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鎧を脱いで  作者: C・ハオリム
第18章 事変
249/342

230 報告

これから暫くの間UPが滞ると思われますが、エタった訳ではありませんので、今まで同様に生暖かく見守っていただければ幸いです。

敵を面で制圧したり、聖獣を召喚したり、古代の魔法を習得するなどのイベントがないのは仕様ですのでご安心ください。

 「何度見ても奇妙な騎士たちだな」

 ケフに向けて進行するために館の前の広場に整列し、ボーユが何やら訓示を垂れているを眺めながらバルンは独り言をつぶやき、首を傾げていた。

 ボーユが率いる海兵団は、一般的な傭兵団と違い、身に付けている軽冑や衣装は濃いグレーを基調としており、皆同じデザインで違うところはサイズだけであった。彼らは通常の傭兵団員と違い街で宿泊したり、食事をとることはなく、館の庭で天幕で寝泊まりし、食事は彼らが市場で正当に購入し自炊していた。つまり、ボーユの海兵団は、ネアの前の世界の軍隊に似た自己完結能力を有していた。

 「・・・我々の目標はケフの都の急襲と占領、郷主一家の確保だ。我々の強みは、奴らが考えもしていない方向からの攻撃、奇襲の一言にある。本作戦の成否は行動の速度にある、速度は力、速度は武器だ。これを忘れるな」

 ボーユの訓示に海兵団員たちは「応っ」と大声で応えた。

 「ケフの都に着いたら、郷主一家以外は何をしてもいいぞ。金も女も何もかも思う侭にせよ。ただ、噂ではケフの女は毛深く尻尾が生えているらしいが、お前らには細かい事だろ。さぁ、逝くぞ、生き残れば、酒の一杯は奢ってやるぞ」

 呵々大笑しているボーユを先頭に大荷物を背負った海兵団員がその後に続き、最後は荷車を引いた団員たちが続いた。

 「何度見ても奇妙な連中だな・・・」

 館から意気揚々と出て行く海兵団員たちを見てバルンは再び首を傾げていた。


 「ごめんね」

 ネアは、ケフを目指して細い獣道を行くヨグサたちに遅れないように付いて行くネアは、ふと樹上に見かけた原猿類を思わせる獣に倒した騎士団員から巻き上げたナイフを投げつけた。ネアの投げたナイフは哀れな犠牲者の首に深々と突き刺さりその生き物の決して長くない生涯に終止符を打った。

 「それをどうするつもりじゃ。昼飯にでもするのかえ? 」

 その獣がドサリと落ちて来るより早くラールがネアに問いかけてきた。

 「ちょっとした嫌がらせを考えたものですから。ヨグサさん、この先に水飲み場になりそうな小川ってありますか」

 ネアは仕留めた獲物を手にするとヨグサに尋ねた。

 「小川? ああ、昼飯をとる場所はその小川の近くにするつもりだ。もうすぐ着くぞ。しかし、血抜きなんてしている暇はないぞ。それにそいつは不味いぞ。・・・嫌がらせって・・・」

 ヨグサはネアの手にしている獲物を怪訝な表情で眺めた。

 「それは着いてからのお楽しみにしましょう。さ、行きましょう」

 ネアはまだ体温が残る獲物の足を掴むと肩にかけると、歩き出した。


 「昼飯は干し肉と乾パン、干した果物だよ」

 ハービアがネアたちに器に口にしたモノを入れて配って行った。

 「ネアよ。先ほどちょっとした嫌がらせと言うておったが、どうするつもりじゃ」

 地面にダイレクトに胡坐をかき、本来隠すかモザイクを入れるべきパーツを白日の下に晒しながら、ルーラはハービアから手渡された干し肉の匂いを嗅ぎ、そして楽しそうな表情でネアに尋ねてきた。

