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宇宙戦争時代の科学者、異世界へ転生する【創世の大賢者】  作者: 赤い獅子舞のチャア(実際の人物及び団体とは一切関係ありません)
冒険の旅

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元帝国海軍航空隊員

 元帝国海軍航空隊員

 俺はポルコ・ロッソ。

 この世界に生れ落ちた時には気付いて居なかったが、5歳の頃に突然、前世の記憶が蘇った。

 俺は、元、誉れ高き帝国海軍航空隊の第二席、洋風な言い回しだと、エース級とか言う腕前だった。

 巡洋艦高尾搭載の艦載水上偵察機、瑞雲を愛機としていた。

 瑞雲と言う機体は、偵察機でありながら250㎏爆弾を搭載し、対艦攻撃力を持った機体で、威力偵察を主とした、空戦性能も割と高い素晴らしい機体であった。

 当時、晴嵐と言う新型機体を開発中であり、俺はその晴嵐を乗機とする第六三一海軍航空大隊へ、隊長として転属が決まって居たのだが、その転属命令の出た直後の米軍艦隊の強襲の為出撃、一隻の重巡洋艦を撃沈し、帰艦途中、友軍機を逃がす為に殿で奮戦、米軍の新型艦載機、空戦に特化した高性能機ヘルキャットに撃墜されて、死んだらしい。

 しかし、俺はその記憶を持ったまま、この地へと生まれ変わったようだ。

 航空機の未だに存在しないこの世界、俺は一体何故、前世の記憶を持って生まれて来たのか、謎でしか無かった。

 だが、いつか航空機が製造される事に成るかも知れないと言う思いで、鍛錬を欠かさずにこれまで生きて来た。

 そのお陰か、この街の騎士隊を率いる隊長とまでなった。

 ちなみに現在、19歳である。

 そして、転機は突然訪れた。

 街の近くに大型の魔物が現れたとの、行き釣りの商人からの通報を受け、出動した先に、その一行は居た。

 元勇者の一家と、Cクラス冒険者チームに、拳聖と、そして錬金術師と言う異色の団体であった。

 彼らは、大型の魔物との戦闘で傷付いたDクラス冒険者チームを助けた上に、大型の魔物までしっかり倒していた。

 その一行の長は何故か錬金術師の、更に何故か13~4と言った容姿の小娘だった。

 錬金術のような特殊な職は、難しい学問が必要なので、普通であれば30歳以上の者しか出来ないと言われている職業だ、つまりこの小娘は異質であると認識出来る。

 いくらか会話をしている内に、その小娘は転生者である事が判ったが、どうも同郷で有るものの、生前の時代背景が大きくかけ離れて居る事が判った。

 1944年に死んだ俺に対して、彼女は、2700年に生まれたらしいが、亡くなったのは3400年代だと言う。

 どのようにして寿命の概念を超えたのか謎であるが、そのような未来であるならきっと何らかの方法が発見されて、ある程度の長命になって居るのかも知れないので其処は気にしない事にした。

 そして何故か彼女は、俺が航空機に執着をして居る事を知って居た、いや、そうではなくそう読んだのかも知れないが。

 もしかすると、俺が前世の記憶を持って生まれ変わったのは、彼女と巡り合い、この世界初の飛行機乗りとなる為かもしれないと、そう思えた。

 彼女こそ、この世界の神が俺の為に寄こした使いなのでは無いかと思えた。

 しかもその小娘、エリーと言う名のこの娘は、何の見返りも求めずに、俺に航空機を拵えてくれたと言うではないか。

 その機体を一目見たくて、彼女の呼び出しに応じた俺は、一目でその機体の異質さに気が付いて居た。

 何と、三角形のような翼を持ち、垂直尾翼も無い、プロペラも何処にも無い、のっぺりとした様相の機体だったのだ。

 しかもその機体は、自動操縦とかやらで勝手に飛ぶ事も出来ると言って、実際に飛ばしてくれたのだ。

 その機動性、速度、どれを取っても、俺の知って居る機体を遥かに凌ぐ素晴らしいものだった。

 是非、動かして見たいと思った。

 実際に操縦席に座って見ると、俺の知って居る物とはまるで別次元の計器類、機器の多さに驚かされる。

 AIとか言う物が搭載されて居るとかで、そのAIに、其々の機器の説明や操作法、効果等を全て教示された。

 その間も、操縦桿を握って自分である程度機体をコントロールしていた。

 操縦桿に対しての反応速度も、これ程の機体を動かした事は無いと思う、素晴らしい反応だ。

 まるで手足の様にすぐさま反応するのだ。

 俺は興味本位で、どの位の速度が出るのか興味を持って、コントロールを完全に自分に切り替え、最高速度を目指す事にした、が、しかし、その機体の持つ性能は、俺の理解を完全に超越したものだった、あまりの加速度に意識が遠のいた。

 しまった、意識を失ってしまえば墜落するしか無い・・・

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 ふと目を覚ますと、そこは知らない天井だった。

 妙に白く、汚れの無い無垢な空間、そんな印象だった。

「俺は、死んだのか?」

「起きたか、残念ながらヴァルハラには未だ行けないよ。

 ここはクリムゾンスパイダーの内部の一室だ。」

「エリー、俺は一体どうなったのだ?」

「最高速トライをしたらしくてな、マッハ3.5を超えた付近で意識を失って、AIの非常自動操縦へと切り替わって失神したまま戻って来たって訳だ。

 気持ちはわからんでも無いけど、対Gスーツも身体強化も無しで無理したな、それにしてもフルスロットルで巡航速度から3.5まで耐えたのは称賛に値するがね。

 恐らくあのエンジン性能からすれば、水平飛行でもフルスロットル加速なら3Gは負荷がかかっても可笑しくはない。

 それをあの加速中に旋回まで熟したんだから驚かされたよ。」

「そうか、無茶してしまったらしい、迷惑を掛けたな、済まなかった。」

「そんな訳でだな、身体強化で良いか?それとも対Gスーツ作ろうか?」

「そうだな、出来ればその何とやらを作ってくれると助かる、しかしあの機体、どれほどの速度で飛ぶのか聞いても良いか?」

「そうだな、お前が前世で乗っていた機体の最高速度が、あの機体の最低速度だ。

 そして、マッハ5.5、単純に音の速度の5.5倍があの機体の最高速度と言えば解ってくれるかな?」

「いや、むしろますます想像付かない。」

「ははは! だろうな。 次のトライでは是非、M5.5の世界を体現して貰いたいものだ。M4を超えた辺りから世界が変わって見えるぞ。

 まぁそのうち、この惑星の大気圏の外を周回出来るシャトルでも作る、その時はM35という異質な速度で制止させてやる。」

「いや、今の後半何言ってんのか理解出来なかった。

 しかし、お恥ずかしい所をお見せしてしまったな。」

「気にするな、私は長い事生きて色んな事をやって来たからな、見慣れているさ。

 それよりホレ、実は対Gスーツ欲しいと言うと思って既にサイズは図らせて貰って居てな、出来たぞ。」

 なんと用意周到な事だろう。

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