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鎧を脱いで  作者: C・ハオリム
第20章 将来
272/342

252 現実

何かと世間は騒がしいですが、このお話がちょっとした気休め、退屈しのぎなれば幸いです。

 「ラゴの村は涼しくて気持ちいいですねー」

 白いワンピースと耳穴のついた麦わら帽子をかぶったラウニが宿の近くの小川に足を突っ込みながらうっとりとした声を上げた。

 「涼しい風が吹いて木陰にいると眠たくなりそうです」

 けだるい昼下がり、小川のせせらぎとセミの声以外は聞こえない、時間がゆっくりとながれていた。その中でネアもストーブの前で溶けた猫のように小川に足を突っ込み上半身を仰向けにして木々の隙間から見える明るい空を見上げていた。

 「クゥさん、カイさん、気持ちいいよ」

 ルシアが小川に足を突っ込んでバシャバシャしながら木陰に佇んでいる2人に声をかけた。

 「護衛の仕事に触りますから」

 困ったような笑顔を浮かべ残念そうにクゥが答えた。

 「こっちに来たら、これ、あげるわよ」

 小川の川原の石に腰かけたレイシーがせせらぎに浸かっていた網を引き揚げると、そこには良く冷やされた蒸留酒の瓶が2本入っており、木漏れ日に身に纏った水滴を反射させていた。

 「飲んでも仕事ができるよ。って言うか、私らお休み中じゃん。意地はってもいいことない」

 「え、でも・・・、宵闇の人がいるから安心ですねー」

 ジーエイ警備の2人はアルコールにティムされたようにレイシーの元に駆けよって行った。

 【それでいいのか、ジーエイ警備。・・・いいんだよな、あの2人も休みなんだし】

 ネアはチラリと彼女らを横目で見ると目を閉じた。


 ヤヅの一件はあの後も騒ぎが続き、最近ようやく収まったぐらいである。騒ぎと言ってもヤヅの新郷主の着任に関する様々な手続き、バルンの処分、元郷主の息子とあって死罪にも犯罪奴隷にもならなかったが、一生地下牢に繋がれることになり、看守以外の面会は出来ない状態されていた。この世界の普通の牢獄でも衛生観念や心地よさに関しては望めないが、地下牢となるとその比ではないと言われ、遠くないうちにバルンは健康を害して神の御許に行くだろうと噂されていた。

 ネアの近くで大きく変わったことと言えば、ルシアが郷主の娘としての立ち居振る舞いを学ぶということで、休日である黒曜日以外は、お館で学習と行儀作法でアルア先生にしごかれ、護身術の名目でエルマに地獄の臭いを嗅がされ、ラールにからかわれる日々を過ごしていた。そのおかげか、彼女にも心をへし折ってこそ勝利という考えが沁み込んで行っていた。