 「この辺りから見えない上流に、これを沈めておこうと思って」

 ネアは傍らに置いた獲物を見るとニヤリと笑みを浮かべた。

 「水を使えないようにするってこと。確かにこの水が使えないとツライね。私たちまで使えなくなっちゃうよ」

 ハービアがネアの言葉を聞くと眉をひそめた。

 「ごめんなさい。でも、少しでも奴らの力をそぎ落としたいんです。水があいつらを倒してくれたら、ケフは有利なるんです」

 ネアは昼飯を平らげると徐に仕留めた獲物を抱くようにして持ち上げると首筋に噛みつき、首の肉をかみちぎった。

 「そんなにお腹が空いているのかい? 」

 昼飯をさっさと食べ終わったディブがネアの蛮行に青ざめて少し引きながら尋ねてきた。

 「ディブよ、お主が後生大事に抱えておるカバンに食い物は入れてないのか」

 ネアの行為に非難の視線を向けるディブにラールは首を傾げた。

 「これには食い物なんて入ってない、それ以上に大切なモノが入っているんだ。これをお館に届けないと」

 カバンを抱え込んでラールを睨むディブにラールはため息をついて肩をすくめた。

 「水辺の動物の死体があって、刃物の傷があったら誰かが意図的にやったと思うでしょ。そうなると無駄に警戒されたりしますから、こうやって獣に襲われたように見せかけているんです」

 ネアは口元の血を拭うことなく今度は腹に牙を突き刺し、獲物の腹を食い破った。

 「ネ、ネアちゃん・・・」

 ハービアが手を口に当てて顔色を失っていた。

 

