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宇宙戦争時代の科学者、異世界へ転生する【創世の大賢者】  作者: 赤い獅子舞のチャア(実際の人物及び団体とは一切関係ありません)
冒険の旅

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魔王VS元神

 魔王VS元神

「んじゃ行きましょ、思い立ったが吉日よ。」

 私はそう言うと、フェンリルギアをフォームチェンジでバイク型に戻して跨った。

「あの、すみません、僕は・・・」

「ああ、あんたは私のタンデムシートにでも乗って。」

「は、はい。」

 何だか少しはにかむような様子を見せるタカシ。

 アイン、ツヴァイ、テディーもバイクにフォームチェンジさせて跨る。

 このダンジョンを一気に逆走して戻る事にしたのだ。

「んじゃ行くわよ、出発~。」

 スロットルを多めに開いて一気に加速した、のだが・・・

「ちょ!待て待て! あんた何処触ってんのよ!」

 急加速をしたフェンリルギアのGに耐え兼ねたタカシが咄嗟に前に出を伸ばし、しがみ付こうとして、私は思いっ切り胸を掴まれたのだった。

 振り向きざまの私の左肘がタカシの顔面を直撃。

 そのまま吹っ飛んで行くタカシ。

 あ、ヤベ、しまった・・・

 まあアイツもハイエルフだから常時身体強化発動してる様なもんだから大丈夫だとは思うが、痛いだろ、あれ・・・

「あ~あ、エリちゃんの大振りエルボー食らったら再起不能やん、しーらんっと。」

 と、言いつつもタカシの方へ小走りに走り寄るテディーだった。

 私もその後を追うように走って行く。

「御免よ、タカシ、乳揉まれたのなんか710年振り位だからつい勢いで攻撃しちゃったよ。」

「いててて、効きました、流石に。

 僕こそすみません、後ろに手を置いて体重支えたら良かったのに、つい。」

「エリちゃんの乳じゃ揉み甲斐も無いだろうけどな~。」

「ウッセーよテディー、自分が中学生くらいの肉体年齢なのに私よか乳デケーからって自慢すんな。」

「てへっ♡」

「あの、女子の会話ってそんなんで良いんですか?」

「ん?これでもまだソフトな方よ?」

「そうそう、もっととんでもないエロばなとかしとるよw」

「はぁ、幻想だとは思ってたけどやっぱそうだったんスね。

 所で、バイクでダンジョン抜けるより、屋上から出られるのでそこからどうにか成ったりしませんか?バイク危なすぎる。」

「あら、もっと早く言ってよ、屋上出られるのね?」

「勿論出られますよ、でもそんなの敢えて言わないっすよね。」

「まぁそうか、んじゃ屋上に出ましょう。

 飛空艇呼ぶわ。」

「ひ、飛空艇!?」

「あれ?私さっきも一回飛空艇発言した気がするんだけど今更?」

「あ、そう言えば聞いた気もするけど、多分聞き流してました、色々驚き過ぎて。」

「兎に角飛空艇出すし、さっさと屋上へ。」

「あの、エリーさん、一個お願いしても?」

「良いわよ、飛空艇欲しいんでしょ?」

「あ、バレましたか。」

「今の話の流れで判らん奴居るの?むしろ。

 テディーのも建造中だから良いよ~。」

「何処で作ってるんですか?」

「空中庭園のドックで作ってるんだよ。」

「あの、さり気無く更に上位の衝撃発言ぶっこむのやめて貰えますか?」

「えー、良いじゃ無いのよ、面白いし。」

「無理だよ、エリちゃんはこういう人やからw」

「あのね。テディー。」

 そんなしょうもない会話をしながらエレベーターで、(ってかエレベーター付いとったんかいな)屋上に到着。

 空中庭園のドックの発着ベイから飛空艇が飛び出す様子をマジマジと見ながら、タカシは譫言の様に言ったものだった。

「どれだけとんでもない科学力なんだ、この人、あの空中庭園ってどうやって浮いてんの?」

 まぁ独り言程度の発言はさり気無く聞かなかった事にして置く事にしましょう。

