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宇宙戦争時代の科学者、異世界へ転生する【創世の大賢者】  作者: 赤い獅子舞のチャア(実際の人物及び団体とは一切関係ありません)
冒険の旅

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番外編24:キースジュニア

 番外編24:キースジュニア

 -オリジナル-

 今更なんだけど、時期は少し戻る。

 時期としては、そろそろ8月の声を聞く、最も暑い時期。

 本編の時間軸はもうそろそろ年も明けるかと言った所だから大分戻っちゃうね、ごめんね~。

 丁度ね、MkⅢがルージア帝国から西へと徒歩の旅をしている真っただ中。

 MkⅣがリニアラインの穴掘りに悪戦苦闘して居る最中のお話。

 私も何やかや忙しくってつい忘れ掛けてたんだけど、ある時ふっと思い出して、その日は朝早起きすると大急ぎで支度をして、まだ半分寝ているマリイを抱っこして、飛空艇に飛び乗ったのだ。

 目標に設定する為にトレースしたのは、ジ・アースのビーコン。

 何故このタイミングでジ・アースの所へ行くのかと思うかも知れないけれど、とっても重要な用件があるのだ。

 それも、予てよりの約束でもある。

 私はマリイを連れて飛空艇で先行したけれど、庭園もこっちに向けて移動を開始している。

 恐らくは数日の長期戦に成るだろうからね。

 お、やっとあいつらの走る砂煙らしきものが見えてきた。

 通信を入れて一旦停止して貰うとしよう。

「キース、ちょっとその辺りで一旦止まれ~。

 スパイダーのメンテナンスしてやるから飛空艇の格納庫に入って~。」

『お? エリー、久しぶり~、しかも、もしかしてその飛空艇はMkⅢじゃ無いよな、本体か?』

「正解~! 流石っつーか、まぁMkⅢとかだと私自身から少々の劣化が有るからよく見てると判るけどね。」

『ははは、マジか、実はカメラに入らない位置にクリスが居るんだが、電脳で多分本物のエリーだって教えてくれたんだよ。

 スゲーな、女の勘よっとか行ってはぐらかされたけど、マジで当たってるとはな。』

「ははは~、クリス、流石だね~。

 キースは女の勘ってのを舐めちゃダメだよ~、ガチだからな。

 浮気とかしたらソッコーでバレるから気を付けろよ?」

『うへっ! さ、流石に浮気はしねーけどよ、怖いな、もう、ホントエリ―にゃ敵わないぜ。』

「おっと、これからはクリスにも敵うと思うな?

 尻に敷かれると思って覚悟しとけよ。」

 とか言いつつ飛空艇を着艇、カーゴベイを開く。

 するとキース機を先頭に、素直に全機搭乗して来る。

「よっ、お前ら久しぶり。

 ソロソロだろうと思ったから、約束道理に来たぜ?」

「うん、待ってたわよ、エリー!」

 そうなのだ、私が約束した相手、それはクリス。

 久しぶりに会ったクリスは、すっかり大きくなったお腹を抱えて笑顔で手を振っている。

「ああ、ちゃんと私が取り上げてやるから安心して良いぞ。」

 つまり、約束と言うのは、間も無く破水すると思われるクリスの子を、私の持つ最新の技術で安全に取り上げると言う約束だ。

 ドックへと出迎えに来ていた私の後ろには、隠れるようにして、すっかり目が覚めたマリイが悪戯そうにニヤニヤしてたりする。

 今私は珍しくふわっとした生地のベルボトムになったズボン履いてるからね、隠れやすいのよ。

「あ、そうそう、それと、今日ここに来たのは私だけじゃ無いんだ。」

 と言うと、私の背後からひょこッと顔を出したマリイが。

「クーリス、キースも、おめでとー。」

 未だマリイがザインの記憶を既に持って居る事は秘密にして居たから、二人とも驚きを隠しきれないと言った感じで目を丸く見開いて固まっている。

「あ、キース、クリス、紹介します。

 私の娘、マリイ・ザイデリュウス・ナカムラです。

 未だ一歳に満たない筈なんだけど、ハイエルフって幼少期の成長早いのねぇ~、イヤぁ知らんかった、もうこんな大きく成ったのよ。」

 涙が溢れて止まらなくなるクリス。

 貰い泣きしそうなのを堪えて鼻を啜るキース。

 実際貰い泣きしてるカイエン、マカンヌ、カレイラ。

 今更のように寝ぼけ顔でスパイダーから降りて来るオーブ。

 オーブよ、お前はもうすっかり脱力枠やな・・・

 しかも第一声、「うわっ!し、師匠!!」

 おめぇよ、一気に目が覚めたみたいなビックリ眼止めろ?

