番外編13.旅路にて。(ジ・アース)その5
番外編13.旅路にて。(ジ・アース)その5
-----カイエン-----
ようやく村の復興が終わった。
さぁ、取り急ぎ出発しなくては。
冒険者ギルドと探索者組合の友好と連携を取る為の親書を届けんといかんのだ、こんな所で油を売って居る訳には行くまい。
「カイエンさん、出発準備済んだぜ、そろそろ行こう。」
キースが出発準備が出来た事を伝えに来たので、最後に挨拶をして出発する事にした。
「紅葉さん、出発準備が整った、そろそろ行かねばならん。
京を目指して居るのでな。」
紅葉さんが駆け寄って来て俺の手を取った。
「カイエン様、主反りのサイにもお立ち寄りください、こんな立派な建物を建てて頂いたご恩に報いる為にも、今度こそちゃんと歓迎いたします故。」
「ああ、ありがとう、帰りも寄らせて頂くよ、では、行って来る。」
そう言って振り返ると、何故かマカンヌが爪を噛むような素振りをしている。
「行くぞ、マカンヌ、さぁ。」
----キース----
出発準備が終わった。
「カイエンさん、出発準備済んだぜ、そろそろ行こう。」
すると、カイエンさんは首を縦に振ってそのまま紅葉さんの所へ歩いて行った。
その後ろを付けて居るマカンヌさんから何やら怒りのオーラのようなものを感じるのは気のせいでは無いと思う・・・
一寸、いや、かなり怖い・・・
カイエンさんが紅葉さんに声を掛けた。
「紅葉さん、出発準備が整った、そろそろ行かねばならん。
京を目指して居るのでな。」
すると、紅葉さんが駆け寄って来て俺の手を取った。
マズイ、マカンヌさんの髪が逆立って見える・・・
怖すぎる、カイエンさんよくこんなの気が付かんよなぁ。
ってか、マカンヌさん、こっえぇ~~!
ある意味エリーより怖いぞ、これは・・・
俺も、気を付けよう、浮気なんかしようもんならクリスだってもしかするとこれ以上かも知れないしな・・・
それにあの怪力で締めあげられたら命がいくつあってもたらん。
さり気無く宥めているカレイラが痛々しい、大変そうだ。
「あははは、マカンヌさんヤキモチ妬いてるよね~。」
俺の横でクリスがつぶやいている。
「うーん、あんなに恐ろしいオーラ出てるのにカイエンさん気付いて無いのか?」
「意外と気が付かないもんよ?嫉妬むけられている本人には気付かれないようにやってる筈だから。」
「へ、へぇ~・・・器用だな。」
クリスもそんな芸当が出来るのだろうか、益々怖いぞ・・・
本気で気を付けよう。
俺とクリスも、マカンヌさんを宥めるのに参戦し、何とか治まってくれたが、爪を噛むようなしぐさで我慢して居るようだ。
だが兎に角、何事も起こらなかったのでこの地を離れさえすれば後は何とか成るだろう。
「じゃあ、ジ・アース、出発だ!」
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暫く走って居ると、何やら巨大な角ウサギが現れた。
「カイエンさん、マカンヌさん、協力してくれ、今このクリムゾンスパイダーにストックしてある食料は、あと2日分程しか無い、ほとんど村に置いて来たからな。
あの兎を狩って、ストレージに突っ込んどこうぜ。」
『了解、確かにいい食料になりそうだ。』
『任せて下さい、エリーさんのお陰で私も魔法剣で強くなってますから、私も戦いますよ。』
カレイラが通信に割り込んで来た。
マカンヌさんはまだ少し怒ってるのかも知れない、返事が無い、やっぱ怖え、あの人苦手だわ、俺・・・
「っ社、まぁ良いか、行くぇ~!」
スパイダーの主砲で兎の脚を止め、カイエン、俺、カレイラが飛び掛かる。
カイエンさんが盾で兎を頭ごなしに殴りつけ、カレイラが炎の魔法剣で耳を切り飛ばした。
俺は首を切り落とそうとしたが、兎が慌てて下がったお陰で、角を切り落とす事になってしまった。
いつの間にか参戦していたクリスが、どうやってそこまでの高さを付けたのか知らないが上空から降りて来つつ踵落としで兎の頭を地面に叩きつけた。
すると、突如姿を現したマカンヌさんが、水柱の様な巨大な刀を召喚して兎の首を切り飛ばした。
うん、やっぱこの人怖い・・・
ってか、いつからクリスとマカンヌさん一緒に行動してたんだろう、クリスもちょっと怖くなって来たぞ。
マカンヌさんと共闘されたらもはや勝てる気もしない、俺もクリスに怒られたりしないように気を付けねば。
と、とにかく兎は確保できた。
とにかくて、漢字で書くと、兎に角か・・・まさに今倒した奴だな。
角兎・・・
丁度昼近いし、この辺でキャンプを張って今狩った兎で昼食でも、そう思って居ると、既にクリスとマカンヌさんが支度を始めていた。
俺も参加するか・・・
カレイラも急いで走って来た。
カイエンさん、ここはアンタが真っ先に来なきゃいけない所なんじゃ無いか?
何で一番ゆっくり歩いて来るんだよ。ほら、マカンヌさんが又変なオーラを・・・
カレイラにカイエンさんをもっと急がせるように促して欲しいと頼みに行きたい所だが、未だと漏れなくクリスが誤解をし兼ねない。
ここはカイエンさんに犠牲になって貰うとしよう。
「あ~な~た~・・・なにしてるのかしら~?
皆協力的なのに何で貴方だけそんなにノンビリしてるのかしら~?」
うっわっ・・・こえぇ~~~!!!
俺の表情から読み取ったらしいカレイラが、電脳でプライベートメッセージを送って来た。
『お父さんはあまり危機感を感じて無いみたいだから、たまにはお母さんに泣くまで怒られたら良いのです、だからキースさんは気にしない方が良いですよぉ~。』
そんなもんなのか?カレイラ、それで良いのか?
なんか血祭りに上げられる未来しか見えない・・・
クリスを見ると、にこやかにカレイラと一緒に料理の支度をしている。
俺も解体に集中しよう。




