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オークの大王: ローマ式歩兵で世界を統一する  作者: リチャード江藤
第二章 大王の生い立ち
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8)ヘルベ歴248年 2月11日 書記官とは

 ノックスと書記官は引き戸を開けて書記官室に入った。そしてそこには土間に机と椅子を置き、そこで今までに書き溜めていたノートを文章に起こしている中年の禿げ頭の男がいた。


「ヴェラ、ノックスさんにホサンス様の話をしてやってくれぬか」


 ちらとノックスと書記官のマンデゥブラキウスを見たカシヴェラヌスはすぐにまた紙に書き始め。


「マンデゥか、見てわからないか? 私は今忙しい」


「いや、わかるが、これはホサンス様の意向だ」


「じゃあ、インデゥに頼めばいいだろ」


「いやインデゥは先ほどダゴマロス殿や他の文官たちと一緒にアペルへ出立した。そして私はまたホサンス様に付かなくてはならん」


 ここでカシヴェラヌスが筆を止めて。


「わかった、じゃあ、これが終わってから話を聞くから少し待ってくれ」


 そしてノックスとマンデゥブラキウスが履物を脱いで一段高い板敷きの間に上がり、床で静かに座って待つこと少々。その間カシヴェラヌスは再び筆を走らせる。


 そして、ノックスとマンデゥブラキウスがさらに待っていても筆が止まる気配が一向にない。さすがにしびれを切らしたのかマンデゥブラキウスが声をかける。


「おい、いい加減にしろ、もう『少し』ではないぞ」


「ああ、悪い本当に後ここだけで終わる」


 そしてついにカシヴェラヌスが筆を置いた。


「で、なんの話だ」


 はあ、とため息をついたマンデゥブラキウスが最初から説明する。


「つまりここにいるノックス殿を文官として雇うために、ホサンス様が今までしてきたことを聞かせるのか」


 カシヴェラヌスがいまいち納得していなさそうにしている。


「そう言うことだ。幸いにも書記官は三人いるから我々が交代でやれば問題なかろう」


「あのう、ちょっと聞きたいのですが、書記官のお仕事とは何なのでしょうか?」


 ここでノックスが至極真っ当な質問をする。


「ああ、我々の自己紹介もまだしていなかったですな。我々はホサンス様がこの統一事業を始めたときに雇われた書記官です。ホサンス様は自分で自分のしたことを書くのは後世の人々に信用されないかもしれないし、書いているのが一人だけなら信憑性も低いだろうからと、我ら三人を雇ったのですよ」


「そして我ら三人はそれぞれ別の視点からホサンス様のしたことを別々に記することになっている。お主をここに連れて来たのはマンデゥブラキウスで、こいつはヘルベ出身だ。俺はカシヴェラヌスと言う、サルべ出身だ」


「そして、ここにはいない、アペルに向かったもう一人がインデゥチオマで彼女はナルボ出身。我らの名は長いのではこの辺ではあだ名でよく呼ばれる、私はマンデゥで」


「俺はヴェラで、ここにいなのがインデゥだ」


 とヴェラとマンデゥが相手の言葉を補い合いながら喋る。


「そうだったのですか」


「まあ、そうでもしなければホサンス様が大陸を統一したと書いても伝説化されるか夢物語として残ったかもしれないからな。俺たちが後世への証人となる」


「ではノックスさんを頼んだぞ、私にはホサンス様の所に戻って今日の行動を記録する責務がありますから」


 とここでマンデゥが立ち上がり土間に降りてサンダルを履いてから部屋から出る。そしてヴェラが書いた紙を整えてからノックスの方を向き語りだす。


「まあ、統一事業はこの目で見ているから自信を持って話せるがな、ホサンス様の幼少期の話は他人からの聞き取りでしか知らん。だからそこは覚えておいてくれ。ただな、やはりホサンス様の場合は最初から話したほうがいいとは思う」


「と言いますとこの話は長くなりますか?」


「長くなるな」


 はあ~、と長いため息をノックスがする。


「わかりました。私の方も何度も村と王子港を行ったり来たりするのは嫌なのでなるべく簡潔にお話してくださると嬉しいです」


 そして書記官は椅子から立ち上がり、書類を丁寧に本棚にしまい、履物を脱いで板敷きの間に上がり、ノックスの前に座った。


 長い話が始まった。


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