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鎧を脱いで  作者: C・ハオリム
第18章 事変
245/342

226 前哨戦

何となく流行病が下火になっているようでが、油断することなく慎重に行動したいものです。

このお話が慎重に行動している時の暇つぶしに少しでも役立てれば幸いです。

 「追いかけてくる者は今の所おりません」

 アリエラが馬車の幌をめくり、後方を警戒しながら声を上げた。

 「ネアがしっかり仕事をしてくれているようね。あの子が、戻ったら皆でお祝いしましょうね」

 奥方様が沈んだ馬車の中で明るく声を発した。馬車の中は暗く彼女の表情はその声とは裏腹に沈んでいた。

 「勿論ですとも、お館を上げて賑やかにしなくちゃ」

 レヒテは心配を心の中に押し殺し、お祭りを心待ちにしているような感じではしゃいでみせた。

 「そうですよね」

 「皆でさ、ご褒美買ってあげるのってどうかな? 」

 ラウニとフォニーも無理やり明るく振る舞って見せていた。

 「大人な下着がいいと思うなー、穿いたままでもプレイできるような、ぎゃっ」

 いつもの調子でバトがニヤッと笑って口にするとすかさずルロが彼女の足を踏みつけていた。

 「バトにプレゼントを選ばしてはいけませんよ。トンでもなないものを選ぶに決まってますから」

 いつものどつき漫才を繰り広げる彼女らもどこか表情は沈んでいて、彼女らのやり取りを見ての笑い声もどこか白々しいモノであった。

 「ネアお姐ちゃん・・・、帰ってくるよね・・・です」

 啜り上げながらティマが口にした言葉は上辺だけの明るさを吹き飛ばし、再び車内に重い空気が漂ってきた。


 「・・・どうも解せんな」

 ミオウの郷主であるキリーンは馬車の中で難しい表情を浮かべていた。

 「そうですね。ケフの奥方様の馬車、それを追いかける騎士たち、ただ事じゃないですよ」

 馬車の中でミオウの郷主とその妻が怪訝な表情を浮かべていた。

 「ロッド、さっきの馬車のこと、何か聞いているか? 」

 キリーンは馬車の窓を開けると、騎乗している騎士団長のロッド・フィッツァーに尋ねた。

 「お館様、あいつら聞いても、知らない、聞いてないばかりで、埒が明かないんですよ」

 ロッドの灰色の毛並みと暗がりの中でその表情は読めなかったが、その声は彼が戸惑っていることを表情を見るより分かりやすく物語っていた。

 「ロッド、多分、何かあるぞ。警戒を最大限に、柄には手をかけた状態で」

 「承知」

 キリーンは声を潜めてロッドに声をかけると、騎士団長は同じように声を潜めて短く応えると、唸り声を上げた。

 「っ! 」

 騎士団長の唸り声で騎士団員たちに緊張が走った。


 「馬? 」

 夜の暗がりの中、屋根から屋根へとひょいひょいと飛びながら動き回っていたネアの耳に蹄の音が複数飛び込んできた。

 「追いかけるのか。今頃気付いても遅いって」

 ネアは耳を忙しなく動かしながら音の方向を探ると、風のように屋根の上を走りだした。

 「あれ? 」

 ネアは、ヤヅの主となる通りを騎乗した騎士団員たちが、そわそわとして、忙しなくあちこちを見回しながら慎重に進んでいるのを見て首を傾げた。

 「罠が仕掛けてあるかも知れん、伏兵がいるかも知れん、警戒を厳にせよ」

 警戒のために2騎を先行させながら隊長らしき男が落ち着かない様子で部下たちに警戒を命じていた。

 【数発しか撃ってないのに、随分と尾ひれがついたもんだ】

 建物のつながった部分の段差の影に身を潜め2つの弩に矢をつがえながらネアはほくそ笑んだ。

 【ご期待どおりに・・・】

 ネアは神経質そうに指示を出しながら、恐る恐る進む指揮官と思しき男が騎乗しているに馬に狙いを付けた。

 「ーっ」

 いきなりの激痛に馬が暴れ、指揮官らしき男は強かに石畳に打ち付けられた。

 「何が、あっ、敵襲っ」

 彼の後に位置していた部下が馬の尻に深々と刺さった矢を見て声を上げた。

 「円陣を組めっ」

 「馬から降りるんだ」

 残された騎士たちはそれぞれ下馬すると、打ち所が悪かったのか身体を妙に動かしている指揮官を引きずって自分たちの後方に移動させると盾を構え、円陣を組むとそれぞれの方向をじっと警戒し始めた。

