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すれ違い姉弟  作者: 辻一成
第一章 それぞれの初日
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第2話

さて、突然ですが男性の方々に質問です。別に女性でも構わないのだけれど。同性に告白されたことはありますか?いやいや、もちろんからかっている訳では無い。もしその経験がある方がいれば、是非そのお話をお伺いしたいのだ。なぜかって?いやなに、簡単な話だ。僕が現在、その状況に置かれているというだけだ。小説か何かのように少し話に間ができたからといっていつの間にかそんな危機的状況から離れ、少しあとになってからこの過去を振り返る...なんて楽な展開にはならないのだ。世の中そんなに甘くない。いや、失敬、錯乱している。まずそういう「ヤバイ」状況に置かれたとき、するべきことはなんだったか。...そうだ、状況を整理しよう。できるだけ簡潔に。国語の問題のようなものだ。さて、この場面で起こっていることを簡潔に、30字程度でまとめなさい。ふむ、つまりこうだな。

『僕、遠峰影。性別、男。現在男に告白されている。しかも始業式前、人が沢山いる体育館で。』

おぉ、我ながら上手にまとまったな。じゃない、そんな風に自画自賛している余裕は全くない。こちとら数ヶ月ぶりにまともに人と会話してやっと普通の会話に慣れてきたばかりだというのになんだこの状況は。ハードルが高すぎる。走り高跳びでもするつもりか。それ以前にこんなにたくさんの人がいる場所で目立ってしまってはいけない。僕のような不純物は青春を謳歌している周りの生徒達の記憶に残るべきではないのだから。ならば今僕がするべきことはなんだ。この状況をうまく収束(しゅうそく)させ、普通に始業式にでることか。うむ、控えめに言って無理だ。不可能だ。007もびっくりの難易度じゃないか、このミッション。彼らなら、いや別に普通の人でも容易にやってのけるかもしれないが、コミュニケーション能力も機転も全くない僕にそんな無理難題を押し付けないでくれ。

そもそも、この優男...確か高尾(たかお)...優馬(ゆうま)だったか?はなぜ僕に告白なんてことをしてきたのだ。あれか、もしかして罰ゲームというやつか。いや、それにしてはおかしいだろう。僕はほとんどの生徒に知られていないはず。もし罰ゲームなら学園アイドル...つまり高瀬秋音あたりに告白して玉砕(ぎょくさい)されてこい、みたいな感じになると思う。まあ男に告白というのもなくはなさそうだけれど。それでも標的を僕にはしないだろう。ではなぜだ?そういえばそんな話をテレビで見たことがある気がする。確か...同性愛者だったか。彼はその同性愛者ということか?一応注釈しておくともちろん僕はそういった方々を軽蔑したり否定したりしないけれど、されど自分が当事者となってしまってはそうも言っていられない。きっとそういうこと...

「あの、遠峰さん?」

しまった、完全に失念していた。思考に気が行き過ぎていた。どうしようどうしよう。とりあえず今すぐこの話に結論を出すことは不可能だ。ならば問題を先送りにしよう。今僕にできることはそれくらいだ。あわよくばそのまま話がなかったことに...はできないか。

「あの...すみません。突然の事で気が動転してしまって...今日、このあとどこか人がいないところでもう1お話しませんか?」

よし、完璧なセリフ。見ようによっては本当に告白されて悩んでいる乙女のようだがそんなことは気にしていられない。

「それなら、帰りのホームルームが終わったあと、こと体育館の裏で!」

おぅ...気合い十分...。これは逃げることはできなさそうだ。それになぜそんなに大きな声で言うのだ...。

「あ、はい...」

「それじゃ、またあとで!」

はぁ...なんでこんなことに...。


まぁその後の始業式は全く問題なく終わった...。という訳でもない。いや、問題はなかったが、姉さんがいた。始業式自体は中等部、高等部と別に行われているのだが、高等部の生徒会長ということで中等部の始業式でもスピーチをしたのだ。相変わらず素晴らしいものだった。正直校長の面目丸潰れだった。もちろん僕の贔屓目(ひいきめ)があまりにすごいという訳ではない。実際、メモを取っている生徒もいたし、生徒皆が涙したり笑ったりと始業式のスピーチのレベルではないことは間違いなかった。僕はいついかなる時も姉さんの活躍を保存するためにICレコーダーとビデオカメラを常備しているので、当然録画、録音した。学校に不要物?何を言うか。姉さんの活躍が収められているものだぞ。国宝レベルだ。将来の人間国宝...いや世界の宝となる姉さんのだ。不要物な訳がない。っと...話がそれてしまった。とりあえず姉さんのスピーチを見て先程の騒動の疲れを回復できた。さぁ、この問題の解決に向けて作戦を練らねば。


