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鎧を脱いで  作者: C・ハオリム
第3章 うごく世界
43/342

41 動いたもの

寒くなってきました。鍋が恋しい今日この頃です。

お話の中では、いろいろと面倒くさいことが発生してきています。

現実も、面倒臭いことだらけなんですが・・・。

 パレードの前日である。

 昼飯を喰いに店を出た、モンテス商会のかつてバトにしたたかに殴られた男の背後で低い声がした。

 「新鮮な肉を食わす店を知らないか? 」 

 いきなりの問いかけにどきりとしながらも彼は何とか口を開いた。

 「行商人がテントで商っているぞ」

 彼の応えに一呼吸置いて背後の男は囁いた。

 「振り返るな、そのまま歩け、このメモのとおりに動け」

 まだ少し傷跡の残る顔に驚愕の色が滲む、背後の男は彼に無理やりメモを手渡すと短く囁いた。

 「そのまま、飯を喰いに行け、振り返ったら、殺す」

 強ばった表情のままメモを受け取ると、必死で平静を装いながら彼は行きつけの飯屋に向かった。


 「片手剣をこの店のゴミ置き場に一振りか・・・」

 部下からメモを手渡されたトバナはメモに目を通すとその内容を小さく読み上げ

 「片手剣を一つ、銘を削って、出して置け。それから辿られても分からないようにな」

 着実にことは前進しつつあるとトバナは確信した。


 メモを渡した男は、貧相な身なりの呑んだくれだった。彼の肝臓はとっくの昔に悲鳴をあげていたが、ユーザーである彼は敢えてその悲鳴を無視していた。長年の不摂生で動きの悪くなった身体に鞭打ち無理やり早足でケフの小さな貧民街に向かう。下水の臭いや何かが腐っていく臭いがたちこめる路地の片隅に昼日中から酒を、その飲み物が酒と言えればの話であるが、ただアルコールが入っていると言うことを酒の前提条件とするなら酒と言えなくも無いものを提供する店にいそいそと入っていった。

 薄暗い店内を見渡すと、片隅のテーブルにフードを深く降ろし、顔を見せずに佇む人影を見つける。

 「新鮮な肉を食わす店を知らないか? 」

 フードを被った人物は彼の言葉に不快感を示しながら

 「私に合言葉は不要だ。それより、ちゃんと言ったとおりにしたんだろうな」

 「そこは、抜かりなく」

 フードの中から小さなため息がした。

 「報酬だ。上物だから、一気に飲むなよ。これで、私とお前の関係は終わりだ。もう二度と顔を合わすことはない」

 フードを被った人物は、懐から酒瓶をテーブルの上に置いた。それは、この界隈に住む連中が一生お目にかかることがないような酒の瓶であった。

 「へへ、俺はこれさえあれば、後はどうだっていい」

 男は骨ばった手で瓶を鷲づかみにすると、うっとりとその瓶に頬ずりをした。

 「・・・」

 フードの下から嫌悪を示すような音が漏れたが、酒瓶を手にした男はそんな音に気づくことはなかった。仮に気づいていても気にもしなかっただろう。

 「これで、ちょっとは飲めるだろ・・・」

 フードの人物はテーブルの上に小銀貨を数枚取り出して無造作に置くと席を立った。

 やせた男の頭の中には手にした酒のことしかなく、目の前の人物がいつ席を立ったことを気づくこともなかった。


 「お嬢、逃がしませんよ。もし、お嬢に逃げられたら、私が酷い目にあいますので」

 パレードの列に並び、隙あればこの場からずらかろうとするレヒテの横でにっこりとしながらパルが釘を刺してきた。

 「ここは、友達のよしみでなんとかできないかな、今度ケーキをご馳走するから」

 パレードの始まりを待つ他の少女たちに目論見がばれないように強ばった笑顔を顔面に貼り付けながらレヒテはパルに訴えた。

 「確かに、ケーキは魅力的ですが、ケーキで任務を放棄したと知られたら、私は全身の毛をむしられても文句は言えない状態に陥りますから。私の毛皮を保つためにもお嬢には最期までパレードにお付き合いしてもらいます」

