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鎧を脱いで  作者: C・ハオリム
第22章 焦りと求めるもの
314/342

292 遅い春

門松や 冥土の旅の一里塚 めでたくもあり めでたくもなし

と、思いつつもう2023年になってから1週間も経ちました。

今年も、何とか乗り切って行きたいものです。

 「このような所で会うとは、奇遇じゃのう」

 勤め人のお休みの日である黒曜日、露店が立ち並ぶマーケットの串焼き屋の店先のベンチで昼飯かわりに巨大な焼き鳥、を齧っていたネアたちにいきなり声がかかった。

 「えっ? 」

 声のした方向を見ると疲れた表情を浮かべたルーカとタミーの武闘派コンビを従えたラールがホットドッグを持った手を掲げて見せていた。

 「剣精様、こんにちは」

 ネアたちは立ち上がって、ラールに頭を下げた。その様子を察したラールはちょっと困ったような表情を浮かべた。

 「休みの日まで畏まる必要はないぞ。休みはゆっくりと羽を伸ばして、明日からの英気を養うのじゃ」

 ラールはニコニコしながら座るように促しながら、ネアの横に腰かけると、ホットドッグにかぶりついた。

 「お前らも何か喰うと良いぞ。ほれ、これで足りるじゃろ。釣りはいらんぞ」

 彼女は、武闘派コンビに巾着から硬貨を何枚か取り出してルーカに手渡した。

 「え、これってここの串焼きだけで5日は生活できるような金額ですよ」

 「ルーカよ。細かいことを言うでない。儂の分も1本頼むぞ」

 戸惑うルーカに笑って応えると、ラールはぐっと手足を伸ばした。その姿は、童話の世界に出てくる可愛らしいお姫様を思わせた。

 【こういう所が、嫉妬を買ってしまうんだろうな】

 無邪気な少女のように串焼きの到着を待つラールを見ながら、ネアは、かつてバトが言っていた、エルフ族の女性は多種族の女性の嫉妬を買いやすいという言葉を思い出していた。