さて、教室に戻り担任教師が来るまで休み時間。本を読んでいるふりをしながら作戦を練る。後ろの鈴谷早苗も隣のすずなりんかも他の女の子と話しているため僕に話しかけてはこない。僥倖(ぎょうこう)だ。さてさて、まずは彼、高尾優馬について考察しよう。まぁこれはほとんど完了しているため確認のようなものだが。現在1番可能性が高いのは彼が同性愛者であるということ。次に可能性があるのは罰ゲーム。そして先程は思いつかなかったが人違いという可能性。もしかしたら誰か別の遠峰さんと間違えてしまったのかもしれない。そんなほぼほぼない希望に(すが)ってみる。まぁまずそんなことは有り得ないけれど。だって一世一代の告白だぞ。どんなにおっちょこちょいでもそんなケアレスミスはしない。そんな一世一代の大きな出来事かもしれない告白を僕が受けたと考えると胃が悲鳴をあげてしまう。できるだけ考えないようにしよう...。あと、普通は彼が同性愛者という確率が最も低いけれど、相手が僕だからな、なんの特徴もないうえほとんど誰も知らない生徒。そんな気弱な男子がタイプなのかもしれない。こうやって自己評価をするとあまり良い気分はしないな。まぁ高尾優馬についての考察は終わりだ。

次に後で会う時何をすべきか。まず真偽の確認、つまり本気の告白なのか俗に言う嘘告白というものなのか。それを見極める。いや、見極めるスキルなんてない。聞く。そして彼が同性愛者なのかも聞く。(こく)なことかもしれないが僕だってそれくらい教えてもらう権利があるはずだ。そして、それらを聞いた後で彼が本気だとしたら、いやもちろん本気でなくともだが、丁重に、そしてできるだけやんわりとお断りしよう。僕にそういった趣味はない。そもそも僕は誰かとお付き合いするとかそういうつもりは全くない。理由は分かりきっているが、そんなことをしたら絶対に他人の記憶に残るからだ。これ以上目立った行動をするのはタブー。恐らくさっきのことでも大分目立ってしまっただろう。周りの好奇の目が痛かった。そんな場をなんとかやり過ごした僕、よくやった。姉さんに一言褒めて欲しい...そうなるためにもこの程度の試練で(くじ)けるわけにはいかないんだ!...あぁ、やっぱりまだ落ち着けていなかったようだ。柄でもないセリフだな、考えを戻そう。

本気の告白だった場合についての処理は先程のもので良いだろう。

今度は彼を利用する算段を立てねば。性格が悪い?いやいや、人聞きの悪いことを言わないで欲しい。正直僕は彼から多大な迷惑を受けている。その見返りを貰うのは当然だ。転んでただで起きる僕ではない。と言っても気になることを2、3聞くだけだ。


①なぜ「さん」づけて僕の名前を呼ぶのか。

②なぜ僕のことを知っていたのか。

③姉について


ふむ、改めて整理すると非常に分かりやすいな。いずれも別に彼に聞かなくても良いのだが、まぁこちらも迷惑を被っているので人に話しかける際の将来を汚す罪悪感が多少薄れるから、という理由で彼に聞くことにした。①は恐らく深い意味はないが、今日言葉を交わした4人中4人が全員同じく「さん」をつけて呼んでくるので、少し、いやかなり気になっている。普通初対面の男子には「君」をつけるものだと思うのだが...まぁ深い意味は無いだろうが一応聞いてみるというだけだ。そしてこれはまぁまぁ重要だ。②について。僕は去年、みなの記憶に残らないようにするための努力として、学校では何も努力しなかった。当然全員の前でスピーチをしたり、授業中の発言したりもほとんどしておらず、もちろん、教諭の呼び出しも食らったことはない。そんな僕がなぜ他人の記憶に残ってしまっているのか。本当に驚いた。いや、というより不気味だ。では聞こう。いつも教室で一人ずっと本を読んでいる人間、もちろん勉強が特別得意だったり運動神経抜群だったりする訳でもない。そんな人間をあなたは覚えるだろうか。答えは当然Noだ。覚える必要が無いから、そんなものは覚えようとしないし関わろうともしない。まぁそれが僕なのだが。けれどそれが、本当は誰の記憶にも残らない筈の僕が人の記憶に残っているのだ。当然この問題については自分で答えを出したかったが、どうも時間がかかりそうなのでチャンスもあるし、(いさぎよ)く人に聞くことにした。あと③について、これは完全なる僕のエゴだ。何か姉についての情報を持っているようだったら姉との関係改善のために役立てたい。それだけだ。


思考をまとめ終わったタイミングで丁度担任教諭が戻ってきた。はぁ...いよいよ彼と再会か。もう嫌になってきた。気になることもあるけど逃げようかな...。

「みなさん、改めておはようございます。ついでに、自己紹介ももう1度させてもらうね。今年1年、このクラスを受け持つ玉野香(たまのかおり)です。今年教職に就いたばかりなので色々拙い部分もあるかもしれないけど、1年間よろしくね。」

