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鎧を脱いで  作者: C・ハオリム
第22章 焦りと求めるもの
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295 困り者たち

雪で交通がマヒしたりと大変な時期ですが、ちょっとした暇つぶしの一助になれば幸いです。

 「うわー、こんな人ごみって、王都以来だよ」

ネアたちと一緒にマーケットに来たホレルは驚きの声を上げた。デニアに至っては人ごみとそれに伴う様々な臭いに圧倒され、目を丸くして只立ち尽くしていた。

 「ちょっと怖い」

 「デニアさん、私もそうでした。皆で動いていれば安心ですよ」

 不安そうに呟くデニアにネアは安心させるように優しく話しかけた。ネアは初めてマーケットに行った日を思い出していた。

 【慣れない女児服着て、臭いに圧倒されて、誘拐されそうになったんだよな】

 ネアは苦い過去を思い出して苦笑を浮かべた。

 【ケフの凶獣って二つ名がつくきっかけだったな。マーケットって俺にとって鬼門なのかな】

 ネアは、ティマがはぐれないよう彼女の手を取りながらラウニたちについて行った。


 「お館の嬢ちゃん、良いのが手に入ったぞ」

 いつもの場所にいつもの尾かざり屋の店主がフォニーを見つけて声をかけて来た。店先にはこれからの季節を意識した明るい色の尾かざりが露店の店先に並んでいた。

 「これよ、これ。あのジン・ゴーロが、監修した尾かざりだよ。ちょいといいお値段になるが、嬢ちゃんの小遣いの範囲内だ」

 犬族の店主が手にしたのは春の花々を思わせる淡い色でありながらも、洗練されたデザインで、尾飾りの素人のネアですら、その尾かざりが高級そうに見えた。

 「確かに、デザインはジン・ゴーロのようだけど、それならうちらのお小遣いじゃ手が出せないよ」

 フォニーは店主が手にした尾かざりをじっと見ながら残念そうな表情になった。

 「ジン・ゴーロが関わっていると言っても、デザインだけだよ。それに、嬢ちゃんなら分かるだろ。安い理由が」

 店主は残念そうな表情を浮かべてているフォニーに尾かざりを手渡した。フォニーは手にした尾かざりをじっと見つめると、舐め回すようにいろんな方向から見て、納得した表情になると店主に尾かざりを返した。

 「材料、仕事からすると、このお値段は頂けないよ」

 フォニーは信じられないとばかりに不満の声を上げた。

 「ちょっと見せて、この仕事でこの値段はねー。あたいは尻尾がないから分からないけど、デニアはどう見る? 」

 いつの間にか先ほどの尾飾りを手にしたホレルがそれをデニアに見せていた。

 「私は欲しくない」

 デニアはその尾かざりを一目見て首を振った。

 「だよなー」

 店主はそう言うと腕組みして唸り声を上げた。

 「確かにデザインは良いんだが、妹にこれつけさせてみたんだが、あっという間に形は崩れるわ、解れるわ、生地が悪いのか着け心地は良くないわで、散々だったよ」

 渋い表情でホレルから尾かざりを受け取ると店主はため息をついた。

 「でも、ジン・ゴーロがなんでこんな仕事を請けたんでしょうね」

 「遊びが激しくて、金に困っているって聞いたけど、どんな遊びをしているんだろうね」

 不思議そうな表情を浮かべるフォニーに店主は首を傾げて答えた。

 「これは、いらないけど、こっちの貰うよ。銘があろうがなかろうが、フォニーさんは自分の目を信じて手に入れるから」

 フォニーは、一山いくらみたいに無造作に積まれている中から、尾かざりをひとつ選ぶと店主に見せた。

 「嬢ちゃんの目は確かだね。これは、無銘だがしっかり作りになっているし、デザインも堅実だ。ジン・ゴーロ関係は、これ以上深入りしないってことに決心がついた。お礼だ、それは小銀貨5枚だ。本来は12枚だがな。嬢ちゃんの目は確かだからな」