 「剣精様、どうぞ」

 タミーが焼きたてで湯気を上げている串焼きを1本をラールに手渡した。

 「食欲を誘う良い匂いじゃ。忠義者御用達じゃろ」

 ラールはネアににっと笑ってみせると、ネアはぷいっと視線をそらした。

 「今日から、剣精様御用達にさせて頂きますよ。これは、おまけ」

 串焼き屋の店主はそう言うと、ちょっと盛った串焼きをラールに手渡した。

 「ふふ、好きに使うが良いぞ。今度来た時、奢ってくれよ」

 ラールはニコニコしながら、温かい串焼きに舌鼓を打っていた。

 「こういう時じゃな、剣聖と言う肩書を持っておいて良いと思うのは・・・」

 ラールはしみじみと言うと、ふと何かに気付き、小さなため息を漏らした。

 「気の早いヤツは好かん。儂が喰い終わるまで待つこともできんのか、殺気が駄々洩れじゃ」

 ラールはその方向に顔向けるわけでもなく、串焼きを食べながら鋭く言い放った。

 「流石は、剣精様、噂とおりですな。気を付けておりましたが、これは不躾な事を」

 ラールの言葉に応えたのは背中に巨大な剣を背負った髭面の大男だった。彼はその髭面の奥から鋭い眼光を放ちながらのそりと人ごみの中から出てきた。

 「不躾と思うなら、殺気を殺す鍛錬ぐらいせいっ。飯がまずくなる」

 ラールはフンっ鼻を鳴らすと、美味そうに食事を再開しだした。

 「どうぞ、ごゆっくり。最後の晩餐を急かすほど野暮ではありません」

 「ぬかせ。お主もどこぞゆっくりと最後の茶でも楽しんで来い。金がないなら奢ってやるぞ」

 「ははは、お戯れを。私が居れば食事の味も落ちましょう。教会の前でお待ちしております」

 大男はそう言うと、手を振って人ごみのなかに消えていった。

 「お知合いですか」

 「知らん。大方、儂を倒して名を上げたい武芸者じゃろう。久しぶりじゃな、あの手の男は、むさ苦しいが、最低限の礼儀は弁えておる」

 ラールは先ほどの出来事など遠い昔のように、何気なく話した。

 「死ぬかもしれないのに・・・」

 フォニーは尻尾を巻いて、泣きそうな表情になっていた。

 「ふふ、儂は死なぬぞ。あの小僧、礼儀はそれなりじゃが、腕もそれなりじゃな」

 ラールは笑顔を浮かべると、ゆっくりと食事を続けた。


 「ついて来るのか? 」

 教会前で大男と落ち合ったラールは街の門外へと歩きながら、その後を無言で続く武闘派コンビとネアたちにラールは散歩中に出会ったように軽い調子で尋ねてきた。

 「果し合いには、見届け人が必要かと」

 ルーカが落ち着いた声で声でラールに答えた。

 「私たちは見取り稽古です。最後まで見させてください」

 ラウニが真剣な表情でラールに訴えると彼女は苦笑を浮かべた。

 「人斬り包丁での遣り合いを見るのも稽古の一つじゃからな。お主、儂に勝ったと言って、こいつらに手を出すではないぞ。その時は、未来永劫祟ってやるでな。お前ら、儂が負けそうになっても手出しは無用じゃ。手出しをした奴は、誰であれ斬るぞ。勝っても負けても何も無しじゃ。良いな。ま、負けることはないがのう」

 ラールは大男を見上げるように言うと、ネアたちにも警告を出した。

 「随分と慕われておられるようですな。羨ましい。しかし、それは今日まででしょうが。すまないね、嬢ちゃんたち」

 大男はネアたちをちらりと見ると悲しそうな表情を浮かべた。

 「私たちより、ご自身の事をお考え下さい」

 ネアは無表情で大男を見上げて言うと、視線を前に戻した。


 「この辺りで良いでしょう」

 大男は門の外に出てしばらく歩いた所にあった開けた場所で彼は足を止めた。

 「そうじゃのう」

 ラールはトンと杖で地面を突いて音をたてると、反響を確かめるように首を傾げた。

 「良かろう。さ、構えよ」

 ラールは静かに大男に告げると彼は背中に背負っていた大剣を音もなく抜いて、すっと正眼に構えた。

 「言い忘れておりましたが、我が名は・・・」

 「良い、名など聞いてもすぐ忘れる」

 ラールはそう言うと仕込みを顔の前に水平に持つとすーっと剣を抜き、鞘を左手、剣を右手にそれぞれ逆手で構えた。大男は大剣を構えて隙を伺っているのか、剣を構えたまま微動だにしなかった。