 さっきのご飯食べながらの雑談で聞き出したタカシ君の前世の生活最終年は2035年で、中学生だったらしい。

 当時彼は、特に虐めに遭ってたりした訳では無かった、つまり彼が虐めに遭ったのはこっちに来てからっつー事よね。

 何処の世にも居る訳よ、気に入らない奴を虐めてやろうとかする輩って。

 んで、元々、ゲーマーだった彼は、そう言う意味で引き籠りがちだったらしい。

 ある夜、深夜にお腹が空いてコンビニへと買い出しに出た所、飲酒運転の軽自動車に跳ねられてその生涯を閉じたらしい。

 そして気が付くと、当時の記憶を持ったままで此方に転生して居る事に気付いたそうだ。

 しかし、軽自動車かよ、まぁ、軽自動車だろうが何だろうが車に跳ねられたらタダでは済まないのは当然だけどな。

 異世界転生の基本はトラックに跳ねられるのがデフォルトらしいけど、まぁ、中にはトラクターに跳ねられて、死にはしない筈の所ショックで死んだとか訳わからんのも有るけどな。

 詳しくは言わないけど。

 それが軽自動車ってなんだかショボく感じてしまうけどさ、軽だって十分に人殺せるから馬鹿にしたもんじゃない。

 兎に角そんな具合に転生して来たそうだ。

 ---

 飛空艇に乗り込んだ途端に、タカシ君のテンションがMaxに達した。

 そりゃそうだろうな、フルダイブ型のVRMMOがゲームに使用出来る物として確立したのって2050年以降だから少し間に合わなかったんだよな、この子。

 だから完全に体感出来ていない筈なんだ、ゲーム内に出て来る飛空艇。

 それがここでは本物に触れる訳だ。

 そりゃテンション上がるよね、男の子だしな。

 こう言うメカニカルなギミックとか大好きよねw

 しかも今は電脳にある知識で何処をどう操作したらどう動くかとか全部頭に入ってる、こんなに楽しい事は無いんじゃ無いかな?

「スッゲー! スッゲー! 本物の飛空艇だー!」

 ああはいはい、テンションMaxで宜しいこって。

「あ、エリーさん、これって・・・」

「ん?なぁに?」

「反重力エンジンで浮いてるって言う認識になってるんですけど、反重力エンジンなんて一体いつの時代の技術なんです? エリーさんってどんな時代から来たの?」

「ああ、その反重力エンジンは開発したのは私だ。

 私は先ず、電脳と全身義体を作り出し、全身義体の副産物的な特性によって半永久的な寿命を持つに至った。

 義体だから疲れると言う感覚もほぼ皆無だから文字通り不老不死となった訳だ。

 その後私は、地球の寿命が近い事を突き止め、宇宙に出る時代を切り開く先駆者となった。

 初めは、AIアンドロイドや、全身義体の者達が、普通にロケットエンジンの宇宙船で飛び出して行ったが、その内に、私はナノマシンによるコールドスリープを確立、普通の人間が外宇宙に出られる時代になった。

 そして宇宙空間を移動する為に最も効率の良い方法は、当時最新の研究であった反重力による反発力で推進力を得る方法だったと言う訳だ。

 反重力エンジンは良いぞ、出力を上げてやるだけで、何のストレスも無く大気圏を突破する事が出来る。

 ちなみに西暦にすると、反重力エンジンが確立したのは、そうね、丁度3000年前後だったんじゃ無いかな?

 イオンクラフトで反重力を確立出来る事はその大分前から分かって居たのだけど、それをとことんまで突き詰めてやっとの事で完成させたのよ。」

「うっわ、この人マジで開発者だ、開発に費やした時間や生みの苦しみが伝わって来る程言葉が重いっす。」

「宇宙開拓用のAIアンドロイド様に作った超小型原子炉を宇宙船の機関室に800個直列に並べ倒して途轍もない電力生み出して初めて完成したからね、苦節50年位掛かったかしら。」

「あの、エリーさんって、もしかしてこっちに来てハイエルフとして700年生きた訳じゃ無くて・・・」

「そうよ?初めに寿命から開放されたって言ったでしょう?

