出航
出航
さぁ、明日は、この港を後にしなければならない。
中々居心地が良かったんだけどね、お魚美味しいし。
そこで、船をストレージから出しておかねば成らない。
この港に直接停泊する事は出来ない、何故ならば喫水がかなりあるので、この港では浅すぎる為に入れないのだ。
夜になってから、ホバーモードのクリムゾンスパイダーである程度沖に出て、ストレージから船を出す。
これでも小型のつもりだったのだけど、ヘリ空母クラスのサイズになってしまったのだ。
あ、ちなみに私が作る船なので、潜水機能位は当然あるし、戦闘機の発艦位余裕で出来る。
なんなら、私のお気に入りアニメ知識の中からM9ガーン〇バックとか、アーバ〇スト、レーバ〇インなんか再現しちゃおうかとも一瞬思ってしまったりしてるけどそれはやり過ぎかとも思うので自重している、これでも・・・
むしろ外見は海〇軍艦轟〇号に近い、ドリルは付いて無いけどね。
勿論、ストレージから出して浮かべるだけで良いわけは無いので、碇を降ろして置く。
当然ながらこの船にしても、ナノマシンネットワークでいつ何処からでもコントロール出来る。
搭乗する時は、クリムゾンスパイダーのホバーモードでそのまま乗れるように、後部ハッチが開いて揚陸艦さながらにスロープが現れるようになっている。
取り合えず、未だストレージから出したばかりなので、この世界に最適化させる為の初期設定の為にブリッジへ上がった私は、手始めにこの船のAIを起動させる。
『おはよう御座います、マム。』
「おはよう、ファム。」
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※この船の名前が、カーマインファンレイ、赤い団扇鮫と言う意味だけど、実の所この名前自体に意味がある。
この団扇鮫と言う魚は、鮫と言うよりも姿はエイに近く、この船の電磁バリアーを広げた時に左右に羽のように展開する事で、エイに見えると言う意味が一つ、そして団扇鮫は、体内で卵を孵して数匹の子を産み落とす、なので、揚陸及び航空母艦となるこの船そのものを形容する名前である。
そのファンレイの頭文字 Fと、AIのA、マザーシステムのM、ファンレイ‐AIマザーシステム、その三文字を取ってFAM ファムと言う名のAIを搭載して居る。
ちなみにこのAIは、ナノマシン・データリンク・システムやナノマシン・グローバル・ポジショニング・システムなど様々な情報収集機能を持ち、敵対行動を取る者等に対し、自動迎撃等の機能を併せ持つ。
ハープーン、GSM、300㎜鉄鋼榴弾砲、250㎜振動魚雷、400㎜爆雷、電磁吸着式機雷、102㎜レールキャノン等の武装を備えている。
大気圏内、特に水中ではビーム系の武器は乱反射してしまう為あまり威力が出せないのでこんな実弾系凶悪武器が揃ってしまって居る。
どっかと戦争でもする気かと聞かれればエリー的には多分目線を逸らして口笛を吹いて誤魔化すであろう。
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ちなみにこのファムをナノマシンとリンクさせる為にこのブリッジに来たのだった。
「ファム、システムアップデート。」
『アイアイ、マム。』
シーグリフォンのAIよりもクラスが上のAIなので音声システムも流暢だ。
「じゃあ、明日の朝出航だから、それまでにコンディション調整しといてね。」
『アイアイ、マム。』
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-翌朝-
「リョーマさんおはよう。」
「おはよう、ってそりゃ良いんだが、何だあの沖にある巨大な船は。」
「あれが私の船ですよ、さぁ行きましょう。」
「行くって、どうやって?」
「もう、またまたぁ、忘れちゃった?
クリムゾンスパイダーのホバーモードは水の上を走れるって。」
「あ、いや、あぁそうか、そうだったな。
しかしどうやって乗るのだ、あの船に。」
「大丈夫、ベイハッチが有るからね、揚陸用のだけど・・・」
「揚陸って?」
「要するに海上から陸に攻め込む作戦の事・・・かな?」
「何処と戦争する気だ?」
目を泳がせて余り音の出ない口笛を吹くエリー。
「ま、まぁ兎に角乗りましょう、ね?」
「エリーはやはりいつも通りだな。」(カイエン)
「エリーだもんな。」(キース)
「エリーはほっとくと歯止め利かないからね~。」(クリス)
「師匠っていつもこんな出鱈目なのにゃ?」(オーブ)
「エリーさんが何か作る時には誰かがちゃんと制限付けないときっと駄目なんだと思いますよぉ?」(カレイラ)
「あらあらぁ~、何だか前世で見た事ある感じのお船ねぇ~。」(マカンヌ)
「流石、ハイエルフ様、尊い。」(ザイン)
見送りに来ていたポルコとアリス迄呆れ顔だ。
何でみんなでそんな顔をするんだ、一人位味方が・・・まぁポンコツエルフはそうだと願いたいが味方が居ないじゃないか、解せぬ。
だけどとりあえずそんな気持ちを抑えつつ、クリムゾンスパイダーで搭乗完了。
艦内には、豪華客船並みの娯楽施設やレストラン(ここにもハコンダーZを稼働させてある。)、大浴場等があって快適な旅ができる。
「イヤぁ~、流石エリーだわ~、超快適そう~。」(クリス)
「流石、ハイエルフ様。」(ザイン)
「素敵ぃ~、豪華客船乗って見たかったのよぉ~。」(マカンヌ)
「凄いにゃ、凄すぎて逆に落ち着かにゃいにゃ!」(オーブ)
「すっごぉ~い、なにこれ~。」(カレイラ)
「いやはや、本当に楽しんで造ってるな。」(カイエン)
「エリー、何だこの船・・・」(キース)
「・・・・・・・・・・・」(リョーマ筆頭、商隊一同)
どうよさっきとは打って変わったこの反応、どうだ参ったか。
しかも、この船は時化の真っただ中でも一切揺れを感じないと言う特殊な機能が備わっているのだ。
AIで喫水や波の高さの様々を分析して先読みし、その波に見合ったバラスト移動や推進力でカウンターを当てて相殺するのだ。
「ねぇ、この船全く揺れないんだけど本当に海の上なの?」
クリスにこんな疑問を投げかけられる程には揺れないと保証します。
「ファム、出航。」
『アイアイ、マム。』
こうして私達は、ローデストと言う港街を後にしたのだった。




