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宇宙戦争時代の科学者、異世界へ転生する【創世の大賢者】  作者: 赤い獅子舞のチャア(実際の人物及び団体とは一切関係ありません)
冒険の旅

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ダンジョン

 ダンジョン

 ナノマシンGPSを活用してカイエン一家の位置まで移動するも、中々に険しい道だった。

 良かったよね、私は自転車にも乗った事が無いので二輪は苦手なんだ、自分専用に三輪作って正解だわ、マジで。

 この世界だからね、勿論オフロードタイプだよね。

 三輪バイクのお陰で、そう時間は掛からなかった。

「お、来たな、周囲に溢れ始めていた雑魚は粗方片づけといた。」

「お、カイエンさんサンキュー。」

「流石、元勇者、優秀。」

 ザインちゃんが褒めるとなんか上から目線に聞こえるのは気のせい?

「お待たせ、早速ダンジョンに突入しようか、私達の戦力なら万一100階層超えてたって直ぐに済むだろ。」

「おいおい、いくらぶっ壊れ性能のエリーでも言い過ぎだろ。」

「そうでも無いよ、精霊召喚で火の上位、炎の最上位精霊でも呼び出せばワンフロア位一瞬で終わらせられるし。」

「どんなヤベェ精霊だよ、それ・・・」

「ハイエルフ様、紹介して。」

 ザインは相変わらず瞳をキラキラ輝かせて私を見つめている、貪欲に精霊と仲良くなりたいらしい。

 氷結の魔女の二つ名だけで十分な気がするんだけどね。

「はいはい、後でね~、今はこれからすぐにでもダンジョンコア壊しに行かないとだからね~。」

 っつーか、ダンジョンコア、有るのか?

 もしもコアが有るとしたら、魔素が収束して固形化したものと考えるべきなんだろうか。

 もしくはアーティファクト?

 取り合えず、中の様子を覗いてみる。

 ・・・・・・・・・・暗っ!

 まぁ普通にそうだわなぁ。

 大量のライトボールを、ダンジョンの入り口から天井に沿って等間隔に配置して行く。

 うん、明るくなった。

「エリー・・・今更驚かんし何となくやりそうな気がしてたから俺も大分毒されたと思うが、やり過ぎだと思う・・・」

 何かカイエンに呆れられたんですけど。

「はははは、まぁ良いじゃ無いの、これで探索しやすく成ったんだし?」

 早速、カイエンとキースが先頭でダンジョンへと入って行く。

 2階層までは、ゴブリンがメインの階層だった。

 3~4階に差し掛かると、グレムリンと、洞窟だと言うのに何故かフォレストウルフが出現するようになった。

 ちなみに、狼型の低級の魔物がファングと言う名前だったのは記憶しているだろうか?

 今回出現したフォレストウルフは、それを踏まえると何だか納得出来ない物だった。

 だってさぁ・・・初めに現れた奴は、ハスキーっぽかったから狼の魔物なのかと思ってたんだけどさ、その内、ゴールデンレトリバーにしか見えないのとか、グレートデーンみたいな大型犬みたいなのが出て来てもフォレストウルフと言う鑑定結果だった辺りからおかしいな~って思い始めたんだけどね、今目の前にいるフォレストウルフなんか、誰がどう見てもチワワやど?

 何じゃこりゃ!?

 さっきビーグルみたいなのやパピヨンみたいなのも居たしなぁ、これってただの野犬なんじゃ?

 う~ん、流石に倒せないよぉ~・・・なんか涙目だし、プルプル震えてるしさぁ、可愛すぎるだろ?

 そんな風にじっと睨みあって居ると、仲間を呼ばれた。

 何が来るかと思ってちょっと期待しちゃったよね。

 せめて大型犬っぽい強そうなのが来てくれれば戦いがいも有るんだけどと思って様子を見ていると、現れたフォレストウルフは、ポメラニアンとティーカッププードルにしか見えないっ!

