが。』
「はぁ、もう良いわよ、頑張って情報探って来なさい。」
『判りました、お任せ下さい。』
さて、これで何とか敵情視察は出来そうだわ。
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短話:遺跡
さて、いよいよこの扉をどうやって開けようか悩ましい所だったのだが、どうもこの妙な台に鍵があるようだ。
イオンクラフトで宙に浮いて観察してみると、台の頭頂部には掌を模した図柄があるではないか。
なんのこっちゃと思いつつ、その図柄に手を重ねて見るも、何も起きる気配は無い。
ただ、背の低い私の目の高さ程に頭頂部があった事を鑑みて、もしかしてこれは、ここに手を置いて体重を掛けろとか、押し込めと言う事なのでは無いかと思い立った。
なので、掌を重ねた状態で、グッと押し込もうとしつつ全体重をかけて見る。
すると、思ったよりも素直に台が床に対してグッと沈み込むように下がって行く。
この時、少し手には抵抗感が伝わって来て居たので、恐らくこれで発電でもして居るのでは無いかと言う予測が立つ。
発電??
してどうするのだろう??
すると、扉にある幾何学模様のような溝に光が点る。
何だ、これ??
もう一つある台にも、手形が描かれて居るのでそちらも同じように押し込んでみると、やはり発電しているようだ。
まるでこの仕掛けを知る者が現れるのをずっと待ち侘びていたかのように、その遺跡には電力が点ったのだ。
これ、遺跡なのか??
何処かの星からやって来た宇宙船か何かのように思えてきた。
今度は、扉に出現した手形の図柄に手を重ねて見る。
今度は、手が重なった事で承認されたように、自動で戸が動き出した。
何だよ、これ・・・
一体何?マジで。
ふと気が付くと、先程拾ったペンダントと思っていた物が私のポケットの中で光って居る。
もしかして、これはこの遺跡内部に入る為のカギだったと言う事なのか?
開いた戸の内部が露わになって来る。
これ迄の岩とは似ても似つかないような、本当に宇宙戦艦の内部のような通路と、電力不足が否めない感じのぼんやりと辛うじて光って居る天井。
これはやはり、この世界の水準にはそぐわないオーパーツであると確信出来る。
成程、見事なまでに真四角な感じのこの島は、人工物の上に堆積した土や火山灰などで構成された人工島だったと言う事か。
ではもしかしたらこの奥に行くと、それなりの機関が存在すると言う事になる。
マジで宇宙船か、はたまた私が作ろうと思って居た大庭園そのものである可能性も出て来た。
一体誰がこんな物を建造したのだろう、むしろこの上の遺跡の年代測定結果が5000年前と言う時点で、宇宙のどこか遠くの知的生命体の作った物と推測される訳なんだが。
手形の事も有り、恐らくはこの星に居るハイエルフの末裔が今のこの星のエルフでは無いかとも予測出来ない事も無い、のかも知れない。
未だ推測の域は出ないのだが。
兎に角この遺跡のメイン動力に火を灯さねば何も解らないだろう。
どんどん奥へと進んで行くと、明らかに私の以前に建造していた宇宙戦艦に採用して居たような自動扉が右側の壁に発見できたので、タッチパネルのような部分に触れてみると、アッサリ開いたが、そこで電力の限界になった様で、開いたまま完全停止してしまった。
真っ暗なその部屋に入って行く、すると其処には、巨大な反重力エンジンと見られる物体とその動力源が見つかったのだ。
ああ、うん、何と無くだが反重力エンジンって判った時点で私側の技術、化学側の代物だろ。
このエンジンの動力源って、原子炉だろ、多分。
ナノマシンによる調査をして見たが、予想通り大きな原子炉だった。
私の持つ技術と同等の技術レベルで作られた原子炉だったら
とんでもない出力だと思うけれど、そこ迄に進んだ科学技術でも無さそうなので、恐らく半分位の出力か。
これをそのまま、今の私の新技術と組み合わせてしまおう。
既に稼働不可と化している原子炉を解体し、代わりにエーテルリアクターと魔素エンジンによる発電を試みる事にした。
ナノマシンでここに構築する為には1週間ほど掛かりそうなので、私の庭園でこの遺跡内に雨などが入らない様に蓋をして置く事にして、調査を一旦終える事にしたのだった。