 「ぺっ、・・・折角の水を汚すんです。中途半端な事はできません」 

 顔面を血に染め、腸を口で引きずり出しながら、ネアは懸命に吐き気と戦っていた。

 「イエネコとは言え、肉食獣ですから、それっぽく見えるでしょ」

 ネアが手にしていたのは、まさに獣に喰い散らかされた哀れな動物の成れの果てであった。

 「その心意気、感心したぞ」

 小川の水で洗ったモノのまだ顔の毛に血が付いているネアの方向に顔を向けてラールが笑みを浮かべていた。

 「その年齢でそこまでは普通は出来ん、と言うか、女子の身であのような事を躊躇いもなくやらかすとは、やはり中身の働きかのう」

 「中身? 」

 「女子には秘密はつきものじゃ、それを探るのは野暮の極みじゃぞ」

 ラールの言葉が気になり尋ねたディブに彼女はやんわりと諌めた。


 「水の音がする・・・」

 ネアが耳を忙しなく動かしながら男の方向を探りだしたのは、もう日が傾き始めた頃であった。

 「この調子だと、暗くなるまでに沢につくぞ」

 ネアの言葉を聞いたヨグサは背負った大きなリュックを揺すり上げると足を速めた。


 「この人数で4日かかるか・・・、もっと多くの頭数だったら」

 タカノ沢に一行が着いた頃には日は完全に暮れていた。そんな中、夜目が利くネアは沢の水でのどを潤し、顔を洗うと頭上に浮かんだ星空を見上げながら呟いていた。

 「こう暗いとケフの都へは明日の朝になるな・・・」

 ヨグサは疲れた身体を川辺に転がる岩にもたれかかりながら誰に言うとでもなくポツリとこぼした。

 「それは、困る、一刻も早く知らせないといけないのに」

 ディブは今まで後生大事に抱えるカバンをじっと見つめる真っ暗な中歩き出そうとして、石に躓いて派手にこけた。

 「目が見える者とは、何とも不便じゃな」

 ラールは呆れたように口にするとこけたディブにそっと手を差し出した。

 「すみません・・・、痛っ」

 打ちどころが悪かったのかディブは膝に手を当て顔をしかめた。

 「じっとしていて、すぐに灯りを点けるから」

 ハービアはそう言うと背負っていた荷物から手探りでランプを取り出すとその燈心に魔法で火をつけると辺りがぼーっと照らし出された。

 「見せて」

 ハービアはディブを座らせるとズボンの裾をめくって患部を視認し、顔をしかめた。

 「もう暫くすると、ボコボコに腫れるよ。痛みも強くなる、歩くのも大変になるよ」

 「僕の足の事は今の所は後回しでいいんだ。それより、早くお館に行かないと」

 痛みを堪えてよろよろと立ち上がるディブをハービアが支えたが、彼は彼女に軽く礼を述べると優しくその手を払いのけた。

 「痛みはなくならんが、歩くことができるようにしてやろう。ヨグサ、コイツの足を縛れるような布を持っておるか」

 「これでよろしいでしょうか」

 ヨグサは荷物の中から収穫物を運ぶためにいつも持っている大きな布をラールに手渡した。

 「色や柄は分からぬが、手触りからすると良い布じゃな。悪いが、裂かせてもらうぞ」

 ラールはそう言うや仕込みを使って布を細く切り裂いた。

 「ディブ、こっちに来いっ」

 彼女は、よろよろとしているディブに鋭く声をかけると彼はハービアに抱えられるようにラールの前に移動すると近くの石に腰を降ろした。

 「歯を食いしばれ」

 ラールはディブに言うと裂いた布をきつく彼の足に巻き付けた。多分激痛に見舞われているあろうディブは顔をしかめながらも声を出さずに堪えていた。

 「よし、これで何とか動けるじゃろ、さ、行け。目が利かんじゃろうからネア、案内してやれ。皆に一刻も早く逢いたいじゃろ」

 ラールは処置が終わったディブの尻をポンと叩くとネアに顔を向けた。

 「街道にはこの川を沿って行けばすぐに出られる。そんなに足元は危険じゃないから、その足でも移動できるぞ」

 「恩にきます」

 「ありがとうござました」

 ディブとネアは一礼すると暗闇の中をそろそろと歩き出して行った。

 「さて、主らはどうする? 」

 ネアたちの姿が見えなくなるとラールはヨグサとハービアの親子に静かに声をかけた。

 「このまま戻れば、ケフに利したと勘繰られるじゃろうな。身内に無事を伝えたいのは分からんでもないが、今は時期が悪いと思うぞ」

 彼女はハービアがよそってくれた保存食のごった煮を食べながら親子に尋ねた。

 「とは言え、我らは今は不法にケフに入国した身、しかも敵対するヤヅの民、帰る以外の道はないかと・・・」

 「死ぬなら、ヤヅで死にたいから・・・」

 ヨグサとハービアの親子は互いに見合った、その目には死を覚悟した色があった。

 「くだらんな」

 「えっ」

 ラールは親子の話をばっさりと切り捨てた。親子はラールのあまりにもの物言いに驚きの表情を浮かべた。

 「よーく考えて見よ。主らはヤヅの侵攻を惑わせるためにケフに協力し、しかもケフの役人と侍女を送り届けた。これだけの功績を上げておるのに不法に郷を超えたと抜かす奴は・・・、儂が斬り捨てる」

 ラールは驚く親子に諭すように言うと仕込みを少し抜いてその刃をランプの光に反射させた。

 「儂の知り合いがケフの館におってのう。それに声をかければ泊るところの一つや二つ手配してくれよう。さ、明日は朝からケフの都に行くぞ。嫌だと言っても力づくでもな」

 「剣精様のお言葉に従います」

 「イロイロと見えてますけど、お言葉に従います」

 2人はラールの前に跪いた。

 「見えても減りはせんぞ。それとな、儂は格式ばったことが苦手でのう。ちょっと変わった旅の連れとして扱ってもらえると嬉しいぞ」

 薄明りの中、見せると何かと問題になりそうなものををまろび出させながらラールは畏まる2人に微笑んでいた。


 「開門っ、開門っ」

 ネアたちがケフの都の城門に辿り着いたのはそろそろ世も明けようかという頃であった。苦痛にあえぎながらも足を引きずり歩いてきたディブの顔には傍から見ても分かるぐらい脂汗が滲んでおり、彼の足の痛みが尋常でないことを物語っていた。しかし、彼は城門を前にして気力を振り絞って声を張り上げた。

