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鎧を脱いで  作者: C・ハオリム
第18章 事変
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243 つけるべき踏ん切り

雪が積もったり、寒かったりで籠りがちになってしまいそうです。

そこに妙な病気ですから、ますます閉じこもりがちになりそうですが、

このお話が暇つぶしの一助になれば幸いです。

 「これ、配達をお願いします。料金は、相手側持ちです」

 ネアは、ディブからの招待状に参加する旨と、ラールが乱入するおそれが大いにあることを書き添えたものを事務室で執務するルビクに手渡した。

 「結婚式は次の黒曜だったな、いいものだぞ。将来のために良ーく見ておくんだな」

 ルビクはネアから返信用の封筒を受け取ると配達物の棚に置いた。

 「まだまだ先になると思いますけど」

 「そんな事を言っているのがさっさと片付いたりするんだよ」

 ネアの言葉にルビクは笑って応えた。その様子をネアは憮然とした表情でしばらく見つめると、一礼して事務室から出て行った。

 【野郎と付き合う趣味はないんだよ】

 ネアは前の世界では至ってその方面は淡白であった、その上その手の趣向に関しては交通事故ほどの面白みのない男であった。その為、ネアにとって婚姻やそれにつながるであろう恋愛に関してはそもそも頭に無く、多分これからも無いと本人はそう思っていた。


 「バランスを考えると、この端切れはこの位置、この明るいのはここに・・・」

 寝る前、ネアは居室で奥方様の許可をもらって頂いた端切れを仮置きしながら唸っていた。色や模様がどうも納得いくバランスにならずネアは難しい表情になっていた。

 「そんなに時間もないんですよ。早く、縫い合わせて行かないと間に合いませんよ」

 そんなネアを心配したラウニがネアに納得より完成を目指せと悩むネアにアドバイスしてきた。

 「大切な結婚式のプレゼントなんですよ。下手に妥協したくないんです」

 「でも、間に合わなかっら意味ないよ」

 ネアの拘りに対してフォニーが抜本的な問題を投げかけた。

 「ここの色が重いんですよ。もっと軽やかな・・・、でもこれを使うと周りが重い感じになるし・・・」

 ネアは彼女らの意見もご尤もであるとしながらも、どうしても納得いく配置にならないジレンマに陥っていた。

 「入るぞ」

 その時、ドアをノックもせず布袋を提げたラールが入ってきた。

 「ネアよ。お主が布を色々と漁っておると聞いてのう。これを持ってきたのじゃ。柄や色は分からぬが、手触りは良いぞ。一度も使っておらんから心配はいらんぞ」

 ラールはそう言うと布袋の中身をテーブルの上にぶちまけた。

 「レースが綺麗で・・・す・・・ね・・・」

 そのぶちまけられた物を見てラウニが声を詰まらせた。

 「黒や紫・・・、剣精様、これはひょっとして・・・」

 フォニーもぶちまけられた物を視認して声を詰まらせた。

 「エルマが儂に穿かせようと用意したパンツじゃ。一度も使っておらんから、綺麗なもんじゃぞ。孫弟子への贈り物じゃ。お主らが穿くには少しばかり早いような気がするがのう」

