航海日誌
(波の音)
(カモメの鳴き声)
(船体の軋む音)
嵐は過ぎ去った
大陸はまだ見えぬが
どこのものかも分からぬ地図ゆえ
コンパスも役に立たぬ
それでも私の前には
どこまでも青い青い海と
どこまでも青い青い空が
地図などいらぬとばかりに広がっている
固く閉ざした三つの窓と
少しだけ開いた一つの窓
そこから入ってくる潮風が
船室のよどんだ空気を洗い流してくれた
航海日誌のページをめくり
次も白紙であることを確かめると
私は静かにそれを閉じた
そうして私はゆくのである
どこまでも青い青い海と
どこまでも青い青い空の間
何よりも青い青いものを探して
誰よりも青い青い私のままで