表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
鎧を脱いで  作者: C・ハオリム
第18章 事変
241/342

222 豪雨注意

残暑が厳しいと言うか、涼しい時期があったため余計に暑く感じられます。

妙な病気もまだまだ猛威を振るっておりますが、そんな中の暇つぶしの一助になれば

幸いです。

 「うっ・・・」

 深夜、テントの中で寝袋の中で丸くなって惰眠を貪っていたネアに、無慈悲にも自然の欲求が襲い掛かった。

 「・・・」

 この身体になってから、この辺りの調整は難しく、まだまだ大丈夫と思っていたら、実はそうではなく尊厳にかかわる事態にあと一歩で陥りそうになったことは少なくなかった。このような事を繰り返して、ネアは自然の欲求には素直に従うのが王道であると学習していた。

 「尿意は睡魔を駆逐する・・・」

 ネアは目をこすりながらポツリと呟くとそっとテントから這い出し、夏の夜空の下に身をさらした。

 夜空には雲一つなく、十三夜月が蒼い光を池に投げかけていた。

 「あれ、ネアちゃん、どうしたの? 」

 焚き火の火を消さないようにしながら不寝番に付いているアリエラがネアを見つけて声をかけてきた。

 「おしっこです」

 ネアは少し恥ずかしそうにアリエラに告げて足早に茂みの中に入って行った。

 【・・・今一つ慣れない感じがする・・・】

 しゃがみ込み自然を大地に還元しながらネアはため息をついた。

 【仕方ないか・・・、チャンスが与えられたんだ、文句は言えないよな】

 最後の一滴を絞り出すと、ネアは立ち上がった。

 池のべた凪の水面に蒼い月がその姿を映していた。ネアは、知らずのうちに池の畔に立ち、空と水面の月を眺めていた。

 【じっくり月を見るなんて、前の世界では考えもしなかったかな・・・】

 ネアは水辺の砂浜に腰を降ろし、小さな波の音と気の早い秋の虫の鳴き声に耳を傾けながらじっくりと月を眺めていた。月を見たり、自然の中に身を置いて周りの音に耳を澄ますなんて、前の世界では意味の無い事と切り捨ててきた事であった。それを異なる世界で異なる身体で感じていることにネアは自分が随分と幸運であることを再確認していた。

 【用を足すことに文句を言うのは贅沢ってことか・・・】

 ネアはこの世界で得た身体を砂の上に横たえた。夜目の利く目で見る夜空は砕いたガラスをばらまいたように明るかった。

 「こんなに星があったんだ・・・、多分前の世界でも・・・」

 ネアは横たわったまま、ぐっと身体を伸ばした。夜の冷えた空気が身体に心地よかった。

 その時、砂を踏む足音を耳にしたネアは身をよじって足音の主を確認した。

 「きれいだねー」

 足音の主は先ほどまで不寝番を務めていたアリエラであった。

 「ネアちゃんも空を見上げるようなことがあるんだね」

 アリエラはネアに微笑みかけると彼女の横に腰を降ろした。

 「私でも、夜空を見上げることもありますよ」

 ネアはゴロリと横たわったままむすっとした表情になった。

 「それは、悪かったね、ごめん。でも、ネアちゃんって、仕事しか興味がないように見えることがあるからさ」

 ネアはアリエラが何気なく口にした言葉にドキリとした。この世界に来てからは仕事以外に目を向け、子供らしく振舞い、前の轍を踏まない様にしてきたつもりであったのだが、それは自分がそう思っているだけではないかと不安に駆られた。

 「真面目にお仕事をしているのは分かるけど、余裕がないと言うか・・・、剣の達人がさ、素人相手に全力で斬り込んでいくような、旨く言えないけど、厳しすぎるのかなー、遊んでいる時も楽しんでいるように見えないことがあるんだよね」

 ネアはアリエラの言葉が心にぐさりと刺さってくるように感じられた。

 【前の世界の生活様式を知らずのうちに繰り返していたのか・・・】

 ネアは、己の今までの生活を振り返ってみた。女の子らしく身なりに気を使って、尾かざりもフォニーの指導の下、無難に身に付けることができるようになった、前の世界では見向きもしなかった色んな遊びにも手を出してきたが、それらは楽しいからやるではなく、周りに合わせる、しなければならないという任務として実行していたことにふと気づいた。

 【流石スカウト、観察眼は鋭いな】

 ネアは改めてアリエラの鋭さに感心しながらも、その指摘の的確さに耳を倒してがっくりと項垂れてしまった。

 「あー、そんなに気にすることないよ。ちょっと私が思っただけだからね。気に障ったの。ごめんなさい」

 アリエラはネアのあまりにもの落ち込みに慌てて、思わず動物をなだめるように手を動かしていた。

 「気になさることはありませんよ。言われていることは的を射ていますよ。このままじゃ、つまらない人間に成り果てそうですから」

 ネアはそう言うとアリエラに向けて、寂しそうな笑みを浮かべた。

 「ネアちゃんは、何でも深刻にと言うか、真面目に受け取りすぎるように見えるから、肩の力を抜いた方が良いんじゃないかな、ネアちゃんは何でもできるし、優秀なんだからさ」

