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鎧を脱いで  作者: C・ハオリム
第20章 将来
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266 喧嘩を買う

暑くなって、湿気も増えてきました。体調を崩しやすくなってきました。

暑い日は涼しい所で身体を休めるのが一番ですね。その時の暇つぶしの一助になれば幸いです。

 「な、なんで分かるの」

 いくら気配を殺して隠れてもしつこく追ってくる男にティマは今まで感じたことの無い恐怖を感じていた。こんなことは密航していた船の中でもなかった事であった。


 「くそっ、あのネズミ・・・栗鼠とかぬかしたか、妙な技を使いやがる」

 ティマを追っている男は五感を研ぎ澄ませ、猟犬のように確実にティマに迫っていた。

 「何かありましたか、ウラーノ様」

 地を這うようにティマの痕跡を追っている男に襲撃者であった侍女もどきの1人が声をかけた。

 「スペロか、ネズミと言うか栗鼠が一匹入り込みやがった。捕まえて、聞きたいことを聞いたら処分する。捕まえた時に死んでいても構わん」

 「了解、ティボ、ファノ聞いた通りだよ」

 スペロと呼ばれた女が声をかけると音もなく昼間の襲撃者たちが姿を表した。


 【ここから入れるかも? 】

 ティマは従業員用の扉を見つけるとそっと引いてみた。扉は音もなく開いた。

 【いい感じ】

 彼女は中に入ると、さっと周りを見回した。そこはシーツや掃除道具を入れておく部屋の様で採光用に小さな窓が一つあり、換気のためか開いていた。

 【うん、いけそうだよ】

 ティマの背丈の倍ぐらいある高さある窓を見上げながら彼女は自分を鼓舞するように頷き、そして身をかがめ、さっと音もなく窓に飛びついた。

 「栗鼠族にかかれば・・・、え、3階・・・」

 ティマは窓から下を見て顔をしかめた。しかし、これ以外に道は無いと考え彼女は窓から身を出すと壁にしっかりと手をかけた。


 「どこに行きやがった」

 「ウラーノ様、ここに扉が」

 彼女の痕跡を追ってきたウラーノが苛正しく唸ると大柄な侍女もどきの襲撃者が従業員用の扉をさっと開いた。

 「ここにはいないですね」

 そこはシーツと掃除道具が主として君臨している部屋であった。扉を開いた彼女は、その部屋を注意深く見回して小さな声を出した。

 「ティボ、窓があるよ」

 ティボと呼ばれた女の背後から部屋に入ってくると、開いている明り取りの窓を指さした。

 「あんなところから出られるのかしら、ここは3階だし・・・」

 「ファノ、俺たちが追っているのはネズミと言うか、栗鼠と言うか、そんな穢れだ。しかもガキだ。あの体型ならあんな窓ぐらい抜け出せる。外に回るぞ」

 ウラーノは侍女もどきに命ずると宿の外ら向けて走り出した。


 「ネズミって失礼だよ」

 部屋の中で交わされた会話を聞いてティマはむすっとした表情になった。獣人にとって種族を間違われることは非常に不愉快なのである。アーシャが豹族、しかも太った豹族と間違われてむっとするのはこのためである。

