①観察日記 by司馬 有紀
司馬くん視点
四月×日(月)
今日、このクラスに新しいヤツが来た。
入学から十日、窓際に一つだけ空いていた空席の主だそうだ。なんでも大雪で大混乱した日に骨折して今の今まで入院していたらしい。今年の雪は酷かったもんな。俺の知り合いのおじさんも屋根から落っこちて入院したし。
そんな奴の第一印象はチビでひょろいヤツ。転んで骨折したと言われれば納得できる細さだ。
そしてメガネ。視力が悪いのは分かるが、黒縁ってどうなの?って思う。ぶっちゃけ似合ってるけど、鬱陶しい前髪と相まってかなり暗く見える。
これで髪がカツラで、瓶底のようなメガネだったら王道だな……とは心の中で思ったが、あれはどう見ても地毛だし黒縁メガネもオーバルタイプのフレームにレンズの厚さも普通だから王道とは随分かけ離れている。それに転校生じゃないしな。
県内唯一の男子校ってことで八割がた興味だけで俺はこの高校を選んだ。だって男子校だぜ?目の前で趣味が堪能できるかもしれないんだぜ?行くしかないだろ!俺は欲望に忠実な男なんだ。
だが、現実は甘かった……。そうそう俺好みの面白いネタは転がってはいなかった。しかも来年からは共学になるし……。実質この一年しか男子校ライフを楽しめないなんて……!!残念だ!ものすごく残念だ!
やべ、話題がそれた。
とにかく、そいつ……片瀬律に対して俺が思ったことと言えば、同じクラスであってもあまり接点がなさそうなヤツだな、ということだった。 ――なんて思っていたらこの十日で連むようになった喜多川と親戚だったらしい。早速今日から接点ありまくりで一緒に行動するようになった。
見た目暗そうな奴なのに喜多川やナギとは普通に話してるし、暗そうに見えるのは見た目だけらしい。俺や佐武とも普通に喋ってたし。
……そして何より重要なのが、俺がずっとひた隠しにしてきた趣味に気付かれてしまった。中学から連んでいる佐武以外、知られていなかった趣味だ。
…………何故バレた。そう言えば佐武も俺がそういった考えをしているのが分かるらしい。それと一緒なのだろうか。片瀬が言うにはあいつの妹が俺と同類らしいが、片瀬も十分同類のように見える。バラす事はないと言っていた言葉を信じたい。
まぁ、おおっぴらに話せる趣味ではないからこれからも隠し通すつもりだが、理解してくれる味方が増えた事も含めてこの高校に入ってよかったと俺は思った。
四月×日(木)
ここ最近の俺は気分がいい。
現実は甘かったと半ば諦めていたところに、萌え展開が転がり込んできたからだ。
萌えの提供源はもちろん片瀬だ。ヤツはいい仕事をしてくれている。
片瀬の足は当分松葉杖が手放せない生活らしく、片足で歩き辛そうだし、実際移動に時間がかかっている。移動教室の時は十分ある休み時間内に片瀬の移動は間に合わなかったし。
最初は、片瀬に合わせて一緒に歩いていた。が、間に合わないと口にした喜多川に言われて、俺と佐竹は先に移動させてもらった。片瀬たちが教室に着いたのはチャイムが鳴って二、三分過ぎた頃だった。
その日以来、移動教室のときの片瀬はおんぶでの運搬となった。運搬係は喜多川で、荷物持ちは俺たちだ。片瀬は不服そうな顔をしていたが、移動の度に遅刻していたのでは仕方がない。喜多川とナギが宥めすかして説得させていた。
まぁ、この歳になっておんぶされるのは俺だって嫌だ。ぶっちゃけ恥ずかしい。
でも大丈夫だ片瀬!おんぶされているお前も十分役に立っている!俺に萌えを提供してくれているんだから!
そんな片瀬はまたまた俺に萌えを提供してくれた。
朝から先輩に担がれて教室に運ばれてきたのだ。その道中を見れなかったことが至極残念でならない。さぞ萌えを振り撒いていた事だろう。……だが問題ない。俺の妄想力は伊達ではないのだ。必ずや最高の萌えに仕上げてやろう!例え片瀬に手痛い手刀を食らっても!
片瀬が提供してくれる萌えのお陰で、ここ最近の俺の創作活動は忙しい。創作意欲がフル稼働だ。いい事なのだがメインに手をつけられていないのがちと不味い。ぼちぼち考えていかなければ。
あー、早く放課後にならないかな。
その内、りー先輩視点も




