聖女の教会訪問1
聖女の教会訪問1
「義父さん、シスター、ただいま。」
キース君達孤児出身者は、神父さんの事を育てて貰った経緯を込めて父として居るそうだ。
ちなみにこの世界の神の御名は、バルデウスと言うらしい、うん、私の知る限りこの世界の神ってやつは私の居た世界の神の中には存在して居ない、若しくは下位の神過ぎて名も無い奴の可能性が高いみたいだね。
「キース、又支援をしてくれるのか、いつも済まないな。」
「いや、実は今日は支援金だけじゃないんだ、教会にお客を連れてきた。」
「こんな寂れた教会に客人ですか? どのような方ですか?」
「驚かないでよ? 旅の聖女様でーす。」
クリスが私を聖女と紹介する。
「ちょっとクエスト中に出会って、護衛兼教会への道案内として雇って頂いたんだ。」
「聖女様だって? そんな方がこちらへ?」
「此方の教会の神父殿とお見受けいたします、私は布教をしながら旅をしております、聞くとこちらでは身寄りの無い子を養われておいでとか、さぞかしご苦労をされておいででしょう。」
「あなたが聖女様でいらっしゃいますか? このような寂れた教会へようこそおいで下さいました、御持て成しも出来ませんがごゆっくりしていらして下さいませ。」
「いいえ、私は持て成して頂こう等と思って来た訳では御座いません、孤児を無償で保護なさっておいでのような貴方のように立派な方をお助けする為に参った次第です。」
「いえいえ、そんな恐れ多い、聖女様と言えば神のご加護を受けその御言葉を民へお伝えする巫女様、そのような方を持て成せぬ情けない神官で御座います。」
「私はこの度、此方の教会でこの薬を売って孤児の為にお使い頂ければと伺ったのですが。」
「それはいかな薬で御座いますか?」
「それは俺から話すよ、この間怪我しちまってよ、半休業してたんだ、そこにこの聖女様が通りがかって、貰った薬を飲んだらほら、この通りすっかり治っちまったんだ。」
そう言って傷のあった場所に沿って血の跡が有る包帯を外すキース、すっかりキレイに痕も残らない腕が出て来たことに驚く神父。
「まさに神の奇跡だ、聖女様、我が教会の卒業生を治して下さり感謝いたします。」
膝をついて私を拝みだす神父とシスター。
「頭をお上げになってください、これより貴方に、このローポーションの製法を伝授致します、そして当面の資金繰りにこの生成済みのローポーションをお売りになって下さい。」
そう言ってストレージを広げ、何もなかった空間から12本のポーションを入れたバッグを取り出す。
神父もシスターも驚きのあまり開いた口が塞がらない様子だ。




