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チュートリアルクエストが始まる(1)

『まもなく初歩的なチュートリアルを終えた者達が、仮想マスターのチュートリアルクエストの挑戦を受ける』


「チュートリアルクエストとは何ですか?」

『チュートリアルクエストは一つのシナリオ単体で構成されている、トレーニングにはそのほうが良いのだ』

「私は何をすれば良いので?」

『とりあえず仮想マスターの視点で鑑賞するだけで良い、私がそれに解説を加えていく』

「なるほど」

『そろそろ始まるぞ』



突然、視点がマスターモードに移動した、それは小さな町の上空から町の中心部を見下ろしている。

やがてその中心の一際大きな石造建築をズームアップしていく。

建物の玄関に吊り下げられた看板に【冒険者ギルド】の記章が描かれていた、看板の下に引かれたラインの色が赤である事から、三級冒険者ギルド支部である事がわかる。


これは公式キャンペーンの設定だな。


そこに、五人組の集団が入っていく。人間の戦士らしき男と、同じくプレイトアーマで固めたクレリック、若いエルフの男の魔法剣士、小柄なハーフリングの盗賊、若いエルフの魔法使いと言う、なんともバランスが取れた集団だ。


マスターコンソールウインドウが開き、そこのアイコンがクリックされると、更にウインドウが拡がり、【グループ化】アイコンが反応する、


『今あの五人をグループ化した、ただし知的生物ならば全てグループ化できるが、マスター権限による干渉が及ぶのは選ばれし者達だけだ、だが選ばれし者達以外の者の行動も結果に影響を及ぼす』

「ようするにプレイヤー以外の者がパーティーに加わる可能性があると?」

『そうだ自由意志を持った者の行動を妨げる事はできないが、グループ下したキャラのステイタスを表示する事はできる』

「他のマスターのアバターが参加する可能性も有りえますね?」

『あり得る事だがいずれ解説しよう』


『この世界では、ダンジョンは何者かの意思により自然発生し、消滅しうる物になっている、これはオンライン・D&Eで拡張された要素だ』

「それがあたりまえな世界ですかい、とつぜんダンジョンが発生したら大騒ぎではありませんか?」

『それを脅威と認識し大騒ぎになるが、ダンジョンの発生そのもので驚いたりはしない』

「ダンジョンの自然発生が常識と言うわけで」

『神々の試練、悪神の悪意などと認識されているのだ、この世界の宗教の教義にも深く関係している』

『また、マスターが創造するダンジョン以外に、もともとある洞窟や迷宮や自然地形も利用できる』


五人組の詳細なデータが表示された。

『グループ下したキャラのステイタスを表示した処だ』


Lv1 セアド = フリッチュ

種族:人間(男)

職業:戦士

力 :17

体力:15

知性:4

賢さ:5

速さ:7

器用:8

魅力:4

運 :6

HP :16

AC :6

Neutral,Good


Lv1 コスタス = プレトリウス

種族:人間(男)

職業:僧侶

力 :6

体力:11

知性:3

賢さ:14

速さ:6

器用:9

魅力:7

運 :7

HP :12

AC :7

Law,Good


Lv1 ヘルベルト = ラーベ

種族:エルフ(男)

職業:魔法剣士

力 :6

体力:9

知性:12

賢さ:5

速さ:8

器用:10

魅力:11

運 :6

HP :11

AC :9

Neutral,Good


Lv1 ステッラ = メルリ

種族:ハーフリング(女)

職業:盗賊

力 :5

体力:9

知性:5

賢さ:5

速さ:10

器用:13

魅力:7

運 :12

HP :9

AC :10

Neutral,Neutral


Lv1 カビー = クルージェ

種族:人間(女)

職業:魔法使い

力 :4

体力:7

知性:14

賢さ:5

速さ:9

器用:10

魅力:6

運 :7

HP :8

AC :12

Neutral,Neutral


彼らのステイタスはLv1としては非常に優秀だな、ただ装備が初期で紙装甲、武器も市売品だ。

彼らはギルド前に集まり中に入っていく。

『かれらの数値は模式化されたもので大まかな目安になるものだ、詳細な能力の把握も可能だが大した意味はない』

「まあ、例えば詳細な握力を知るほどの意味は無いかもしれませんが」


『また彼らは冒険者ギルドから定められたクエストを受け取る、チュートリアルゆえに選択肢は無い、基本的なマスタープレイを体験してもらう』


パーティは冒険者ギルドから、初心者向けの初歩的なクエストを受けようとしている。

仮想マスターの依頼に応え世界の理の力が干渉を始める。


仮想マスターがシナリオパネルを開きシナリオを生成する。

『マスターのイメージから最適なシナリヲの概要を生成する』

「思えばそれが現実化するわけですか?」


仮想マスターがパネルを開く

『シナリオパネルからクエスト内容を確認できる、プレイヤーに開示するクエスト情報だ』

----------------------------------

クエスト(プレイヤー開示情報)