と、担任教諭、もとい玉野教諭はなるほど、新卒らしい。若々しく、まだあどけなさが残る顔に優しい笑みを浮かべながら僕たちにラフな感じで挨拶をしてくれた。あぁ、こういう先生は人気が出そうだな...。まぁ僕にはほとんど関係ないけれど。ポニーテール...だったか?にピシッとスーツをキメている。だがその...言ってしまえば幼い顔にスーツというバランスの悪さは否めない。当然髪は黒い。ただ鮮やかかと問われるとまぁ、普通に黒い髪だね。という感じだ。そこも変に近寄り難彼(がた)い印象を与えなくて良いのかもしれない。あっ、出席簿落とした。そんなに慌てなくていいのに。

「ごめんね...緊張していて。次はこのクラスについて少し説明しますね。」

おぉ、そういえばそうだった。彼...高尾優馬に振り回されていたせいでこのクラスに女の子しかいないことを忘れていた。

「このクラスは試験的に女子のみで構成されているの。目的としては体育前の着替えがスムーズにいくように、とか男子の女子いびりを防ぐため、とか色々とあるみたい。まぁ、とは言っても他クラスとの交流をしちゃいけないーとかそういうことは全くないから去年のクラスメイトとも気兼ねなくお話してね。」

おいおい、穏やかじゃないぞ、これは。この教諭、さらっと「女子だけ」と言ったな。僕は男だぞ?これはどうしたものか、いや、まだ話に続きがあるのかもしれない

「じゃぁ次はみなさんに自己紹介をしてもらいます。安直だけど出席番号順で構わないよね?じゃぁえーっと、とおみねさん?で良いのかしら、よろしくね」

そんな希望はあっさり打ち砕かれた。説明なしか...あとで聞こう。やっと気づいたが僕は人の記憶に残らないため。という大義名分を使って人前で話すのを避けてきたけれどそれが長すぎたせいなのか、それとももともとの僕の性格なのか大勢の前で何かすることが苦手らしい。

ふと気づくと、先程は静かに話を聞いていた級友たちがざわめいてる。女子しかいない教室のためざわめきもなんだか高い音だな。しまった、自己紹介か。全く考えていない。え、しかも前に出なければいけないのか。あ、一応断っておくと僕は当然男子用の制服を着用している。そのため僕が男子であるという証明は流石にいらないだろう。「遠峰影、男です!」とは言いたくない。なんだか負けを認めたような気分になる。まぁ無難にいこう、無難に。意を決して、立ち上がる。

 そして...何も無いところで、こけた。は?周りからの笑い声が聞こえる。もちろん指を指して笑うような感じではなく、苦笑もあれば嘲笑もあり、果ては哀れみを伴った渇いた笑いまで感じられる。あぁ、終わった...。僕の中学校生活終了。もともと終わってるようなものだけれど。あっ自己紹介...しなきゃ...。

「す、すみません。えっと、遠峰影、去年は2組でし...た。好きなことは...読書です。1年間、よろしくお願いします...。」

なんだか少し教室がざわめいてる。なんかみんな獲物を見るような目でこっちを見ている気が...。あぁ、これから1年、いじめられるのか。生唾(なまつば)を飲み込むような音も聞こえた気がする。うぅ、あれ、おかしいな視界がぼやけてる。目に汗が...。顔が紅潮(こうちょう)しているのがわかる。もしかしてすごく印象的な自己紹介をしてしまったのではないか。最悪だ。...でも、今はその後悔をしている余裕はない。もう。印象に残るとかそれ以前にものすごい恥をかいた。しばらく立ち直れそうにない。あれ...やっぱり黄色い声が上がりすぎていないか?

「ありがとう、遠峰さん。次は鈴谷(すずや)さん、お願いね。」

先生も少し声が震えていた。あんまりだ。

鈴谷早苗(すずやさなえ) です、去年は4組でした。結構世話好きな性格だと自覚してます。何か困ったことがあったら相談してもらえると嬉しいです。1年間、よろしくお願いします。...あと遠峰さん、すごくお世話し甲斐(かい)がありそうで今から楽しみ...ふふふっ」

おぉ、お辞儀の角度まで完璧だし、すごく聞き取りやすい声だ。でも最後、何かぼそぼそ言って笑っていたような...?気のせいか。

と、まぁ順当に自己紹介が進み、いつでも会えるアイドル、高瀬秋音(たかせたきね)の番が回ってきた。...ごめんなさい、調子に乗りました。本来は天上の存在です。いつでも会えるなんてそんな軽々しい方ではありません。

