第六話
「あれ?」
私が目を開ける。家じゃないのに驚いて、それから、走馬灯のように、今までの経緯が思い出される。
-そうだった。私は勇者として呼ばれたんだった。
起き上がると、ラーノットさんが「おはよう」と言った。
ワイシャツに黒のズボンを履いていた。
私も「おはようございます」を言う。
辺りを見回すと、鈴桐は、もう起きていて、「おはよう」を言い合った。
「朝ごはん持ってきたわよ」ルミナリーさんもワイシャツに黒のズボンで、両手に何か抱えている。
バタロール、ミルクティー、野菜炒り卵、野菜の酢漬けだった。
-何コレ。最高
そんな事を思いながら食べる私。
「今日は、何をやるんですか?」
鈴桐が尋ねる。
「今日も勉強なの」とルミナリーさんがすまなそうに言った。
「嬉しいです。勉強やるの」
私が喜んだ。
「そう言ってもらえて良かった」とラーノットさん。
朝食後、私はラーノットさんの、鈴桐は、ルミナリーさんの洋服を着る。
私は青い長袖に、黒のズボンで、鈴桐は、ピンクの薄手の服に水色のズボン。
「似合っているわ」
とラーノットさん。
お礼を言って階段を降りて書斎に向かう私達。
書斎に行く途中、アルヴァさんに鉢合わせた。
「ちょうどよかった。朝ごはん食べた?」とアルヴァさんが爽やかに言った。
「食べたわ。アルヴァは?」とラーノットさんが尋ねる。
「食べた。お腹いっぱいだよ。さあ、勉強だ」
ラーノットさんが鍵を開けて、皆で書斎に入った。
「今日は、この本」
ルミナリーさんが四冊持ってきた。
「私がコピーした本だから、もらっていいわ」
「これ、全部写したんですか?」
私は、驚いたように言った。
「本持っているし、もう、全部暗記してあるわ」
ルミナリーさんが誇らしげに頭を指差す。
「私、もらっていいですか?」
と鈴桐。
「もちろん。山吹さんももらっていいのよ」
「はい。もらいたいです」
私は素直に貰うことにした。
内容は、医術についてだった。
-ヒーリングの魔術だ。
細かく指示されている。
私達は、時間を忘れて勉強をしていたが、ふと私のお腹がなった。
時計を見ると、十二時をまわっている。
「そろそろお昼ご飯の時間だ。食事がなくならない内に食堂に行かないと」とアルヴァさん。
「そうね。勉強は、これくらいにして、ご飯を食べに行きましょう」とラーノットさんが立ち上がった。
書斎を出て、厳重に魔法をかけるルミナリーさん。
その後は、食堂へ行って、お昼ご飯が並んでいるのを見た。
「先に食べてしまう所でした」と金髪美女でラーノットさんとルミナリーさんに面影が残る女の人が言った。
「すみません、お母さま。今度から、時間を見るようにします」とラーノットさんが恐縮した。
テーブルには、パン、ステーキ、クラムチャウダーと緑のサラダとプディング。
私達が座ると、一番後ろの席に座っていた黒髪の男性が「神様に幸あれ」とお祈りを捧げた。
皆真似して、ご飯を食べ始めたので、私もお祈りを捧げて、食べ始めた。