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鎧を脱いで  作者: C・ハオリム
第19章 組織
269/342

250 戦闘開始

外出するのも謀られる最近ですが、お家で過ごすときの暇つぶしのお役に立てれば幸いです。

 「諸君、これから仕事だ。何度も言っているが、この仕事は速度が重要だ。殴って盗んだらすぐ逃げろ。ひったくりの要領だ」

 深夜、サーラックの町の前に集まった食い詰めた傭兵にゴロツキが混ざった集団にディッセルは呼び掛けた。当初、20名程度のだった烏合の衆は、今や50名ぐらい膨らんでいた。そして、どいつもこいつも無制限の暴力の発揮を飲んでいるようであった。彼らはディッセルの呼びかけに「応っ」と低く応えた。それを見たディッセルは満足そうに微笑み、髭をそっと撫で上げた。

 「近いうちに追手が来るだろう。祭りは今日が最終日だ。思い残すことなく暴れようではないか。」

 彼は集団に話しかける。ディッセルは彼らを見回して口角を上げた。

 「穢れの民を追い出した。何故か? 奴らは劣っている、勝っているのは身体能力のみだ。品性は下劣、畜生並みの知恵しか持たぬ連中だ。追われて当然だな。次は何か、大きな戦も望めず、警備するにも対象が少なく、騎士団に仕官しようにも、正義と秩序の実行隊なる正体不明の連中が幅を利かしている。次に追われるのは我々傭兵だ。今まで仕事とは言え、この郷で身体を張ってきた我々は郷と郷の民に追われようとしている。奴らに我々に何をしてきたかを思い起こさせてやろう。虐げられた者の訴えを聞かせてやろう」

 ディッセルはダメもとで集団を煽ってみることにした。不満を感じている連中は、どこかに被害者意識を持っているもので、そこをちょっとくすぐれは、火が着く、その火は近いうちに大火となり、多くを焼き尽くすだろう。

 「奪われた物を取り返せ」

 「アイツらだけにいい思いはさせない」

 集団はそれぞれ恨み言を口にしだした。その目は憎悪の色に曇っており、その場の熱狂に酔っていた。

 「仕事が終わったら、イーソンに向かえ、そこを我らの決起の場とする」

 ディッセルの言葉に集団は歓声を持って答えた。

 【街の連中が目を覚ますだろうが、馬鹿が】

 彼は怒鳴りつけたくなる衝動を抑え込んだ。そして、苛立ちを見せもせず集団に命じた。

 「暴れる時間だ」

 ディッセルの言葉に集団は突貫の叫びを上げながら町へと流れ込んで行った。

 「後は、イーソンに集まった連中に最後の仕込みをするだけだな」

 彼は、そう呟くとサーラックの町へは向かわずイーソンへと足を向けた。


 傭兵たちの略奪は最初のウースヤの町では、夜明けの随分前に終わり、殺戮も最低限であった。しかし、チッシャの町では仕事が終わったのはもう少しで空が白くなる頃であり、殺戮された者の数も増えていた。

 サーラックで仕事が終わったのは日が昇るころであった。町のあちこちで煙が上がり、全量とは言えないまでも堅気の市民、討ち死にした騎士団員、返り討ちにあった傭兵、騒ぎに乗じたものの最終的にドジを踏んでしまった者、そして子供までもが物言わぬ姿となり、彼らは粛々と町の中央の広場に並べられていった。サーラックの町は悲しみに沈んでいた。神科身に包まれたサーラックの昼下がり、ヨーゼンたちは町の中に足を進めていた。彼は弔いに集まっている町の民を確認するとその方向に歩き出した。

 「退け」

 悲しみに沈んでいる遺族たちを押し退けて鎧を着た一団が場の空気を読まずに割り込んできた。

 「あんたら・・・」

 遺族の1人がヨーゼンに詰め寄ると、何か文句を言おうとしたのだろうが、ヨーゼンは声をかけてきたものを一瞥するとしゃがみ込み若い娘の遺体の服をはだけ、傷口などを検分を始めた。