 【足止めできたかな、最後に・・・】

 ネアは円陣の中央あたりに落ちるように矢を上に打ち上げると、陰に紛れそっとその場から撤収していった。

 「うっ」

 ネアが威嚇のために打ち上げた矢は、円陣の中で仰向けになっている男の顔面に深々と突き刺さり、彼の長くない人生にピリオドを打つことになった。そして、その矢のおかげで彼らが円陣を解くのは日が昇ってからとなった。


 「前から馬車が来やすぜ」

 「立派な馬車・・・あの紋章はミオウの郷です。それと護衛の騎士団、ヤヅの騎士団もいます」

 御者台からハチとヘルムが小声で奥方様に報告が上がった。

 「アリエラ、兜を着けて、私を縛ったように見せかけてヤヅの騎士団の前に連れて行って、他の皆はいつでも戦えるように、バト、ルロ、貴女たちも兜で顔を隠して残った者を捕虜として扱うようにして攻撃の間合いに入りなさい。ハッちゃん、ヘルム君、あなたたちは雇われ水夫として振舞いなさい。こんなふざけた事をして、私たちに喧嘩を売ったことを後悔させあげましょう。ネアに良い土産話ができるようにね。命は絶対に堕としてはダメ、これだけはきつくいっておきます。喧嘩の勝利条件はっ」

 「相手の心をへし折るっ」

 「よろしいっ」

 馬車の中で手短に侍女たちに指示を出した奥方様は近くにあった荒縄を身体に巻き付け、イカにも縛り上げられています、と見えるようにした。

 「うーん、縛るならもう少しセクシーな感じが良いと思いまっ」

 奥方様の様子をじっと見ていたバトが顎に手を当てて難しい表情になっていたが、すかさずルロの裏拳を喰らって沈黙した。


 「なんだ、あの馬車は」

 目の前に見知らぬ馬車が停まるとヤヅの騎士団員を指揮している男が怪訝な表情を浮かべた。

 「離しなさい、なんと恥知らずなっ」

 馬車から縛られた高貴そうな婦人が騎士団員に引き連られながら随分と立腹した様子で彼の前に立たされた。

 「どういうことだ? 」

 彼は婦人を引き連れてきた騎士に尋ねた。

 「どういうことだって? 関に連れて行って人質として交渉に使うって聞いたわよ。どこまで卑劣なのかしらっ」

 その婦人は噛みつくような勢いで指揮官を睨みつけた。

 「お館からの命令があり、すぐさま連れて行くようにと、詳しい事は夜が明けてから命令されるとのことです」

 彼女を連れて来た騎士が低い聞き取りにくい声で答えると指揮官はその場で腕を組んで考えだした。

 「ふん、そうやって威張っていられるのも今の内、ヤヅの都から私たちを奪還するために別働体が動いています。助かりたいなら私たちを解放なさいっ」

 縛られている婦人は己の立場を理解していないのか強気で彼に詰め寄った。彼女の言葉を合図したかのようにヤヅの騎士団員たちがこの婦人の子どもであろう縛られた少女と少年を引き連れてやって来るのと、侍女らしき少女たちに船員か使うようなナイフをちらつかせ、追い立てているまだ少年と呼べるような男と、威嚇するような表情を浮かべた大男を目にした彼は何かを決心したように振り返った。