 レヒテとパルの取引は不調に終わったころ、パレードの開始を告げるファンファーレが鳴り響いた。

 一世一代のおめかしをした少女たちが楽団を先頭に歩き出す。その集団の中央に10人ほどの屈強な男どもに担がれた輿に今年の巫女である、レイシーが鎮座していた。

 「レイシーはいいなー、歩かなくてすむなんて・・・」

 レヒテは輿を見上げると、レイシーが沿道の人々ににっこりと微笑み、ゆっくりと手を振っていた。その佇まいはとても人妻には見えなかった。


 楽団の奏でる賑やかな音楽がどんどんと近づいてくるのがラウニには手に取るように分かった。しかも、パレードに参加している少女たちが配るキャンディやクッキーの匂いまで感じていた。勿論、彼女がお茶を運んだりしている相手や真人には感じられないことであったが。

 「・・・」

 賑やかな音楽は何故かラウニの心の小さなもやもやをどんどんと膨らましていく作用があるようで、真人たちにも音楽が聞こえるようになる頃には、そのもやもやは悲しさと言うモノに変化していた。彼女は、このケフに来てから収穫感謝祭を数度迎えているが、ただの一度もパレードに参加したことはなく、これからも無いであろうことを承知していた。

 「望んじゃダメな世界ですね・・・」

 目の前を通り過ぎる少女たちに自分の姿を重ねる。パレードの少女たちの中には少なからず獣人の少女もいるから自分がいても不思議ではない。いっそのこと、穢れの民はパレードに参加できない、と言う決まりでもあればここまで悲しい思いをしないですんだのかも知れない。今の生活に文句はない。奥方様、お館様、お嬢、そして仲間であるフォニーにネア、皆自分の家族と思っている。しかし、それはあくまでも彼女の中の話であり、外から見ればどこまで行ってもラウニは身寄りのない使用人でしか有り得なかった。

 「なーに黄昏てんのよ?」

 ため息をついているラウニに唐突に声がかかった。

 「え?」

 「ため息は、幸せが逃げるよ」

 ラウニに声をかけてきたのは、ラウニたち侍女と同じような濃紺のワンピースに白いエプロンをした、鉄の壁騎士団の凸凹コンビのバトとルロであった。

 「あ、その格好って?」

 ラウニはいきなりのことに、どこからどう突っ込んでいいのか分からず、とりあえず彼女たちのカッコウについて尋ねてみた。

 「私たちは、本日より侍女としてお館様にお仕えすることになったのです」

 ルロが驚愕の色がさめやらぬラウニに淡々と説明した。

 「なにか、したんですか?」

 ラウニは彼女たちが何か不祥事でも働いて騎士団をクビになったものと認識した。

 「そうなのよ、ルロがさー、団長に夜ば、ぐっ」

 ニコニコしながら話し出したバト鳩尾にに鋭いルロの肘打ちが炸裂した。

 「何を言い出すかと思えば・・・、ご隠居様から、警護兼侍女としての任務を与えられたんですよ」

 二つ折れになって唸っているバトを尻目にルロはにこやかにラウニに自分たちの立場を説明した。

 「戦える侍女って格好いいですね」

 先ほどまでの沈んだ表情から一転して、なにか憧れのような感情を滲ませながらラウニは2人を見つめた。

 「戦うだけじゃなくて、ベッドの、ごっ」

 何かを言おうとしたバト顎ににルロの裏拳が炸裂した。

 「こんなわけだから、これからも宜しくね。いつまでも駄弁ってちゃだめね、お仕事の邪魔をしてごめんね。それと、笑顔を忘れずに」

 ルロは、白目をむいているバトの首根っこを掴んでズルズルと引っ張っていった。

 「そ、今はお仕事が一番」

 ラウニは自分に言い聞かせると、両手で己の頬を叩いて気合を入れた。


 診療室まで表の賑やかな音楽が聞こえてきた。診療所には時折、立ちくらみを起こしたご婦人や、けんかした挙句に名誉があったり、無かったりしたけがを抱えた人が来る程度でフォニーは手持ち無沙汰にならぬ様に小さなヌイグルミでビブと遊んでいた。

