年越し
年越し
-MkⅢ-
クリスとティータイムを楽しみつつ、アーサー君を愛でている。
未だ目も見えるようになったばかりだろうし、耳だってやっとものがハッキリと聞こえるようになる頃の月齢になったばかりだろうと言うのに、私やクリスの声に反応し、見えるものを目で追う。
とても利発そうな反応で、私やクリスのあやしに対しても反応が早くとても良く笑う。
愛でつつも鑑定してみると、流石クリスの子と言うべきか、光と闇に親和性があった。
なかなか居ない属性なのでとても希少な人材でもある。
その上、キースのように剣の才能迄有ったので、聖騎士なんて言うジョブが発生しそうだ。身体強化系のスキルにも親和性が強かったからな、盾で攻撃を受け止めつつ剣で攻撃も熟す重騎士系タンクとしても優秀そうだ。
将来が楽しみな才能を持ってるね。
重騎士系タンクって事は槍やハルバートみたいな武器も扱えそうだ。
将来は勇者と一緒に旅をするかも知れないし、アーサー自身が勇者になる可能性もかなりの高確率と言える。
この子が大人になって、冒険者となった時に、私も一緒に旅が出来たら良いな。
まぁ、私はハイエルフだから歳を取らない分、可能性は十分にあるけれどね。
まぁ後はアーサー君が魔法使い枠の同行者に私を選んでくれるかどうかって所だけれどね・・・
ってか私魔法使いって括りで良いのか自分でも良く判らなくなって来たんだけどね、居合切りとか出来るし・・・
肉体がハイエルフに進化した途端に身体能力も向上してるらしくてさ、大概は何でもこなせるようになってる訳なのよ、進化以前とはマジで戦い方がガラッと変わってるのよね。
前は身体強化で筋力を上げてミニガンぶっ放してたんだけど、アレやった後って筋肉痛で実はとっても酷い翌日を迎えてたりしたんだけどねw
今は魔法も使えるけれど、身体加速がメインで居合切りとか剣技で相手を斬り伏せてる事が多い。
しかも翌日に筋肉痛になって居る事も無い。
おっとイケナイ、脱線してたね。
将来がとっても有望なアーサー君をクリスと囲んで井戸端会議、女子会っつーかママ会議みてぇに成ってる。
こんな風に他のママ達と交流する事も私には無かったからとても新鮮な経験だ。
気が付くと夕方になって居て、夕食の準備をしないといけないって事で、子供のお世話でお疲れモードだったクリスの代りに私がキッチンに立つ事にした。
今晩のメニューは、体力を付けて貰わないとだから、オークジェネラルのお肉を使った胡麻豚炒めと、オークジェネラルのお肉を使った豚汁だ。胡麻と豚肉の相性はとても良くて、豚肉に豊富な疲労回復に有効な成分のビタミンB²とかの吸収力を、胡麻の主成分セサミンが補ってくれる。
夏バテなんかにもお勧めなので夏バテ気味になった人は是非冷しゃぶでゴマダレを使って食べて欲しい。
私は只のお料理上手では無くてちゃんと栄養士資格も持って居るのだよ、ふっふっふ。
三兄弟をダンジョンに派遣した事で全員帰って来ると踏んだ私は、カイエン達全員分も用意して大量調理をした、たまにこう言う大容量のお料理をすると、お料理のスキルアップも出来るのでたまには来客もアリですよ?
料理が完成する頃に皆帰って来た、まるで私の料理が出来るのを悟ったかのような最高のタイミングだった。
食事をしつつ全員にこれから一度本体の元へ行く事を承諾を貰って、私の庭園のドックにスパイダーを全機収納すると、飛空艇で庭園に先行して本体の庭園のブロックへと向かう事にした。
本体の庭園ブロックに到着したのはもう夜も更けてからだ。
もう忘年会真っ盛りで、本体も半分出来上がっていた。
-オリジナル-
去年は丁度色々忙しかったせいで、気が付いたら年を越してたし、あっと言う間に春になってしまってた位だったけど、今年こそお正月を堪能したかった私は、私の関係者に片っ端から連絡を入れておいた。
お陰で、既に、テディー、タカシ、MkⅣ、MkⅡと続々と私の庭園へと集まって来て居る、未だMkⅢは来ないけれど、さっきジ・アースも連れて来る事を電脳通信で知らせて来たので、間もなく到着するはずだ。
アイン、ネオトライに手伝わせて年越しそばを準備する。
やっぱ大晦日にはこれ食べないとね。
みんな集まって来るって事で張り切って用意してるけど、エルフ達も大量に集まって来て仕舞うので、私の樹の里のエルフ達にも手伝わせて蕎麦を打ってたりする。
何で乾麺に加工したのを使わないのかって?