 ラールはそう言うとその中の一枚を手にして、少しばかり自慢そうにネアたちに見せつけよるように掲げて見せた。

 「あ、この紫、レース、色合い、ちょうどいい感じです。剣精様、ありがとうございます」

 ネアはぶちまけられた物の中から一枚を手に取ると両手で開いてじっくりと見つめながら、ラールに礼を言った。

 「喜んでもらえれば充分じゃ。お主らも大地の力を吸収したければ、無粋なモノを穿くではないぞ」

 ラールはそう言うと笑いながらネアたちの部屋から出て行った。

 「これ、穴が開いている・・・」

 ティマが下着と言うより、何かの趣味のための小道具となった下着らしき物を手にして首を傾げた。

 【人の考える事って、基本的に皆一緒なんだ】

 ネアはティマが手にしたモノを眺めながら人の本質について考えを巡らせた。

 「何かいやらしいですね」

 「いかにも大人って感じ」

 ラウニとフォニーも少し恥ずかしそうにティマが手にしているブツを見ていた。

 「ーっ、貴女たち、それを渡しなさい」

 そこに額に青筋を浮かべたエルマが飛び込んできて、ティマが手にした下着を奪い取った。

 「エルマさん、この一枚は使わせてください。このタペストリーを完成させるために必要なんです」

 ネアは紫を手にしてエルマに懇願した。

 「よろしい、それ以外は回収。あのノーパン師匠・・・、」

 エルマはぶちまけられた下着を袋に詰め込むと、稲妻のように部屋から飛び出して行った。

 「これは、死守したぞ。これて、ピースは揃った・・・」

 ネアは下着を握りしめたままその場にへたり込んでしまった。


 「ネア、私たちも手伝うよ」

 「布の配置はコレで良いんですね」

 ラールとエルマの来襲があった次の夜、フォニーとラウニはネアの返事を聞くまでもなく、パッチワークのタペストリーの作成に手を出していた。

 「すみません。下手に拘ったから・・・」

 ネアはそんな2人にすまなそうに頭を下げると、先輩方はにっと笑った。

 「拘らないってありえないでしょ」

 「小さいことに拘るのがネアらしさだからねー、そんな事だと禿げるよ」

 ラウニとフォニーは手慣れた様子で端切れを縫い合わせて行った。まだまだ技術が追い付いていないティマは自分ができることを考えると、

 「あたし、お茶淹れてきます」

 さっと部屋から出て行った。その日の夜、消灯のベルの後も暫く侍女見習いたちの部屋の灯りは消えなかった。


 「ネアちゃん、プレゼント見せてもらえないかな」

 必死に春のキャラバンで受注した子供服にしつけ糸をかけるネアに奥方様が声をかけた。ネアは針を持つ手を止め、顔を上げて奥方様を見た。その表情はいつもと同じく、にこやかな表情であった。

 【この人、ある意味ポーカーフェイスなんだよな】

 「そんな、大したものではないんですが」

 「私の工房から出すようなモノですからね。見ておきたいのよ」

 奥方様は有無を言わさず、ネアに彼女が作成したパッチワークを見せるように命じた。

 「承知いたしました」

 ネアは奥方様に一礼すると居室にパッチワークを取りに戻ると疾風怒濤の勢いで駆け戻り、肩で息をしながら奥方様にパッチワークを差し出した。

 「どれどれ、ふーん、配色と柄・・・、この紫、なかなか効いているわね。全体的に良い出来栄えね」

 奥方様は例の紫色の布を指さしてにっこりとほほ笑んだ。

 「お褒め頂きありがとうございます。その紫の布は、持ち主ともども、効いていますから」

 「・・・色々と効いている方ですからね」

 奥方様はその布の提供者のことを思い出して微妙な表情になった。

 「私にもこのパッチワークを手伝わせてほしいな」

 「もう完成してますが・・・」

 奥方様はネアのパッチワークを手にすると手元の道具箱を開いた。既に完成しているモノどうするのかと首を傾げた。

 「お祝いものでしょ。吉祥を入れないとね。やらせてもらってもいいかな」

 奥方様は刺繍道具を手にネアに問いかけの形をした命令を口にした。

 「・・・お願いします」

 ネアは自分の作品がどの様に改良されるか、一抹の不安を感じながらも奥方様に頭を下げた。

 「素敵な一品に仕立てましょうね」

 奥方様はパッチワークの下の方に刺繍枠をはめると、日の光でキラリと光る金糸を手にした。

 「皆、いいかしら」

 奥方様はそう言うとネアたちを呼び寄せた。

 「お祝い事のプレゼントにはね。どこかに吉祥を入れるの。それを正面に押し出すと安っぽくなったり、何かのお札みたいになるからダメね、吉祥の紋様を装飾の一つとしてさりげなく入れるのがいいわね」