 ヤバい、可愛すぎるっ!!!

 こんなン戦えるわけあるかいっ!

 と思って居ると、キースがプチって・・・あんたは鬼か。

 まぁ、どの道倒さないと先に進めない訳なんだけどね。

 それにしてもオーブよ、お前以前に確か猫亜人は猫よりずっと進化してるんだからとか何とか言って無かったか?

 なのに何でワンコに対して背中丸めて尻尾ブラシみたいに膨らまして横跳びしてんだよ、全然進化してねぇ!

 そしてあっと言う間に5階層へ到着、ここまでちなみに30分掛かって居ないと言う恐ろしい程の蹂躙パーティーだ。

 そりゃそうか、高周波振動刃搭載の大剣二本を軽々振り回す脳筋に、音速で駆け抜ける勇者とくノ一と言う高速蹂躙夫婦に、最強かも知れない格闘家二人のコンビに、私に魔改造されて武器に属性付けられる世界初の魔法剣士幼女、そして精霊召喚師に広範囲エリア魔法迄問題無く無詠唱の私・・・

 こんなパーティー未だかつて無いもんね。

 1階層なんか3分で駆け抜けてたからなァ・・・

 5階層は、何故かゴブリンチャンピオンばかりがはびこって居た、まぁ私達に掛かったら居眠りしながらでも負ける気はしないので5分でほぼ踏破。

 どうやらここのフロアはエリアボスが居るらしい、なんかでっかい扉がある。

 う~ん、ここまで来た結論なんだけどさぁ、やっぱダンジョンって自然の摂理に反してるよね。

 一階層から徐々に強くなって行って、ボスエリアに扉が有るなんて。

 明らかな人工物としか思えない。 ってか扉は間違いなく人工物だしな。

 またどうせどこぞの魔人辺りが固有スキルやアーティファクト使って建築してるんじゃないかと思う訳なのよ。

 まぁ今は、このダンジョンを完全攻略してとっととコアを取り外してしまう事が重要なので考えるのはやめよう。

 扉をくぐると、勝手に締まる、うん、やっぱりお約束だ。

 で、出て来たのは、皆の期待を裏切らない、ゴブリンキングとゆかいな仲間達だった。

 面倒なので広範囲せん滅魔法一撃で終了してやろう。

「いっけ~っ! フレア・エクスプロージョン!」

 完っ全にオーバーキルなんだけどな。

 すると、6階層への階段が出現した・・・

「そこは違うだろ!

 ボス攻略のご褒美の宝箱出せや!」

「エリー、ボス部屋のボス倒したからってそんな物突然出現したりしたら可笑しいだろ?」

 脳筋のキースに言われるとちょっとムカついた。

 で、階段を降りようとしたら、慌てたように申し訳程度の宝箱っぽい何かが現れた。

 何だこれ?

 どう見てもバレンタインのチョコレート程度のリボン付きの包みなんだけど?

「なぁキース、そんなもん出ないって言ったよな?

 あれ・・・何?」

「さ・・・さぁ?」

「きっと師匠が催促したから申し訳程度にプレゼントしてくれたのにゃ?

 間に合わせっぽいのも多分その為にゃんじゃにゃいかにゃ?」

 なんだか切なくて空しい突込みをありがとう、オーブよ・・・

 しかし、そんなんで良いのかダンジョンマスターよ・・・

 そんな切ない思いを振り払うように包みを開けると、中に入って居たのは、ただのどんぐりだった・・・益々切ないぞ、これ。

 どんな貧乏ダンジョンだよ!

「あったま来た! 全精霊召喚しちゃる!」

「ハイエルフ様、お作法。」

「判ってるわよ、判った、やりゃぁ良いんでしょやりゃぁ・・・」

 恥ずかしながら変身をやらかす事になってしまった・・・しかしこんな恥ずかしい変身を、いや私のより更に恥ずかしい変身だった気がするけどこの人数の前で出来ちゃうザインちゃんって・・・・レイヤーなのか?