 全身義体で長生きして色々生み出したのよ。

 戦略予測OS搭載型植物生体量子コンピューター”ゆぐどらしる”や、宇宙空間専用人型兵器”アーマドラグーン”とかも作ったし。」

「巨大ロボットっすか!?」

「まぁ、みたいなもんね、だけどあんまり巨大な物を作ると素早い動きが見込めないのでそこそこのサイズだけどね。

 特に腕とかあんまり速い速度で振ると、巨大ロボはその遠心力で腕を止めた瞬間ボキッと折れてしまうのよね、当たり前だけど。

 まぁ、アニメの巨大ロボは所詮はアニメって事よね。」

「なんか一瞬で現実に引き戻された気がします。」

「でしょう?でもこれがリアルよ。」

「でも、強化プラスチックみたいなものをメインの素材で作れば行けるんじゃ無いですか?」

「そこは良い線突いて来たわね、だけど、それだと強度が足りないし、軽すぎるのよ。

 宇宙空間には、目に見えないようなサイズの塵が割と飛んでるのよ、それこそ、寿命を迎えた星が爆発した物が飛び散ったりしたような塵だから、宇宙空間で速度が落ちないのだからそれがどんな速度を持って居るかも何となく判るでしょう? それこそMach50とかそう言う速度。

 そんな物がぶつかって見なさい、装甲は爆散、機体はその塵の慣性を貰ってどこまで飛んで行くかも分かったもんじゃない、だからそれを抑える為にも質量もある程度必要だし、プラスチック程度の強度ではダメな訳。

 だからサイズも限界の大きさってものが出て来る、判ったかしら。」

「うう、すっげぇ現実に引き戻された・・・

 じゃあ、飛行タイプの脱出カプセルが内蔵されたようなサイズのロボットって無理なんですね。」

「まぁ、そこまでのは無理よね。」

「ちぇ~、残念。」

 ただ、この世界で確立したアレを使えば巨大ロボできる気はするけどな、これを口に出してしまったら是非作って欲しいとか言いかねないので黙って置くとしよう、アダマンタイトの事は。

 実の所アダマンタイトなら元の素材次第で重量を変える事が出来るから、重量感がしっかりあって遠心力に負けない強い機体を作る事が出来る。

 時間が止まった素材と言ったって、パーツ毎に作って普通に組み立てて行けば良いだけだしな。

 そんな検証が出来ちゃうような話題を会話に乗せている内に飛空艇は、ローデストの領空へと入って来た。

 そろそろ飛んで来るだろ、アイツ。

 やっぱな。

『エリー殿! お久しぶりですっ!』

 いきなり通信が入った。

「ポルコ、いきなり私と何で判った?」

『巨大な空飛ぶ船が来たなんて聞いたらもう他にそんな物を飛ばす事が出来る人は居らんですよ。』

「成程、私以外にこんな出鱈目な物作るバカは居ねぇとそう言いたいのだね?」

『なっ!そうは言って居りません!』

「あははは、あんた真面目過ぎてすぐに真に受けるんだから、揶揄い甲斐が有るわ~。」

『揶揄ってたんですか?』

「そう言ってるんだけど、他にどう聞こえると?」

 こんな具合にポルコも弄り倒して、相変わらず巨大過ぎて港には入らない飛空艇を沖に停泊、スパイダーのホバーモードで上陸した。

 すると、アリスが港に出迎えに来ていた。

「エリー様、お待ち申し上げておりました。」

 他にも、漁師の皆さんやこの街の代官までもが出迎えてくれる。

 ん~? なんかあった??

 そして出迎えてくれた全員に囲まれる形で、私、テディー、タカシの三名は、《《自称元神》》のアホの待つ教会へとたどり着いた。

 そこには、かなり綺麗な服を着た、孤児と思われる子供達が待って居た。

「「「エリー様お帰りなさい!!」」」

 子供達のこのセリフ、練習したな?

 教会の戸が開かれる。

 すると、中にあったアスモデウス像はその姿をすっかり別物に変えていた、いや、撤去されて新しい像に変更されていた。

 アリスがその像の説明を入れる。

「エリー様をモデルにした、聖母像です。」

 は???