 「何者かっ!」

 通用門から武装した鉄の壁騎士団員が3名出てきてネアたちを上から下まで舐め回すように視認した。

 「おい、ネアちゃんか。・・・駐ヤヅの外交館の者か」

 顔見知りの騎士団員が驚いたような声を上げ、そしてディブを見てさらに目を丸くした。

 「緊急の用件だ。お館様に報告しないとならないことがある。通してくれ」

 「大変な事なんです。とても大切な事なんです。お館に、お館様にお目通りをしなくちゃならないんです」

 ディブとネアが真剣な表情で詰め寄る様から騎士団員はただ事ではないと判断し、2人をケフの都の中に通した。

 「足の具合が酷そうだな。荷馬車がある、それを使え。おい、お前御者で2人をお館まで送り届けるんだ」

 ネアはディブの尻を押して詰め込むように馬車の荷台に乗せると御者を勤める騎士団員に馬車を出すように声をかけた。


 「ネアちゃん、生きてたのか。良かったー」

 馬車から降りるネアを確認した護衛の騎士団員たちは口々に喜びの声を上げた。しかし、ネアはその言葉に笑顔で応える余裕はなかった。

 「お館様にお取次ぎを、緊急の用件です。ディブさんの補助をお願いします。足を痛めているんです」

 ネアたちを迎えた騒ぎに顔を出したケイタフはネアたちの様子を見てただ事ではないと判断した。

 「エルマさんにお館様に緊急の用件があると伝えろ、部屋には入るなよ。部屋の外から呼びかけるんだ。下手に入ると殺されても文句は言えんぞ」

 ケイタフに命じられた護衛の騎士団員は弾かれたように駆け出して行った。

 「おい、お前、歩けるか」

 馬車に捕まってかろうじて立っているディブにケイタフが声をかけると、苦痛に顔を歪ませながらもディブは首を縦に振った。

 「よし、お前たち、彼をお館様の執務室の前まで介助して行ってくれ。ネア、感動の再会と手続きは後回しだ、急げ」


 「ディブ・ファーガット、緊急の用件とは何だ」

 まだ寝癖も直しておらず、寝巻の上にガウンを羽織っただけのお館様は眠そうな目でディブを見て口を開いた。

 「ご存知とは思いますが、ヤヅの都は現在、固く門を閉ざし民の移動を禁じています。またケフの都を襲うべく、部隊を派遣し、近日中にケフの都に侵攻すると公算が大きいことを報告いたします。それと、現在ヤヅの都にいるとされるケフの民とそれ以外の郷の民の名簿がこれでございます」

 ディブは後生大事に抱えていたカバンの中から数枚の簿冊を取り出した。

 「ミオウ、ワーナン、そしてその他の郷の民です。ヤヅの都が閉ざされ、他の郷の大使たちが幽閉される寸前に各大使館を回って手に入れたものです。全部ではありませんが・・・。お館様、彼らをお助け下さい。力のない私にはこれぐらいしかできることはありませんでした・・・。本来ならヤヅに残りヤヅの民のためにこの身を盾にしなくてはならない所ではありますが・・・、職務を放棄した罪は謹んでお受けします。しかし、この者たちを是非とも」

 ディブはその場に跪き、頭を下げた。その様子をお館様は黙って見つめていた。

 「本来なら、もっと人の数を増やすべきだったのだろうな。大使とは名ばかりの事務仕事を一人に押し付けていたことは俺の誤りであり、お前の言葉を借りるなら職務を放棄していたことになる。・・・しかし、我が郷の民だけではなく、他の郷の民のことも心を砕くその働き、立派だぞ。早く、足を診て貰え。後の事は俺たちに任せろ。ヤヅには近いうちにこの騒ぎの落とし前をつけてもらうつもりだ」