 その後はもう、ムカつくやら恥ずかしいやらでどうやって攻略してったのか判んない程あっと言う間に全フロアを蹂躙、たったの30階層しか無いダンジョンだったけど、それにしたって在り得ない短時間、僅か1時間弱でラスボスに到達してしまった。

 今、目の前にはこれまで以上に異様なサイズの扉が有る、しかも勝手に開いたし。

 間違いなくラスボスだよな、これ。

 中にズンズンと突き進むと、何故か怯えた魔人が一人佇んで居た。

「おい、お前がラスボスか?」

 私が問うと。

「ひっ!」と悲鳴を上げて泡を吹いて失神してしまった。

「エリー、そりゃビビるわ、君の出鱈目さを良く知ってる俺達だってドン引きしてたんだぞ?

 なんだあの馬鹿火力は。」

 カイエンに突っ込まれてしまった。

 キース以下全員は呆れてしまって居る、一人を除いては・・・

 誰かってもちろん。

「流石、ハイエルフ様、尊い。」

 この人な。

 結局、このダンジョンで得たものと言えば、マカンヌの趣味で変な縛り方で拘束された魔人の捕虜一匹と、6階層から10階層までに出て来た(私は覚えて無いけど)ジャイアントボアとかハンマーヘッドオックスとかの肉を中心とした食材達・・・のみ。

 階層ボスの度に出て来た宝箱と言うかプレゼントボックスは私が怒りに任せて全てイファーリアの、”ヴァル・ハラ”で塵すら残さず燃え尽きたらしい、覚えてねぇけど。

 さて、問題のダンジョンコアなんだけどさ。

 やっぱ、これってアーティファクトっぽいんだよな。

 この世界の、マナを持ってるのに使い熟す術を知らない住人にも扱えるような仕組みになって居て、使用者のマナ量に応じた規模のダンジョンを構成出来る、ようになってるみたいだ。

 要するに、使おうかなとかって悪戯してると、突如発動して死なないようにマナを1masだけ残して勝手に吸い上げて勝手にダンジョンを構成する、その後はそのダンジョンマスターとなった奴のマナを、回復量に合わせて少しづつ吸いつつモンスターを勝手に精製したりマスターの意に沿って罠を作ったり宝箱を出したりする、但し宝箱の中身はそのマスターの持ち合わせている物だけ、つまり宝箱を発生させる度にマスターはアイテムを消費しなければならないと言う大変不条理な物だった。

「私の鑑定した結果がこんな具合だったんだけど、どうする?これ、欲しい人居る?」

「俺パス。」とキース。

 その後は全員が要らねーと答える。

 まぁそうだよな。しゃぁねぇから私の無限のアイテムボックスに死蔵すると言う事が確定した。

 こうでもしないと又どっかでこんなめんどくさくて不条理の塊みたいなダンジョンが復活したりするもんな、無理です!

 もしかして私がこの世界に失望して引き籠ろうと思った時に使うと言う手も無くは無い・・・か?

 アイテムボックスに収納が完了すると、周囲の景色が歪み、元の洞窟の入り口に私達は立って居た。

 なにこれ、もしかしてダンジョン自体亜空間かなんかを使って構成されるものなのか?

 まぁいいや、折角手に入れたんだから、死蔵するとか言ったけど研究対象として弄り甲斐が有るってなもんよ。

 これを研究してもっとマシなダンジョンコアとか作れるんじゃ無いかと思ってたりする。

 まぁ、かくしてダンジョン騒ぎも一段落。

 捕らえた魔人は帰る道すがらにでも色々と聞き出してから放してやるとしよう。

 あんなヘタレなヨワヨワ魔人殺しても後味悪いしな。

 商談が成立してほくほく顔のリョーマさんを連れてグッチ男爵領グッチベルクへと帰ったのであった。

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