 奥方様は贈り物を作る際の作法の一つを教えながら、手を動かし始めた。

 「このステキなパッチワークの周りを、結婚なら白鳥ね。あの子たちは一度番った相手と最後まで一緒に居るって言われているから。そして、白鳥が向き合うようにして・・・」

 奥方様はネアのパッチワークの周りに2羽が向き合い、ハートを形作っている白鳥の模様をミシン縫いを思わせるような速度で入れて行った。

 「速い」

 「指先が見えないよ」

 ネアたちは奥方様の技に目を見張っているのを見た、古顔の職人たちが懐かしそうな目で見ると、

 「久しぶりだねー、奥方様の高速刺繍。」

 「あれをできるのは、ターレの地で2人ともいないからねー。私らがいくら精進してもあの域には至れないよ」

 口々に奥方様の尋常ではない技術に肩をすくめていた。

 「吉祥を入れる時の大事な事はね。一針一針にその人の事を思って針を刺すの。ちょっと頼りなさそうだけど誠実なディブ、ちゃっかりしているけど人の事を思いやれるハービア、あの人たちに幸多からんことを」

 奥方様は勲功授与の場で杖をつきながらも足の苦痛を顔に出さなかったディブと彼をずっと気遣っていたハービアの姿を思い出して笑みを浮かべた。

 「はい、完成。後はね。ここにネアの好きな言葉や格言を刺繍してあげると完璧よ」

 奥方様はそう言うと綺麗に刺繍されたパッチワークをネアに手渡した。

 「好きな言葉ですか・・・」

 ネアは奥方様に言われてどんな言葉が良いのか考え、それを口に出した。

 「あらゆる好機を利用せよ。・・・かな」

 ネアは思わず前の世界で耳にした言葉を口していた。

 「うーん、結婚式には似合わないわね。もっといい言葉ないかしら」

 「幸運は陽気な門からやってくる・・・?」

 ネアは頭をひねって虫食いだらけの記憶からそれらしい言葉を絞り出した。 

 「いい言葉ね。それを刺繍するといいわね。この糸を貸してあげるから。心配しなくてもちゃんと刺し方を教えてあげるから」

 奥方様はにこやかに言うとネアにここで作業するようにと示した。

 「ご指導、お願いします」

 ネアはそう言うと早速、パッチワークの言葉を入れる部分に刺繍枠を嵌めだした。


 「陽気な事は良い事じゃ」

 招待されてはいないものの、無理やりネアにくっついてきたラールはネアの肩に手を置いて式場まで案内させながら耳をピコピコと動かしていた。

 「エルフ族の方も耳を動かせるんですね」

 「普通は動かせん、鍛錬の賜物じゃ。音も敵を知る大切な要素じゃからな」

 少し自慢気に語るラールのいで立ちは、どこから見てもちょっと大きな商家のお嬢様であった。ボサボサだった髪も綺麗に整えられ、着崩すの域を超えたファッションでもなく、黙っていれば可憐な少女にすら見えた。一方ネアは、お祭りごとに着ていく私服にちょっと奮発した大きなリボン状の尾かくしをつけていた。ネア単体ならちょっといい所のお嬢さんに見えたが、ラールがいるため、どうしても彼女の侍女のようにしか見えなかった。

 「あ、ネアさん。来てくれたんですね。ありがとう」

 「ネアちゃん、可愛いわ」

 式場となっているレストランの入り口で郷の役人が催事の際に身に纏う綺麗な制服を着たディブと胸元と背中の布地が随分と少ないドレスを着たハービアがネアたちを出迎えた。そして、彼らはネアの肩にそっと手をかけているラールを見ると少し驚いた表情になった。

 「剣精様」

 2人は同時にそう言うとその場に深々と頭を下げた。

 「こんな下々の婚姻の場にご足労頂けるとは、感謝いたします」

 「堅苦しい事は抜きじゃ。今日はお主らの友人の1人として来ておるのじゃ。この場の主役はお主らじゃ」

 ネアが報せていたとは言え、まさかと思う気持ちがあったためラールの登場はディブたちに驚きを与えていた。そんな彼らを全く気にすることなくラールはネアに己の席、と言っても急遽作ってもらった席に案内させ、当然の如くどっかりと腰を降ろした。