 「ありがと」

 フォニーは店主に金を渡すと、尾かざりを受け取りそれを嬉しそうに胸に抱いた。

 「これからも、イロイロと意見を聞かせてくれよ」

 「これからもアテにしていいよ」

 フォニーは買ったばかりの尾かざりを大切そうにバッグに仕舞いこむとにっこりした。


 「あれ、あそこ随分とすいているねー」

 人ごみをかき分けて進んでいると、ちょっと人の密度が薄い所があった。

 「茶店がありますね。休んで行きましょうか」

 ラウニがその場所を指さした。ネアたちがその場所に行こうとした時、テラス席にどこかで見た人影があることにネアが気づいた。

 「剣精様とグィドさんだ・・・」

 ティマも気づいたようで、思わずラールに駆け寄ろうとした。それをラウニがぐっと止めた。

 「アレを見なさい」

 ラウニの視線の先には確かにラールとグィドがいたが、2人は互いに伏し目がちに見つめあっているだけだった。

 「アレは、近寄るとヤバイね」

 ホレルはその様子を見てにやっと笑った。ネアたちもホレルの言葉に無言で頷いてその場を迂回することにした。

 「剣精様にいつもの自由さが見られない。何かぎこちない」

 ネアは、いつも自由奔放に動き回っている

 「多分、剣精様も体験したことがないような状況になっているんだよ」

 遠目にラールを見て少し心配そうにネアが呟くと、フォニーがにやにやしながら応えた。

 「剣精様のことは良く知らないけど、アレは恋する乙女だね」

 ホレルはうんうんと頷きながら言うと、関わらない様にさっさと行こうとネアたちに促した。

 

 「ケフの忠義者、剣精様御用達? 何これ」

 串焼き屋の店頭にある看板を見たホレルが首を傾げた。ネアはホレルの言葉を聞くと、あらぬ方向に視線を転じ、自分は無関係であると言う態度をとった。

 「マーケットで悪党相手に暴れた子がいたんですよ。それも1回ではなく2回も」

 ラウニが意味深な視線をネアに送ったが、彼女は敢えて視線を合わせることをしなかった。

 「その子がケフの凶獣? 」

 「うん、その考えで間違えないよ」

 デニアの問いかけにフォニーが即答すると、彼女はそっとネアを見つめた。

 「ケフの凶獣って誰なんでしょうね」

 ラウニがニタニタしながらネアに話しかけてきたが、ネアは知らんふりを決め込んだ。ティマは不思議そうに手を引いてくれているネアを見上げていた。

 「誰の事なんでしょうね」

 ネアは小さく呟いて、空を見上げた。そこには地上のこまごまとしたことなんか我関せずとばかりに雲がぽっかりと浮いていた。


 「ーっ」

 ネアたちが昼食に、パンに肉を挟んだハンバーガーとかホットドッグの先祖なんだか子孫なんだか、収斂進化した成れの果てなのか分からないモノを食べ終えた時、悲鳴が轟いた。

 「何かあったのかな?」

 ホレルが悲鳴の聞こえた方向を見て心配そうな表情を浮かべると同時に、ネアたちはバッグやポケットの中に入れている得物を確認しすぐに取り出せるよう身構えた。デニアも得物は分からないが、いつでも戦える状態に身構えているのがネアには分かった。

 「ひったくりだ」

 悲鳴の方向から男の声が響いた。ネアたちは耳を忙しなく動かし、悲鳴の元となった存在が近づいていないかを探った。人を押し分けた時の怒声、犯人らしき男の威嚇する様な叫び声を彼女らの耳が捉えた。それを確認したネアは、すっと立ち上がり音の方向をじっと見つめた。その姿は巣穴から顔を出した鼠を襲うためにじっと待ち伏せている猫のようにも見えた。

 「どけーっ、じゃまだ」

 大声を発しながら走ってきたのは、見慣れない意匠の服を着た10代後半のニキビ面の真人の少年だった。彼はひったくったカバンを抱え、空いた手でナイフを振り回しながら走ってきた。