高瀬秋音(たかせあきね)です。去年は2組でした。これといって好きなこととか、得意なことはありませんがみなさんと仲良く、普通に生活できればと思います。あと、この場をお借りして。人が多いところで申し訳ないのですが、遠峰さん、さっきはありがとうございました。」

流石学園アイドル。で、もと女優。立板に水なうえ完璧なセリフ。で、さっきって何?僕の名前が呼ばれたような...。あぁ、あれか、さっきの自己紹介でおもしろいものを見せてくれてありがとう。みたいな感じか。ははは、もう何とでも言ってくれ。悪いのは僕だ。...はぁ。

何人かの自己紹介が終わり、聞いた覚えのある名前が聞こえた。どうやら新学期早々僕に声をかけた変わり者、(すずな)さんの番のようだ。相変わらず花が咲いたような笑顔だな。花が咲いたよう、ってなんだか詩人気取りで気持ちが悪い。

菘凛花(すずなりんか)です!去年は5組でした!趣味は特にないけど、友達と遊ぶのが大好きで、みんなとも早く仲良くなりたいと思ってます!よろしく!」

相変わらず元気いいなぁ。いや、相変わらずってなんだ、馴れ馴れしいな。たかだか1回話しただけだろう。ふと顔をあげると菘さんがこちらにやはり満面の笑みを向けてくる。あぁ、やめて、そんな青春スマイルでこっちを見ないで、灰になる。もともと灰みたいなものだけど。そしてやっと菘さんの下の名前が凛花だということを知れた。正直「凛」というよりも「陽」とか、そういう暖色を思い浮かべる漢字の方が似合う気がする。まぁ僕にそういったことのセンスなんて全くないのだけれど。そしてそれを口出しする権利もないのだけれど。

まぁそのまま順当に自己紹介は進んでゆき、何人か去年の級友もいたが特に関わりのある子はいなかったのでスルー。特に目立った紹介をしたり、失敗をしたりするような僕みたいな子はいなかった。最後の子が席に戻るとまた玉野教諭が話し出す。

「ありがとう、とりあえず今日やることはこんなものかな。色々と決め事もあるけどそれは明日以降進めていきます。なので今日は解散。教員会議があるから早めに帰るように!それでは、さようなら!」

と、先生が大きめの声で言い終わるとみなそれにならって一斉にさようなら!と負けじと大きい声で返す。しまった、そういう感じだったか。乗り遅れた。さて玉野教諭に話を聞かねば。なぜ僕だけこの女の子クラスに入れられてしまったのかを。



当然僕が人がまだ多い教室で教諭と二人話すなどと言う積極的な生

徒だと思われたい訳がないので、自席で少し本を読んで時間を潰してから職員室に向かうことにした。勘違いされているかもしれないが僕は別に緊張しやすいという性質(たち)ではなく、ただ他の生徒や教諭の前で目立った行動をしたくない。それだけなのだ。と一応何の得にもならない弁明をしてはみたが人と話すのが苦手だということに違いはない。

そういえば今日、自分から人に話しかけるのはこれが最初だな。あぁ、嫌だなぁ。みんなどうしてあんなにスムーズに人と会話できるのだろう。いや、そもそもどうして自分から人と話そうと思うのだろうか。正直僕から見ると中学生の会話はどれも例外なく生産性がないものに思える。ただし僕が聞く会話なんて大声で笑って騒いでいる生徒の声が否応なく聞こえる、という程度のものなので、例外なく、とは言ってもその例が数える程しかないのだけれど。(ちな)みに僕が聞くその会話はやれ昨日のドラマを見たかだの、やれ最近発売されたゲームを買っただのそれを聞いて君はどうしたいのだと問いたくなってしまう内容ばかりだ。もちろん実際に聞く勇気も度胸も必要性もないのだけど。卑屈(ひくつ)なことを熱を込めて言っているがただ心の底からそう思っているだけだ。とは言ってもそんな他愛もない会話こそが青春の思い出になるのかもしれない。思えばそんな会話をしているときの彼ら彼女らはとても楽しそうだった。笑顔だった。それに比べていつも本を読んでいる僕のような存在はほとんど笑っていない。ふむ、自分の知らないこと...僕にとっては(もっぱ)ら青春のことだが、そんなことは語るべきではないな。反省しよう。知ったかぶりは人との交流を持つうえで失敗したり、恥をかいたりなど、とにかく悪い事の原因だ。まぁ僕に人との交流なんてないのだけれど。

