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宇宙戦争時代の科学者、異世界へ転生する【創世の大賢者】  作者: 赤い獅子舞のチャア(実際の人物及び団体とは一切関係ありません)
冒険の旅

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帰って来た正統後継者

 帰って来た正統後継者

 -フォード王国、城塞都市クラウンビクトリア‐

 アイン・オリジンの言葉を信じたこの国の貴族10家、その内の宰相を除く9家の当主達は、正統後継者プローブが、その病を克服して戻るのを、今か今かと待ちわびていた。

 初めは誰も気が付かなかった。巨大な雲が近づいて来ていた、嵐になると、誰もがそう思って居た。

 だがその雲がこの城塞都市のすぐそばに来ても、風が強くなる事も、雨が強く打ち付ける事も無かった。

 そして、その雲は突如、晴れた。

 そこに現れたそれを、この都市に住むすべての民は、恐れ戦き、驚愕したのだった。

 その雲の中より現れたそれは、空中に浮く庭園だった。

 巨大な一本の世界樹を抱いたその空中庭園は、誰の目にも触れる事無くやって来て、そこに佇んで居たのだ。

 誰しもが目を疑うしか無いその庭園より、一条の光が王城の正門前に、ピンスポットライトの様に降り注ぎ、その光の道を、滑るように三名程の人影が、ゆっくりと降りて来る。

 3名に見えたその影は、3名では無く、正確には4名であった。

 1人は、ツヴァイ・オリジン。

 1人は、この国の正統後継者たる、プローブ・フォードその人。

 1人は、銀髪の赤子を抱えた、赤髪のハイエルフだった。

 -----------

 -少し前-

 -エリー本体-

 ふむふむ、成程、やはりちゃんと報告を忘れないアインに行かせて正解だったわね。

 思った通り、第二王子は転生者だった訳ね、しかも現王はかなり症状が進んでてアインには治療不可能、か・・・

 私が行くしかなさそうね・・・

「マリイ、お出かけして来ても良い?」

 マリイは嫌々をしている、最近は私の話す事を全て理解して居る、やはり以前の記憶がある程度残って居るみたいで言語中枢が言語理解を取り戻し始めているようだ。

「まぁま、いっちょ、いく。」

「マリイ、ママと一緒に行きたいの?」

 今度は縦に首を振っている、一緒に行きたいらしい。

 仕方無い、未だこの肉体年齢で余り長距離移動させるのはきついだろうから、庭園を分離して、この家のコピーを建ててしまおう。

 そうと決まったらツヴァイに持って来させよう、今MkⅣに権限移行しちゃってるから手動で切り離して持ってこないと駄目だしな。

 初めはツヴァイ達だけに行って貰う積りで作った飛空艇二番艦が有るから、ツヴァイに取りに行って貰おう。

 電脳でツヴァイに指示を出した私は、そろそろマリイにも電脳を、とは思って居るけど何時やろうと言う時期を検討して過ごす。

 数時間程度で帰って来るだろうから、その間私が家事をする事に成るわね。

 ああ、そうそう、トライの様子も観察しとかないと、忙しいわね、結構。

 トライは、まだ一人で考えて、迷って、今後を決めあぐねている様子。

 で、忙しかった私は、つい、そんなトライに手伝いをさせてしまった、うっかり。

 普段なら、皿1枚取って貰おうとしただけでも、取って貰った1枚どころか棚の皿全部根こそぎ割ると言うクラッシャー体質・・・だったのだけど。

 う~ん・・・あのトライが、失敗しない、何故??

 まさか、上の空の方が?・・・とか??

 ってか、これ迄の事を考えたらまさかと言う訳では無いわね、上の空で可笑しな行動を取って居るからこそ失敗しない訳よね、面白い事に。

 良いデータが取れた、うん、この子やっぱ面白い!!

 次はお掃除させてみよう。

 今までは逆に汚れるとかを完全に通り越して壁に穴は開くわ家具は粉砕するわだったけど何処まで改善してしまう事か。楽しみだ。

 とか検証してたら、ツヴァイが第二区画を持って来た、思ったよか早かったな。

 早速第二区画の目玉、ユグドラシルの根元に、コピーの家を移築する。

 いや、オリジナルの家はあの場から動かす訳じゃ無いから新築か。

 そんでもって、トライとひろし君にお留守番をお任せして、フィアーには携帯用充電器を渡して神社にお泊りして貰う。

 何でフィアーに留守番させないかって?

 どうもトライの悟りのきっかけはひろし君ぽいって事です。

 いい機会だから二人だけをお留守番にして見たって訳。

 さぁ、私が帰って来るまでにどんな環境科学反応が起きる事か、楽しみ~♪

 ------

 お家の新築も終わって、第二区画庭園でプローブ君の国へと移動、たった今上空に到着したところ。

「もう着いたのですか?大賢者殿。」

「まぁね~、もう着いたっつーか、未だ上空だから、これから偽装を解いて高度を下げないといけない所なんだけどね。」

 偽装を解くと、城塞都市の全ての民が注目して居るのが手に取るように判る。

「こ、これは・・・わが国民達、この絵は本当に?」

「ええ、今実際に地上で起きている光景よ、皆が注目している、さ、それよりも、そろそろ降りるわよ、行きましょう。」

「此方へどうぞ、降地準備出来ています。」

「ありがとう、ツヴァイ、じゃあ行きましょう、先導よろしく。」

「はい、では、プローブ様わたくしの後に着いて来て下さいませ、殿はマスターが努めます。」

 ツヴァイが先頭を歩き、磁光エレベーターに入る。

 プローブがそれに続く、そして私、さっきマリイが愚図り出したので今はマリイを抱いている。

 4人が乗るのを待って、磁光エレベーターが動き出す。

 実際に自分の肉眼で国中の民が注目をして居る事を確認したプローブが、自覚をしたようだ、手を振りながら各方向へと顔を向けている。

 地面へと問う歌津すると、そこには彼の国の貴族達が出迎えていた。

「お待ち申し上げておりました、プローブ様。」

「うむ、皆の者、気を揉ませてしまったようだな、済まなかった。」

「「「「「「「「いえ、ご回復、おめでとうございます。」」」」」」」」」

 全員が傅く。

「父上は?まだ息は有るのか?」

「は、貴方様の帰りを待ちわびて居りました。」

「そうか、エリー、診察しては貰えぬだろうか?」

「任せなさい、ツヴァイ、マリイをお願いね。」

「お任せ下さい、行ってらっしゃいませ。」

 こうして私は、トーラス王の寝室へと向かう為に、世話役貴族に付いて行くのだった。

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