 「フォニー、ビブに自分の母親の晴れ舞台を見せてきてくれんか? 」

 ドクターは床に座り込んで我が子の相手をしてくれているフォニーに声をかけた。

 「分かった、ビブちゃん、お母ちゃんのかっこいいとこ見に行こうか」

 フォニーはビブを抱きかかえると診療所から風のように出て行った。

 「知らん顔をしておるが、気になっておるんじゃろな・・・、あの子たちもパレードに加えてやりたいもんだ」

 フォニーを見送ったドクターはそうつぶやくとドシッと椅子に座り込んだ。


 フォニーがパレードが通る大通りに出た頃に丁度楽団が目の前を横切っていった。

 「ビブちゃん、もう少ししたらお母ちゃんが来るからね」

 フォニーは、初めて見る風景に興奮しているビブに優しく語りかけた。

 「フォニー殿、今日は子守のお仕事ですか?」

 どこかで聞いた声がしたので、その方向を見ると軽冑を身につけたルップがにこやかに立っていた。

 「ええ、レイシーさんが巫女様だから、私がビブちゃんの子守をしているんです。ルップ様、今日はなんの御用で?」

 「この辺りの警備の任務を与えられたので、不審者がいないか、不埒なことをする輩がいないかを見張っているんですよ。あ、巫女様の輿が来ましたよ」

 ルップはレイシーが乗る輿を見つけて指差した。


 「ここまで来たら、後には引けませんよ。もう、覚悟を決めて、笑顔も忘れずに」

 パルは何かあれば逃げ出そうとするレヒテを監視しつつ、表情だけはにこやかにしながらドスの効いた声でレヒテを牽制した。

 「逃げないよ。逃げたら、パルちゃん以上にヒドイ目にあうから・・・」

 観衆に手を振って、時折バスケットの中のキャンディを気前よくばら撒きながらレヒテがため息混じりに応えた。

 「あら、フォニー、ビブちゃんも、それにあれはル・・・」

 フォニーとルップが並んで立っているのを見つけて思わずそのことを口にしたレヒテは何かに気づいたように言葉を切った。

 「フォニーさんが?」

 パルの耳がレヒテの独り言を聞き逃すわけもなく、レヒテの視線の先に目をやった。

 「!」

 パルの表情が強ばるのを見てレヒテは激しく後悔していた。

 パルの目に飛び込んできた光景は仲良く並んで立つ兄とフォニー、しかも赤子まで抱いている・・・、一瞬パルの脳裏に若い夫婦の姿と二人の姿がだぶって浮かんできた。あの赤子はドクターの娘であることも分かっているし、兄もフォニーも仕事中で偶然出くわしたものであろうと考えるが、どこか感情がそれを納得しない。しかし、今はパレード中である、取り乱したりしたらデーラ家の恥となる、彼女は必死で笑顔を作り、殊更に尻尾を振って楽しげな様子を作り上げた。

 「私が逃げることより、パルちゃんのフォローしなきゃ、それにしても、ルップ・・・、本当にタイミングが悪い」

 今まで、パルがレヒテが逃げぬように監視していたが、この時点を持ってレヒテがパルが取り乱さないように監視、フォローすることになった。


 「・・・パレードが戻って来たみたいねー」

 椅子に深く腰掛けて居眠りしていたハトゥアが目を開けて呟いた。

 「えっ」

 その声に同じように知らずのうちに意識を失っていたネアが目を覚ました。

 【マズイぞ、こんな時に居眠るなんて、ますますこの身体に引きずられている・・・】

 ネアは内心焦り、己に悪態をつきながらそれを表情にも尻尾にも表さず動き出した。

 「お茶の準備をしなきゃ」

 急いで立ち上がると、急いで小さなポットでお湯を沸かしだした (一人用の小さいポットなので湯を沸かすのに時間がかからないのが救いだった。) お茶菓子の準備をしたりと忙しなく動き出した。そんな彼女をハトゥアは眠そうな目で眺めていた。