 そして、ネアたちは、いつものメンバーで恒例となった「癒しの星明り亭」で夏のお休みを過ごしているのであった。


 「暑い時に熱いお風呂に入って、風に吹かれるって気持ちいいよねー」

 宿の庭で寝巻に着替えたフォニーが夜の匂いを纏った夕方の風に黄金色の体毛を優しく撫でられながら背伸びした。

 「お星さまが見えてきた・・・です」

 ティマが小さな手で空を指さした、その先には綺麗に輝く星が一つ瞬いていた。

 【ゆっくりと過ごす夏っていいよな。ここに来てから初めて知ったような気がする】

 ベンチに腰かけたネアは足を揺らしながら風が運んでくる様々な匂いをぼんやりと読んでいた。

 「あれ、ラウニ、どうしたの? 」

 侍女見習いたちがワイワイやっている中、夕方辺りからラウニが大人しくなっていることにフォニーが気づいた。

 「なんか、お腹痛い感じがするんです。それとなんだか眠たくて・・・」

 ラウニはお腹をさすりながら困ったような表情を浮かべた。

 「今日は早く寝るといいですよ。明日の朝も調子が悪かったらドクターに診てもらいましょう」

 ネアはそっとラウニの傍に寄って猫が甘えるようにピタリと身体をラウニにくっつけた。

 「そだよ。風にあたると身体を冷やすから、中に入ろ」

 フォニーが手を取ってラウニを立ち上がらせると宿の中に連れて入った。

 「あら、ラウニちゃんどうしたの? 」

 厨房からヒルカが顔出してラウニに声をかけてきた。

 「なんか、調子が優れなくて、でも、一晩寝れば大丈夫です」

 ラウニは気丈にヒルカに答えたが、彼女はラウニをじっと見つめた。

 「獣人は顔色は分かりにくいけど、鼻の艶、光から見て・・・」

 ヒルカはじっとラウニを見つめてしばらく考え込んだ。

 「最近、月のものが来たのはいつだった? 」

 ヒルカの言葉にラウニは首を傾げた。

 「月から来るってなんだろ? 」

 「怖い人かも」

 フォニーとティマが互いを不安そうに見つめあっていた。

 「ふふ、そう言う事ね。・・・ネアちゃん、来たら教えてね」

 ヒルカの言葉にネアはびくりとした。あまり考えたくないことがふと脳裏をよぎった。

 「ラウニ姐さん、お部屋に戻りましょ」

 ネアはそっとラウニの背中を押すようにして部屋に向かった。その姿をヒルカは見送ると、温泉から上がってきたレイシーに目を向けた。

 「ヒルカさん、何か? 」

 足元にかけよってくるビブを迎えるようにしゃがみながらレイシーが答えた。

 「ラウニちゃん、近いうちに初めてのが来るみたい」

 ヒルカはレイシーに囁くように小さな声で話しかけた。真人には聞き取れないかもしれないが、獣人にははっきり聞こえたようで、レイシーは優し気な笑みをうかべた。

 「おめでたい事ですね。でも、びっくりしますよ」

 「ええ、だからフォローをお願いしますね」

 ヒルカの言葉にレイシーは微笑みながら頷いた。


 「食欲はあるんだね」

 いつもと変わらず夕食を頬張るラウニにフォニーが不思議そうな表情を浮かべていた。

 「食べて、力に変えて、病を圧し潰す」

 ラウニは大きな肉の塊にフォークを突き刺すと、大口を開けてかぶりついた。

 「ワイルドだ、熊の捕食が目の前で・・・」

 ネアは少しひいてラウニを見つめた。ティマに至っては恐怖の表情を浮かべていた。

 「食べすぎはお腹をこわしちゃうよ」

 フォニーは心配してラウニに声をかけたが、ラウニはどこかムキになっているようで捕食的食事をやめようとはしなかった。

 「食欲が出たりすることもあるのよね・・・」

 レイシーは少し心配そうな目でラウニを見た。

 「あの子がどうかしたのか・・・」

 ドクターはレイシーの表情から何かを察したのか尋ねてきた。

 「女の事に殿方は首を突っ込まない」

 「そ、そうか・・・」

 いつにないレイシーの剣幕にドクターは押され、気まずさを消すかのように目の前の酒を煽った。


 「え、えええ、あーっ」

 早朝、ラウニがベッドの上に半身を起こしシーツをめくりあげて悲鳴を上げた。

 「血、血が・・・」

 ラウニは己が寝ていたシーツに血が滲んでいるのを見て表情を失っていた。

 【ヒルカさんの読みが当たったみたい】

 ネアは状況察して寝ぼけ眼で心配そうにしているフォニーをきっと見つめた。

 「レイシーさんをティマと一緒に呼びに行ってください、早く。レイシーさんですよ。ドクターじゃなくてレイシーさん、レイシーさんが居なければ大人の女性を。ラウニ姐さん、大丈夫です。大丈夫」