 「この気配から察すると随分と賑わっておるな。陰口をたたく者はおらんようじゃな。嫉妬しているのはおるようじゃが」

 ラールは低い笑い声を上げた。

 「儂の後ろに居る男はどうも、ハービアに気があったようじゃな」

 喧騒の中、ラールは自分の興味のある音のみを拾い上げていた。

 「どうも、未練たらたらみたいですね」

 ネアも耳を動かしてラールの示した方向の音を拾ってくすっと笑った。

 「付き合ってもおらんようなのにのう」

 「ストーカーにならなきゃいいんだけど」

 ネアは自分の正面で背を向けている男の言葉を聞いて眉をしかめた。

 「すとぉかぁ? なんじゃそれ」

 ネアの言葉にラールがきょとんとした表情で尋ねてきた。

 「勝手に惚れて、相手も自分の事が好きであると思い込んで、つきまとって、挙句の果てに嫉妬から良からぬことに手を染める連中ですよ。記憶に残らなくても爪痕は残せるって」

 「くだらんな・・・」

 ラールは吐き捨てるように顔をステージらしきものが作られている方向に向けた。

 新郎新婦がステージ上に設けられた席に着くと、辺りからは大きな拍手が沸き起こった。ごく一般的な官吏と森で採集や伐採で生業を立てている者の結婚式であり、勿体ぶった挨拶や選挙演説との違いを見つける事すら難しい只長いだけのスピーチもなく、参加者はそれぞれの席で飲み食いし、新郎と新婦の席にいってお祝いの言葉を口にした。酒が進むと素人楽団が微妙に音のずれた舞踏曲を演奏し、それに合わせて招待客が踊りだしたり、酔いつぶれるヤツがいたりと賑やかな式であった。時折、ラールに絡んでくるヤツも居たが、その都度彼女から鉄拳をご馳走になっていた。また、これ見よがしに彼女とつながりを持ちたいという連中も、彼女の殺気を帯びた見えぬ目による人睨みで退散していった。