 楽団の音楽が止み暫くすると、杖をついて足を引きずりながらレイシーが入ってきた。その表情には疲労の色が出ていた。

 「輿に乗っているだけだから、楽かなと思ったけど、ずっと笑顔でいるって地味にキツイわー」

 レイシーは出迎えたネアとハトゥアにこぼすと倒れこむように椅子に腰をおろした。


 パレードが教会の前の広場に到着すると、誰言うと無くパレードの参加者は三々五々ばらばらになり、ある者は家で家族そろってパーティをし、ある者は意中の彼氏に告白されるために待ち合わせの場所 (大概が公園だったり、中央の広場の片隅だったりで、その辺りはちょっとした人混みになっていた。)に赴いたり、ある者は仲間と食事会と言う名の宴会に参加したりとそれぞれのやり方で過ごすために移動したので、あっと言う間に教会前の広場は閑散とした状態になっていた。その中で大きなつば広の帽子を目深にかぶり、大きな花束を持った少女が1人、巫女の控えのテントへと足を進めていた。警備の騎士団員も人が少なくなったため警備の手を緩め、それぞれが昼食を取り出していた。


 「こんにちは」

 パレード衣装のままお茶を飲んでいるレイシーにテントに入ってきた少女が声をかけた。

 「この花束を、巫女様に・・・」

 少女は大きな花束を差し出した。それを見たレイシーはカップをテーブルの上に置くと杖に体重をかけて立ち上がった、その時、小さな金属音がしたが、ネアはそれは杖と何かがぶつかったものだと判断した。レイシーは微笑みながら少女に近づいていった。

 「っ」

 レイシーが近づくのを見計らって少女は花束を彼女に投げつけ、花束に隠していたショートソードを構え、レイシーに斬りかかった。花束を素早く払ったレイシーは斬りかかるショートソードを杖で受け、相手を押し返し、さっと後に引いた。少女とレイシーのやり取りを見てハトゥアは悲鳴を上げ、ネアはエプロンの裏に隠していた金属製の棒を取り出し、一振りしてシャフトを伸ばした。

 「レイシーさん、下がって、ここは私が」

 ネアは刺客の少女に刺突の姿勢で飛び掛った。刺客の少女は帽子を取ることもせず、その一撃をショートソードで払った。ネアはすかさず相手の腹に棒を担ぎ上げるように下から打撃を入れようとしたが、それも相手のバックステップによる回避で空振りとなった。

 「ネアちゃん、その子は手練れよ。慣れてる。下がって」

 レイシーは構えるネアに呼びかけると、手にしていたパレード用の杖をすっと抜いた、杖には細身の剣が仕込まれていた。

 「これが、うちの人の自信作よ」

 レイシーはネアに微笑むと剣を構え、刺客に向き合った。

 「宵闇のレイシーが相手する。遠慮はいらない、覚悟してかかってこい」

 レイシーは刺客に凜とした声で呼びかけた。刺客はその言葉に返答するようにレイシーに斬りかかった。

 「ちっ」

 刺客の剣先を仕込み杖で払うとレイシーは体勢を整えるため、後ろに飛び退いた。

 「あっ」

 パレードの巫女用の衣装はもともと動き回る、特に斬り合いをすること考慮して作られている、という事は一切なく、その華美な衣装は防御効果もなくただの動きを阻害する邪魔者でしかなかった。そして、それはレイシーの足元で見事に仕事を果たした。後ろに下がったレイシーの左足に絡みつき、バランスを崩させた。バランスを崩したレイシーは体勢を立て直すこともできずそのまま仰向けに倒れてしまった。

