ギルドマスター権限
ギルドマスター権限
地下へ移動しながら、説明を受けている。
「今使って居る通路は、冒険者、職員兼用の通路なんだが、今向かって居る所は、元々大型の魔物を解体する為の解体場なんだ。
ギルドの建物からはこの通路が解体場への唯一の通路だが、この解体場へは、街の塀の外から直接入れるようにもう一つ入り口が用意されているんだ。」
「成程、大型の魔物を引きずったり担いだままで城壁の内側に入ってウロウロするのは好ましくないもんね。」
「ああ、そうなるだろ?
だけど好き勝手に出入りされても困るので、門兵に開けて貰って入る事に成ってる。
あいにく今まで、使った事はほんの一回かそこらしか無い筈だけどな。」
「つまりこの辺りにはあまり大型の魔物は存在して居ないと言う事で良いのかな?」
「ああ、その見解で間違い無いと思っていい。
ごく稀に、俺が遭遇したような化け物が現れる事はあるけどな。」
つまりここは、RPGで言う所の始まりの街のように比較的弱い魔物しかいない初心者向けのエリアと言う事か。
ってか場所によって魔物の脅威度が違ったりするのってゲーム内だけの概念だよな、多分普通は何処にでも食物連鎖やらが無いといけない筈なので肉食動物と草食動物が何処にでも等しく存在するのと同じく、何処にだって強い物と弱い魔物は分布して居なければ世界自体が歪んで居る事に成る。
つまりは、逆に言えば何処に居たって油断は出来ないと言う所だろう。
薬草の例を取ってみても、魔素を取り込んだ量によって魔物も進化しそうなんだよね。
当然魔物の種類も同じだろうと考えると、例えば、ゴブリンが魔素を取り込んでホブゴブリンになって、さらに多くの魔素を取り込んでゴブリンナイトやゴブリンキングとかになり、更に進化すればオーガに進化する可能性を含んで居ると言う事だ。
そのオーガは更に進化して先程話に出たサイクロプスに成る可能性を秘めて居るかもしれない。
つまりは稀に現れるそう言った強い魔物と言うのはそう言う事なのだろう。
とまぁ、可能性を考えたらキリがない、証明するにはサンプルを捕らえて検証あるのみである。
「さて、ここがその大型の魔物を解体する為に作られた解体場だ、どうだ広いだろう?」
「そうだね、あ、この台の上に出せばいいかな?」
「ああ、ここで構わない。」
「了解、それじゃ早速・・・っと。」
「って待て待て、その小さい鞄に入ってるとでも?」
「今更何言ってんのかな?私が出鱈目なのは知ってるような口ぶりだったのに、スキルで膨大なストレージが有るのを知らなかったとでも言うんだ?」
「ま・・・まじか・・・」
ファング25頭分の毛皮、肉、骨、牙の全てを並べると、呆然とそれを見ていたギルマスは、綿花を出し始めた私を見て我に返った。
「これを一人で?この頭数を一人で討伐したのか?」
「勿論他に誰も居なかったしな、あのヘタレは私の背後に隠れてお漏らししながら震えてたしな。
一人でやるしか無いだろ?」
「そんな事が出来るのはB級冒険者以上の実力者で無いと無理だと思うんだが。」
「でも私はついさっきまでレベル1だったけどね。」
「おお、そうだな、レベル鑑定してみるか?」
「しても良いけど自分のレベル位は自分で見られるようにはなってるけどね。」
「自分でわかるのか?」
「ん?他の人は自分で確認できないのか?」
「魔道具が有れば可能かもしれんけどなぁ。」
「私は自分でステータス確認で可能だけどな。」
「いや普通自分で読めるステータスって状態異常の有無とかだけだろう?」
「え、そうなんだ、私は見れるけどね、ま、いっか、便利だし。」
自分でナノマシンでアップデートしたんだからそりゃそうだろうな、まぁ良いとしとこう、便利なんだし。
「とにかく今のレベルは・・・と、おお、14になってる。」
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Name: エリー・ナカムラ LV:14 職業:サイエンスアルケミスト
HP 28500/28500vi MP 35480/35480mas SP 100%
防御力 28(NM補正+40)
体力 24(NM補正+55)
腕力 27(NM補正+55)
精神力 25(NM補正+55)
速力 29(NM補正+37)
命中力 50(NM補正+20)
固有スキル
・身体能力アップデート
・ナノマシン創生・統制・改良・制御
・ナノマシンによる自己高速再生
・ナノマシンによる光学迷彩
・ナノマシン自己防衛システム
保有スキル
・理術(LV.18)・錬金術(LV.12)・身体強化(LV.11)・アクセルブースト(LV.16)・武器マスター(LV.18)・並列思考(LV.25)・超速思考(LV.33)・創造(LV.27)
称号
・ナノマシーンマスター・哲学士・錬金術師・賢者・科学を際めし者・創造者・ガトリング奏者・爆破技師
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意味が解らん変な称号増えてるし、この超速思考の33ってのは私が色々と考察し続けてるから伸びたみたいだけど、これって幾つ迄あるんだろうな、スキルレベル。
それと気になったのがMPだ、魔素やマナを現わす為の単位を勝手に決めたらちゃんと数値が出るようになったみたいだ、でも何だこの異常な数字は・・・
「14か、かなり一気に上がったな、初めての戦闘だったのかな?
ただレベル1からファングを25体倒して14て考えたらレベルの上りは遅い気はするけどな。」
「基本的に戦闘職では無いからじゃ無いかな?」
「いや、戦闘職じゃ無いのに一人であの数のファングを、しかも一人でって在り得ないんだが・・・」
「そうかなぁ、こんな武器使ったんだけど。」
ミニ・ガンを出して見せた。
「これは、どんな武器なんだ?」
「ここでは危ないから使えないぞ?
こいつはここにぶら下がってる鉄製の礫を撃ち出す武器だ。」
と説明をすると、成程と納得したようにうなずくギルマス。
「だがこの武器は一体どこから持って来たんだ、見た事も無いぞ。」
「って私のジョブを知って居るだろう?作ったんだけど。」
「成程、お前が作った訳か、ちょっと納得した。
で、こいつで鉄の礫をぶつけて倒したと言う事だな。」
「まぁね、でもぶつけると言うよりも貫通しちゃうから殺傷すると言うかなんというか。」
「面白そうではあるな、後で俺に撃たせてくれないか?」
「まぁ良いけど、腰抜かしても知らないよ?」
「まぁ冒険者引退して大分経ちはするが、大丈夫だろう。」
「お話し中のところ申し訳ないですが、全部の鑑定が終わりました。」
「お、どうだった?」
「相変わらずエリーさんの採集した植物は品質が飛び抜けて良いですね。
それと、ファングの牙は間違い無く25頭分あります、毛皮も余り傷が無く品質はAAにしても良いかと思います、骨に関しては砕けて居る物も割と多いので、当ギルドでの査定は控えさせて頂きます、鍛冶屋か商業ギルドで鑑定なさって下さい。」
「ご苦労さん、さて、エリーよ、これだけのファングを一度に倒したんだ、俺の権限でランクCにねじ込んでやっても良いがどうする?」
「ギルマス権限で一気にランクアップしたとか、面倒なのが寄ってきそうなのでDにしといてくれると有り難いかな。」
「判った、じゃあそう言う事にしよう。」
そしてこの後、ギルドの地下二階の訓練場でギルマスにミニ・ガンの試し撃ちさせたら、やっぱ腰砕けになってた、だから言わんこっちゃない。