そう、今の僕が1年通った学校なのだから流石に職員室の場所くらい知っている、と自信満々に教室を出たはいいもののいざ探してみると全く分からない、というような状況を生み出してしまうように。とはいえ自分を信じずとも誰かに職員室の場所を聞こうとはしなかっただろうが。どうやら僕は方向音痴でもあったらしい。常々使えないやつだとは思っていたけれどこれ以上ウィークポイントを増やしてどうする。流石にもう自分でも擁護(ようご)できないレベルだぞ。これ以上はいくら寛大(かんだい)雄大(ゆうだい)な心の持ち主である姉さんも呆れ果てて全く口をきいてくれなくなる。それは防がねば。...まぁ実際はもうほとんど口をきいてもらえないのだけれど。



現在、中等部校舎2階2年1組前、結局職員室が見つからず1度戻ってきた次第だ。時間を空けて教室を出たとはいえまだ残っている生徒もちらほら見受けられる。ただ、誰も僕のように1人だけで行動はしてはいない。何だか悲しくなりそうだ。あくまで「なりそう」なのであって悲しい訳では無い。意地でもない。多分。そう思いたい。

「はぁ...」

「どうしたの?ため息なんてついて。」

「っ!?」

しまった、声が出るほど驚いてしまった。ここまで近づかれても気づけなかったとは。ステルス性能抜群か?...ってまず誰かも分かっていなかった。とはいえまぁ予想はついていた。話しかけられるとは思っていなかったが。やはり(すずな)さんだった。なんとなく声で判別はついた。流石に疑問を(てい)するときまで笑ってはいなかった。その代わり顔の全部を使って純粋な疑問とか僕を気遣う気持ちを表している。なんだこの子、表情筋鍛えすぎだろう。僕は精一杯笑ったって「え、何か怒ってる?」と言われるくらいなのに。いや、もちろん実際に言われたわけじゃないのだけれど。目は口ほどに物を言うなんて信じてなかったのに。この子を見てしまうと疑えないな。...ではなく!この子、なぜ僕を気遣ってくれているのだろうか。たまたま同じクラスになって、朝1度挨拶を交わしただけの相手に。まぁ根っから優しい子なのだと言ってしまえばそれでお終いなのだが。とはいえ人の厚意を無下にするべきではないし、素直に職員室の場所を聞いてしまおうか。もちろん驚いてしまったフォロー(自分に対する)も忘れずに。

「ごめんなさい、変な声出して。考え事してたから驚いてしまいました。実は職員室の場所が分からなくて、良ければ教えてもらえませんか?」

「うん、もちろんいいよー。だけど」

二つ返事かと思ったらそんなことはなかった。人生甘くないな。行為には対価が必要なのは当たり前だ。等価交換だといいなぁ、今持ち合わせがないし...

「その敬語やめてさ、普通にお話してよ。友達なんだし、なんか堅苦しいしね。」

彼女は明るくそう言って見せた。極めて明るく。そして当然の如く。まぁそうかもしれない、同い年の中学生同士が一方は敬語で、もう一方は砕けた口調で話すというのはおかしいのかもしれない。だけど僕にとってはそれが普通な訳で。等価交換というには僕のほぼ皆無に等しいアイデンティティが崩れてしまうことを考慮すれば僕に不利かもしれなくて。でもなんだろう、嬉しかった。何がだろうか。僕は未だ13歳で、されど13歳。その間に普通だったら友達というものができる。でも僕はそれをいつからか避けていた。幼稚園とか小学生の頃の記憶はほとんど無いけれど、ずっと本を読んでいたという漠然とした記憶は残っている。もしかしたら記憶が無いのではなく、それしかしていなかったからその記憶しか残っていないのかもしれない。記憶が薄れてしまったのではなくそもそも事実がなかったのか。そう考えると僕には友達がいたことが無かったということになる。僕の辞書に友達という言葉はあった。けれど辞書に載っていただけで、ただ知っていただけで、それが持つ本来の意味とか、大切さなんて知らなかったのか。なるほど確かに辞書にその言葉の使い方は()っていなかったな。それを知りたいなら取り扱い説明書だった。まぁそんなものがある訳ないし、あったらあったで問題になりそうだ。そういえば1年の頃に作ったという友達は友達というより事務的なことを話せる人、という程度だった。いや、自分でもこんな彼女の一言で発想が飛躍しすぎているのは分かっている。なんでここまで深く考えているのだろう。でもこの子は今、僕にとって初めての友達を自称してくれた。彼女にとってはかなり多数の中の1人なのだろうけれど、それでも僕が認めれば双方合意の友達になれるということだ。それがきっと僕には堪らなく嬉しかったのだろう。そう結論づけよう。

「遠峰さん?」

おっと、長考しすぎてしまったようだ。

「あぁ、ごめんなさ...じゃなくてごめんね。じゃぁ、早速だけど案内お願いするね。」

なんだか厚かましいような気がするけど、あまり時間もないし、仕方が無いな。そして敬語以外を喋ることは滅多にないから難しいな。とりあえず周りに合わせた話し方にしては見たけれど、微妙に女の子っぽい気がする。気のせいか。