 「お主、玉は付いておるのかえ。さっさとかかって来んか。目の見えぬエルフの小娘に恐れをなしたかえ? 」

 ラールは大男に挑発するように声をかけた。

 「参るっ」

 大男は、短く声を発すると、稲妻の如くラールに突進していった。

 「良く鍛えておる」

 ラールは大男の大剣を手にした剣で弾くと、すっと大男の懐に入り込み彼の胸板に背をつけた。

 「流石の身のこなしですな」

 「女子にくっつかれて嬉しかろう」

 ラールの言葉を聞くと大男は身体に似合わぬ素早さで彼女から身を離し、大剣を構えなおした。

 「ならば、今度はこちらから行かしてもらうぞよ」

 「応っ」

 ラールは、大男に向かって身を低くして飛び込み、大地を踏みしめると下から上へと逆手切りで斬り上げた。大男はとっさに大剣でその剣を受けた。

 キン

 鋭い金属音がし、昼下がりの空にラールの細身の剣の刀身が舞った。それを悟ったラールは一足飛びに大男との間合いを切った。

 「剣を折りましたぞ。如何なされますかな。まさか、降参は・・・」

 「たかが剣が折れただけではないか」

 勝ち誇ったように大音声を上げる大男にラールは不敵な笑みを浮かべ、左手にした鞘を彼に向け、折れた剣を握りなおした。

 「では、これでおさらばです」

 大男は勝ちを確信したのか大剣を大上段に構えラールに襲い掛かった。

 「甘いわっ」

 ラールは大男と衝突するように飛び出し、左手にした鞘だ男の喉を思いっきりつくと、そのまま身体を彼にくっつけるようにしてくるりと背後に回り込んだ。

 「お終いじゃ、良く鍛錬した。褒めてやる」

 ラールはそう言うと大男の腎臓あたりに折れて短剣のようになった剣を深く突き入れ、目を剥いている大男に優しく呟いた。

 ラールが大男からすっと身体を離すと、彼は重力に引かれるまま、その場に崩れ落ちた。

 「使えんようになったな・・・」

 ラールは血濡れ、折れた剣を顔の前に掲げてため息をついた。

 「ルーカ、タミー、門番にここに死体があると伝えてくれんか。剣に生きる者が剣で死するは本望じゃが、これでは後々臭いとかが迷惑になる。コイツの持ち物でも売り払って、どこかに葬ってくれとな」

 ラールはそう言うと大きなため息をつくと、倒れた大男の方向に見えぬ目を向け、

 「馬鹿者が・・・」

 と小さく呟くと、やりきれないようにため息をついた。


 「お主らに付き合ってもらいたい」

 大男との果し合いの次の日、ネアたちが工房で下作業をしている時、ラールがエルマを伴って現れ、ネアたちを連れていきたいと奥方様に申し出た。彼女の背後でエルマが申し訳なさそうに小さくなっていた。どうやら、師匠特権でネアたちの連れ出しをゴリ押ししたようであった。

 「剣精様、いきなり何ですか? 」

 奥方様は当然のように驚いてラールを問いかけた。

 「この子らに、武器の選び方を教えようと思ってな。武器の見る目が無いと、後々困るでな」

 ラールは当然のように言い放つとニコリとして見せた。

 「昨日の果し合いで、剣を折られたそうですからね。仕事は忙しくないと言えば嘘になりますが、お昼も終わってますから、この子たちは今からお休みにしますね」

 奥方様そう言うと、ラールの自由さに苦笑しつつ、ネアたちにラールについて行くように命じた。


 「武器の選び方ですか」

 杖を突きながら歩くラールの後について行きながらネアが尋ねた。

 「そうじゃ、使えん武器は敵と大して変わらんからな。見極めは大切じゃ。それよりも、甘味処は儂一人では敷居が高くてのう」 

 ラールはそう言うと、まるで見えているように細い通りに入って行った。

 「この通りに良い茶店があってな。そこの揚げパンが絶品なのじゃ。武器を見る前に寄って行くぞ」

 「剣精様って、時々子供みたいな感じがしますね」

 ラウニが小さな声でそっと横に居たネアにこぼした。

 「時々、おっさんみたいな女子よりマシじゃ」

 ラールは振り返り、ネアの言る方向に顔を向けてニヤッと笑った。

 「そうだねー、ネアはおっさんみたいな時あるもんね」

 「フォニー姐さんまで、言いますか。傷つきました」

 ネアはフォニーに対して大げさに悲しそうな表情を浮かべた。

 「お館に来た時から比べると、随分とマシになってるよ。まだまだだけど」

 フォニーはネアにフォローしているのかダメ出ししているのか分からない言葉をかけた。

 「剣精様、昨日の人、知らない人だった・・・ですか? 」

 ネアに手を引かれているティマが先頭を行くラールに尋ねた。

 「会ったことはないのう。あの手の声、気配の知人はおらん。どこかの武芸者じゃろう。偶々、儂が居ることを知って試合を申し込んできたのじゃろ。あの手の連中は余程命が軽いのか、馬鹿なのか、度し難い連中じゃ」

 ラールはそう言うと深いため息をついた。

 「強さなんぞどうでも良い・・・とは言わんが、剣先を交えた時に生き残ることの方が大切じゃ。強さを証明するために強者に挑んで命を落とすなんぞは、愚か者じゃ。あの男ほどの腕があれば、どれほどの人を守れたか・・・、馬鹿じゃ」