 「・・・」

 ネアは肩からかけたバッグの中からシャフトを取り出すと一振りしてそれを伸ばした。

 「じゃまなんだよーっ」

 こげ茶色の長髪を振り乱しながらも、どこか楽し気な男はネアたちの方向に走ってきた。

 「っ」

 ネアはその少年が走り抜けようとした時、伸ばしたシャフトを彼の足元に投げた。

 「あっ」

 少年はシャフトに足を取られ、綺麗に石畳の上に転がりながら倒れた。あまりにも衝撃が強かったのか、彼は倒れたまま動かなくなっていた。

 「・・・」

 ネアは石畳の上に転がる自分のシャフトを手にすると、さっと縮めてバッグの中に戻した。

 「ここに居やがった」

 ネアがさっと少年の方を見ると追いかけてきた男たちが彼を取り押さえ、小突きながらどこかに連れて行く所だった。

 「また、やりましたね」

 すました顔でネアが戻ってくるとラウニが呆れたような表情を浮かべた。

 「ふーん、凶獣ね」

 ホレルは先ほどの出来事で全てを悟ったらしく肩をすくめた。

 「さっとそう言う事を何気なくしてしまうって、どんな神経しているんだよ」

 フォニーは既にいつもと同じモードに戻っているネアを見てため息をついた。

 「他所から来たのがああいう事をするんですよね。人が増えると犯罪も増えるんですよね」

 ネアはフォニーに諦めたような口調で話すとため息をついた。

 「私たちも注意しないといけませんね。ティマ、怖い人がいるかも知れませんから、こっちに来て」

 ラウニはそう言うと、ティマを手招いて近くに居るようにと言いつけた。

 「もう、帰ろ・・・です」

 ティマは不安そうにラウニを見上げて訴えた。それを見たホレルとデニアもにっこりと頷いた。

 「そうさね、手に入れた端切れを確認したいし」

 「ブラシの使い勝手調べたい」

 ホレルとデニアもそれぞれ帰りたい理由があるらしく、これからお館に戻ることに何ら反対する理由はないようであった。


 「おい、そこのネコ、ちょっと待てよ」

 ネアたちがお館に戻るため、ちょっと人通りの少ない通りに入ると背後から低い声がかかった。いつものことだと、ネアたちは無視して足を進めた。

 「舐めてんじゃねーぞ」

 ネアは背後に風切り音を感じ、さっと身を捻った。ついさっきまでネアがいた空間を投げられたナイフが通過していった。

 「いきなり随分な挨拶ですね」

 ネアはバッグの中からシャフトを取り出すとさっと伸ばした。それを合図にしたかのようにラウニたちもそれぞれ得物を取り出し構えた。

 「大人しくしてりゃ、何もなかったのによ。お前のおかげで仲間が獲っ捕まったんだ。責任取ってもらうぜ」

 声の主はひったくり犯よりちょっと年嵩の少年であった。筋肉質な巨体に顔面の傷、彼はどう見ても堅気には見えなかった。

 「犯罪者を見逃すことは、お館に勤めている者としてできない事です」

 ネアは目をそらすこともせず彼を真正面に見据えて静かに言い放った。その言葉に少年は口角を上げ、さっと手を上げた。それを合図にしたように、辺りからわらわらと少年たちが湧いて出てきた。