 ネアは呆然としているラウニの肩を抱きしめるとフォニーに声をかけた。

 「わ、分かった」

 フォニーはティマの襟首を掴むようにして部屋から飛び出て行った。

 「何っ」

 「大丈夫っ」

 フォニーと入れ違いでカイとクゥが部屋に飛び込んできた。

 【流石、警備専門】

 と、ネアは2人の動きに感心していたが、身振りで大丈夫であることを伝えた。

 「ラウニちゃん? 」

 クゥは黙り込んでいるラウニをじっと見てから気配を伺うとにっこりとした。

 「分かりました。カイ、大丈夫ですよ」

 「・・・? 」

 クゥは首を傾げるカイの手を引いてさっさと部屋から出て行った。そんな彼女らと入れ違いに小箱を抱えたレイシーが部屋に入ってきて、彼女を落ち着けるようにそっと抱きしめた。

 「ラウニちゃん、落ち着いて」

 毛皮で分からないが、多分顔色を失っているラウニにレイシーがにこりと微笑みかけた。

 「・・・血が・・・」

 自分の身に起こったことに理解できず不安の表情を浮かべるラウニにレイシーは優しく語りかけた。

 「それは、病気でも何でもいこと。ラウニが大人になったことの証よ」

 レイシーは、何のことか分からず彼女を見つめるラウニの頭を撫でると部屋に戻ってきたフォニーとティマ、そしてラウニにひっついてるネアたちを見回した。

 「ちょっと部屋から出て行ってもらえるかな」

 ネアたちはレイシーの言葉に頷き、部屋から出て宿のホールへと向かった。

 「ラウニ、どうしたのかな・・・」

 「病気じゃないみたいだけど・・・」

 フォニーとティマは互いに不安そうな表情で見合っていた。その後ろを毛皮の下の顔色を無くしたネアが付いて行った。


 「貴女たち、月のものについてエルマさんから聞いたことある? 」

 ラウニの処置を終え、ベッドに寝かせつけたレイシーがホールに集まっているネアたちに真剣な表情で尋ねてきた。

 「聞いてません」

 「ツキノモノ? 」

 「・・・」

 フォニーは溌溂と聞いてないと答え、ティマは質問の意味すら分からない感じ、そしてネアは常はピンクの鼻先が真っ白になっていた。

 「エルマさん、教えてなかったのね・・・、そうね・・・、ティマちゃん、ちょっとビブのお相手してくれないかな。フォニーちゃん、ネアちゃんは私の部屋に来てね。あなた、暫くはお部屋に入らないでね」

 「分かっとるわい」

 これから何があるのか理解しかねているフォニー、深刻な表情を浮かべるネアを引き連れて部屋に戻るレイシーにドクターがむすっとした様子で応えた。

 「お母さん、ラウニちゃんに私の時に淹れてもらったお茶を持って行ってあげようと思うの。落ち着いて、身体が温まるのを」

 シャルは少し前の事を思い出しながらも、ラウニのケアをするのは年長者としてやるべきことだと考え、ヒルカに相談した。

 「そうね。あの子には心配いらないって伝えてあげてね。今夜はご馳走にしないとね。あなた、今日の夜はとっておきを出して、デザートもお願い。デリケートな問題だから、露骨にしないように」

 ヒルカは娘の言葉に頷きながらも、厳しい表情でラスコーに今夜の食事について指示を与えた。その言葉には、言外にデリカシーの無い事をしたら、どうなるか分かっているだろ、の脅しが含まれていた。