 お館様は、ディブを下がらせ、今度はネアを見つめた。

 「殿、ご苦労だったな。レヒテが心配の余り元気をなくしていてな・・・、早くその顔を見せてやってくれ」

 「お言葉、ありがとうございます。しかし、ヤヅからの攻め手についてお話させてください」

 ネアはそう言うとヤヅで見たことについて話を始めた。

 「襲ってくる連中は、ヤヅの騎士団ではありません。バルンが雇った傭兵です。その数は歩兵100程度だと思われます。彼らは我々が普通に目にする傭兵や騎士団とは全く違います。訓練された兵です。彼らは森を通ってケフの都ののど元に刃を立てるように攻めてきます」

 ネアは立ったまま一気に話した。そんなネアの話にお館様は身を乗り出してきた。

 「喉元? 」

 「はい、ラマクのお山の方向から一気に攻めてくる手筈のようでした。ヤヅの猟師のヨグサさん親子が無理やり道標を作らされていました。でも、彼らの助力を得て、敢えて細く通りにくく、その上危険な経路に道標をつけてもらいました。そして、彼らをタカノ沢に誘導するように道標をつけてきました。あそこなら狭く、動きづらいため両脇から攻めやすいし、沢から出て来ようにも細い道しかあませんから、先端の兵力は限られてきます。時間がありません。準備をお願いします」

 「分かった、ガングに早速動いてもらおう。ミオウのキリーン殿にも声をかけよう。・・・ヤヅの猟師は傭兵たちに無理やり働かされていたのだろう、どうやって彼らを仲間に引き入れたんだ? 」

 お館様はネアの話を聞いてメモに何かを書くと、首を傾げた。

 「猟師の娘を人質にしてたんです。でも、「剣精」のルーラと言うエルフ族の方に退治され、今は森の栄養分になっています」

 「剣精様が? いま、剣精様はどこに? 」

 お館様は剣精と言う言葉を耳にすると驚いたように矢継ぎ早にネアに尋ねてきた。

 「タカノ沢に猟師の親子とともにおられます。ケフに向かうと言われてました」

 「そうか、早速迎えにいかせよう。勿論猟師の親子、ヨグサと・・・」

 「娘のハービアさんです。それと剣精様には着るものをお願いします」

 お館様はネアの言葉を聞くとにっこりして立ち上がり、ネアの汚れた頭をためらうことなくなでた。

 「ご苦労だったな。風呂を浴びてさっぱりしてから、ドクターの所に行って診察してもらえ。いきなり倒れられたらレヒテをもっと悲しませることになるからな。本当に助かった。よくやってくれた・・・、礼を言う」

 お館様はそう言うとネアをしっかりと抱きしめた。

 「もう二度とレヒテや俺たちを悲しませせるようなことはしないでくれ、俺たちにとってネアたちは只の使用人じゃない、家族の一員なんだ、そこを忘れてくれるなよ」

 「も、勿体ないお言葉です。でも、でもとても嬉しいお言葉です・・・」

 お館様の言葉に今まで張っていた糸がプツンと切れたようにネアはその場にへたり込んでしまった。

 「あ、すみません。立たなくちゃ・・・、あれ・・・」

 ネアの身体は気持ちとは裏腹に疲れ果てていたのかなかなか言う事を聞いてくれそうになかった。

 「エルマ、ネアを風呂と診察に連れて行ってやってくれ。随分と疲れているようだからな」

 お館様がドアに向かって声をかけると、すっとエルマが入ってきてへたり込むネアを抱き上げた。

 「では、お風呂と診察に連れて行きます」

 エルマはお館様に一礼すると部屋から出て行った。

 「剣精様に会ったって? 」

 ネアを抱いて風呂場に向かいながらエルマは少し不安そうにネアに尋ねた。

 「ええ、ケフの都に来ると仰ってました」

 「・・・」

 エルマはネアの言葉を不安とも喜びとも言えぬ複雑な表情を浮かべた。

ボーユの率いる海兵団は訓練され統率された軍隊のような組織です。ある程度の自己完結能力も有しており、単独での長距離、長時間の作戦も可能です。彼らは集団戦を得意としており、個々の能力より部隊として行動することに重きが置かれています。

今回もこの駄文にお付き合いいただきありがとうございました。また、ブックマーク、評価を頂いた方に感謝を申し上げます。

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