 「悲鳴を上げて大人を読んでもこいつらがブロックしてくれる。少しばかり獣臭いが、ま、いいだろ」

 傷の少年の言葉に彼の仲間たちは下品な笑い声を上げた。

 「ホレルさん、デニアちゃん、私たちの後ろに、ティマ、この2人を任せましたよ」

 カイザーナックルを嵌め終えたラウニがティマに指示を出すと、ティマはその小さな体でホレルたちを庇うように彼女らを背後にして立ちふさがった。

 「にいさんたちさ、ここはうちらのシマみたいなもんなんだよね。こんだけの数で喧嘩して何もないと思う? 」

 両手に短剣を構えたフォニーが挑発するように声をかけると、傷の少年は静かに口角を上げた。

 「ふん、騎士団員ぐらい簡単につぶせるぜ。前の郷で騎士団員をやっちまって五月蠅くなっちまってよ」

 彼はそう言うと懐から巨大なナイフを取り出し、ブンと振り回した。

 「御託はいい、お前のつまらない話を聞いている暇はないんだ」

 ネアは相手を生ごみを見るような目で見ると静かに言った。その言葉が合図になったかのように、傷の少年の仲間たちが一斉にネアたちに襲い掛かってきた。

 「皆、良く視て。剣精様の言葉を思い出して」

 ネアは背後に声をかけると、真っ先に飛び込んで来た少年をしっかりと見た。

 「死ねやっ」

 気合と共に刃物を腰だめにして突っ込んでくる少年をネアは身体を捻りながら躱すと、がら空きとなった横っ腹にシャフトの持ち手の部分を梃子のように動かして叩き込んだ。何かを折ったような手ごたえを感じたが、すぐさま自分に突っ込んでくる少年にシャフトの先端を向けた。

 「へへへっ」

 その少年は、手にしたナイフをお手玉のようにして見せびらかして、挑発するようににやっと笑った。

 「それ、意味があるんですか? 」

 ネアは彼を逆に挑発するようにうんざりした調子で尋ねた。

 「死んじゃいなーっ、あはっ」

 そいつはへらへらと笑いながらナイフを突き出してきたが、そのナイフは彼の表情とは裏腹にしっかりしていた。

 「・・・」

 ネアはじっと彼の動きを視て、さっとシャフトを彼の手首に打ち付けた。彼は思わずナイフを落としてしまった。

 「うっ」

 苦痛が彼の顔からへらへら笑いを追い払った。それと同時に怒りの表情が浮かんできたが、ネアはシャフトの持ち手の部分で彼の顎をかち上げると、かれはその場に崩れ落ち沈黙してしまった。

 「可愛そうだから、命はとらない・・・よっ」

 片手剣を抜いて襲い掛かってきた少年からフォニーはひらりと身をかわすと、がら空きになった彼のうなじに鞘の付いたままの短剣を叩き込み、意識を刈り取った。

 「ーっ」

 相手を苛立たせるようにフェイントを繰り出す少年の一瞬の隙を見てラウニは彼の顔面に拳を撃ち込むと、彼の上体が大きく崩れた。ラウニはそのタイミングに合わせて彼の足を払い、石畳の上に倒れさせると、その脇腹に鋭い蹴りを打ち込んだ。


 「手駒はもうないよ」

 ネアは最初に声をかけてきた傷の少年に息を切らすこともなく静かに声をかけた。

 「お前、しくじったな」

 少年はゆらりと上体を遊ばせリラックスしたようにネアの前に歩み出てきた。

 「ええ、バカを相手にしてしまいましたからね」

 「違ぇよ。俺を怒らせたことだ」

 彼は表情も変えず、いきなりネアに蹴りを放ってきた。その蹴りはブンと空気を咲く音をたてて飛んできた、それを彼女はさっと飛び退いてかわす。

 「こんな女の子にも手加減無しなんだ。どこまで余裕がないんだよ」

 少年と間合いを切ったネアは呆れたような声を出した。

 「俺は子供だろうが、女だろうが、赤ん坊だろうが容赦しねぇ」

 彼は歪な笑みを見せると、ネアに掴みかかろうとした。ネアを掴もうとする素早く繰り出される腕にネアは己の爪を一閃させた。彼の二の腕に綺麗に四つの赤い線が浮かび上がった。

