来訪者
来訪者
-エリー-
それは突然、やって来た。
「たのもーう!!」
ん?なんだ?
「たのもーう!!」
頼もうと言うなら私の返事はこれだろう?
「だが断ーる!!!」
「たのもーう!!!」
「だが断ーるっ!!!」
「いやそう言う事では御座らん・・・」
「ツーかあんた誰?」
「これは失礼仕った、エリー殿とお見受けいたす。」
「ってかアンタ先に名乗ったら?」
「これは重ね重ね失礼致した、拙者、結城晋三郎道隆と申す、宇都宮宿にて関所を預かる者で御座る。」
「で?そのサブローが何か用?」
「話せば長くなるので御座るが「長くなるなら帰って、私は忙しいんだ、これでも。」」
「お・・・お待ち下され、カイエン殿御一行はお知り合いで御座ろう?」
「ん?アイツら暴れて捕まってるとかそう言う事?」
「おお、お知り合いで御座ったか、そう言う用件では御座らぬ。」
「んじゃ何さ。」
すっげぇジト目で睨みつけてやった。
「エリー殿にお願いが有って探して居り申した。」
「だが断る。」
「あの、おねが「だが断る。」
「あ「断る。」
「実は「しつこいね、断る。」
「話しくらい聞いて下さいよ・・・」
しょぼんとしちゃったよ、虐めすぎたか?
「私こう見えて結構忙しいんだけど?
子育て中だし、巫女もしなきゃだし、運び込まれる患者を治療せにゃならんし!
何より次回作を期待する読者の為に新作考えなきゃいけないのヨ!」
「実は俺、転生者なんっスけど。」
「で?転生者だから何?泰平サブロー。」
「誰が泰平サブローやねんっ!」
「サブローっつったじゃん、お前。」
「結城晋三郎っス!むしろ道隆っス!」
「で?その結城〇楽坂がどうした?」
「転〇ラかっ!」
「違うの?」
「ちゃうわいっ!」
「飽きた。」
「はぁ・・・」
「じゃ、そゆ事で。」
「待ってぇ~・・・待って下さいよぉ~。」
「もう何よ、とっとと用件言いなさい。」
「はい、率直に言います、僕にも多脚戦車作って下さい。」
「やだ。」
「はい?」
「ヤだっつったの、あんたの事知らねぇもん、それに一人称も拙者だったり俺だったり僕だったりでブレっブレだから、やだ。
じゃそゆ事で。」
「そんな殺生な~。」
「あれはねぇ、この私が、こいつなら大丈夫だと思った奴にしか作って無いんだ、だからぽっと出て来て作れと言われてもダメ、以上、そう言う事、判ったら帰りなさい。」
「そうか、済まぬ、あの造形を見た瞬間、拙者の前世の記憶が一気に噴き出したようになってな、忘れたつもりであったのだがな・・・」
「あっそ、そんな半端な覚悟で来たんなら尚更帰りなさい。
あんたにあれは扱えないわ。
ツヴァイ!こいつ摘まみだして塩撒いといて!」
『畏まりました、エリー様。』
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その後、結城晋三郎道隆は、既にかれこれ1週間、私の畑の農作業を手伝いつつ未だに居座って居た。
「あんたいい加減しつこくねぇ?」
「拙者、エリー殿に認めて頂きたく。」
「あのさ、ウゼェだけなんですけど?」
「あのねぇ、アレを扱う為には、最低限電脳化が必要なの。
お客さん待遇でなら私のコントロール下にある奴を貸し出せるけど、有事の際なんかにはアンタの意思なんか無視して私の為に集まっちゃう訳。
電脳化手術にも耐えられるような根性ある奴じゃ無いと無理だっつってんの、それに、高けぇぞ?」
「いくら位するんでしょう・・・」
「そうだなぁ、お友達価格だとしても大金貨20枚、こっちの大陸の通貨で言えば、大判40枚、だな。
その他に電脳化したきゃ大判15枚位かな?」
「そんな! 宇都宮宿全体の月の収益を超えて居るじゃ無いか・・・」
「あのなぁ、タダの自動車でも3~500万くらいは普通だったろ?じゃあ戦車は?何千万で買えるとでも?
馬鹿じゃん、お前そんな事も判らんと私に作らせようとしたのか?
しかもあれは戦略AIも搭載してるんだからそれだけでもン千億したって可笑しく無い代物だ、人間あきらめが肝心よ?」
「しかし、前世でオタクだった俺としては・・・
多脚戦車は至高~!」
「じゃあ頑張って金貯めな、何十年かかるか知らんけど。
ちなみにこの世界の平均寿命は60歳みたいだから精々長生きしないと買えないわよ。
さぁこんな所で油売っててもお金には成んないわよ、帰りなさい。」
「済まなかった、確かに拙者には色々と覚悟が足りなかったようで御座る。
いつか出直して参る、では、さらば。」
やっと帰って行ったか、作ってやっても良いんだけど、なんかノリが軽すぎてやだ、アイツ。
ってしまった!
村の神社で御神楽やって欲しいって言われてる時間になっちゃうじゃんっ!
急げ~!