「分かった、じゃぁ行こっか。」

やはり少し甘えすぎな気がするな、今度何かしっかりとお礼をせねば。これでは等価交換どころか受け取っただけだ。


その後軽く会話を交わしながら職員室まで案内してもらった。早い時間に学校が終わったためか、みな今日はすぐに下校したようだ。部活動も今日は休みらしく、校内は基本的に静かだった。妙に足音が廊下に響いていた。

職員室は校舎4階にあった。階段を後回しにしていたのが裏目に出ていたようだ。まぁそのお陰で菘さんと、その、なんだ、友達になれた訳だし。良かったのだろう。これ以上迷惑をかける訳にもいかないので菘さんとは職員室前で後日お礼をする約束をして別れた。彼女はやはり堅苦しいと言っていたけれど、僕にとってそこは譲れないところなのだ。とはいえ...僕、1人で職員室に入らなければいけないのか。嫌だなぁ。まぁ僕にとってのその「嫌」は自分の教室に入るのと大して変わらない。中学生らしく教師が嫌いという訳でもないし。ただ単に人と接するのが嫌なのだ。皆、等しく「人」であって、「個人」ではない。案外僕は社会主義者なのかもしれないな、と、それは流石に発想が飛躍しすぎているか。まぁうだうだ言っていても仕方が無い。意を決し、ドアに手をかける。と同時にドアが開いた。そして僕は中から出てきた教諭とぶつかる。中学2年生男子にしてはかなり小柄な僕はぶつかった勢いそのままに後ろに倒れる。あぁ、デジャヴとはこういうことか。はじめて知った。頭、ぶつけたら痛そうだなぁ。だが、今回は僕が支えられた。もちろん抱き抱えるように、ではなく普通に手を取られて。

「ごめんね、遠峰さん。まさか人がいるとは。間が悪かったね。」

と大人なのに自分の落ち度を認めて中学生相手に下手に出るという教師の鏡のような対応をとったのは丁度僕が探していた玉野教諭だった。自分の落ち度?いや、本来僕の落ち度なのだが。とはいえこれは僕にしてはかなりラッキーだ。職員室に入る必要がなくなったのだから。

「すみません、玉野教諭。」

「教諭だなんて、なんだかむず痒いなぁ、普通に先生でいいんだよ。」

おっと、脳内の言葉をそのまま使ってしまった。これも結構癖になってしまっている。それにしてもこの先生、本当に良い人なのだな。すごくフランクで話しやすそうだ。だからといってこちらまでそうなってしまうのは非常に失礼なのだが。

「でも丁度良かったです。実はお聞きしたいことがあって。」

「あら、何?なんでも聞いてね。」

「はい、なぜ私がA組なのかなと。」

「え?」

「いや、なぜ私が特別クラスのA組なのかなということです。」

そう、A組は女生徒のみのクラスなのだ。あぁ、ここで一人称を私にしているのは当然礼儀の問題だ。

「んーと、ごめんね、ちょっとよく分からないのだけれど。」

ん?なぜ話が噛み合わないのだろうか。

「A組になる条件は女子である、という1点だけであとは確かくじ引きで決められたから、なんでと聞かれて強いて答えるなら偶然というしか...。もしかして、そういう条件が嫌だった?」

冷や汗が垂れた。何だろう、凄く嫌な予感がする。そして、それは的中している気がする。

「えーっと、ですから、その条件を私、いや、僕は満たしていないのですが...」

「...」

「...」

沈黙。あぁ、人生のバランスって結構良く出来ているようだ。不幸があった日には幸福があると。実際には不幸の後に幸福だったのだけれど、どうやら事実確認が遅れたせいでその順が逆に感じられたようだ。つまり...

「...えっと、遠峰さんってもしかして、遠峰君なの?」

こういうことだ。

「...はい。」

明らかに狼狽(うろた)えている玉野教諭。そして、

「えーーーーーーーっ!!」

おおぅ、漫画のようなリアクション。ここまで来ると見事だな。静かな廊下によく木霊(こだま)している。うん、まぁ一言で言うならうるさい。

「えっ、えっ、だって、どこからどう見ても貴方、女の子じゃない。」

「教諭、それは僕にでも微かにある男子としての意地みたいなものがズタズタにされるのでやめて下さい。」

「だから先生っで呼んで、じゃなくて、ど、どうしよう。とりあえず新任の私だと分からないから上の先生に報告するね。すぐだからちょっと待ってて!」

うわぁ、あんなに慌ててる大人、初めて見たなー。大変そうだなー。あはは、それにしても女の子にしか見えないだってさ。まぁ、確かに体つきも顔つきも男らしくはないと思ってたけどさ。そんなに言わなくても良いじゃない。はぁ、久しぶりにショックを受けた。そっかー。僕、女の子だと思われてたんだー。うぐっ、別に泣いてないし。