 「ちょっと浅かったかな」

 彼が腕の痛みに気を取られいる一瞬をついて背後に位置したネアがつまらなそうに呟いた。

 「ふざけんなっ」

 少年が振り返って殴りつけようとしたが、ネアはその背中に張り付いて彼の射界の外に身を置き続けた。

 「剣精様なら、ここで、打ち込む」

 ネアは手にしたシャフトを逆手に持つと力いっぱい、彼の腰に打ち込んだ。ネアが妙な手ごたえを感じると同時に少年は絶叫し、その場に崩れ落ちた。

 「こ、腰が・・・」

 少年は石畳の上でうめき声をあげていた。

 「俺の倅に随分な事をしてくれたじゃねぇかよ。責任取ってもらうぜ」

 呻く少年を見下ろし一息ついていると、新たな声がかかった。声の方向を見るとそこには、ネアの2倍ぐらいの背丈の傭兵崩れが十数名の傭兵崩れとともに彼女らを睨みつけていた。

 「あーら、これまたご丁寧に」

 そんな傭兵崩れにフォニーは馬鹿にしたような声をかけた。

 「こんだけふざけた事をしてくれたんだ。お前らの毛皮剥いで敷物にしてやる」

 大男は叫び声をあげると、男どもがネアたちに襲い掛かってきた。

 【マズイな】

 自分たちとのあまりの戦力差にネアは舌打ちし、ここは身を張ってラウニたちを逃がす算段をたてはじめた。

 「姐さん方の毛皮を脱がすのはご法度ですぜ」

 いきなり声がすると、先頭切って突っ込んできた男がいきなり進行方向と直角の方向に吹き飛んだ。

 「大の男が女の子相手に、恥を知りなせぇ」

 男を吹き飛ばしたのはハチのゴツイ鉄拳だった。

 「姐さん方、ここは、このハチにお任せくださいやし」

 ハチはにやっとすると、ファイティングポーズを取った。

 「ハッちゃん、1人じゃ危ないよ」

 「私たちも手伝います」

 「私が買った喧嘩です」

 ネアたちがハチに加勢すると言った時であった。

 「その必要はありません。彼らは私に借りがあるのです」

 凛とした声が響き、木剣を肩にかけて仕事着のエルマが音もなく現れた。

 「おや、エルフ族のねーちゃんか。これは獣臭いのよりマシか」

 大男は下卑た笑みを浮かべた。エルマが挑発されて逆上するわけがなく、全く表情を浮かべていないのを見てネアたちは顔色を失いだしていた。

 「あの表情は・・・」

 「完全にブチ切れた時の・・・」

 そんなネアたちの恐怖を知ってか知らずか、彼女はネアたちを無視して、大男をきっと睨みつけた。

 「お前か、ブレヒトたちを痛めつけたのは」

 エルマはすっと木剣の切っ先を大男に向けた。

 「なんだそれは、生意気な犬がいたから躾はしたがな」

 大男は嘲ったような笑い声を上げた。そんな彼にエルマは表情を変えることなく睨みつけた。

 「貴様、「騎士団潰し」のヴォルで間違いないな」

 「ん、それがどうした? 侍女なら潰されないと思っているのか、上玉だから殺すまでは楽しませてもらうがな」

 大男はエルマの問いかけに答えると笑い声を上げた。

 「そうか、分かった。コイツは、凶状持ちだ。ハチ、手加減するな。こいつらを殲滅せよ」

 「合点承知。ドクターにはちゃんと説明しといてくださいよ。仕事を増やすなって愚痴られるもんで」

 「その心配はいらん。死体に医者は必要ないからな」

 エルマは木剣を構えるとハチに戦闘許可を与えた。ハチは殲滅せよの言葉を聞いて獰猛な笑みを浮かべた。

 「デカい口を叩いていられるのも今の内だ」

 ヴォルが吠えると、傭兵崩れたちは隊形を整え、エルマとハチに襲い掛かってきた。

南方で穢れの民への締め付けがきつくなってきたので、北の方向に穢れの民を中心とした移動が顕著になってきています。この動きに合わせて新たな儲けがあると踏んでやって来る不届き者も増えています。人が増えて経済的に強くなれる反面、治安の悪化が田舎の郷には頭の痛い問題となっています。

今回もこの駄文にお付き合いいただきありがとうございました。ブックマーク、評価を頂いた方に感謝を申し上げます。

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