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オークの大王: ローマ式歩兵で世界を統一する  作者: リチャード江藤
第四章 大陸統一と大陸会議
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27)ヘルベ歴248年 4月8日 ルテチア

「聞きしに勝る大都会だなここは。さっきから五階建ての建物とかしか見てないぞ」


「あれ、道が全然臭くない」


「なに言ってるのよ、それよりもあの神殿を見てよ。どの神様のなのかしら」


 昨日の夕方にルテチアに着いた一行はその夜はホサンスがセノーネの王族から借りた宮殿で泊まり、朝早くルテチアの観光に出ていた。


「うーん、馬糞とか牛糞が見られないな」


「なんでお父さんそんなうんちのことばかり気にしてるの?」


「あー、リナちゃん、兄貴は前に王子港に行った時もこうだったからそこは気にしなくていいよ」


「あ、馬のお尻に変な袋が付いてる」


「あ、ホントだ。テーちゃんよく見てるね」


「へへへ、なんかお馬さんのこともっと知りたくなっちゃってさ。ねえ、今度アヴィン叔父さんに鞍を作ってもらえないかな?」


「え?」


「ああ、お前は気にするな、船でヴェラさんから騎兵の事を聞いてからずっと馬に乗りたいって言ってるんだ」


「だって乗りたいじゃん」


「えー、馬は別に乗りたくはないよ。普通に馬車に乗ればいいじゃない」


「なんでよ!」


「テメシス、セヴリナ、ケンカしない」


「「はーい、お母さん」」


 とセヴリナとテメシスもすぐ周りを見出す。


「うーん、しかしイーヴに子供達を四人も任せて大丈夫だったのかな」


「大丈夫だろ、なにしろ王宮付きのメイドさんまで来てくれてんだぞ。まあ明日は俺が面倒みて、そのあとは持ち回りで見るし、今は楽しめよ」


 と一行は大きな神殿に入る。


「あー、これはモリガン様ね」


「そうだな、あっちには女神が三人いるし、カラスもいる」


「うーん、こっちの正面の女神様の肩にはカラスが乗ってるし、槍も持ってるから間違いはないだろうな」


 とここでアヴィンがノックスとボウアに小銭を渡す。


「ほれお賽銭だ」


「おお、すまんな」


「まあ、気にするなこの前も兄貴の家で寝泊まりしたからな」


「運命の女神様だからな、色々と上手くいくことを祈ろう」


「まあ、私たちはここで観光するだけだけどね。テメシス、セヴリナこっち来て」


 と一行が神殿でお参りを済ませたあと出てくると、神殿の前で赤い髪を頭の後ろに無造作に結んだ細身の男に出会う。


「ああこれはマンデゥブラキウスさん」


「ノックスさん、こちらに来ていると聞いたので迎えに来ました」


「えっ? もうですか? 今日は一日休みだと聞いたのですが」


「その、実はちょっと急報が入りましたので迎えに来ました」


「わかりました。皆はこのまま観光して行ってて、あとで宮殿で会おう」


「さっそく仕事か、頑張ってこいよ」


「ああ、まかせて置いて兄貴」


「私たちは大劇場に行ってくるわ。いってらっしゃい」


「うん、じゃあ行ってくる。テメシス、リナ、パパ仕事に行ってくるからな!」


「「はーい」」


 と娘たちに手を振ってノックスとマンデゥブラキウスが大通りに止めてある馬車に乗り込む。そして二人きりになると早速マンデゥブラキウスが言う。


「実はアキタで反乱の兆しがあります」


「えっ!」


 ノックスの眼が見開かれる。


「なんでもアキタの王が同盟には賛同したが、大王や上王を据えるとは聞いていないと言っているそうで」


「あの~、これって国家機密なんじゃないですか?」


「大王様が『アキタに遠征に行くならノックスも連れていく』と仰っているのでここは正直になぜ行くのかをちゃんと話せとも言われてます」


「はあ~」


 ノックスが露骨にため息をつく。


「あの~、家族はどうなりますか?」


「ご家族は丁重におもてなしするように、と言われていますので、問題はないかと思います。あ、ボウアさんにはこのルテチアで水車がどう使われているか見せるようにとも言われてます。なので、おそらくノックスさんのアキタ行きとは関係なくおそらくルテチア市内にある小麦を挽く水車小屋や郊外にある水車で材木を切る施設を見に行くことになると思います」


「へ?」


「水車を使って洗濯機を作ることを思いつかれたボウアさんならもっと色々と出来るものを思いつくかもしれないと思われるのでそのためだそうです」


「ああ、わかりました」


 とここで、一旦静かになる。が、この静けさに耐えられなかったのかノックスが言う。


「それにしても町が臭くないですね」


「いいことですね。それは大王様が牛車は廃止して、馬車には馬の腰に糞を集める袋を付けるのを義務化したからですね。以前ルテチアには半年滞在していましたし、すでに税金を半額にするとかすでに政令を発していたので、ここでは少し我を通したようです」