 「ああ、分かっているよ。男が口出しする様な事じゃないが、めでたい事だからな」

 ラスコーは態々ぶっきらぼうに返事すると、早速食糧庫に足を向けていた。


 お昼前になってから、神妙な面持ちのフォニー、そして死刑宣告を受けたような表情になっているネアがホールに戻ってきた。

 「やっぱり・・・」

 ヒルカはネアの打ちひしがれた様な表情を見るとため息をついた。

 「ネアちゃん、お昼が済んだら私の所に来てくれるかな、厨房で待っているから」

 「は・・・、はい・・・」

 にこやかに話しかけるヒルカにネアは気の抜けたような返事を返した。

 「カイさん、クゥさん、ちょっと」

 ホールの隅で待機中の2人にレイシーがそっと呼び掛けた。

 「ルシア様に関しては、マーカさんか、貴女たちにお任せしますよ。後、数年も経たないうちにルシア様も・・・ですからね」

 「あんまり、その手の話をするとマーカさんに指導をもらっちゃうから、難しいのよね」

 カイが困ったような表情でレイシーに返した。

 「マーカさん、その手の事には厳しいですから、だからうちの店にバトさんが来るって分かると、厳戒態勢をとるぐらいですから」

 クゥは困り顔でレイシーに告げると、レイシーは表情を曇らせた。

 「そうなんだ。困ったわね。その時が来たら、きっとラウニちゃんみたいにパニックになるかもしれない、心の傷になったりしないようにしないとね。マーカさんにレイシーが心配していた、って伝えてくれればいいから、傭兵していると体調管理が命に直結するのは貴女たちが良く知っていると思うから」

 レイシーはホールで我が子とティマと一緒に遊ぶルシアを心配そうに見つめた。

 「傭兵は、体調管理ができないとやってられないですから」

 クゥはレイシーの言葉を肯定するように頷いた。

 「鋭いのは血の臭いを見逃さないからねー。特に獣人はね」

 カイは何かを嫌な事を思い出したのか顔をしかめた。

 「戦う時は、五感をフルに活用するのは常識」

 顔をしかめたカイにレイシーはにやっと笑いながら当然の事のように言ってのけた。

 「そりゃ、そうだけど・・・、獣人の人には普通かもだけど」

 カイはレイシーの言葉に頷きながらもどこか納得いかないような表情を浮かべていた。


 「ネアちゃん、私はてっきり貴女はもう腹を括っていると思っていましたが、そうじゃなかったのね」

 昼食後、家族の居住空間の居間でネアはヒルカとテーブル越しに対面した状態で座っていた。ヒルカの言葉にネアは俯いたまま小さな声で「はい」と答えただけであった。

 「私は、性別が変わるってことを経験していないから、偉そうなことなんて言えないけど、女性としては貴女より経験しているはずよ。魂とか記憶とか内面的な事は抜いて、肉体的に見れば、ネアちゃんは私やラウニのサイドなのよ。貴女は否定したいようだけど、身体が成長するにしたがって否定できなくなっていくことは確かよ」

 ヒルカはネアにお茶を進めながらネアをじっと見つめた。

 「そうですよね・・・。私はこの身体になった時、性別はなくなったと考えていました。もしくは、去勢された男みたいなものだと。性別に関しては意識しない様にしていました。逃げてたんですね」

 両手で温かいお茶の入ったカップを持ち、ネアは自分の性別に関して深い所で認識していることをその中に映る自分の顔に確認するように見つめながら小さな声で答えた。

 「誰も経験したことがないような領域に、たった一人で立っている心細さは分かっているつもりよ。でも、ネアが望む、望まざる関係なく、身体は成長する。成長を留めたり、性別を変えるような魔法や道具なんて無いのが現実よ」

 ヒルカはネアに冷徹な現実を叩きつけた。ネアはヒルカに言われるまでもなく、自分の身体を変化、させたり制御できる方法なんて存在しないことは理解はしていた。しかし、実感していなかった、どこかで他人事のように考えていた、目をそらしていた。しかし、ラウニに訪れた事がネアが目を背けていた事実に無理やり目を向けざるを得なくしたのであった。

 「女性であることは事実ですから否定しませんが、将来的には、誰かの嫁となり母親になる・・・、前の世界で夫にも父親にもなれなかったのに・・・、これは無理してする必要がないからちょっとは安心できるかな」

 ネアとしては、今思いつく最悪の筋書きを口にしたが、それはある程度じぶんので制御できることと考え、小さな安堵の表情を浮かべた。ヒルカはそんなネアに顔を近づけ、じっと見つめた。

