湖畔のダンジョン2
湖畔のダンジョン2
「いくら何でも一人でってそれは言い過ぎでは?」
「いや、実際に私は今までにダンジョンを踏破した事が有るんだが、30階層程度では1フロア5分程度でその階層の出現モンスター完全殲滅してたからなぁ・・・
ここでも精々120かそこらだと思うんだ、ダンジョンコアを研究した結果、どれ位の年月でどの程度までの階層が出来るのかって言うのが判ってるのでな。」
「ここ、120階層もあるのか・・・」
「始めはモンスターの強さも弱いし、5階層くらいまでは大した広さでは無いだろう?全ての通路をゆっくりと歩くのに精々20分もあったら回り切る。
2カ月位で30階層くらいまでは完成するんだ、でもここからが時間が掛かる。
モンスターも強くなるし大型化もする為に、10階層出来るまでに2カ月くらいかかったりする。
40階層から先は更に、そんな感じで階層が深くなる度に魔物の強さや大きさに比例してダンジョンの広さも広がる。
そうやって広がり続けるのがダンジョンなんだが、ここは20年から25年位たってる筈なんだ。
すると、120から125階層位だろうな、という試算になるんだ。」
「じゃあ、ますます厳しいんじゃ無いのか?120階層なんかになったら、それこそ、鵺やら九尾やらの強大な妖かしかなんかが・・・もしかすると最悪地龍とか・・・」
「その辺も問題無い、私は精霊召喚や、この剣が有るからね。」
と言って取り出したのは、アダマンタイトの聖剣・・・と呼んで居るもの。
船で旅している間に培った知識を基に、ついにアダマンタイトと言う素材に行き着いてるしな。
元の素材は、笑ってはいけない、タダのポリプロピレン、所謂ビニール袋の素材。
っつーか何でそんなもんが有るのかって突っ込みは受け付けません、私が作ったに決まってるからね。
しかもね、この剣を作る為だけに作ったのだ。
軽いよ~、ビニールだからね~w
多分剣身の重さって5g位しか無いんじゃ無いかなぁ?
しかも透明だから剣の長さとか認識し辛くて相手は間合いを非常に取りにくい。
だけど時間を止めた素材なので硬度は最強。
「これが君の剣なのか?
見せて貰っても?」
「ああ、良いよ、ハイこれ。」
鞘に入ったそれを手渡すも、鞘もカーボンナノチューブで作った極軽量な物を時間停止させた物な為、異常に軽い。
「うぉっ!?何だこりゃ!異常な軽さだぞ?」
「まぁ抜いて見なさいって、私の自慢の一品だからね。」
弥太郎が剣を抜くも、言葉が無いようだ。
「どう?私の自慢の剣は。」
「これは、剣なのか?」
「剣だよ、さっきの鉄棒切って見せようか?」
「あ、ああ、そうだな。」
早速私は、未だ立てたままだったスチールの棒を、切ってみせる。
音も無く振り抜いた後、暫くすると、すぅーっと音も名くずれてコトリと切った先の部分が地面に落ちる。
この大業物を見て、一振り作って欲しいと思わない奴が居るだろうか。
「ここまでの物でなくて良い、俺に一振り刀を打ってくれないだろうか?」
はい、予想通り。
「ってか、この剣身って、なんなんだ?透き通ってて認知し辛い。
「それはな、元々透明な物を時間を止めて作った物だ。
時間が止まって居るからどんな物よりも固くて頑丈だ。」
「言って居る意味が分かりかねる・・・時間と言う物は止められる物なのか?」
「止められちゃったものは仕方ないでしょう?」
「そ・・・そう言うもんか??」
「ん、そう言うもんよ?」
「だからこの剣は、実は元は金属でも何でも無いの、でも、この時間の止まった物質こそが、アダマンタイトって言う金属とされてる。
これは私のアダマンタイトの聖剣です。」
「これ、拙者がさっき貰った刀と鍔迫り合いしたらどうなる?」
「そりゃ、わたしの聖剣が君の斬鉄丸を一刀両断にしてしまうだろうね。
但し、君が鍛錬をしっかりして、刀に気を乗せる事が出来るようになればちゃんと鍔迫り合い出来ると思うよ。
だから頑張って鍛錬するんだよ?」
「成程、達人になればこの剣にも負けないと言う事で御座るな?」
「そう言う事、ミスリルを混ぜてあげたからね、マナを注ぎ込めば切れ味も上がる筈。」
「そんな、上等な物を?」
「まぁ、芯にはもっとすごいもん使ってあるから気にすんな?」
「逆に気に成る事を申すな!」
「まぁ、私のお眼鏡にかなう程には上達しなさい、そしたら一流の探索者になってるんじゃ無いか? その時になったら芯に何が入ってるか教えてやるよ。」
で、結局このパーティー全員に刀を新調してやる羽目になってしまった私だった。
しまった、完全な自爆だ。
だけどさ、ちょっと待てよ?