「なるほど、ホサンス様の発案だったのですね」


「私もまさかあれだけで悪臭がこんなに減るとは思いませんでしたね。ここではすでに糞尿は河に流してましたから道から馬糞と牛糞を無くすだけでかなり変わりましたね。税金を半額にしたのも相まってここでの大王様の民衆の人気は高いですよ」


「ああ、河に垂れ流しか。これっていいのか悪いのか。でも下水ってどうやって浄化すればいいんだ? 一旦水槽に貯めて微生物に任せるのか? それよか今のウチのトイレみたいにすれば流すのは尿だけになるからそっちのほうがいいのか?」


 とノックスが小声でぶつぶつ言っている内にマンデゥブラキウスが窓の外を見てから言う。


「お、そろそろ着くようですね」


 そして、王宮の中を案内され、ノックスは執務室に入る。そこには相も変わらず机に向かって書類仕事をこなしているホサンスがいた。そして、彼はドアが開くと頭を上げてノックスを見て。


「久しぶりだな。ここまでの旅はどうだった?」


「あ、お久しぶりです、ホサンス様。旅は快適でしたよ」


「ふ、うそはつかんでいいぞ。嫁さんが船に酔ったそうじゃないか」


「ああ、もう聞いていましたが。でもうそは言ってませんよ、船酔いになったのは体質でしょう。船乗りや文官の皆さんは我々が快適に過ごせるように尽力してくれてました」


「そうか、この船旅に満足してるならいい。実はなアキタで反乱が起きそうだ。というかもう起きていても不思議ではない、ただ報せがまだ届いていないだけかもしれん」


「あ、聞いてます」


「なら話は早い。俺は船に乗ってここからアペルまで行く。そして今度は海用の船に乗り換えてアペルからナムネテまで行く。そこからは陸路でアキタを目指す。途中邪魔されなかったら、ひと月もあれば着く」


「え、そんなに早いのですか」


「こういう時は早く動くに限る。そしてお前は船酔いしないのだろう。だから一緒に来い。道中、船で大陸会議の話をしよう」


「わかりました」


「帰りもひと月とは約束できん。戦があるかも知れんからな。でも、まあ六か月もあればこれも片付くだろう。どうだ、六か月家を留守にしても大丈夫か?」


「ええ、六か月なら問題ないと思います。義姉と甥っ子たちに農場を任せましたので多分問題ないはずです」


「ああ、あのカレンダーもあったしな。よし、決定だ。明日立つぞ」


「あ、あとすみません」


「なんだ」


「さすがについてその翌日皆と別れるのもなんですから、お給料の前借と言う形でなにか皆に贈り物を渡したいのですが」


「なんだ、言ってみろ」


「えーと、では妻にはルテチアの織物と水車小屋だけでなく織物工房の見学。弟のアヴィンには鍛冶場や鋳造所の見学。サヒットにも水車で材木を切る小屋の見学。そして娘のテメシスには子供でも乗れる馬の鞍とあぶみと馬に乗る手ほどきを、そして娘のセヴリナにはルテチア図書館の見学と滞在中にはそこの本を読むことをお願いしてもよろしいですか?」


「結構無欲だな。問題ないぞ、おい、さっきの全部記録してあるか」


「はい記録してあります」


 文官のオルジャーノンが答える。


「あ、ちょっと忘れていました。サヒットの妻のイーヴには、えーと、なんだろう」


「なんでもいいぞ」


「あ、じゃあ税金を半額にしてもらえませんか?」


「なんだそんなことか。別にいいぞ。と言うかアペルの税金はセノーネと同じで高すぎるからいずれ減税はしたいと思っていたしな」


「あれ、じゃあ、うーん」


「ボウア殿と一緒に織物でよろしいのでは?」


 オルジャーノンが進言する。


「でも彼女は織物にそこまで興味はないような。あ、妻と一緒に反物屋と仕立屋に連れていってあげて、それぞれになにか一着服を作ってあげることできませんか?」


「よし、そっちにしてやれ」


 この会話のあとノックスは部屋に戻り、一人でほどいた荷物をまた自分の分だけまとめていた。それが終わったあと、夕食前にボウアや家族の皆が帰ってきた。そして、唖然とする皆にノックスは急用でホサンスと一緒にアキタまで行くことになり、早ければ三か月くらいで帰って来て、遅くても六か月で帰ると言った。


アドアカムやセノーネの山側はだいたい高度三千メートルから二千メートルくらいの高いところにあります。赤道に近くても冬には普通に七度くらいに下がるエチオピアの首都のアディスアベバみたいなものです。記録的な寒さの時には零度まで下がるそうです。

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