 「おい・・・」

 「黙れ、仕事中だと言うのが分からんのか、愚か者が」

 遺体の検分を終えるとヨーゼンは文句を言ってきた男の顔面に顔を近づけた。

 「役に立たん貴様に少しは役に立つチャンスをやる。賊はどこに行った? 」

 ヨーゼンは男の目前で怒鳴り声を上げた。

 「お、お前、俺の娘を辱めたな」

 怒鳴りつけられた男は逆にヨーゼンに吠えた。

 「死んだモノに愚かな、貴様は尋ねられたことだけ答えろ」

 ヨーゼンは叫ぶと男の鳩尾に拳をめり込ませていた。がくっと崩れ落ちる男の髪の毛を掴んで引き上げると噛みつかんばかりに男の顔に顔を近づけた。

 「賊はどこに行った」

 「・・・娘に謝れっ」

 男はぐったりした状態であったが、その状態でヨーゼンに唾を吐きかけた。

 「・・・その心意気、よしっ」

 ヨーゼンはその男を叩きつけるようにして手放すと頭部を加減もせずサッカーボールのように蹴り上げ、拍子で仰向けになった男の顔面を踏みつけた。

 「しかし、価値がない」

 彼は動かなくなった男に吐き捨てるように言うと、その顔面に唾を吐きかけた。

 「おい、賊の人数、どこに向かったか言え」

 ヨーゼンは近くにいた若い男に怒鳴りつけるように尋ねた。尋ねられた若い男はその横暴ぶりにむっとして何も言わず睨み返した。

 「言葉が分からんのか、賊の人数と向かった方向を言え」

 「それが人に物をたずねる態度かよ」

 「聞かれたことだけに答えよ」

 激昂する若い男にヨーゼンは表情も変えず尋ねた。しかし、若い男はますます怒りだし、顔が真っ赤になっていた。彼はそんな若い男を無視して、近くにいた若い女に尋ねた。

 「くだらん事ばかり喚きおって・・・、おい、同じことを問う。人数、方向は? 」

 「こんなヤツに答える必要はないぞ。ぐっ」

 若い男が吠えた。ヨーゼンはその言葉を聞くや無言でバックハンドブローを男の側頭部に容赦なく叩き込んだ。若い男は妙な声を出してその場に崩れ落ちた。

 「俺は、男だとか女だとか老人だとか子供だとかは区別しない。答えようによっては貴様も賊の仲間とみなして処理させてもらう」

 ヨーゼンに問い詰められた若い女は顔色を失いながらもしゃがれた声を出した。

 「50ぐらい、イーソンに向かうって・・・」

 彼は若い女の声を聞くと暫く考えた。

 「虚偽であると責任をとってもらう。これよりイーソンに向かう」

 「了解」

 ヨーゼンは集まった人々を突き飛ばす勢いで街の外に向かって移動を始めた、そんな一行に幼い少年が1人駆け寄った。

 「父ちゃんの仇をとって」

 子供は涙を堪えてヨーゼンに訴えた。その声を聞いた時、ヨーゼンの表情が一層厳しくなった。

 「何を言った」

 彼は足を止め子供を見下ろした。その圧倒間に子供は腰が引けたようであるが、彼の目をしっかりと見つめた。

 「父ちゃんの仇を・・・」

 「っ! 」

 子供がそこまで言いかけた時、ヨーゼンは子供の首を片手でつかむと持ち上げ、自分の視線と子供の視線が合う高さまで持ち上げた。