 わずかな間、憤ったティマは宿の壁のレンガの継ぎ目に指を立ててボルダビングするように壁を上りだした。

 【栗鼠族のフィールドは地面の上じゃないんだよ】

 ティマはウラーノたちが外に出て来るより前に宿の屋根の上にその身を置いていた。

 【この看板、なんか嫌な感じ・・・、えーと、高級宿、黄金の渚亭・・・、自分で言うんだ】

 ティマは建物の屋根にドーンと置かれた品のない看板を見て肩をすくめた。


 「いつでも、かちこみに行けやすぜ」

 いつもの格好にただ鉢巻を巻いただけのハチが、じっとティマの帰りを待っているレヒテを元気づけるように明るく言い放った。

 「ハイリアの郷の人が泊っている宿ね・・・」

 レヒテはネアが分捕ってきたバッジを手にしながら、ティマの帰りを待たずにカチコミをかけようかと考えていた。

 「レヒテ様、あのー、言いにくいんだけど、今年はハイリアの郷は来てませんよ」

 レヒテの言葉にリナが言いにくそうに話しかけてきた。

 「え、でもこれ、襲撃したヤツからはぎ取ったモノですよ」

 ネアがリナに飛び掛かりそうな勢いでレヒテが手にしているブツを指さしてリナに問いかけた。

 「毎年いるんですよ。このお勉強会のためにだけ雇われる使用人がね。そんな人は仕事を終えるとさっさと仕事着を古着屋に売っちゃうんです。で、次のお勉強会に他の郷が、その時だけの使用人に仕事着として古着屋から仕入れて着せるの。だからね、ちょっとどこの郷か紋様が刺繍されていたりすると、融通が利かないって安くなるんですよ。そんなのを着せているってだけで、見てくれだけ気にする郷、最近、ちょっとばかりお金を手にした郷って見られるんですよね。分かる人からすれば、とても恥ずかしいことなんですよね」

 「・・・しくじりました・・・」

 リナの言葉を聞いてネアは耳を伏せ力なく椅子に座り込んでしまった。そんなネアを慰めるようにリナは彼女の頭を優しく撫でた。

 「最近、持ち慣れぬ金を手にした郷あたりが臭いですね。そんな郷は・・・」

 リナの言葉を聞いたノバクは顎に手を当ててしばらく考え込んだ。

 「心当たりが三つほどありますね。まずは、最近豊作が続いているコシカ、領内の穢れの民を追い出してその富を手にしたルウン、翡翠を見つけたナルゴあたりでしょうかね。コシカもルウンも参加されているのはお嬢様ですから、お嬢様方にその手の趣味があれば別ですが、ご令息が参加しているのはナルゴだけですね」

 「とりあえず、ナルゴにかちこんで、なんかムカつくからルウンもついでにかちこんで行こうかしら・・・」

 ノバクの説明を聞いてレヒテは不穏な言葉を吐きだした。

 「お嬢、それは犯罪ですよ。確たる証拠もなくかちこむことはできません。お嬢は寝ていてください。我々でティマを待ちます。あ、明日はお勉強会はお休みです。再開については追って報せるとのことです」

 ノバクがそう言うと、控えていたミエルがそっとレヒテの肩に手を当てると、レヒテは無表情で立ち上がり、彼女に案内されるまま自分のに部屋に戻って行った。


 「ルシアちゃん、絶対に助けるからね」

 暗い部屋の中、主のいないベッドに向けてレヒテは呟いた。


 「どこ行きやがった。ガキの足だからそう遠くは行けないはずだ。手分けして探し出せ。気配をあてにするな。音、臭い、空気の動きで追え。殺しても構わん」

 宿の外に飛び出たウラーノは宿の外壁を見上げ、そこにティマの姿が無い事を確認すると辺りを見回し、ついてきたスペロ、ティボ、ファノに命ずると彼女らはさっとその場から散って行った。