「ちょっと気に成ったんだけど良いかな?弥太郎君。」
「ん?俺っすか。」
君ってもしかするとさ、適正有るんだよなァ・・・
「ハイこれ、あげる。」
緑の魔導書と、水の魔導書、それと光の魔導書、計三冊を手渡す。
どれかに適性がある筈なんだけどね、この子の天然隠蔽スキルがかなり高くて読み切れないんだよな。
兎に角、こっちの大陸用に翻訳してある本なので、使えないやつは他の人にでもあげてくれたまえ、という気持ちで、ついでだから風、火、土、闇も渡して置く事にした。
「未だ有るよ、これもね。」
「これはどうすれば?」
「弥太郎君が自分で読んでみて、使えるのは自分で持ってたら良いし、使えなければ人にでもあげて良いよ。」
で、現在、このPT全員で読書の時間になっちゃってる、そして私は刀をスキルで創成中。
んで、刀が完成する前に、どうも弥太郎君が魔法使えるようになったらしい。
光魔法使ってるよね~、あ、ホーリーレイ撃ってる。
おお~、才能無い子でもそこそこの魔法なら習得出来るかも知れないと言う研究結果は間違って無かったね~、百合ちゃんが土魔法憶えたっぽいね~。
お、椿は風を覚えたか~。
おっと、茜は火か。
ええ~、椿ってもしかして器用貧乏な感じの子だったのかしら、水も使ってる、あ、今度は火、あらま、緑魔法も使ってる。
保有マナだってそんなに多く無いのにそれだけ色々覚えられちゃうなんて、器用貧乏って本当に居るのね~。
私と同じで全属性使えるようになりそうな気もして来るけど魔素量不足で使い熟す事は出来なさそう。
さて・・・と。
「ハイハイ注目~、出来たわよ~。」
「はい、これは魔法剣まで使えそうな弥太郎の刀、ミスリル量多め。 銘は正宗
で、こっちが茜、アンタ女だてらに腕力はかなり有りそうだから長刀にしたよ、銘は長船ね。
これは椿、アンタは素早く移動して細かく攻撃できそうな小柄ですばしっこい感じだから、刀は長い物は辞めて脇差と匕首の二本、これでヒットアンドアウェイしながら敵を弱らせる戦い方が向いてるからね。
で、だ、問題は百合、アンタ実はさ、刀は向かない。
これを使いなさい。
そう言って渡したのは、薙刀だ。
しかもやたらに長い奴。
長薙刀って奴ね。
こうして一通り全員に大サービスの武器を提供してお見送り。
私は今ダンジョンよりも旅だからね。
そう言えば平泉に繋がってるんだったな、行って見るか・・・
ダンジョンに入ると、早速ダークファングと言う、ファングの上位種が出て来たけど、私にとっては同じ事。
アッサリと瞬殺してさっさと上の階層へと向かう。
流石にだんだん弱くなるので何の問題も無い、アッサリと1階層へとたどり着いた。
ここから外に出たら平泉な訳ね?
では、早速っ! とうちゃーく!




