この世界の人たちのレベルってどうなの?
この3日間、真理奈ちゃんと色々確認したりスキルを試したりした結果、無属性魔法に属する空間魔法が現代もびっくりな便利機能シリーズだった。
まず、収納魔法。容量が∞ってなってたけど、これ、いくらでも物が入るみたい。
次に、転送魔法。出発地と到着地に媒介を使えば一瞬で移動できる。自在に移動もできるけど、これは消費魔力が多いし、移動距離が伸びるほど消費量が上がる。
私のMPならどこでも行けそうだけど、あんまり使うのは悪目立ちしそうだから使うときは考えないとね。
それと幻覚魔法。主にフェイクとかで使える。
そして、鑑定魔法。色んな道具や人の情報を見ることができる。
どうやら、これらの精度は無属性魔法のランクで変わるらしい。
私SSSだから、レベル制限かからないかぎりほぼやりたい放題っぽい。
目立ちたくないから、バレないように好き勝手しよう。
私は外に出て、自分の居場所を作るのよ。
真理奈ちゃんは、聖女だから元の世界に戻れる可能性はあるかもしれないけど、私はそうじゃない。
一度死んで生まれ変わってることになってるから、ここでやっていくしかない。
そのためには、まず今日を乗り切ることが重要だ。
宮廷魔導師長が戻ってきていて、ステータスを鑑定してくれるらしい。
一応フェイクをかけたけど、通用するんだろうか。
宮廷魔導師長さんは、青い綺麗なロングストレートのインテリの綺麗系イケメンさんだった。
見た目は20代後半かな、30代だとしてもすごい出世頭だわ。
「初めまして、お嬢様方。宮廷魔導師団の団長を務めておりますキース・マルグリッドです。」
「は、はじめまして!獅子雄真理奈です。あ、真理奈が名前で、獅子雄が苗字です。」
流石に緊張しちゃうよね、この顔面偏差値相手じゃ。
「初めまして、セラです。」
私は日本人であることを隠しておく。
あくまでも事故で巻き込まれた人です。
「召喚儀式を行った者たちから、聖女召喚で、マリナ様とセラ様が召喚されたと聞いております。この度は殿下の勝手な行動でお二人にご迷惑をおかけして申し訳ございませんでした。」
魔導士のトップである団長さんが直々に頭を下げられた。真理奈ちゃんが、すっごい焦ってる。
あー、上の不始末に頭下げないといけない中間管理職の切なさ。
分かる、すっごい嫌だよね。
「いえ、貴方の所為じゃないですから、頭を上げてください。」
「そ、そうですよ!」
「…お二人ともお優しい、ありがとうございます。」
頭を上げて微笑む団長さんは、無駄に美しかった。
そして、鑑定魔法でステータスを確認させてほしいとのこと。
いよいよか…。
まずは真理奈ちゃんかららしい。
「マリナ様は聖女レベル1ですね。魔力も高いですね。我ら魔導師団が責任をもって聖女様のお力を発揮できるよう力を尽くします。」
クールビューティー団長に恭しく跪かれ、真理奈ちゃんは顔を真っ赤にしていた。
分かるよ、若い頃は私もそうされたら同じことになってたかもしれない。
私にはもう、そういう可愛らしい感情は気づいたらなくなってたからなあ。
「セラ様、どうぞこちらへ。」
げ、私の番がきたか。
大丈夫、事前にフェイクかけたから。
きっと大丈夫よ。
真理奈ちゃんと交代で団長さんの前に立つ。
「大丈夫ですよ、そのままじっとしていてくださいね。」
鑑定魔法かけられると視線のようなものを感じる。
これ、他人にやるとき気を付けないともめ事の原因になる。
プライバシーは守らないといけないよね。
とか、のんきに考えていたら、突如「バチ!!」っと何かを弾く音がした。
「え?」
「これは…。」
団長さんが非常に驚いている。
一体何が起こったんだろうか。
「…セラ様、鑑定魔法を拒否しましたか?」
「え?何もしてませんけど?」
…フェイクかけただけです、拒否系できるの知ってたらそうしてる。
団長さんが、何か結論出たみたいで聞いてきた。
「セラ様、レベルはいくつですか?」
「50ですけど?」
団長さんが目を丸くしていた。
「まさか、私よりレベルが10も上とは…。」
え、魔導士のトップのレベルが40?
ってことは、レベル50はこの国トップのレベルの可能性があるってこと?
…あのクソ駄女神。
次から次に問題が出てくるじゃないか。