 「悪いな」

 倒れたレイシーに刺客の少女は飛び掛った、ネアはそれと同時に飛び出して、その刃先を棒で叩き上げて刺客の一撃からレイシーを守った。刺客の少女が構えなおそうとした時、ビーンと何かがはじけるような音がして刺客の少女の動きが止まり、そのまま後ろに倒れてしまった。


 相手が「宵闇」のレイシーと名乗った時、「影なし」のゲレトは依頼主に怒りを覚えた。引退したとはいえ、あの「宵闇」である。只の獣人の雌とは違うのである。しかし、相手は左足が不自由なようで動きがぎこちない、そこで対処可能と判断した。しかし、一撃目を受けられ、ネコの子の思ったよりキツイ一撃を払い除けた時、その判断が誤りであったと後悔した。「宵闇」は足を痛めているらしく動きはぎこちないが、剣の正確な捌きには衰えがあるとは思えなかった。そして、子猫、妙な棒の使い方をしてくる、コイツを甘く見ると大やけどすると考えた。ならば、素早く始末するのみ。

 あの「宵闇」が自らのスカートに足を取られて転倒した時、千歳一隅のチャンスと思ったが、あの妙な子猫に邪魔された。仕切りなおしながら「宵闇」を見る。獲物は乱れたスカートを気にすることなく、左足を上げた。「白」。それが刺客が目にした最後のモノとなった。


 「え、なにが・・・」

 いきなり刺客が倒れたのを見たネアは何が起きたのか理解できなかったが、刺客の目に矢のようなものが深々と突き刺さっているのを見て、これが刺客の動きを止めたものだと考えた。すると、この矢はどこから飛んできたのか、倒れているレイシーを見て咄嗟に頭に浮かんだのは「白」だった。

 レイシーはスカートの中が見えるのなんかお構いなしに左足を刺客に向けていた。そしてその左足の、肉球にあたる部分に小さな穴が開いていた。よく見るとレイシーの左足は包帯のようなもので巻かれて素肌が見えなかった。しかし、その肉球に当たる部分の金属製の輝きを見ただけでその足が義足であることが分かった。

 「うちの人の自信作よ、この足も」

 レイシーはにっこりしながらそう言うと剣を杖にしまいこみ、ゆっくりと立ち上がろうとしたた。

 「ネアちゃん、ありがとう。あそこでフォローしてくれなかったら、今頃、死んでいたかも知れない」

 ネアは立ち上がるレイシー手を貸しながら感心して声を出した。

 「自信作って、その足もだったんですね」

 「ええ、私の左足はひざから下が作り物なのよ。でも、この「宵闇」も甘く見られたものね。いくら足が不自由になったとは言え、こんな子を・・・」

 立ち上がったレイシーは帽子で顔が隠れている刺客の帽子を杖で払い除けた。

 「あっ」

 「まさか」

 帽子の下から出てきたのは、化粧はしているモノの、どこから見ても男だった。

 二人が刺客の顔を覗き込んでいる時にやっと警備の騎士団がテントに入ってきた。

 「片付けておきましたよ」

 レイシーはにっこりしながら騎士団員に倒れている刺客を指差しながら言った。悲鳴を上げ、固まっていたハトゥアは騎士団員の姿を見るなり、安心したのか、その場にへたり込んでしまった。

 「・・・目が覚めた・・・」

 ハトゥアはやっとの思いで一言口にするとがっくりと項垂れた。

 「雇われたのかな・・・」

 ネアは動かない出来損ないのオカマのような刺客を見下ろしながら呟いた。 

ネアよりレイシーのほうが目立ったようなお話になってしまいました。

レイシーの「宵闇」の通名はそれなりに知られていたようです。引退後も通名変えていないので、医師の妻として悪目立ちしそうな気もしますがそこはおおらかなドクターですので気にしていないのでしょう。多分そうです。そうに決まっていることにします。

駄文にお付き合いいただいた方に感謝します。

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