潜入5
潜入5
ダンジョン入り口に強制排出されたせいで、警備の兵士の目に留まっていた。
そこにガイアのあの発言・・・
「皆聞けぇっ! このお方、B級冒険者だが間もなくA級に昇格される予定のルーデリヒ様がお前らを助けに来て下さったのだ! 皆この方に感謝するように! さぁ、英雄様の凱旋を皆で演出するぞ、列を成せ!」
当然、警備兵は呆気に取られてぽかんと開いた口が塞がらない。
そんな警備達を尻目に、凱旋と言う名の神輿担ぎは始まってしまった、メンドクセェ、やり難いな。
神輿は俺だしな。
まぁ仕方が無い、精々俺の名声上げの手伝いになってくれ。
この凱旋はギルドの前まで続いたのだった、うむ、予想以上に恥ずかしかったぞ、ゴリゴリと精神が削られる思いだった。
まぁ、ギルドの前までこの騒ぎが続いたのだから、当然ギルドの棟内でもそりゃぁお祭り騒ぎになる訳なのだが・・・
「俺達だってアニキのおかげで強く成れたんだぜ?!」
こら、何でもかんでも喋るんじゃねぇ、オルテガ君・・・
「兄貴に貰ったこの剣なんかこんな細身なのになんでもスパスパ切れるんでやす!」
だからあんまりペラペラしゃべるなよ、マッシュ君・・・
「だがやっぱり一番スゲーのはこのブーツだぜ?
初めはバランス取るのに苦労したけどよ、走らなくてもすげースピードで移動できちまう!」
止めろっつーの、ガイア君・・・
「一瞬でダンジョンから外に出して貰えたんだ、マジ神だぜ!」
あのな、お前ら良く見てねぇだろ、俺が何かやってたの全く見て無いよな?
まるで転移魔法で出口まで運ばれたような口ぶりで喋んな。
「あのぉ、お喋りは構いませんが、とっととギルドへの報告をお願いしたいのですけど!?」
割って入って来たのはこの街のギルド職員ホムンクルスのサリー・ツェーだ。
このシリーズのホムンクルスっていったいどれ程の数作られたのだろう?
今度タカシに聞いて見たいもんだ。
直ぐに俺を先頭に、サリー・ツェーへの報告の行列が出来る。
ここのサリーは相当に気が強い系のキャラなのだろう、皆やけに素直に静かになったな。
俺の報告を終えて、その他大勢の報告を受けて居るサリーの様子を見て居るが、相当に混乱しているようだ。
まぁ、そうなるだろうな、あれだけ階層が入り組んでごちゃまぜ状態になって居たんだから、各パーティーでの報告内容にブレが生じて居るんだろう。
初めの俺の報告内容から整理してまとめてくれるだろう。
暫く、ギルドのカフェスペースでガイア達に奢られてエールを飲んで寛いで居ると、何とか一段落したらしきサリーに呼び出された。
「ルーデリヒさーん! ちょっと良いですかぁ~?」
「ん? 何かな?」
受付カウンターへと向かう。
「えっとぉ~、皆さんのお話を総合してルーデリヒさんの報告に組み合わせた所ですね、此方のダンジョンとアルファードのダンジョンが干渉しあって、縄張り争いを始めた為にダンジョンの空間固定が甘くなって階層毎の繋がりに影響が出てしまい、ごちゃ混ぜになった挙句、ダンジョンコア同士の戦争中のフロアに一極集中させられてしまったとそう言う事で良いでしょうか? すみません、纏めるのが苦手でこんな大雑把にしか理解できませんでした。」
いや、完璧に理解してると思うんですが?
「概ねそんな所だ、で、そのコアを壊して俺がたまたま持って居たコアを挿げ替えて、上に伸びて居たダンジョンを下に伸びる物に変えた。
こうする事で、もう片方のコアが下へ延びるタイプだったから縄張り争いになって居たのを争わないで済むようになったので、ダンジョンコアが階層を直す為に俺達冒険者と言う邪魔者を排除する為に吐き出したと言う訳だ。」
「あ、やはりそれで合ってましたか、お陰で誰も死なずに済んだようで有難う御座います。
人死にが出ると報告書の量が膨大になってしまって処理が大変になる所でした。」
ホムンクルスでも残務処理とか面倒なのか・・・
まぁ良いか。
「で、ですね、全てのパーティーから、救助の報酬として大銀貨8枚づつ、合計6パーティーからで48枚、それと、この街の代官様より、打診がありまして、お話が聞きたいとの事で、明日の朝、屋敷の方へ出頭する様にとの事です。
あ、それから、ルーデリヒさんへのクエストの件ですが、オーガの集落が確認出来なかったと言う事で、討伐証明の部位は無いとの事ですが、今回のダンジョンコアのある意味暴走を収めて頂いた報酬として、大金貨三枚の破格の報酬が代官様より承っておりますので、此方をお納めください。」
なんかすごい金額になった気がするのだけど、気のせいだよな?
それにしてもこの街の代官って切れ者なのか?
耳が早くねぇか?