「お待たせ、遠峰さ...ってちょっと泣いてる?ごめんね、強く生きて!」

「先生、フォローが絶望的に下手ですね。」

「おぉ、ちゃんと先生って呼んでくれた!ありがとう、じゃなくて!!上の人に聞いてみたらみんな慌ててた!」

「うわー、僕、1人で職員室中を引っ掻き回したんですね、凄いなー。」

「うん、遠峰さ..じゃなくて、遠峰くん、凄くないからね。そして君、というより上の先生達が自分で自分の首を()めてる感じだから。でね、この後どうしようって話なんだけど。遠峰くんはどっちが良い?」

「どっち...て何がでしょう?」

「このままA組で過ごすのがいいか、他のクラスに異動するか。」

極めて優しい口調...だったけれど後者を言ったときその形の良い眉がピクッと動いたのを僕は見逃さなかった。恐らく処理的に面倒なのだろうな。まぁその処理を誰がやるかは知らないけれど。そして、都合の良いことに僕としても菘さんと同じクラスでいたいという気持ちはあるので、前者を選びたいのだけれど。

「できるなら、僕が選んだということを誰にも言わずに、A組にして頂けますか?」

うむ、一応世間体も気にしたいのだ。だってそうだろう?傍から見たら僕は女の子に囲まれた生活を望んでいるということになってしまう。

「分かった、ありがとう!そしてごめんなさい!こっちの手違いで...」

いやいや、玉野教諭は全く悪くない。やはり良い人だな。こんな大人になりたいものだ。

「では、そのようにお願いします。」

「私もこれから色々あるから失礼するね。ごめんね、慌ただしてくて。今度また改めて詳しく説明するから!」

「ではこちらも失礼します。伝えるのが遅れてすみませんでした。」

迷惑になってはいけないのでそそくさとその場を離れ、時計を確認した。しまった、教室から出てもう半時以上経っている。高尾優馬のことを待たせたままだ。まだいるかな...。


流石に体育館の位置はまだ覚えている。とにかく体育館の方へ走る。人を待つのは全く問題ないが、人を待たすなんて僕のようなクズに許された所業ではない。それに、もしも僕がその相手と何か利益不利益が絡む話をする際、最初に謝罪をしなければならないじゃないか。すみません、から入るのは明らかに劣勢。それはいただけない。じゃなかった、今はそういう状況じゃない。ただ相手を待たせているだけだ、そんなのは僕の精神衛生上非常によろしくない。幸い、僕は走るのはまぁまぁ速いので走る意味はしっかりとある。風を切る音が耳に響く。それ以外は何も聞こえない。いや、まぁ聞かないという方が正しいか。そうした方が速く走れる気がするのだ。まぁ、走るのは基本的に好きなのだ。だが、こんな風に目的があって走るのは好きではない。あくまで僕が好きな走るという行為は、手段ではなく目的なのだ。身体能力には自信がある。目立つのを極端に嫌う僕なため滅多に活かせないが、この静かな校舎内ではそれを遺憾無(いかんな)く発揮できる。階段の一番上から飛び降り、狭い踊り場で小さく前転、反動を殺す。約20段程の大ジャンプだがこうすることで痛みも衝撃もほとんどなくなる。それを2回繰り返し、1階へ。そのままつきあたりまで廊下をダッシュ。スピードを落とさないようにカーブし、渡り廊下を通って体育館の方へ。よく考えるとなかなか特殊な構造の校舎だな、この学園。体育館内には入らず、外へ回る。春特有の、暖かい風が吹き付ける。前髪が視界で揺れていて正直鬱陶(うっとう)しい。果たして、高尾優馬は、そこにいた。彼の顔は遠目に見てもやはり整っていて、優しげだ。だがその表情には緊張と、期待と、不安とが混ざりあっていた。正に恋する中学生。その姿は僕の心を軽く締め付ける。彼のそのポテンシャルならば相手が僕でなければその恋は実ったであろう。だが、僕は残酷にも、非情にも、それを潰してしまう。それが非常に申し訳なく、かと言って受け入れる訳にもいかず、やり切れない気持ちが胸に巣食う。せめて僕も彼のその誠意を受け止めねば。そして、彼が僕を女の子だと勘違いしているのなら、できれば僕が男であるということは伏せるべきだ。その義務がある。彼の心に傷をつけないためにも。男としての矜持など先刻打ち砕かれたし。先ほどの教諭との1件より、高尾優馬は僕を女の子だと勘違いしているということが最も有力な候補になり、そしてそれは的中しているだろう。やはり、胸が痛む。そして僕はこの場で女の子を演じなければならないのだ。男子の制服を来ているが、まぁ何とかなるだろう。恋は盲目というし。