そんなの、美味しいからに決まってるじゃ無いのよ。
打ち立てのお蕎麦の良い香りが、乾麵にしたら失われてしまうでしょう?
だから打ってるのよ、折角皆が集まる大晦日なんだもの、この位の労力は惜しんでる場合じゃ無い。
皆に最高に美味しいお蕎麦を提供したいと思ってしまった訳よ、なんか料理人みたいになって来たけどなw
勿論十割蕎麦よ。
こしの事を考えたら二八が良いとか言われて居るけれど、香りの事を考えた上に、力は必要でも十割で二八並にこしを出す事だって出来ない事は無いもんね。
だからこそネオトライに手伝わせて居るのだけどね。
エーテルリアクターを実装して魔素駆動にしたプロトタイプの機体なもんだから、パワーセーブして無いのよw
魔素駆動にした事で原子炉必要無くなったしな。
で、だ。
私が打つよりもネオトライの打った蕎麦の方がこしが有って良いので、今私は続々やって来る来客を迎え入れる事に専念。
今、キュルレンシスが里ごとやって来た。
キュルレンシスの所は割と人数が多くて48名も居る。まぁ私の庭園の一角に空間座標固定した広大な草原(季節は春)なんて所にビアガーデンのような簡易のテーブルと椅子をどっさり用意してあってそこが会場になって居るのでなんにも問題無し。
もはやタカシの所とテディーの所は先に来て飲み始めてるしなw
こっちに来て割と早い段階で見つけていたグレーン、最近見つけたホップとモルト、これのおかげでビールやウイスキーが作れるようになって居るので、ビールと銘酒世界樹の雫を提供して居たりする。
ご希望でユグドラシルアップルを使ったワインやブランデーなんかも出せるけどな、和食が提供されている以上、今日の所は日本酒タイプとビールでしょう?
天ぷらと十割蕎麦だもんな。
兎に角これで、130人を超える大所帯と成ってる。
凄い人数だと私も思うわ。
まぁ、祭りみたいなもんだからな、祭りも大きくなる方が楽しいって事でさ、大変かもしれんけど楽しいのは間違い無く楽しい。
さ、後はMkⅢがアイツら連れて来るのを待てば全員集合だな。
そんじゃ私も配膳に加わって、え? 配膳じゃ無くて調理に加われ? 私の飯が一番うめぇって?
まぁそりゃそうか。
ワザワザ電脳で突っ込み入れてくれるなよ、タカシ。
じゃあ天ぷらでも揚げに行くとするか。
天ぷらを揚げ続けて、気が付けばもう11時近い時間になって居る。
未だMkⅢからの連絡は無いなんて思って居た矢先に、通信が入った。
なんでもジ・アースがダンジョンに入り浸っててクリスと帰って来るのをお茶しながら待ってたらしい、悠長なこって・・・
今、飛空艇でこっちへ向かって居るらしい。
全く早く連れて来いよ、パメラとタイカンにボクスをさぁ。
そっち?って思った奴挙手、あのさ、お前ら何見て来たの?そっちに決まってるだろ、私は子供に執着してるんだから。
って私は誰に向かって言ってるんだ?
「ただいま~! 遅く成っちゃったぁ~。」
「お、やっと来たか、こっちこっち、カウントダウン始まるぞ~。」
「はいは~い、皆こっち急げ~。」
MkⅢに続いて、クリスを除くジ・アースの面々、三兄弟と続き、最後にクリスがアーサー君を抱いて歩いてやって来た。
瞬間移動スキルでクリスの前まで移動し、クリスの肩に触れて瞬間移動でクリスを間に合わせると、カウントダウンが始まった。
「「「「「「「「10、9、8、7、6、5、4、3、2、1、0~!!!
おめでと~~~~!!」」」」」」」
年が明けた事で、蕎麦と天ぷら以外の料理が解禁になり、ワインやブランデー、ウイスキーに焼酎迄、お酒の種類も増えて盛り上がりもピークへと向かうのだった。