 「抜刀っ、郷主は確保、それ以外は殺せっ」

 彼は部下たちに命ずると自ら剣を抜き、目の前にいる婦人たちは脅威がないと判断し、この場で一番脅威が大きいと考えられるミオウの騎士団に攻撃するように命じた。

 「遅いわっ」

 大音声とともに、ロッドが馬上から同じく馬上にいた抜刀したヤヅの騎士を一刀のもとに斬り伏せた。

 「野郎ども、手加減することはねぇぞ。思いっきり暴れろっ」

 ロッドが蛮声を上げるといつの間にか抜刀していた、ミオウの騎士団員たちは剣を掲げて雄たけびをあげた。

 「皆殺しにしろっ、守り切れなかったことを悔やむんだなー」

 ミオウの護衛騎士団員5人に対して、ヤヅの騎士団員は10人、指揮官は勝利を確信していたが、ミオウの騎士たちの素早い行動にムカついていた。そして、明らかにやりすぎとなるような命令を発した。

 「ばばぁとガキばかりだが、それなりに楽しめるってもんだな」

 「それはないっ」

 指揮官が下卑た目で奥方様を見た時、彼女を連れていた騎士がいきなり剣の柄を彼の顔面に叩き込んできた。

 「誰が、ばばぁですか、誰がっ」

 奥方様は顔面を押さえている指揮官に渾身のアッパーカットを放った。それは素人の動きではなく、明らかに訓練された動きであった。

 「彼らに加勢しなさい、奴らの心をへし折りなさいっ! 」

 「了解っ」

 残念トリオは兜を投げ捨てると、ミオウの騎士団とヤヅの騎士団の混戦の中に飛び込んで行った。

 「隊長っ」

 指揮官が崩れ落ちるのを見たヤヅの騎士が声を上げた。

 「隊長のことより、自分の事だよっ」

 馬上で剣を振るうヤヅの騎士を走り込んできたバトが飛び上がりながら斬りつけると、彼はそのまま落馬し、動かなくなった。

 「ごめんねっ」

 ルロは一言叫ぶと馬上でミオウの騎士と斬り結んでいるヤヅの騎士の足に斧の刃をめり込ませていた。この一撃を受けた党の騎士団員の激痛による隙をミオウの騎士が見逃すことはなかった。

 「こういうやり方は、嫌いなんだよ」

 ハチは、馬上の騎士の足を掴んで引きずり下ろすと手加減せずにその顔面を拳で打ちぬいた。

 暫くすると辺りは静かになった。それを確認した奥方様は騒ぎの真ん中であった場所に足を進めると静かに口を開いた。

 「へし折りましたか? 」

 ヤヅの騎士たちで動いている者がいないと判断した奥方様は剣を納めている残念トリオを見つめた。

 「へし折りました」

 「あちこち折りましたぜ」

 残念トリオとハチは溌溂と奥方様に応えるとにやりと笑みを浮かべた。

 「・・・容赦ねぇーな」

 ケフの侍女たちの戦いを見たロッドは驚きと呆れを混ぜたような表情を浮かべると馬車に近寄った。

 「ケフの奥方様の助力を得て、無礼者どもを排除しました。」

 ロッドは車内にいる彼の主に荒事が終了したことを報告した。

 「心をへし折れって聞いた時に分かっていたよ」

 キリーンはロッドに告げると自ら馬車を降りてモーガの前に足を進めると、深々と首を下げた。

 「ご助力に感謝します」

 「いいえ、我々も危なかったものですから、ミオウの騎士で怪我された方はおられませんか? 」

 「頑丈がウリの波しぶき騎士団ですから、死人どころか怪我人もおりません。ですが、ご心配頂き感謝いたします。しかし、いったいヤヅの都で何があったのですか」

 社交辞令を終えるとキリーンは真顔になって、奥方様に何があったのか尋ねてきた。

 「追手が来ているでしょうから、立ち話はできませんよ。できれば、これからのことも相談したいのです」

 「ならば、我々の馬車で、我々もここから引き返します。この先には災厄しかないようですからね」

 奥方様が後方を気にしながら答えると、キリーンは自らの馬車に奥方様を招いた。

 「引き返すなら、彼らから鎧や装備を巻き上げておいてくださいね、変装する時役に立ちますから。ハッちゃんたちも身に付けて、時間はないわよ。さ、早く、ネアが作ってくれた時間を無駄にしない」