「高尾...くん?」

彼は目を見開き、安堵と喜びと、強まった不安を浮かべた。なんだ、やはり目は口ほどにものを言うというのは正しいのか。

「遠峰さん!もう1度、改めて言わせてください!」

「...うん。」

「僕、貴女のことが好きです!他に何か良い表現も何も思いつかないけど、その理由もうまく表せないけど、それでも好きなんです!だから、よければ、僕と、お付き合いして下さい!」

彼はその最後の主張を一言ずつ区切って、力強く伝えてきた。だけど、僕はそれをいま、やはり無情に断るのだ。

「...ごめんなさい、高尾くん、私ね、そういうの、全く分からないの。だから...ごめんなさい。でも、気持ちはすっごく嬉しかった。何だか心があったかくなった。ありがとう。」

僕は純新無垢な乙女も、綺麗な女の子もよく知らない。だけど、今まで読んできた本の中に嫌われないような女性は何度か出てきていた。そんな空想上の彼女らを演じることにした。それがうまく出来ていたかは、分からない。ただ、高尾優馬は満ち足りたような、だけど切なくて、満ち足りている筈なのにやっぱり足りないような、かといってショックを受けた訳でもないような、そんな表情を浮かべていた。

そして、彼は少し後ろを向いて、手で顔を覆って、だけどすぐに明るい表情を取り繕ってこちらを向いた。

「...すみません、僕も。こんなことを言ってしまって。だけど、最後まで聞いてくれて、ありがとうございました!」

そう言い切った、言い切ってみせた彼の目は少し赤くなっていて、頬には彼の気持ちが詰まりに詰まった、想いの滴が通った跡が残っていた。ふと、風が強く吹く。桜が散った。桜は散って、風に乗り、体育館の裏側まで飛んでいった。ただ、1枚の花びらは僕と、彼との間に舞い落ちた。なんとなくそれを拾おうとするとまた風が吹き、花びらはまた、飛んでいってしまった。もう、僕には最初に思っていた3つのことを聞こうとするような、そんなことはできなかった。

これだから人と接するというのは苦手だ。どこまでも生産性がなくて、それどころか自分に火の粉が飛んできて、その火の粉は自分だけじゃなく、人にまで飛んでいく。うまくいくことは滅多にない。そんなリスキーなギャンブルは、だけど日常的に行われていて、ギャンブルらしく中毒性が高くて、みな、のめり込む。青春というのは、そのギャンブルの勝ちの目が最も高い時期なのかもしれない。でも、負けは確かに存在する。なんて辛いんだろうか。どこまで不幸なのだろうか。だけど高尾優馬は笑って見せた。その辛さを隠し通した。あぁ、彼は強い人間なのだろう。本当の意味で青春を謳歌しているのだろう。だからこそ悔やまれる。そんな彼の心に、記憶に僕という存在が、ノイズが残ってしまったことが。きっと彼はこの後、また誰か素敵な、僕みたいなノイズではない、本当に素敵な人と出会うのだろうけど。そして、きっと僕という存在はいつか、いつしか消えてくれるだろう。そうでも思わないと僕の心は壊れてしまう。罪悪感に押しつぶされてしまう。弱い僕は、すぐに潰れてしまうのだ。改めて認識する。だから僕は、姉と、姉さんと上手に接することができなくなってしまったのだ。姉さんは強いから。その強さをどこかで避けてしまうから。彼は、高尾優馬はそれを僕に突きつけてきた。ひどく優しく。心に響き、()みる優しさで。けれど僕は強くなれない。なろうとしない。それを拒否しているから。八方塞がりだ。どうやら僕と姉さんとの溝はなかなかに深いようだ。世界で最も深い海溝、マリアナ海溝とどちらが深いだろうか。人に言ったら笑われそうだけれど。そして、人から見たらそれは酷く浅い、少しの人間関係の溝に見えるだろうけど。僕の気持ちとしてはマリアナ海溝なんて目じゃないくらい深い溝なのだ。けれど諦めるつもりはさらさらない。彼との1件は思ったよりぼくにとって深い意味を持っていた。僕と姉との問題点を再提示してくれたのだから。恋心とは全く、強くて、大きなものだ。なんて気取ってこの件を僕の中で片付けることにした。なに、僕は問題に接することが少ないから一つの件で落ち込みやすいし、考え込みやすいけれどそれを糧にしようとして、すぐ切り替えられる人間だ。まぁ頑張るしかないさ。高尾優馬もきっと僕のことをすぐに忘れ、前を向いてくれるだろう。そう思い、彼をもう一度見てみる。彼も何か、考えていたのだろう。さっきとは違った、本当に明るい表情を浮かべていた。そして、

「遠峰さん、だけど、お友達になら、なってくれませんか!」

...ここでまさかのテンプレート。でもそれって、振るときのテンプレートじゃ...。


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