 「何を言ってるの。貴女はお嬢の侍女でしょ。貴族や郷主は別として、有力な騎士団員、商人とコネをつくるために好むと好まざるを得ず、嫁に行かされることになるよ。ずっとお嬢のおそばに仕えるなら、お嬢の嫁ぎ先に一緒に行くことなってケフから離れることになる。ケフにとどまりたかったら、そんな厄介なお話が来る前に・・・、所帯を持つことね」

 ヒルカは物理的現実の次に政治的現実を突きつけてきた。この世界で、婚姻に関する事項は100%個人で制御できる事項ではなく、不本意な婚姻関係を持たざるを得ないこともあるのである。カーウィンやハービアの例は庶民としては珍しくもない事であるが、権力者に物理的にも政治的にも近い者にとって、婚姻は制御するのが難しいのが事実であった。

 「そうすると、ラウニ姐さんやフォニー姐さんも・・・」

 それぞれ、心の中に想い人を抱えている2人のことを思い出してネアは言葉を飲んだ。

 「あの子たちは、どこかで納得しているはずよ。口ではああ言っていても、どこかで諦めている。手の届かない人に想い焦がれているの。でも、大人になれば、受け入れなくてはならないの。身体の成長とおなじように」

 この世界で姓を持たない彼女らが、同年代の子どもたちより良い服と言っても仕事着を着て、良いものを口にして、読み書き、計算まで身に着けてもらえる恵まれた環境に中にいることの代償とも言えた。

 「悲しいですよね。姐さんたちには想いを遂げてもらいたいです」

 「できる限りのことは応援するつもりよ」

 悲しそうな表情を浮かべネアにヒルカは優しく話しかけた。応援するについては本心からの言葉であった。

 「バトさんやルロさんが言ってた、玉の輿って話も、これを知っての冗談だったんだ・・・」

 ネアは常にあっけらかんとどつき漫才のようなしている2人の姿を思い出して複雑な気分になった。

 「その2人って、シモエルフとツッコミドワーフのことかしら。噂しか聞いてないけど、あの手の人は案外本気だったりするのよね」

 ヒルカはネアの感傷をにっこりと受け流した。ネアはその言葉を否定することができず、苦笑を浮かべた。そんなネアをヒルカはじっと睨むように見つめた。

 「目をそらし続けることはできないの。悲しいけど、現実を受け入れるしかないの。世の中、自分の気持ちなんて関係なく動いて行くものよ。私も里を出て、まさか宿屋の女将さんになるなんて思いもしなかったんだからね。思い通りの目は出なくても、その目を楽しまないと人生つまらなすぎるから」

 ヒルカはそう言うと、ネアににっこりとして見せた。

 「ラール様にも言われたんですよ。踏ん切りが悪いヤツって。自分の中では納得して、心を決めたつもりでしたが、目を背けて表面だけでした」

 ネアはちょっとだけ元気を取り戻したように明るくヒルカに話すと、無理をしたような笑顔を見せた。

 「ここに初めて来たときから比べると、随分と女の子らしくなったと思うわよ。努力したみたいね」

 ネアの言葉にヒルカは彼女が人からは計り知れない気苦労を重ねてきたかを想像すると、偽りのないねぎらいの言葉をかけた。

 「ありがとうございます。でも、どこか演技しているような違和感があるんです。本来の自分は違うのにって、でも、おかげさまで踏ん切りがつけられそうです」

 ネアはここに来たとの表情とは対極の明るい笑顔をヒルカに見せた。

 

 

 

ネアが今まで意識はしていても、真剣に向き合って来なかったことに直面します。

ネアとしては今の身体でいることに不満はありませんが、どこか割り切れなさを感じています。

割り切れないことを敢えて深く考えずにいましたが、腹を括る時期が来ている状態です。

今回もこの駄文にお付き合いいただきありがとうございました。ブックマーク、評価を頂いた方に感謝を申し上げます。


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