聖女様はまさかのあの子
翌朝、久々にゆーーーーっくり眠れたのもあったのか、すっごい頭がすっきりしていた。
うん、昨日の私は多分、日々の睡眠不足とレーアのポンコツ具合で謎のハイモードだったんだろうね。
寝たら機嫌治るってそういうことだわ。
まずは、あの女子高生ちゃんのところへ行こう。
あの子がどうしたいのかをやっぱり聞かないとね。
そう思ってたタイミングで、コンコンとドアノック音が聞こえた。
「失礼いたします。お召し変えをさせていただきます。
深々と頭を下げて入ってくるメイドさんに密かに感動した。
うちの後輩に見習わせたい完璧な接遇だわ。
…思い出したらサンドバッグ欲しくなるから、やめておこう。
「おはようございます。ありがとうございます。」
どうやって着たらいいのやら、そんなドレスをテキパキと着せてくれる。職人技だ。
着替えと洗面が終わったタイミングであさごはんを持ったメイドさんがやってきた。
「おはようございます。朝食をお持ちいたしました。」
メイドさんにお礼を言って、席についた。
おお、漫画とかで見たお貴族様の朝食だ。朝から肉料理とは…。
用意してくれた以上、文句は言わないが…。
「いただきます。」
手を合わせて食事を始めれば、メイドさんが不思議そうに私を見ていた。
あー、ここでは「いただきます。」の習慣がないのか。
「故郷での習慣でして、食事に出てくる食材も命ですから、その命をいただくことに感謝の気持ちを忘れないための習慣です。」
「まあ、素敵な習慣ですね。…殿下にも見習わせたいです。」
後半はボソッとした声だったけど、バッチリ聞こえた。
あの王子、食べ物粗末にしてんのか。情けないガキンチョだわ。
ああ、今は私のが年下だろうけどね…。
しっかし、この世界の料理って、無駄に脂っこいな…。
朝っぱらからこれじゃあ、夜は考えたくないな。
さすがに油丸のみはないだろうけど…。
「ごちそうさまでした。」
「お粗末さまでございました。」
食器類を下げてもらい、一服したのちに女子高生ちゃんに会って話をしたい旨を伝えた。
メイドさんも、そう言われたら案内するように指示されていたようで、あっさりOKをもらえた。
メイドさんの案内で、女子高生ちゃんと二人きりで対面で向き合ってる。
「おはよう、昨日はお互い災難だったわね。」
「お、おはよう、あの、王子様殴って大丈夫だったんですか?」
ああ、あの後引き離されたから、顛末知らないのか。
聞き返せば、何も教えてもらえなかったらしい。
それで、私が厳しい罰を受けてるのかもしれないと気になっていたらしい。
「会わせてほしいってお願いしても、王子様がダメだって言われて…。」
「根に持たれてるのかもね。」
ねちっこい男はモテないわよ。
「そういえば、自己紹介まだでしたよね。私は獅子雄真理奈で高校2年生です。」
「え、真理奈ちゃん?」
「え?」
「子供の頃に会ったきりだから分からなかったわ。色々あってこんな姿になっちゃったんだけど、私よ、妃世羅。」
そう、真理奈ちゃんは私が大学生時代に家庭教師をしていた教え子だ。
あの頃すっごい懐かれてた。
「すっかり綺麗になったわね。」
「せ、世羅先生!?なんで、そんな銀髪美少女に!?」
お、おお、思ってた以上に目を丸くして驚いてる。
「実は、かくかくしかじか…。」
「…なんてひどい駄女神。」
「でしょ?」
おいおい、10代後半女子にまで呆れられてるわよ、レーア。
それと、近日中に外に出るつもりだと伝えると、真理奈ちゃんは落ち込んだ。
「せっかく先生と一緒にいられると思ったのに…。」
「大丈夫よ、いつでも会えるようにするわ。」
根拠はないけど、なんとかなる気がする。
レーアが思っている以上にやらかしてそうだからね…。
「じゃあ、先生もステータスを確認した方がいいかもしれませんね。」
「ステータス?」
「この世界では、色々な魔法があって、ステータスは自分たちの能力をデータ化した画面が見えるらしいんです。」
なるほど、じゃあ確認してみよう。
やり方は真理奈ちゃんが昨日聞いていたらしい。
目の前に指で四角の枠を描くように動かして「ステータス」と言えばいいらしい。
二人同時に「ステータス」と唱える。
真理奈ちゃんのステータス
マリナ レベル1 聖女
HP20 MP150、力7、魔20、技10、速10、防2、魔防15、運15
火A 水A 風A 地A 光SSS 闇E 無B
わお、真理奈ちゃん本当に聖女だ。
これは、城から出してもらえないだろうな。
さて、私のステータスは…
セラ レベル50 世界樹の守り人
HP4238、MP∞、力70、魔99、技85、速67、防52、魔防99、運80
火SSS 水SSS 風SSS 地SSS 光SSS 闇SSS 無SSS
…なんだこのステータスは。