「オーブちゃんは随分と重役出勤ねぇ?」

「し・・・師匠、違うのにゃ!」

「エリー、オーブを許してあげて?

 昨日は夜中にマイクログリフォンの襲撃にあって、スマホで魔法バンバン撃って撃退してくれたのよ。」

「そうだったのか、しかし第三階梯迄の魔法で良く撃退できたな、オーブ。」

「師匠が使ってた何とかクラフトが出来にゃいかと思って、雷属性の魔法応用してたらなんとにゃく出来たのにゃ、それで高さの優位がにゃくにゃったお陰で3羽位落したら逃げてくれたのにゃ。」

 成程、イオンクラフトだったら第三階梯の魔法駆使したら不可能では無いけど、それは相当に消耗したろう、MPギリギリだったんじゃねぇか?三羽も落としたのなら。

「そうか、じゃあ、今のオーブの能力を認めてあげよう。

 ハイ、新しいスマホ。」

「これはどう新しいにゃ?

 あんまり変わって見えにゃいけど・・・

 画面の裏側に変にゃ丸いレンズが二つくらい増えてるけど、それだけ?」

「これはね、今まで写真撮った事何度かは有ると思うけどな、今度はこれで撮った物をデータバンク参照してどんな物かが判る様になった、後、ズーム機能が付いたのだよ。」

「う~ん・・・あんまりつかわにゃいかも・・・他ににゃんか変わってにゃいの? 師匠~・・・」

「変わって無い筈が無いだろ? これまで使ってたCPUとは性能が段違いでな、倍以上のスペックが詰まってるんだ。」

「もっと判り易く言ってあげて、エリー・・・」

 クリスに横から助け舟貰ったオーブはうんうんと頷いてる、こいつ昨日活躍したからって天狗になってたら扱くわよ?

「判ったわよ~、仕方ネェな、全く。

 先ずストレージが今までの2.3倍になった、それと、発動させた魔法をストックして置く事も出来るようになった。

 ストックした魔法と新たに発動させた魔法を組み合わせて複合スペルが使えるようになった。

 それと、これは破格なんだからね?

 今まで第三階梯迄だった魔法が第七階梯迄使えるようになりました!

 私だからこの改造が出来たんだからね、有難く思いなさい。」

「し・・・師匠~~~!!

 少し優しかったMkⅢ師匠も大好きだけどオリジナル師匠も大好きだにゃぁ~。厳しいけど・・・」

 最後に余計な一言付けるから私に虐められるって判ってねぇだろ、こいつ。

 まぁ今日はクリスの案件で来てるから余計な突っ込みは止めておこう。

 まぁ、オーブとこんなやり取りしてる間、たまに口挟んでくる程度で後はキースとクリスもマリイと話すのが忙しそうだったけどね。

「エリーさん、私の剣のメンテナンスってお願い出来ますか?」

 カレイラが私とオーブのやり取りに割って入って来た。

「あ、良いわよ?