郊外の農村の裏山にコボルドが小規模な巣を造った、コボルドを掃討してほしい。

地図の作成など個別に報酬を払うと提示されている。


期限は7日以内


【背景】

この地の領主は殲滅部隊を派遣する程どでは無いとして、冒険者ギルドに懸賞金で依頼した。


掃討報酬 10GP

地図の作成 5GP


【備考】

また奪略品に関しては慣例的に冒険者の物

----------------------------------


「これは初心者向けですね」

殲滅せよと言うくらいならLv1の5人でも可能と考えても問題ない、クエストの内容からマスターが何をさせたいかプレイヤーは読まなければならない。

噛み合わないと無駄な時間を浪費したり、事故が起きる、ただし簡単だと思い込むのは危険だ。

無駄な時間と言うのは、例えばマスターが用意したマップの外に向かおうとしたりするとマスターはアドリブで対応しなきゃならない。

見えない壁は無いのでNPCで警告したり、凶悪なクリーチャーを置いて侵入禁止にしなければならない。

その先には実はマップが無いのだから。


『現実ではマスターの管理から離れるだけだ』

「まあ、そうなりますよね」


さてクエストではコボルドを全滅させよと書いているが、べつに撤退しても構わない、報酬が入らなくても死ぬよりはましなのだ。

時を置いて再度挑戦するのも有りなのだ、引けばまた来ることもできる。

マスターの世界観で死者の復活のコストは変わるが、Lv1の冒険者が死んだ場合に復活が困難ならば事前にNPCを通じて警告すべきだが。

現実ではその必要は無い、プレイヤーの常識や判断にまかせても良いだろう。


『シナリオパネルからクエストの全体を確認できる』

仮想マスターがシナリオパネルを開く

---------------------------------

クエスト


掃討報酬 10GP

地図の作成 5GP

コボルドキングの討滅 5GP


【備考】

アイボリーペンダント 3GP

アイボリーペンダントを持ち帰りギルドに提出した場合 20GP [詳細]


☆ 報酬の100倍を経験値として受け取る。

---------------------------------

こちらにはプレイヤーには開示されていない報酬が含められている。

コボルドキングが存在する事をマスターは知っているが、プレイヤーは探検する事で発見できる。

ただしプレイヤーがコボルドキングを討ち取った場合の報酬をギルドの事務員に聞けば開示しても良い。


アイボリーペンダントの[詳細]から詳しい説明が表示された。

ペンダントをギルドに提出した場合、無くなった母親の形見のペンダントを探していた金持ちが報酬をくれると言う隠し要素がある。

またそのまま私物化してもなんら問題ない。

Law,Goodならそう振る舞うべきと考えて行動すると思わぬボーナスを得られる、Evilでも知能が高ければ偽善的に振る舞うのも有りとなる。


プレイヤーがギルドの他のクエストに興味を持ち調べた場合に、その中に探し物クエストが混ぜられている、今回は彼らは他のクエストを受けられないが他のクエストに興味を持つ自由はあるのだ。


プレイヤーのスキルが高いと有益な情報をマスターから引き出せる場合があるし、マスターはそういう行動を取るプレイヤーが美味しい思いをするように努めるべきだった。


ふと冒険者ギルドの彼らの担当者の事を知りたく成った。

「冒険者ギルドの彼らの担当者を確認したいですね」

『仮想マスターに表示させよう』

ステイタスなど情報が出てきたな、備考に怠惰でいい加減な男となっていた。


「最後の報酬の100倍を経験値として受け取るとはなんですか?」

『マスターの試練を受けた場合の特典だ、通常は獲得した財貨の価値と等価の経験値しか入らない』

思い出したD&Eの初期の頃は獲得GPと経験値が等価だったためバランスに問題があったのだ。



『では地図を確認しようか』


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