第四話
「今度の旅は、少し長くなる。準備して」
とアルヴァさん。
私と鈴桐は、バッグに荷物を入れる。
私は、料理本、魔術書、音楽プレーイヤーとかんぱんと懐中電灯、服をしまった。
「準備はできた?」
とアルヴァさんは、尋ねる。
「はい」と私は答えた。「鈴桐は、出来た?」
「うん。もう準備バッチリ」
「さあ、出かけよう」
とアルヴァさんがかけ声をかける。
私と妹は、新しいスニーカーを履いて魔法の世界に向かった。
「目を閉じて」とアルヴァ。
それから、一分経ってアルヴァが「目を開けて」と言った。
目を開くと、着いた先はやはり、にんじん畑。ミリーの住んでいる家へと向かう。
-遠い。
私は息をついた。
まだ着かない。
荷物が重い。
-ちょっと荷物多すぎたかな。
と私は後悔した。
ミリーさんの家に着いたのは、前より時間がかかった。
-コンコン
アルヴァさんが扉を叩く。
扉が開くと、そこにいたのは、青色の目をした金髪美女だった。
「おかえり、アルヴァ」
「ただいま。ラーノット」
彼女は、ショートヘアが似合う。思わず見とれてしまった。
「疲れたでしょう。夕食が用意してあるから」
とラーノットさんが言って、奥にひっこむ。
「さあ、入って」
アルヴァさんが言った。
机にあったのは、5人分の肉のソテーとパン、かぼちゃのスープ。
そこには、ミリーさんもいた。
「「「こんにちは」」」
私と鈴桐とミリーさんがハモる。
三人は笑った。
「どうぞ。私の自信作です」
ミリーさんに促されるままに、椅子に座る。
「美味しい」
また言ってしまった。
「肉のリンゴソテーです。お褒めいただき光栄です」
皆が食べ終わると、ミリーさんは、キッチンに引っ込んだ。
持ってきたのは。
「ブロマンジュだ」
と私は言った。
ブロマンジュは、この間家で作った。
料理下手な私が、これだけは、上手いなとお父さんに言ってもらえたものだ。
ミリーさんが作ったブロマンジュは、私のと違って、イチゴのソースがかかっている。
「ブロマンジュは、お姉ちゃんの得意料理だもんね」と鈴桐。
とりあえず、ブロマンジュを食べてみる。
-甘い、そして、美味しい。
「私が作ったのより、美味しいです」
と私が言うと、ミリーさんは照れたように笑った。
「さっき作ったばっかりなんですよ。褒められて嬉しいです」そう言うミリーさんは、やっぱり美人だ。
ブロマンジュを食べて終えると、ラーノットさんが咳払いをした。
「おほん。そろそろ出かけてもいいかな」
「「はい」」
私と鈴桐が答える。
ラーノットさんの後に続くと、動物の絵が描かれたドアに辿り着いた。
その扉を開けるラーノットさん。
眩しい。
「さあ、行こう」
ラーノットさんは、扉を押さえたまま、かけ声をかける。
これからどんな事が待ち受けているのだろう。
私は、期待に胸を踊らした。