 クリスの陣痛が始まるまでは時間あるし、直ぐにやってあげる。」

「やったぁ! じゃあ、お願いします。」

 よーっし、MkⅣの手に入れた鍛冶技術を解析する機会が訪れたわよぉ~。

 MkⅣの奴、MkⅢにも秘匿してやがるからなぁ。

 私も忙しくてMkⅣをモニタリング出来てない時にこんな大それた剣を打てるようになっててちょっとズルいと思ったんだからね~。

 こいつの打ち方を私の進化した鑑定でこの剣の持つ記憶から引き出せば、ふっふっふっふ。

 本体である私に秘匿して置ける筈無い事位理解しなさいよね、まったく。

 後でじっくり鑑定させて貰うわよ。

 さて、本題に掛かるとしよう。

「さ、クリス、マリイとは後でゆっくり話して構わないからな、一応どんな状態か診察させてくれ。」

「あ、はーい、じゃ後でね、ザイン・・・今はマリイのほうが良いかしらね。」

「うん、クリス、後で。」

 クリスを診察室へと誘うと、後をぞろぞろと全員で着いて来る。

 マカンヌにそれを制止させるように促す。

「マカンヌ、臨月の診察だ、こいつ等の見世物にする気か?」

「あ、そうよね、私が止めないとだわ~、もう、いやぁねぇ~。

 ほらほら、皆、あっちでお茶でもしましょうよ~。」

「さて、邪魔なのは居なくなったわね、診察室は静かに限るわ。

 扉の前でヤイヤイ騒がれたら落ち着いて診断出来ないものね。

 じゃあクリス、その分娩台に座って、前のレッグレストに足を乗せてね。」

 おっと、この先は見ちゃダメよ、エッチ。

 ---

 クリスのお腹の子は着実に成長していた、後二~三日以内には陣痛が始まると思う。

 私が思い出すのが間に合って良かったわ。

 少々初子の割に大きい気はするけれど、逆子にもなって居ないしあまり苦労は無く出産できるだろう。

 まぁ、多分この世界のこの文化水準からしてこんな事を余裕で言えるのは私だけだろうけれどね。

 それにしても流石クリスとキースの子って感じなんだよな、すっごく落ち着いた雰囲気だけど何故か強そうな・・・

 何故か生まれる前からそんな特別な雰囲気が有ると言うか。

 キースの、テイマーって言う思わぬ才能も有って、そう言った何か隠れたスキルか何かが有りそうな結構有能な子なんじゃないかと思える。

 これは取り上げるのが楽しみだ。

 ----

 翌朝・・・

 念の為にと、私のベッドの隣にベッドをもう一つ用意し、そこで寝ていたクリスが、早朝に私を大声で起こした。

「エリー! お願い起きて~! 

 来た、来たのっ! イダイぃぃっ!」

 予想より早かったか、昨日クリスを診察したのが正午過ぎだった事を考えると、この子は私が来るのを待ってたかのようなタイミングで生まれようとし始めた事に成る。

 まぁ、元々の予定日よりは四日程早いのだから想定の範囲内ではあるけどね。

 ストレッチャーを用意、と言いたい所だけれどそんなに悠長に移動させて居る訳にも行かなさそうだったので、ベッドを一緒に飛ばさないように、分娩台の上に直接転移させる試みをした。

 流石私天才、完璧にうまい事行った。

 結構細かい設定が必要だったもんだからすっげぇ激しく精神力ゴリゴリ持って行かれたけれどな・・・

「良いか、クリス、ラマーズ法と言う呼吸法を伝授するからそのように息をするんだ!

 ひ、ひ、ふーて感じでひで吸ってふーで吐くんだ、一緒にやってやるから頑張れ、せーのっ、ひ、ひ、ふー、ひ、ひ、ふー・・・」

「エリー、まだ? 未だなのっ?」

「もうちょっとだ、ほら休まずに、ひ、ひ、ふー。

 そうだ、良いぞ、もうちょっと、ほらひ、ひ、今だ!いきんでっ!」

「ん~~~!!!!!」

 ついに、キースとクリスの子が、クリスの腹を痛めた子が現れる。」

「んぎゃ~! んぎゃー!」

「クリス! 生まれたぞ! 元気な男の子だ!」

 横にベビーベッドを特設して寝かしてやると、私は臍帯盤を回収する為にもう一度シーツに潜ると、そーっと念動魔法で剥がした臍帯盤を取り出し、作業を終えて分娩台のクリスを起き上がらせ、クリスの部屋へ直接転移してベッドに寝かせ、直ぐに転移で未だ名の無い赤ん坊をクリスの横に転移させた。

「お疲れさん、クリス。

 栄養もしっかり取って、体力を回復させるようにな。

 今はこれでも飲んでおけ。」

 SPポーションEXを取り出すとクリスに渡す。

 疲労こんぱいのクリスは、疲れて声も出ないと言った風で私の手から奪う様に取り上げたそれを煽る様に飲み干した。

「エリー、ありがとう。」

「どう致しまして、つーか約束してたんだから当然だ、礼には及ばない。」

 臍帯盤は製薬の素材にと貰ってしまう訳だしな。

 臍帯盤から採取出来る臍帯血は、瀕死にまで追い込まれた者を完全回復させるポーション、“リ・インカネーション”に無くてはならない素材だ。

「さ、そんな事よりもキースを呼んで来るから少し待ってろ。」

 ----

「生まれたって!?」

 急いで飛び込んで行くキース、お前が一番落ち着けってば・・・

「キース、貴方の息子よ、きっと強い子になるわ。」

 だろうな、さっき鑑定させて貰ったら、生まれたばっかりの子に魔法適性と剛力なんて言う相反するようなスキルが有ったぞ・・・

 とんでもねぇ怪力魔導士になりそうだぞ。

「よし!決めた!この子の名前はアーサーだ!」

 おま、その名前は・・・

 こんな風にヨルムンガンドに名付けしたんだな、こいつってば・・・

 もう私は何も言うまい。


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