出発の時
三日後
俺は様々な準備をしてきた。
家のメイドに商家出身の人がいたので、馬車での旅について聞いてみた。
すると。
「いえ、馬車は基本揺れが大きいうえに狭く、またクッションもあまりないのでちょっとキツかったです」
と言っていたので、ソファーのクッションと旅行バッグを持って待っちたのだが。
「おい、大きすぎるだろ」
中の高さは人間が立ってられるほどあり、上から見ると長方形の様な形になった大きな馬車が目の前にあった。
角は丸みを帯びており、装飾も紫や金を主につけられていた。
「旦那様、当家の馬車でございます」
セバスチャンが、俺の荷物を持つと、馬車の中へ案内してくれる。
中は、カーテンとガラス窓が前後左右四つついており、外が見渡せるようになっていた。六つあるほぼ永久的に明かりが照らせる魔導ランプが入ったランタンが室内を照らす。
「これ、金がかかりすぎだろ」
座席はふわふわで、リクライニング可能となっている先進的な物だった。
前ぽのカーテンを開け、外を見ると、魔物がいた。
「おいセバスチャン、魔物がいるぞ」
俺は、少しばかり引いた顔で言うと、セバスは平然と答える。
「あれは、馬の亜種にございます。足が八本あるため通常の馬の三倍の速さが出るそうです」
「え?あれ家で飼ってんの?」
「はい、今回は四頭連れてまいりましたが、合計八頭の亜種がおります」
「ああ、そう、そうなのね。知らない間に、いろいろ取り返しがつかないことになっていたわけか」
どうして気づかなかったのだろうか。だが、速いのはいいな。
「まあいいや。それじゃあ、行こうか」
馬車には俺とセバスチャン、メイド四人が乗り出発した。
周りには鎧を着て、馬に乗っている兵士が六人ほどいた。
「では、王都まで」
「畏まりました」
セバスチャンが御者にそう言うと、返事が返ってきた。
さあ、いよいよ王都だ。
==========
「セバスチャン、ダウトだ!」
「お見事です。旦那様」
そう言って
セバスチャンは出したトランプを表にしてすべて持っていく。
そう、今俺たちは六人でダウトをやっていた。
だって、暇すぎるんだもん。
なので、異世界の知識を使って商人に作らせた遊戯で遊んでいる。
他にも、リバース、チェス、将棋、ウノなんかもある。
「しかし、ここまで暇になるとは思わなかった」
「まあまあ、もう少しで小休憩ですので今のうちに昼食のメニューを決めておきましょう」
そう言って、メイドたちはいそいそと我とセバスチャンから離れて会話し始めた。
「なあ、昼食って現地で作るのか?」
「ハイ、特別性の魔道具を多々持ってきていますので」
へえ、貴族ってみんなこんな感じの生活してんのかね?
俺にはわからないは。辺境伯だけど。