 今、何と??

 なぁ、聖母っつった? しかもモデルは私だと??

 そう、そこには、ローブを纏った私の顔をした像が聳え立って居た、特大の・・・

 マジか、こいつ、止めろっつったのに・・・

 でもまぁ、こんな大掛かりなもん作っちゃったからには今直ぐ壊せとかは流石に言えない、私だって情はあるのだ。

 しかし、この像ってどうやって運び込んだのだろう、どう足掻いても正面の大扉を通す事もまま成らない筈。

「ああ、それならここに足場を組んで建てさせたんですよ。」

「あ、私の心を読んだ?」

「いえ、ブツブツ口に出て居たのでダダ洩れです。」

 ガーン・・・全部聞かれてたっ!

 ここは気を取り直して話題変更だ。

「ところで、アスモデウスはどうしてるの?」

「あ、間も無く降りて来ると思いますよ、最近では腹を括られたようでちゃんとお勤めして下さって居るので。」

「えっ!!!??アイツが??

 まじで?!?」

「ええ、そうですねぇ、腹を括られたと言うより、諦められたと表現する方があって居るのかも知れませんけど。」

「要するに開き直ったと、そんな感じ?」

「そうかも知れません、あ、いらっしゃいましたね。」

「やぁ、これはこれはようこそお越し下さいました、聖母、いや、女神エリー様。」

「おい、アスモデウス、どう言う積りだ、なんか裏が有るんだろ?」

「いえいえ、何も御座いません、私はあの時貴女様より諭され、目覚めたのですよ、しばらく時間は掛かりましたが。」

「ふん、大方私を祀り上げて困る様でもほくそ笑んで見てやろうとか思って居たのだろ?」

「ちっ、何で判った?」

「性格の悪いお前の事だからな、この位やりそうだと思った事を言ってカマかけて見ただけよ、図星だったみたいねぇ?」

「ふん、性格が悪いのはお前の方だろう? 良くもこの間は蹴っ飛ばしてくれたな。」

「お前が馬鹿だからだろ、それはさぁ。

 あの時は傑作だったわよ? 元神様だったお前が半ベソ掻いて命乞いだもんねぇ?」

「くそっ、今に見てろ?」

「あはははは! 私に一矢報いようとしてやった演技が見透かされて逆に反撃されたら今度は負け犬の遠吠えですかぁ? あいっ変わらず面白いわよねぇ、元、か♡み♡さ♡ま。 くっくっくっく。」

 地団駄を踏むアスモデウスを尻目に、タカシを目で促して前に出させつつ、追い打ちをかける。

「ああそうそう、紹介するわねぇ~、凡そ200年前にあんたにこの世界に連れて来られたお陰でこの世界で国を挙げて苛めの対象になってとーっても辛い思いをした、田中タカシ君よ、仲良くしてあげなさいな、アスモデウス。」

「その節はどうも、さんっざんお世話になりましたね、ア・ス・モ・デ・ウ・ス・さっ!まっ!」既に怒りを押し殺し切れなかったタカシは、最後まで言い切る前に思いきり力を込めた大ぶりの右フックをアスモデウスへと打ち付けた。そしてそのまま、右足を思い切り蹴り上げ、アスモデウスの股間を直撃させたのだった。

 ちーん・・・ご愁傷様ですm(__)m

 やっぱ私以上に恨みの籠った良い蹴りだったよ~・・・(遠い目)

 あれは痛いわ、あの蹴りは、男性じゃ無くても泣きたいくらい痛いと思う・・・

 いや、女性だって股間蹴り上げられたら痛いのは痛いんですけどね、多分男性のそれよりはマシなんじゃ無いかと思うのよ。

 でも、あれは痛いと思う。

 一気に白髪になりそうな傷みなんじゃないかしらねぇ・・・

 事実、前屈みになりながら背中を向けたアスモデウスの後姿は、何だか煤けて見えた程だったのだ。

 タカシも、そのアスモデウスの姿を目に焼き付けるように凝視した後、笑顔を見せた。

 大分溜飲が下がったようだね、良かった良かった。

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