 「それは、折れに対する命令か? 何の権限があって俺に命令する。答えよ」

 子供は足をバタバタさせて枯れた泣き声を上げるだけだった。

 「答えろと言うのが聞こえんのかっ」

 ヨーゼンは子供を大音声で怒鳴りつけた。子供は恐怖を感じているのか泣くだけであった。

 「邪魔しおって、愚か者が」

 ヨーゼンはそのまま子供を石畳の上に叩きつけると蹴飛ばして子供を脇にどけ、そのまま進んで行こうとした。

 「待てっ」

 そんなヨーゼンに鋭い声がかかった。彼が声のした方向を見ると体のあちこちに包帯を巻いた騎士団員らしき男が立っていた。

 「何の用だ。我々は急いでいる」

 ヨーゼンの言葉に騎士団員の表情が険しくなった。

 「幼い子供にけがをさせ、悲しみに暮れる遺族に傍若無人な振る舞い、彼らに謝罪して頂きたい」

 「くだらん」

 騎士団員の言葉にヨーゼンは一言返すとそのまま歩き出した。しかし、その騎士団員はヨーゼンの進行方向に回り込んだ

 「謝罪されたい」

 「町を護りきれんかったヤツがデカい口を叩くな。そんなに怒るなら、何故、護らなかった。何故、のうのうと生きている。恥を知れっ」

 いきり立つ騎士団員をヨーゼンは一喝した。その言葉にその騎士団員は一瞬たじろいだ。

 「だが、町の民を今、痛めつけ・・・」

 「くどいっ、貴様が守れなかったから、ガキや街の民がけがをしたのだ。貴様の責任を擦り付けるな。それ以上、つまらんことを言うと、職務の邪魔をしたと判断し排除する」

 ヨーゼンは剣の柄に手をかけた。それを見た正義と秩序の実行隊員たちも同じように剣に手をかけた。

 「うっ」

 騎士団員はその場に固まった

 「そんなだから、町を護れんのだ」

 ヨーゼンは吐き捨てるように言うと固まっている騎士団員の横を通り過ぎた。

 「腰抜けが」

 彼は立ち尽くす騎士団員を見ることもなく言うとそのままサーラックの町を後にした。


 「諸君、充分稼げたかな。楽しめたかな」

 三々五々集まって来る傭兵たちにディッセルはにこやかに話しかけた。

 「最近では一番の稼ぎだ」

 「ああ、楽しめたぜ」

 集まって来る傭兵たちはそれぞれ満足したような表情を浮かべていた。そして廃墟のあちこちに屯して戦利品を互いに見せびらかせ始めた。

 「皆、それぞれいい稼ぎになったようだな。いい事だ」

 ディッセルは満足そうに彼らを眺めて機嫌よさそうに傭兵たちに声をかけた。

 「アンタのおかげだよ」

 「これからも稼がせてくれ」

 傭兵たちは笑顔でディッセルに応えた。それを見て彼はにやっと笑った。

 【焚きつけた火は勝手に広がる。そして消すには難しい大火事になる】

 ディッセルは自分の思い付きが思いのほか良いように転がっているのに満足していた。


 「やはり、馬鹿だったか・・・」

 グレイのマントの男からの報告を聞いてナトロは頭を抱えそうになった。ヨーゼンは野盗を討伐という任務が与えられたなら、それがためには郷を滅ぼしても任務を完遂する男であることを悟ったナトロはため息をついた。

