第五話
扉を開くと、そこは、何もない空き室だった。
音楽がかかっている。
-何の音楽だろう
私は無類の音楽好きだが、聞いた事もない曲だった。しかし、アップテンポですぐに好きになった。歌声も素敵だ。
「これは、誰の歌なんですか?」
と私はラーノットさんに聞いてみた。
「これは、月美の歌。地球の騎士の1人。こっちでは、歌手やってるの」
ラーノットさんは、空き室の扉を開けた。
「これからが大変よ。いっぱい勉強してもらわないといけないから」
「「はい」」と私達が答えた。
扉を開くと、螺旋階段が続いていた。
ラーノットさんの後から、私、鈴桐、アルヴァの順に階段を上って行く。
螺旋階段は、かなり長かった。
上りきったら、また扉があった。
その先は、扉がなくて、通路になっていて、違う建物に入れるようになっていた。進んで、建物に入る。
まっすぐ進むと、
ラーノットさんがある扉の前で、
「ここが勉強部屋」と言った。
中にはたくさんの本がそびえ立ち、中央に机が一つ、四つの椅子があった。
「すごい」
鈴桐が感想を言った。
確かにすごい量の本だ。
「勉強しよう!」
そう言ってアルヴァさんが本を数冊持ってきて、机にドサッと置いた。
「椅子に座って」
ラーノットさんに促されるままに椅子を動かした。
本を一冊とって、バッグから魔術書を取り出して、2つとも見てみる。
家では、分からない言葉が、スイスイ読める。
-面白い
ラーノットさん達も、懸命に勉強している。
楽しくて時間が過ぎるの、忘れてしまった。
「しまった」
アルヴァさんが言うと、時計は、十二時時を過ぎていた。
「ごめん。時間を忘れてしまった。そろそろ寝ましょう」とラーノットさん。
扉を厳重に閉めて、しばらく廊下を歩いて、階段を12、廊下を曲がり、2つ上がった。
「ここが、私の部屋」とラーノットさん。「鍵を開け」と唱えて、鍵を開ける。
部屋は、ほとんどシンメトリーになっていた。
中には人がいた。
「ラーノット、遅かったわね」
金髪で、青の目。目は、ツリ目だが、ラーノットさんにそっくりだ。
「こちら、ルミナリー。私のブレーンなの」
ラーノットさんが言った。
「よろしく。姉がお世話になりました」
ルミナリーさんが手を差し伸ばした。
「私、鈴桐っていいます。よろしく」
と鈴桐が手をつかむ。
「私は山吹です。お見知りおきを」
私も手をつかむ。
「じゃあ、僕は、退散しよう」
アルヴァは、そう言うと去って行った。
鍵をかけるラーノット。
「疲れたでしょう。寝ましょう」
ラーノットさんがベッドを指し示した。
「私達は、寝袋に寝るから、どうぞ」
「ラーノットさんが寝ていいですよ」
恐縮する私と鈴桐。
「お客様だから、いいのよ」
ルミナリーは言う。
言われるままがベッドに入る私と鈴桐。
「ネグリジェが、ベッドにあるから。ローズティーはいかが」
とラーノット。
ネグリジェに着換え、ローズティーを飲む4人。
-今日は、疲れたな。
でも、楽しかった。
ベッドに、入ると、いつの間にか深く寝てしまった。