 【あ、あいつら・・・、こっちには気づいてないよね】

 密集した建物の屋根から屋根に飛び移って移動しながらティマはルシアを襲った侍女もどきが走り回って自分を探しているのを確認した。

 【鯨の溜息亭は、どこかな。多分、あの低い建物がある方向だよね】

 ティマは適当に見当をつけると、眼下で走り回る人影からできるだけ距離を取りながら、主人であるレヒテの元に急いだ。


 「んー、何か来たようだけど、心配しなくてもすぐに始末するから」

 ヨーブはずらりと並んだ少女たちに糸を引くような笑みと余裕を見せようとした。

 「簡単に始末できるとは思わないけど」

 ルシアはヨーブを睨みつけ、決して屈しないし、諦めもしないという意思を見せた。

 「君は・・・、あ、おまけで来てもらった、貧乏郷の娘だね。まだまだ子供だけど、これからの投資だと思えばいいかな」

 ヨーブはルシアの言葉など介さないとばかりに小馬鹿にしたように笑った。

 「残念です。貴方の郷は近いうちにヤヅにも劣る貧しい、そしてどこより心の貧しい郷に成り果てます。私にはそう詠めますから」

 ルシアはにこやかにヨーブに言い放った。

 「ふん、口から出まかせを。僕には君が僕の元で豊かな生活をして幸せになる姿が見えるよ。おや、もうこんな時間か、夜更かしは美容によくないからね。皆、休むといいよ。明日は、一日何もないから、僕ともっと深く知り合えるようになるよ」

 ヨーブはルシアの言葉を歯牙にもかけず、気持ち悪い笑みを浮かべると、さらってきた少女たちに寝室に向かうように促した。

 「そうね、体調を気遣ってくれることだけは評価しますわ。それ以外は、評価に値しませんが」

 キヌは振り返りもせず、ヨーブに投げつけるように言葉を吐いた。

 「ふふ、強がっていられるのも、今のうちさ」

 ヨーブそんな彼女たちを笑顔で見送った。


 「あのネズ公、どこ行きやがった」

 ウラーノは路地裏を走り回りながら、ティマを追いかけていた。しかし、彼の視界に尻尾の大きなネズミの姿は入らなかった。

 「いません」

 「こちらも見つけられませんでした」

 「申し訳ありません」

 苛つくウラーノの前に侍女もどきの3人が跪いて、何の成果もなかったことを報告した。

 「つくづく、役に立たないな。ネズミを追うこともできないとは・・・、俺も含めてな」

 「いいえ、我々の力が足りないせいで」

 「それ以上言うな、・・・奪還にくるぞ、それを迎え撃つ。これから、準備だ」

 ウラーノは跪く3人に言うと宿に向かって歩き出した。

 「次の手を打たれるのですね」

 「見切りがかっこいいです」

 「何が来ても対処できるよう準備します」

 3人の侍女もどきは飼い主に付いて行く犬のように彼の後を追った。


 「「麦穂」のティマ、ただいま戻りました・・・です」

 そろそろ空が白んでこようかとする頃、宿の扉を力なく開け、倒れ込むようにティマが入ってきて、一言言うと、本当に倒れてしまった。

 「ティマちゃんっ!! 」

 真っ先に飛んできたのは、当然と言うかやはりと言うかアリエラであった。彼女は倒れ込んだティマを抱け上げると彼女に顔に涙を流しながら頬ずりを始めた。

 「ずっと、隠形を使ってきたんだね、疲れたよね。うん、疲れたよね。でも、それだけやって持って帰ってきたという事は、とても価値のある情報ね。ティマ、寝るのは早い、何を持ち帰ったか報告しなさい」

 アリエラはいつもの猫なで声ではなく、凛とした声でティマを叱責するように尋ねた。

 「ルシアさんは、黄金の渚亭にいます。やらかしたのは、ナルゴの郷のヨーブ・イエッカです。あたしの隠形を見破る怖い大きな男と、それなりの使い手・・・侍女みたいなのが3人・・・、キヌって人も一緒でした・・・」

 「よくやったよ。うん、よく頑張ったね。流石は、私の弟子、師匠として鼻が高いよ。もう、いいからゆっくりお眠りなさい」

 「ありがとうございます・・・。お師匠様、おやすみなさい・・・」

 ティマはそう言うと、カクンと落ちてしまった。その様子を見ていたアリエラは歓喜に打ち震えていた。

 「ティマちゃん、かわいい、絶対に可愛い。許されものなら、私が産みたかった」

 さっきまでの凛とした師匠としての雰囲気はそこになく、いつものアリエラの姿があるだけだった。

 「途中までカッコ良かったのに・・・」

 「流石、残念トリオだよ」

 そんなアリエラの姿を見たネアとフォニーは苦笑を浮かべながらも、どこかほっとしていた。

 「憎き敵の場所はわかったから、後はかちこむだけですね」

 ネアはやっと光が見えてきたことに歓びの声を上げたが、それをノバクが遮った。

 「郷に喧嘩をふっかける、この場合、ふっかけたのはナルゴの郷ですが、傍から見るとケフが喧嘩を売ったことになります。単純にちからだけでも、我らに比して質も数も勝っているでしょう。最悪、ケフが悪党となり、ナルゴに賠償するなんて羽目に陥ることも考えられます。強力な後ろ盾があれば、そのあたりは力押しみたいに行けるかもしれませんが・・・」