 「このままでは、正義と秩序の実行隊員を全員殺してしまうかも知れん。他の郷にどう説明する・・・、オレの独断で奴を動かした・・・、その責任は・・・」

 ナトロは執務室を難しい表情で行ったり来たりしながら考えだした。

 「隊員を殺させないためには戦力が・・・、ヤツを投入するか・・・、ヨーゼンはどこに向かったんだ」

 「イーソンに向かったと聞いております」

 グレイのマントの男はナトロに答えた。

 「よし、エイディを呼べ、奴を戦力として投入する。リューカが必要だな、そうなるとあの馬鹿は聞く耳持たない・・・、一筆書くか・・・」

 グレイのマントの男にナトロは命じた。暫くするとリューカがナトロの執務室に現れた。

 「エイディには話は通じないから、アンタが来たなら話が早い」

 ナトロはリューカに腰かけるようにすすめた。彼女は勧めに従いソファーに深く腰掛け、足を組んだ。

 「イーソンに向かってもらいたい、そこで、ヨーゼンの手助け、エイディを使うように勧めてくれ。このままだと徒に隊員を損耗する。そこで、エイディを戦力として借りたい」

 「でも、ヨーゼン様は女子供の声に耳を貸されませんよ。行っても無駄では」

 リューカがつまらなそうにナトロに聞くと、その答えとばかりにナトロは一枚の書状を手渡した。

 「これを使ってもらいたい。と、言うかヨーゼンに渡してもらいたい。それには、エイディを武器として扱ってもらいたいと書いた。問題ないよな」

 「彼は、このために存在しているのですから。手綱はしっかりと握っておきますよ」

 リューカは微笑みながらナトロから書状を受け取った。

 「馬は準備させてある。目的地はイーソンだ。あそこは廃墟しかないから、従兵と荷馬車をつける。君らは彼らを待つことなく出発してもらいたい」

 ナトロは窓の外をチラリと見ると、困ったような表情を浮かべた

 「日がそろそろ暮れるが、出発してくれ」

 「ええ、承知いたしましたわ。彼も最近、血に飢えているようですので」

 リューカがニコリとしてナトロに答えた。

 「暴走させて、隊員まで殺されると元の木阿弥だからな。注意してくれ」

 「言われるまでもありませんわ。賊どもを排除させます」

 リューカはニコリとして一礼するとナトロの執務室から出て行った。

 「忙しいが、アイツらをヨーゼンの元まで誘導してくれ」

 「承知」

 部屋の隅に控えていたグレイのマントの男はさっと部屋から気配を消したが、それは以前に比して少しもたついたような感じがした。

 「疲れているな・・・、休みを与えんと・・・、なんで馬鹿はいつも元気なんだろうな」

 ナトロは新たに発生した問題に深いため息をついた。


 「後方より、馬が近づいてきます」

 イーソンの町から見えない街道上で小休止をしていたヨーゼンの元に後方を警戒していた隊員から報告があった。

 「どこだ」

 すっかり夜もふけ、星空すらなく、鼻をつままれても分からない、炭を流したような暗闇の中、隊員たちは列を作りながらも横たわり暫しの仮眠をとっていた、そこに確かに馬のひづめの音がしていきていた。

 「警戒」

 ヨーゼンがひと一発すると隊員たちは剣を取って立ち上がり、いつでも抜刀できる状態になった。

 「ナトロ様より、協力せよと命ぜられました」

 馬上からエイディが叫ぶとひらりと馬から降り立った。

 「我らの戦力に不満があるのか」

 作られた笑みを浮かべるエイディにヨーゼンは、つかかって行った。

 「ヨーゼン様、これを。ナトロ様からの言伝でございます」

 その横からリューカがそっとナトロからの書状をヨーゼンに手渡した。

 「灯りを持ってこい」

 部下にランタンを持ってこさせるとヨーゼンはナトロからの書状に目を通した。

 「エイディは強いのか」

 「ええ、あの英雄には叶いませんが、彼が5人いれば英雄に10回中3回は勝てると思いますよ」

 ヨーゼンはエイディの強さについて尋ねたが、リューカから微妙な答えに複雑な表情を浮かべた。

 「英雄か、あれは普通ではないが、図り様がない。そして、それの五分の一程度か、良く分からんな。我が部隊の隊員は英雄に対抗するに何人必要だ」

 「100名でも怪しいかと思いますよ」

 「そうか・・・」

 一度彗星と剣を合わせたことがあるヨーゼンはリューカの言った数字が盛られた数字ではないと判断していた。今の全勢力でもエイディと刺し違えられるかどうか、己の手駒の力の無さを彼は嘆きたい気分になった。

 「エイディを投入する時期と場所をお教えいただければ」

 「その時に話す。攻撃は夜明けとともに実行する。偵察に2名を出せ。町の中の様子と奴らの根拠地を見つけろ。空が白くなるまでに報告せよ」

 ヨーゼンは事務的にリューカに答えると、早速部下たちに命令を下しだした。頭はもう戦闘のモードになっていた。常人からすれば彼は常に戦闘モードなのであるが。


 「おい、門の前に見慣れない連中がいるぞ」

 空が白みがかる頃、ボランティアで飲みながら門番をしていた男が大声を上げた。その声に釣られて傭兵たちはそれぞれの武器を手にして町の門に集まってきた。

 「もう来たか、早いな。弓を持っている奴は門を越えたあたりで狙えるように分散して配置だ。後は突っ込んできた奴の脇腹を叩くやり方で撃退しろ。・・・そんなに数はいるとは思えん」