 奥方様はそこに居る者たちに指示を下すとキリーンの後をついて馬車に乗車した。

 「これで、化けるのか・・・、面白い事を言いなさる奥方様だな。楽しくなってきたぞ」

 それなりに切羽詰まっている状況の中、ロッドは笑い声を上げながら敵から鎧をはいでいた。その笑いが虚勢ではないことは彼の尻尾が保証していた。


 「基本的には、さっきの手を使います」

 馬車の中で如何にして関をとっぱするかを話し合おうとしたキリーンに奥方様がはっぱり言い切った。

 「我々を人質にして交渉すると言う流れにします。関の兵士が油断した所を全力で持って叩き潰して突破します。騒ぎになればケフのコービャの関から応援が駆けつけるでしょう。油断している所を襲って、相手が浮足立ったところを突破するので時間をかけているわけにはいきません。素早い行動が必要です。貴女、その子を背負って走れるかしら」

 すやすやと眠るカータをしっかりと抱いているランカに奥方様は優しく尋ねた。

 「こう見えても狼族、波しぶき師団長ロッド・フィッツァーの娘、ランカ・フィッツァー、若様の命、この身に替えても御守りいたします」

 ちょっと丸く、狼と言うよりムクイヌのように見えるランカは奥方様の目を真正面から見つめて迷いなく応えた。

 「その心意気はありがたいが、命を粗末にするなよ。全員、生きて突破する、これが絶対の目標だ」

 キリーンは決死の表情を浮かべるランカに優しく声をかけると、己の荷物の中から短剣を取り出して身に付けだした。

 「儀礼用の剣はふにゃふにゃで戦う事はできんからな」

 彼はにやっと笑うと腰に付けた短剣をそっと撫でた。

 「ランカではないが、こう見えても一応戦う術を身に付けているのでね。奥方様の見事なパンチほどではないですが」

 「ええ、私も何だかんだと手解きを受けておりますから、歯向かう者に手加減する気持ちは爪先ほども持ち合わせておりません」

 奥方様の気持ちを聞いたキリーンは笑みを浮かべると馬車の窓を開けた。

 「ロッド、次の戦いは、ケフ流で行くぞ」

 「心をへし折るんですな。承知っ、お前ら、次は敵の心をへし折る覚悟で突っ込め。意地を張って死のうとするヤツは、俺が許さん、覚えて置け」

 キリーンの言葉を聞いたロッドは部下たちに声をかけると部下たちは手を上げて応えた。

 「うーん、うちの団長よりワイルドかも」

 ロッドの一連の言動見ていたアリエラがヤヅの騎士団から無断で拝借している馬上で呟いた。

 「そうだよねー、ヴィット様ももう少しワイルドだったら・・・、あ、ダメ、濡れてきそう」

 バトが馬上で身をくねらせると、ルロは深いため息をつき、心なしかバトを載せている馬も迷惑そうな表情を浮かべていた。

 「でもさ、皆で生きて帰ってネアを迎えないとダメなんだよね」

 身をよじっていたバトがいきなり真面目な表情を浮かべた。

 「何を当然な事を良い事言ってるみたいな顔でぬかしているんです。こんなことで命を落とすような者は誰もいませんよ。そうじゃないとネアに叱られますよ」

 ルロはそう言うと兜のバイザーを降ろした。


 「海賊崩れかと思っていたけど・・・」

 港の近くに移動したネアは大型船がつけられる桟橋と郷主の館を見ることができる廃棄された漁師の道具小屋の中で壊れた壁の隙間から偵察しながら呟いた。

 大型船から上陸してきたのは、大きな荷物を背負い、腰に剣、手には槍を持った100人程の兵士のような連中であった。ネアはてっきり、何の統制もされていない昨夜の船員崩れたちが上陸してくると考えていたのであるが、彼女の読みは見事に外れていた。