 「儂らも挨拶に行こうかのう」

 ネアはラールに促され、席を立つとお祝いの品を持ったネアの肩にそっと手を置きながらステージへと向かった。


 「ご結婚おめでとうございます。お館の仲間と奥方様に手伝って頂いて作りました」

 ネアは綺麗に包装したパッチワークのタペストリーをディブに手渡した。

 「奥方様が、ありがたい事です」

 ディブは両手でネアから贈り物を受け取るとハービアと一緒に包装を解き、2人で横断幕を持つように掲げた。

 「この白鳥の刺繍、見事です」

 「綺麗な刺繍です。この言葉もステキです」

 ディブとハービアはタペストリーに穴を開けるような勢いで見つめた。

 「奥方様に、私たちがとても喜んでいたことと、感謝していたことを伝えてください」

 ハービアが感極まっているディブの代わりにネアにそっと告げた。

 「儂が送った布も使われておるぞ」

 ネアの横からラールが自慢そうに割り込んできた。

 「剣精様もこれに関われておられたのですね。その布はどこに・・・」

 ハービアが嬉しそうに言うとネアは少し困った表情になった。

 「そこの紫色の生地です・・・」

 ネアはそっと彼女に伝えた。

 「それはな、儂のパンツの生地じゃ。一回も使っておらんから綺麗なもんじゃ」

 ネアの発言を耳にしたラールは胸を張って彼女に生地の由来について致命的な言葉を発した。

 「剣精様のパンツ・・・、貴重なモノをありがとうございます」

 ディブとハービアははラールに深々と頭を下げ、謝意を表した。

 ステージ上で剣精と何やら話し込んでいる新郎新婦を見ている招待客たちに少しばかり驚きの色が滲んでいた。

 「剣精様と知り合いだったのか」

 「奥方様が関わった何か貴重なモノを貰ったみたい」

 「あのネコの子がさっき奥方様に手伝ってもらったって・・・」

 姓こそあれ、数代前に完全に没落した貴族の末裔と思っていたディブに思わぬつながりがあることを知った招待客は口々に彼が只者ではないと口にしだした。

 「人とは現金なモノよな」

 そんな招待客の態度や声を察してラールは苦笑を浮かべた。

 「お主らが調子のよい時に近寄ってきて、甘い言葉を垂れ流す奴らとは付き合ってはならぬぞ。お主らが何もかも失って、どうしようもない時でもいつもと同じように接してくれるも者を大切にすることじゃ」

 ラールは顔を招待客たちの方向に向けるとディブたちに向き直り、真剣な表情で己の体験に基づく人生訓を彼らに伝えた。

 「躓いた時に手を差し伸べてくれる、支えてくれるのは身近な人ですからね」

 ネアも前の世界の事をうっすら思い出しながら声にしていた。前の世界で、助けてくれる者が誰もいなかった事、支えてくれる人すらもいなかったこと思い返してネアは我がことながら心の中で苦笑していた。

 「お主らを通じて儂とつながりが持ちたいと言う輩は門前払いせよ。用があるなら直接儂の所に来いと剣精が言うておったと伝えるのじゃ。但し、お主らからのつながりは切れんし、切るつもりは儂はないぞ。ふと何かのはずみでお主らの所に転がり込むかも知れん、その時は頼むぞ」

 ラールはそう言ってニヤリと笑うと自分たちの席に戻るようにネアに促した。

 「お幸せに」

 ネアはそう言って頭を下げるとステージに上がった時のようにラールに肩を掴ませて自分の席に戻って行った。


 「お主も、何時かはあのようなドレスを着てみたいと思うか。儂は、今でも着たいと思うておるがのう」

 席に戻ったネアにラールはハービアの方に羨ましそうに顔を向けてそっと呟いた。

 「今の所、男性と結ばれることは想像できません。自分には関係の無い事と思っています」

 ネアにとって自分の性が肉体的には女性ではあるが、精神は未だに男であると思っていたので、ラールの問いかけに対して当然の事として答えた。

 「踏ん切りの悪いヤツじゃの。今のお主はどこから見ても女子じゃぞ。お主の股座にアレはついておるか? 股座に関しては儂と同じじゃろ。お主がどう言おうと外から見れば女子じゃ。あと10年もせんうちに男どもが色目をつこうてくるぞ。獣人と言えお主の器量は良い、その上男が好むような身体になりそうじゃからのう。今のうちから覚悟を決めておいた方が良いと思うぞ」

 ラールはそう言うと葡萄酒のボトルを手にすると、コップに並々と注いだ。手元すら見えていないのに酒を一滴もこぼすことはなかった。

 「・・・この身体に馴染もうと頑張ってきましたが、その域にはまだまだ達していないですよ。それと、恐ろしいことを言わないでください。うなされそうです」

 もし、ネアの顔に毛が無ければ青ざめているのが一目で分かったであろう。そして、毛があっても光でモノを見ないラールにはネアが恐怖を感じているのは手を取るように分かった。

 「人とは慣れる生き物じゃよ。どんなトンデモない状況でも、そこに居続ければそれが日常になる。お主、用を足すごとにもう迷ったりせんじゃろ。そう言う事じゃよ」

 ラールは口元に笑みを浮かべると注いだ葡萄酒を煽った。

この世界ではメディアが発達していないため、名前は知っていても顔を知らないという事は普通にあります。

剣精もその名前と盲目であること、女性であることぐらいしか一般的な情報としてありません。

彼女の容姿を知っている人は彼女と関わった人ぐらいです。

勿論、彼女が穿かない人であることを知っているのはさらに少数です。

今回もこの駄文にお付き合いいただきありがとうございました。ブックマーク、評価を頂いた方に感謝を申し上げます。

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