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第八話

今日の授業は、調理科学だった。

卵と牛乳を入れないクッキーと卵を入れたクッキー、牛乳を入れたクッキー、全てを入れたクッキーを作る。

どう味が違うのか、確かめるのだ。

まず、バターを室温で温める。バターに砂糖を入れる。卵を入れるバージョンでは、卵を入れ、薄力粉をへらで混ぜる。よく混ざったら、冷やして、麺棒で伸ばし、ハート型に切る。そして、160℃のオーブンに入れて20分焼くのだ。牛乳入りや、全部入れるバージョンも作った。

教科書を見ながら作ったが、私のはグチャグチャになってしまった。

さらに悪いことに、お腹が痛くなってしまった。

このクッキーのせいか、昨日食べすぎたせいか。

私はトイレに駆け込んだ。


「大丈夫?」

トイレから戻ると、隣の席の鏡田巫女子がこちらを見る。彼女は、巫女さんの仕事をしていて、料理上手だ。私のと違って、クッキーが整っている。

「大丈夫」

ホッカイロを張ってなんとか腹の調子がよくなる私。

「なんで、私のは、上手く出来ないんだろ!」

と私が独りごつと、巫女子が、私のクッキーをひょいと口に入れた。

途端に咳こむ巫女子。

「何これ、砂糖入れすぎて、超甘いよ。食べれないこともないけどさ」

最後は、フォローする。

私も巫女子のクッキーを口に入れる。

-甘い。しかも、形も整っている。パーフェクト。

私は心の中で、称賛する。

レポートに、作り方と感想を書いて提出するのが、明日まで。

-キンコーンカーンコーン

授業の終わりを告げる鐘が鳴り響く。

「終わった、終わった」

後ろから樹下舞喜が抱きしめる。

「お昼ご飯の時間だね」と上山蒼。

「学校の屋上で食べようか」

と如矢美久実は、提案した。

「そうだね」と私は賛成した。

今回の私の弁当は、ほうれん草の卵焼きと、アスパラガスの肉巻き、ミニトマトに、混ぜ込みごはんだ。

皆のお弁当はと言うと、巫女子は、幕の内弁当のような豪華な弁当で、舞喜は、魚を揚げたのり弁当。如矢美久実は、親子丼。上山蒼は、スーパーで買ったらしい値引きシールのついた菓子パン2個。皆、それぞれタンブラーを持っている。

「その菓子パン、シール入ってるんだ」

羨ましげに言う舞喜。

「へへ、いいでしょ。スーパーで値引きしてたんだ」と蒼。

「今度、私も買おうかな」と舞喜。

「カルシウム入ってて、美味しいよ。こっちのは、食物繊維入ってる」と蒼が解説する。「シール重なってしまったら、あげるね」

「いいよ。私も買うつもりだし」と舞喜が、魚を食べる。

私もお腹が痛いのが治ったので、ほうれん草入り卵焼きを食べる。私にしては、美味しい。

-毎日弁当作ってるのに、ハズレがあるのは、何故だ。まあ、いいや。今日は、当たりだったから。

そんな事を思いながら、昼食タイムは、過ぎていった。

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