 ラールは寂しそうに、殊更に馬鹿を強調してティマに答えた。

 「死んだら、もう終わりなのに、もう会えないのに・・・」

 ティマには昨日、ラールに挑んだ武芸者の考えは理解できないようであった。ネアはラールにかつて果し合いが日常で会った時期があったのかと聞きたくなったが、今までの口ぶりからすると地雷、対人地雷ではなく、対戦車地雷ぐらいのが埋まっているように感じられたので尋ねることを断念した。

 「自分の命が軽いヤツが他人の命の重さなんぞ知り様もない」

 ラールは吐き捨てるように言うと、一件の小さな店の前で足を止めた。その店からは小麦と油の良い香りが湧き出ていた。

 「匂いだけで美味しいって分かりますね」

 ラウニは目を輝かせながら店の中から漂ってくる匂いを読んでいた。

 「よし、入るぞ」

 ラールはうきうきした気持ちを隠すこともせずに扉を開けた。

 「5人じゃ」

 店内は薄暗く、人の姿は無かった。ラールは気配を探り、気配の方向に声をかけた。

 「いらっしゃいませ、剣精様、さ、こちらへどうぞ」

 店内の奥から、そこだけスポットライトが当たっているようなエルフ族の女性がゆっくりと出てきた。

 彼女は、ネアたちを窓際の席に案内すると、素早く注文を聞きだしてきた。

 「揚げパンとお茶のセットを5人分じゃ」

 「畏まりました。オーダー入ります。揚げパンせっと5つです」

 彼女が厨房に声をかけると中からくぐもった声が返ってきて、注文を受け取ったことを伝えてきた。

 「こんな所にお店があったなんて知りませんでした」

 ラウニが店内を見回しながらポツリとこぼした。

 「美味しい物に目がないバトさんたちも話してなかったし・・・」

 フォニーも不思議そうに店内を見回した。店内の調度品はケフではあまり見かけないような意匠の物が多くかざられていた。

 「つい、先月こちらにお店を構えたんですよ。初めて来られたのが、剣精様なんですよ」

 注文を聞きに来たエルフ族の女性が揚げたてで熱々のパンが乗った皿をネア他の前に置きながら微笑んだ。

 「剣精様、その節は、ありがとうございました」

 厨房の奥から大きな緑色の影がのそりと出てきてエルフ族の女性の横に立った。

 「うわ・・・」

 その影を見たティマが思わず小さな驚愕の声を上げた。

 「店主です。見ての通り、オーク族です。珍しいからお嬢ちゃんを驚かせたようですね」

 大きな牙を店ながら店主はバツが悪そうに頭を掻いていた。

 「オーク族? 」

 ネアは初めて聞く言葉に首を傾げた。

 「私たちオーク族は、妻のようなエルフ族と同じ亜人って呼ばれる種族で、元より森に暮らす者ですよ」

 「見てくれは怖いけど、この人は虫すら殺せないような臆病者ですから、安全ですよ」

 エルフ族の女性はそう言うとクスクスと笑い出した。

 「それは、ヒドイと思うよ。虫は殺したくないだけ」

 オーク族の店主はそう言うと恥ずかしそうにちょっと顔を赤らめた。

 【臆病者と言うのは否定しないんだ】

 「南の方に居たんですけど、居ずらくなってこちらに来たんです。どうぞごゆっくり、これからも御贔屓にお願いします」

 エルフ族とオーク族の夫婦は頭を下げて奥の方に下がって行った。

 「やっぱり、南の方は住みづらくなってきているんですね」

 ネアは、夫婦の背中を視線で追いながら王都で体験したことを思い返していた。

 「これからは、どんどん移民が増えるぞ。南の方は人手が足りんようになるぞ、阿呆なやつらじゃ」

 ラールはそう言うと揚げパンにガブリと齧りついた。ネアたちもそれに倣ってまだ熱い揚げパンにかぶりついた。

 「油の香ばしさと甘さが絶品です」

 ラウニが一口かじると目を細めた。その横でフォニーとティマが無心に口を動かしていた。

 「野生が目覚めるような味ですね」

 ネアはフォニーとティマを眺めながらゆっくりと食べていた。前の身体だと脂っこくて甘ったるくて食べられないと判断する様なモノだが、今の身体では何よりも美味に感じられた。

