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文学少女とボクらの世界が終わった日 人妻大魔王(笑) 女子高生忍者? そして、笑う入道雲……

作者: 託望

 “終わり”なんて突然なんだと思い知った10代の頃の話。



 夏──。

 高校からの帰り道、ボクは新山にいやまかえでと歩いていた。

 ボクらには共通の秘密があって、それがボクらの距離を縮めた。


 国内最大の小説投稿サイト。

 ボクらは、その投稿者だった。


 “エッセイ”や“その他”でプライベートを書きすぎるのは良くない。


 今では反省してるけど、それが楓がボクを見つけたきっかけだった。

 全校集会でみんなに挨拶しようとした校長先生が、朝礼台の階段の最後で蹴つまづいて、スライディングのように朝礼台から落ちたなんて学校、ウチだけだろうし(笑)


 楓はボクの投稿たちを丁寧に読み返し、ボクだと気づいたのだ。



 ボクらは歩きながら、始まったタイアップ企画の話で盛り上がった。

 『タイトルは面白そう』で集まったワードをタイトルに挿入するのがルール。

 幾つものワードを絡め合う作戦にでる投稿者も多い。


「あのワードさぁ、もう一押しほしいよな」

 ボクは言った。

「えー?

 いいじゃん、面白そうなワードばかりだよ?」

「いや、例えば……“人妻”大魔王とか」

「なんかエロいw」

 楓が笑う。

「“女子高生”忍者とか」

「なんかエロいオッサンみたいw

 それに、それだと忍者じゃなくてくノ一じゃん」


 もちろん、本気じゃない。

 ただ、ボク以外のヤツの前では物静かな楓と言葉を交わせる優越感で、もっと声や笑顔を引き出したくて調子に乗っただけだ。


「あ、雲が笑ってる」

 楓が空を見上げて言った。

 ボクも見上げる。

 ボクらの前には大きな入道雲が立ち昇っていた。

 その入道雲が笑ってる。

 いや、正確には入道雲の上側辺りに、2つの黒い半円の線が浮かんでいたのだ。


「何だろ……?」



 ボクらは、すぐに正解を知った。

 それは、バスよりも大きな見たこともない鳥で、舞い降りて街を人を襲い始めたのだ。


 それだけじゃない。

 見たこともない様々なおぞましい生き物が街に溢れ出した。

 警察も自衛隊も対応が遅れて、たちまちみんなと同じ被害者になった。

 それが世界中で同時に起きたことだと知った数日後には、テレビ放送やネットというメディアも終わった。


 ボクらの文明の終わり。

 世界は、僕らが物語で読んできてよく知っている、異世界のように変わってしまったのだ。


 みんなが、救世主の登場を待ちながら戦い、今日を生き延びている。



 ただ、ボクは違う。


 アイツらのすべてを滅ぼすために、今日を戦い、生き延びている。



 あの日、楓の16年の人生は終わったのだから……。

 うがぁー!!

 1000文字って、難しい。

 もっと丁寧に書き込みたかった。



「雲が笑ってる」って見上げたのが、世界の終わりの始まりだったというアイデアで、ワードとにらめっこ。



 奇抜なタイトルで読み手の気を惹こうという魂胆が見え見えだけど、実はタイトルそのまんまな物語を……という発想でした。

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