平泉2
平泉2
そば粉を探して市場を散策したんだけど、どうにも見つからないので、さっきのお蕎麦屋さんへ突った私。
んで、おじさんと交渉。
「私、料理研究家の中村絵理衣と申します。
お蕎麦の新しい食べ方を思いついたので是非試したいのですが、市場にそば粉が並んで居なかったのです、一人前程度で構わないので、私に調理させてみて下さいませんか?」
こう言う時は間髪入れずに一息で言い切る!
「ほ~、ワシの蕎麦よりウマい物が出せると言うのか?面白れぇ、勝負だお嬢ちゃん。」
ふっふっふ、掛かったな?
料理歴700年越えの私に敵うと思って居るのかね?
それじゃぁって事で、おかみさんが審判って事で、調理開始。
ここの扱っているそば粉が大変素敵な事に、金印級と銀印級の2種の混合だったようなので、これはやはり手打ちの蕎麦に打つべきだと確信をした私は、早速そば粉を浅いボウルに入れて、少しづつ水を加えて掴むようにして揉んで行く。
ここはお水も井戸水らしいんだけどそのお水が一口頂いて見たらおいしいお水だった。
これで不味い蕎麦なんか打ったら恥です。
ある程度固まったのでもう少し水を加えて更に揉んで行くと、だんだんと形になって来た。
体重掛けて捏ねつつ、ほんのちょっとづつ水を足して粘りを付けていく。
ちなみに十割蕎麦です、小麦粉は使わないので念入りに捏ねないとボロボロ崩れるのでしっかりと。
程良い粘りが出て来た所で、蕎麦球を作って、其れを万遍無く綺麗な丸になる様に伸ばして行く。
厚みが3㎜位になるまで伸ばしたら、平行に四つ折りに畳んで、切る!
厚みを3㎜にしたので3㎜太になるように切る。
ちなみに、めんつゆにかんしては、ストレージ内で既に作ってあったりする。
サバを使って作ったサバ節に、昆布出汁、カツヲ出汁も使ってしっかりした出汁を取って、煮切り醤油を足してじっくりと煮て行く。
そしてほんのりと甘みを付ける為に少しだけ味醂を足してもう一煮立ちさせて、後は冷ましたら完成です。
煮切り醤油を使って居るので少し濃い目のお出汁なので、味が濃いなと思った人はほんの少しお水を入れて調整ね。
市販されてる20倍濃縮とかのとはまた違いますから、水を入れると言っても少し埋める感じで。
水の方を多めとかにしちゃ薄くて美味しく無いから注意ね。
んで、手に入れて置いたワサビ、これを、卸す。
切ったお蕎麦を軽くゆでて、井戸水で冷やして完成です。
おかみさん、私の作ったお蕎麦の姿に驚きを隠しきれない様子。
あ、イケナイ、海苔を乗せるの忘れてた、まぁいっか。
おかみさんが何だか食べ辛そうにしてたので、吸って食べるんだよって教えてあげる、そんでズルズルとすすって食べたおかみさんの表情が、ガラッと変化した。
勝ったな。
と、思ってたんだけど、何故か私のお蕎麦を完食せずに蕎麦掻を頂き始めた。
あれ???
まさか私、負け?
「絵理衣さんの勝ちです!」
あっぶねっ! 焦ったわぁ~。
「でも、私の完食して無いよね?」
「ええ、それは・・・
ほらアンタ! こう言う美味い物作れって前から言ってたろ?食べてごらんよ!」
「なんだとぉ~? こんな小娘の作ったもんが俺っちの作った蕎麦よりうめーってが?」
と言って、おかみさんの残した私の蕎麦を一口・・・
そしておやっさんは、orzになった。
「ちょ、おやじさん、落ち込まないで!?」
「おい嬢ちゃん! 何処で料理習った?」
「え?私の料理は自力で培った物だけど?
ってか私に料理で敵おうと思っても無理よ?年季が違うから。」
「年季って、嬢ちゃん一体幾つだってんだい?」
「私は735歳だよ、ハイエルフだし。」
「な!? 料理は初めて何年位・・・」
「そうねぇ、12歳位からだから723年ってとこかな?」
「勝てる訳がねぇ、師匠! 師匠と呼ばせてくれぇ! 俺っちにこの蕎麦の作り方を教えちゃくれねぇか!?」
「教えるのは良いけど師匠は言い過ぎ、普通に絵理衣で良いからね?」
それから4時間、みっちりと打ち方からお出汁の取り方から徹底的に仕込んで、ようやく物になった。
序でなので天婦羅の揚げ方と天丼たれのレシピも教えて置いた。
これで新しい名物になるんじゃ無いかと思う。
4時間もかけて教えてたから私又お腹空いちゃったよ。
なんか作って食べようかな。
そう言えばハンマーヘッドオックスのタンがまだ手つかずで残ってたな。
一寸した広場で自作した七輪出して、厚切り牛タン焼き始めたら、公儀の人に叱られた、チクショウ・・・