 「そうじゃろ。随分前に旅している時に喰ってな、忘れられんかった味じゃ」

 ラールは美味そうに揚げパンに齧りついていた。


 「ここじゃな、「鉄床」のゴーブルの工房は」

 ラールについて鉄の臭いが漂う職人町に入ると、彼女は以前、ネアがシャフトを作ってもらった工房に入って行った。

 「ゴーブルはおるかの」

 ラールが声をかけると、工房から頭にタオルを巻いた髭もじゃが不機嫌そうな顔で出てきた。

 「俺がゴーブルだ。あんたは・・・、剣精様か。剣精様が何の用だ」

 ゴーブルは不愛想に言うとラールの背後に控えているネアたちを見た。

 「お館の嬢ちゃんたちじゃねぇか。道具の具合はどうだ。不調は無いか」

 彼はネアたちに、以前販売した武器について尋ねてきた。

 「とても使いやすいですよ」

 「ここのを使うと、他のは使えないよ」

 ラウニとフォニーはにこやかにゴーブルに答えると、彼は髭の中で満足したような笑みを浮かべた。

 「儂の剣を打ってもらいたい」

 ラールはそう言うと、ゴーブルの前に仕込みを差し出した。

 「貸してみな」

 ゴーブルはラールから仕込みを受け取ると、すっと抜いた。そこには根本から少し上あたりでポッキリと折れた刀身が出てきた。

 「随分と使い込んだようだな。残っている刃も鞘も柄もガタガタじゃねぇか。全てを新しくする必要があるな。・・・目がそれじゃ・・・、装飾なんぞいらねぇな。強くて斬れる剣、いつでも使えるってヤツか・・・」

 ゴーブルはラールをしげしげと見ると腕組みをした。

 「剣精様の剣となると、そこらの職人じゃ作れねぇや。見てくれだけの剣はいくらでも打てるが、コイツはガチな刃物じゃないとな・・・」

 彼は固まったように押し黙って少し考えた。

 「剣精様、「超絶」のグィドってヤツを知っているか? 剣精様の剣となるとヤツぐらいの腕が無いとまた折れちまうぞ」

 ゴーブルはそう言うとそっと仕込みをラールに返した。

 「ここでは打てんと言う事か・・・」

 ゴーブルの言葉にラールは少しがっかりしたような声を上げた。

 「俺は打てんが、ここにはグィドがいる。ちょうど奥にいるんだ。グィドさんよ。ちょっと来てもらえんか」

 彼は工房に声をかけると、暫くしてから髭を短く刈り込んだがっしりしたドワーフ族の男が現れた。

 「ゴーブルさん、何の用ですか? 」

 グィドは面倒臭そうに言うと店内を見て、固まった。

 「・・・」

 彼の目はラールに釘付けになっていた。今まで炭やコークスなどの臭いと鉄を打つ音しかなかった彼の世界に、今までなかったモノがそこにあったからである。

 「え・・・」

 ラールは工房から出てきた気配に見えぬ目を丸くした。今まで血と汗の臭い、刃が打ち合う音しかなかった彼女の世界に、今までなかった気配があったからである。

 ラールとグィド互いに見合ったまま固まってしまっていた。

 「ひょっとして、うちら歴史的な瞬間に立ち会っているのかも」

 「否定はできませんね」

 2人の様子からフォニーとラウニがニヤリと笑みを浮かべた。

ラールの剣は片刃の直刀です。常は杖の中に仕込まれています。

戦闘スタイルは、剣を右手、鞘を左手でそれぞれ逆手で握っています。

居合に近い戦闘スタイルです。何合も打ち合うと言う事はあまりしません。

目が利かないので、身体を密着して相手の動きを読んだり、相手の攻撃しにくい間合いに身を置き、リーチの短さを補っています。

今回もこの駄文にお付き合いいただきありがとうございました。ブックマーク、評価を頂いた方に感謝を申し上げます。

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