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あの薔薇が咲き乱れる頃には  作者: 瑞月風花
終章

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あとがき


 この長いお話にお付き合いくださり、本当にありがとうございました。


 このお話は「家族の物語」となっていますが、彼らが紡いでいるテーマは『幸せとは』となっています。

 本作の主人公はルディとルタのふたりなのですが、この物語をかき乱しているのは、もちろんルディです。

 ルディは魔女だったルタに求婚し、ルカを拾い、疑いもせずに毒のグラスを手に取り、海で海賊と仲良くなり、勝手に窮地に追い込まれ……。


 ある意味どころか主人公補正がないと生きていけない登場人物です。でも、彼が動かなければ、ルタは様々な感情を自分のものとせず、『人間とは愚かなもの』だと思いながら、仕えた魔女が望む世界だから護らなくては、とどこか他人事のようにして、一生を過ごしたはずです。


 ルタは充分に一人で生き抜く力も持っていましたし、魔女として生き、自分自身の存在をどちらかと言えば嫌っていた彼女にとって、この世界は滅びが決まれば、仕方のないことだと、息を引き取ったことでしょう。

 しかし、ルタはルディという伴侶を得たことで、様々な出来事と向き合わなければならなくなってしまいました。


 『自分の心』を知り、『安心』を知り、『好き』を知ったことで、すべてが他人事ではなく、自分事となって悩み、苦しみ、悲しみました。『独り』が寂しいという不安を覚えました。

 だから、ルディはルタにとっての受難でもあるのです。


 でも、だからこそルタが、そこに「しあわせ」を感じるようになれる、そんなお話にしたかったのです。

 では、ルタにとっての「しあわせ」とは何だったのでしょう?

結婚が幸せだったのか、子どもが生まれたことが幸せだったのか、それとも、領主夫人としての地位が幸せだったのか。

 どれもルタにとってかけがえのない時間ではありましたし、それぞれが彼女に幸せをもたらしています。しかし、きっと、ルタはどれでもないと答えると思います。

 では、何をもって幸せとするのか。


 彼らの世界は三百年後に滅びが決まっています。

 結婚し、領主夫人として生き、命を繋ぐことが結果、受難となることもあるでしょう。


 それでも、それら全てを知っているルタが、最期この世界を望み、幸せだったと言ってくれました。


 彼ら()生きた世界、ではなく、彼ら()生きた世界を望んだのです。


 この世界ではトーラが全てです。そして、トーラは強く願われた人間の願いに惹きつけられます。



 そして、私達が住む世界もまだ揺れています。

 いつ日常が奪われるかもしれないと怯える人々が、今もたくさんいます。

 幸せの形は存在しません。感じるものです。

 だけど、感じられる時間は、誰かと生きる日常の中にあります。


 人間は今から未来を変えるもの。私達は特別な力を持つ魔女ではありません。過去を変えることも、踏んでしまった今も変えられないのです。


 だから、日常を奪わないでください。壊さないでください。私達が生きるこの世界はとても儚く、壊れやすいものです。


 これ以上、誰かの日常が奪われないことを、世界が平和になることを、切に願っております。

 

 末筆となりましたが、お読みくださった方々、感想やメッセージで励ましてくださった皆さまのおかげで、書き切ることが出来ました。

 何度も躓きながらの中、見捨てずに、最後まで書かせてくださり、本当にありがとうございました。

 偉そうなことばかりで、書けていないと言われるかもしれませんが、この物語を執筆するにあたり、ずっと根底にあった心情でございますので、どうかご寛恕くださいますようお願い申し上げます。



 瑞月風花



※300年先の滅びについては「夢を見る世界」で決まってしまったことになりますが、先にも書きましたように、この世界はトーラという力が全てで創造されております。もしかしたら、今(過去)が変われば未来(今)が変わるかもしれません。

今を変えるのは人間です。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 良いラストだったと思います。 ルディもルタも共に最後まで「らしく」あったのではないでしょうか。 物語全編を通じて皆が築き上げて来た家族の形。 不思議なほどに納得して胸を撫で下ろしている自分…
[一言] 完結おめでとうございます! 読み始めたときは、まさかここまでの大河ドラマになるとは思ってもみませんでした。そんな大河をきちんと完結させたことに敬意を表します。 一生を丸ごと描くなんて、私には…
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