 ディッセルは自信ありげに傭兵たちに指示をしていった。そして一通り指示が終わるとそっと後ろの方に下がって行った。

 【潮時だ】

 彼はイーソンの町についた時に見つけた小さな通用門を通ってヨーゼンたちが居る方向とは逆の方向に足を向けた。

 【今回は成り行きでやったが、次はもっと計画的にやってやる】

 後に残った烏合の衆がどうなろうとディッセルには関係の無い事になっていた。彼からすれば、集まった連中はおだてやすい駒にしかすぎなかったのであった。

 【最後の一花はでっかく咲かせてやる】

 ディッセルは振り返ってイーソンの町を取り囲む煤けた壁を見てふっと鼻先で笑った。彼の物語は、今始まったのだ。打ち切りになるかもしれないが。


 「門の前の広場に向けて弓兵が複数名配置されているようですが、細部位置まで探れませんでした」

 「敵は、中央の通りに向かう路地に兵員を配置している模様。全体でおおよそ50」

 ヨーゼンは偵察から帰ってきた隊員からの報告を腕組みしながら聞いていた。

 「お前、まず盾を持って町の門をくぐってあの広場に立て」

 夜明けとともにヨーゼンは隊員の1人に命じた。

 「正義のために身を張って来い」

 マースはその隊員の肩を叩いて激励した。

 「正義のために」

 隊員は一言叫んで門内に踊り込んだ。

 「来やがった」

 「撃て」

 傭兵たちは突っ込んできた隊員に向けて崩れかけた建物の窓から、かろうじて残っている屋根の上から次々と突っ込んできた隊員に向けて矢を放った。

 「・・・っ」

 隊員は盾で何とか防いでいたものの、一本が足に突き刺さり、バランスを崩すとその隙を狙ってか次々と矢が隊員の身体に突き刺さった。思わず隊員が倒れそうになった時であった。

 「倒れるな。死んでも立っていろ」

 矢だらけになった隊員にヨーゼンの檄が飛んだ。

 「はいっ」

 ハリネズミのようになった隊員は剣を抜き、それを杖のようにして身体を支えた。

 「矢を射てて来る場所を確認したか」

 「確認しました」

 ヨーゼンは隊員1人を犠牲にして弓兵の場所を探ったのであった。

 「4名であの窓、あの屋根、矢を撃ち込め、その間に突入し飛び道具を排除せよ。突入隊は8名、残余は路上の敵を排除し、この地域を安全化する。捕虜は取る必要はない。かかれっ」

 ヨーゼンの命令により隊員たちは素早く行動に移り、弓を手にした隊員は命を代償に得た情報に基づき、弓兵のいる場所に矢を次々と撃ち込み、相手が射撃できない様にしていた。

 「エイディは、広場及び広場に入って来る敵を排除してもらいたい。排除したならば町中を掃討してもらいたい。傭兵は全て排除してもらいたい」

 にこやかに突っ立っているエイディにヨーゼンは命令を下したが、エイディは無反応であった。

 「こ、こいつ・・・」

 ヨーゼンのこめかみに青筋が浮かぶ前にリューカがそっとエイディに耳打ちした。

 「分かった。正義のために」

 「ええ、制限なしに正義を行ってください」

 エイディは嬉しそうに抜刀すると正義と秩序の実行隊員たちが傭兵と斬り結び始めた鉄火場に突っ込んで行った。

ヨーゼンの用兵を書いてみましたが、早速、隊員を一人潰しています。彼は鍛えると言う発想はあっても育てると言う発想がありません。これは全てにおいて貫かれています。彼もナトロの言う馬鹿の一類型です。ヨーゼンの仇役となるディッセルは、自分第一主義で、部下の事は気を聞かせているふりをしているだけでゲームの駒と同じように考えています。この似たような2人が激突することがあるのか、ないのか、乞うご期待です。(期待していないゾのお声はスルーさせて頂きます。)

今回もこの駄文にお付き合いいただきありがとうございました。ブックマーク、評価を頂いた方に感謝を申し上げます。

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