 ノバクが言うには、郷の間のトラブルも大きなものとなれば、王の耳に入り、結局勝った者、力がある者の言葉が、真実とは別にまかり通ってしまう、そうなるとケフとしては非常に立場が悪くなるとのことであった。

 「目標は見えているのに、歯がゆい、こうなったら、私が全てを背負って」

 バトが拳を握りしめて決心したように呟いた。

 「悪いですが、使用人1人程度の命でどうこうなる問題じゃないですよ。ここにいる全員でも足りないぐらいですよ。勿論、その中に私も入りますけどね」

 ノバクはそう言うとため息をついた。どう考えても、ケフに何らかの悪い影響がある手段しか思いつかなかった。


 「おはようございます」

 翌朝、レヒテが朝食をとりながら残念トリオからティマが怖い思いをして持ち帰った情報を聞いていると涼やかな声が宿に響いた。

 「ルナルの郷のヨーラ・エイザー様がお見えになりました」

 宿の前を掃いていたフォニーが電のように食堂に飛び込んできてレヒテに報告した。

 「え、全く準備できていないよ。でも、お待たせするわけにはいきません。フォニー、お通しなさい」

 「ふふ、そう言われる前に来ましたよ」

 ヨーラが共のリガンを連れて食堂に入ってくると空いている席にすっと腰かけた。

 「お気になさらず、お食事を続けてくださいな。朝食は大切ですからね」

 ヨーラはフォニーの報告に思わず立ち上がったレヒテに座るように促すと静かに微笑んだ。

 「お食事を続けながらお聞きください。私のお付きのキヌがさらわれたことはご存知ですね。そのことで伺いました。ケフも同じように侍女の方がさらわれたとか・・・、我らの捜索にお力を借りることはできないでしょうか」

 ヨーラは今までのにこやかさとは裏腹に心細そうな表情になっていた。そんなヨーラにネアは温かいお茶の入ったカップを手渡した。

 「既に、家臣が行方不明になった郷にも同様のお願いをしております。早く、キヌを取り戻したいのです。ああ、こうやっているうちにもキヌが毒牙にかかっていないかと思うと・・・」

 ヨーラは手にしたカップを両手で挟むようにして持っていたが、キヌのことを心配するあまり、力を込めていた。

 「もし、辱めを受けていたなら・・・」

 ヨーラは、その言葉を発すると同時にカップを握りつぶした。

 「あら・・・」

 「そのお気持ち、痛いほど分かります。・・・実は、昨夜、と言っても夜明け前ですが、我が郷の家臣が戻ってまいりました。その者から、不埒者の宿まで分かりました。しかし、そこにどうやって・・・、踏み込みようが分からないのです。力だけならば、相手が何者であれ、遅れはとりません。しかし、一つの郷相手の喧嘩、下手すれば郷の間の戦にもなりかねないと危惧している次第です」

 レヒテはヨーラにケフが直面している事を包み隠さず話した。

 「・・・気は進みませんが、我らもその喧嘩に一枚かまして頂けませんか。ケフが喧嘩を売るのではなく、ルナルが売られた喧嘩を買うのです。腐ってもルナルのエイザー家は名門とされておりますから、四郷でなければ、家名で捻じ伏せられます」

 ヨーラはそう言うと凄みのある笑みを見せた。彼女が言っていた「こんなふざけた事をしやがった連中に地獄を見せてやります。生まれてきたことを後悔させてやります」と言うのはモノの例えではなく、具体的にどうするかを宣言していたのだとレヒテは悟り、その対象に自分がいないことにほっとしていた。