 上陸してきた男たちは綺麗に整列するとそれぞれがガヤガヤと話はしているが、その場から勝手に動く者はいなかった。

 「あいつら、何者だよ・・・、ここの騎士団の連中より戦えそうなのは確かな気がする」

 ネアは自分の心中を口にすると、道具小屋の中から使えそうなものを物色しだした。

 「いい感じだな」

 ネアが小屋の中で手にしたのは破れた帆の切れ端、錆びた銛、シミだらけの布袋であった。ネアは早速帆で小屋のあちこちを拭いて黒くすると、頭からすっぽり被れるように布にナイフで切れ目を入れ、弩を1丁と矢筒を袋に入れると、水筒を手にすると申し訳なさそうな表情を浮かべた。

 「これは、許してもらえるよね」

 ネアはそう呟くと、他の小屋から勝手に借りてきた水筒にそこにあった水樽の水を無断で詰めたのを手にすると水を口に含み舐めるようにして飲んだ。そして大きな欠伸を一つした。幼い身体では徹夜で動き回るということがきつかったようでネアは強烈な睡魔に襲われ、日が暮れるまで仮眠することにした。


 「ん? 」

 外の騒がしさにネアが目を覚ましたのは夕暮れ時であった。壁の隙間から港を見ると船から荷物を降ろし、郷主の館に運び込んでいるのが見えた。

 「お決まりの略奪と強姦と虐殺は無しなのは良いが、何を企んでやがる」

 ネアは彼らの動きがとらえきることができずいら立ちを感じていた。

 「あいつら、まるで野戦に向かうみたいないでたちだったよな・・・、野戦って、まさか」

 その時、ネアの脳裏に彼らが整斉とケフの都を行進する姿が浮かんだ。

 「早く戻らないと、今夜のうちにここから出なきゃ」

 ネアはそう呟くと体力を回復させるために目を閉じた。


 「なかなか勇壮な兵力じゃないか」

 館に整然と整列する兵士のような連中を執務室から眺めながらバルンが目を細めた。

 「私としては、王国の手が及ばない母港と設備を手に入れられる。彼方はケフと言う新たな土地を手に入れる。互いに得る利益は大きい」

 バルンの前に腰かけているのは、身長はバルンより大きく筋肉質な茶色い髪を短く切りそろえた男であった。

 「私の海兵団を持ってすれば、ケフ如きの小国は捻じ伏せることができますよ」

 この男、「暗礁」のボーユと言う名の海賊である。彼主として港町を襲うために船を利用するタイプで海戦より陸戦を好んでおり、彼が有する海兵団も陸戦を主とした構成であった。そんな彼は海上で行動する際何かと割り込んでくる王国を目障りに感じていた。港を使うにしてもお尋ね者はその場で捉えられたり、入港を拒否されたり、出向を妨げられたりと王国が絡むとロクな事はなかった。しかし、これはあくまでも彼の視点であり、犯罪者を取り締まるのは王国でなくとも普通の事なのである。

 「自由で息がつまらない港、どうどうと白昼大手を振って歩ける港、これのためなら少々の苦労は織り込み済みですよ。ケフに付いたら、思いっきり暴れさせてもらいますよ。あの連中もそろそろ、色んなモノが溜まって来てますのでね」

 ボーユは整列する海兵団を見て不気味な笑みを浮かべた。

 「ここでは、そうしてもらいたいものだな」

 ボーユの言葉に恐怖を感じつつもバルンは平静を装い、何気ないように答えた。

バルンが手を組んでいた相手がやっと出てきました。海で戦うタイプではなく、上陸して嵐まくるタイプの海賊です。彼らは陸戦にたけており、烏合の衆でもないので下手な騎士団ぐらいなら蹴散らすことができそうです。

今回もこの駄文にお付き合いいただきありがとうございました。ブックマーク、評価を頂いた方に感謝を申し上げます。

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