 「不埒者はナルゴの郷のヨーブ・イエッカなんですね。宿は黄金の渚亭、手練れとその部下3名なんですね。それ以外もいるでしょうけど、ルナルの護衛たちを使えば何とかできるでしょう」

 ヨーラはレヒテから詳しい話を聞いて暫く考えてから口を開いた。

 「リガン、家臣をさらわれた郷からも協力を願えないか、聞いて来てください。準備もありますから、ヨーブ君の所へお邪魔するのは夜が良いでしょうね。集まるのは私が宿泊している、さざ波亭です。そこから、彼の所までなんて、おトイレに行っている間に往復できるような距離ですから」

 彼女はそう言うと席を立った。

 「では、お待ちしております。不埒者に生まれてきたことを後悔させてやりましょうね」

 ヨーラは壮絶な笑みを浮かべて鯨の溜息亭から去って行った。

 「お嬢、間違ってもヨーラ様に失礼な事をしないようにお願いします」

 ヨーラが去ったことを確認するとノバクがレヒテに深々と頭を下げた。

 「お嬢、あの方を怒らせたら、正しく、生まれたことを後悔させられます」

 「絶対に敵にしてはいけない人です」

 「底知れぬ恐ろしい人です」

 ノバクに続いて残念トリオもレヒテに首を垂れ、真剣に訴えた。

 「貴女たち、私を一体何だと思っているのよ。私だって危険な事は分かります。それが証拠に・・・、ほら」

 レヒテは自分の掌をノバクと残念トリオに見せた。その掌は汗ばんでおり、その汗でふやけていた。

 「暴れ姫を恐怖させる存在・・・、世の中はやっぱり広いですね」

 ネアが感心したように呟いた。そして、彼女は切り替えたように真顔になった。

 「今夜は全員でかちこむのですか」

 「行きたくない人はいないよね。戦えない人は怪我人の対応、この一大事に戦力を出し渋るなんてことは考えていないよ。皆、まずはルシアちゃんの安全確保を第一、そして敵の殲滅、ティマの話だと手練れがいるみたいだから油断はできないけど、皆ならできるはず。きっとやっつけられる。そして、皆でここでお祝いするんだよ。だから、死ぬことは絶対許さないから。いい、郷主の娘として命令します。死んではいけません」

 ルシアは食堂に集まっていた全員に思いを告げた。その声を聞いたケフの一団から歓声が上がった。

 「喧嘩の勝利条件は? 」

 「相手の心をへし折るっ! 」

 レヒテが己の家臣に問いかけると、全員が同時に答えた。

 「ケフってトンデモない戦闘郷なんだ・・・、でも、お隣の郷の子を助けるために全員で殴り込むなんて」

 そんなケフの一団を見ていたリナが呆れたような声を出した。

 「ナルゴの郷のヨーブ様に同情します。でも、皆さん、お友達思いの気持ちの良い人たちじゃないですか。無事に戻って来てもらいたいですね」

 「色んな郷を見て来たけど、ケフほどの郷は見たことがないよ。だって、あの警備会社の人以外は騎士が1人もいないんだよ。それでも、ゴロツキをあっという間に施療院送りにしたんだよ。きっとあの人たちなら涼しい顔して帰って来るよ」

 リナは気勢を上げるケフの一団を見て呆れたように言いながらどこか羨ましげに眺めていた。


例え子供同士とは言え、郷の間での喧嘩は処理を一つ間違えれば戦に発展しかねない問題になります。

大概はお金を持っていて、発言力の大きな郷の思うがままになってしまいます。ネアたちの場合、発言力の大きいルナルの郷が味方に付いてくれているので、成金のナゴルの郷に強気で出られるのです。

この世界は、力がある方が正しいとなることが少ならからず存在します。

今回もこの駄文にお付き合いいただきありがとうございました。ブックマーク、評価を頂いた方に感謝を申し上げます。

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