 アリエラが落ち込むネアを慰めるように優しく声をかけてきたが、ネアは難しい表情を浮かべて考え込んでいた。

 「・・・楽しめていない、私は義務で遊んでいるつもりはないけど・・・、どこかで・・・何もかも仕事として捉えていたのかな・・・」

 ネアが難しい表情で自分の心の中を整理するように呟いた。

 「ネアちゃんが楽しいと思う事を見つけるといいと思うよ。私にはこれぐらいしか言えないけどね」

 「楽しい事を見つける・・・」

 ネアはアリエラの言葉にさらに考え込んでしまった。

 「悩まない、悩まない、私も騎士団の時は結構悩んだりしたけど、バトさんたちと侍女をしているとさ、なーんであの時、あんな小さい事で悩んでいたんだろっておかしくなってくる時があるんだよね。悩みがあってもティマちゃんの笑顔を見れば吹っ飛ぶけどね。さ、ネアちゃんも寝なよ。星空は惜しいけど、明日の楽しみが眠気で半減するよ」

 アリエラは立ち上がるとネアに手を差し出した。ネアは黙ってアリエラの手を取ると砂浜から腰を上げた。

 「いいお話、ありがとうございました。おやすみなさい」

 ネアはアリエラにぺこりと頭を下げると自分のテントに戻って行った。

 「あの堅っ苦しさが、しんどくさせているように見えるんだけどね」

 テントに向かうネアの後ろ姿を眺めながらアリエラはぽつりと呟いた。


 「石窯の中にいるみたいだよー」

 ネアが暑苦しさで目を覚ますと、フォニーがだらりと舌を出して手で身体をあおりながらぼやいていた。

 「密集しているから余計に暑いね」

 目が覚めると同時に水着に着替えたアトレがさっとテントをまくり上げると、朝日と太陽に熱せられたドライヤーの様な風が大騒ぎするセミの声と一緒に吹き込んできた。

 「もう今日は、一日水着ですっ」

 ラウニが切れ気味に宣言すると、さっさと水着を身に付けだした。彼女の言動が引き金となり、ネアたちのテントで宿泊している侍女たちとミエルは水着で一日過ごすことに決定していた。


 「暑い日は、無理しない、パルは毛皮着ているから私たちより問題ないでしょ」

 お嬢様方のテント内でもネアたちと同じような状況判断を迫られていた。水着で良いというレヒテとカティ、ちゃんと服を着るべきと言うパルの間で様々なやり取りが為されていたが、数には抗うことができず、パルはしぶしぶレヒテたちの提案になることにしたのであった。


 「これは、眼福というやつですかねー」

 野営地の女性陣が全員水着姿でいるのを見たハチが目を細めて感嘆の声を上げていた。

 「あ、女神様まで」

 ハチの視線の先には水着に着替えたパルがミエルとフォニーて一緒になって朝食の準備をしている所であった。ギブンとヘルムは、その神々しさに思わず手を合わせるハチを冷めた目で見てため息をついた。

 「暑いからね」

 「いきなり天候が崩れると身体を冷やしますね。竈場の上にターフを張って雨除けを作らないと」

 女性陣が水着姿になっていることを感度するわけではなく、そこから生じる危険性を見積もるため、ギブンとヘルムは互いに午前中に為すべきことを互いに確認しあっていた。

 「パンを焼いたよ」

 「ベーコンは1人2枚ね」

 皆がそれぞれ顔を洗ったりしている中、ミエルの指揮の下、フォニーとパルはせっせと朝食作りをてつだっていた。互いに、ミエルに教えてくれと言い、互いにかってにライバルと想定している相手がいるため、どちらもさぼることができず、さらに相手に良い所を見せたいため、彼女らの周りの温度が少なくともまわりより2~3℃ていど上昇しているように感じられた。

 「お嬢様の目が怖いです。そう思いませんか」

 フォニーと並んでパンを焼いたり、配食しているパルを砂浜に腰を降ろしてパンを齧りながら見ていたメムが隣で朝食を食べているラウニにそっと尋ねた。

 「そうですね。フォニーもにこやかにしていますが、どこか殺気立ってますからね」

 「あの2人、何となく恋敵同士の雰囲気があるよねー。うちのお嬢様がそうなるのはいつになるやら」

 アトレが彼女らの会話を耳にして、ニヤニヤしながら2人の横に腰を降ろした。

 「それを言われると、お嬢も随分と心配です」

 ガツガツと朝食を貪っているレヒテを見てネアが呆れたように呟いた。

 「そう言う事ではネアの方が心配ですけどね」

 ラウニはネアを心配そうに見つめた。レヒテは恋愛に関しては幼すぎて理解できていないだけであるのに、ネアはそう言う事柄を理解しないし、拒否しているとラウニは見ていた。

 「私は、ビケットの家とお嬢に全てを捧げているので、その手のことは私には関係ない事ですから」

 ネアはこれ以上、この手の話題がふられないようにとピシャリと切ってすてた。

 「模範的な回答ですね。でも、なんか悲しい気がしますね」

 「ネアちゃん、それって潤いがないですよー」

 ネアがこれ以上この手の会話に加わらないとする意志は、ラウニとメムには通じないようで、ネアは苦い表情になっていた。

 「あ、お兄ちゃん、これがいい感じに焼けているからね」

 ネアが渋い表情になっている時、いきなりミエルの弾けるような声が彼女のピンと立った耳に飛び込んできた。

 「ミエルちゃんって、お兄ちゃん大好きみたいですね。うちのお嬢様と同じですよ」

 メムもミエルの声を聞いたのかニコニコしながらミエルを見つめていた。

 「ヘルム君に親しくすると機嫌が悪くなるかも、ですね」

 メムの言葉を聞いたラウニがパルを見つめて、ヘルムが何かと苦労するんじゃないかと想像していた。

 「昨日、ヘルム君に遊んでもらっていたら、ミエルちゃんに思いっきり睨まれたよ・・・です」

 ティマが小さな声で昨日遭遇した出来事をネアたちに話した。そして、少し怯えた様な目でちらりとミエルを見た。

 「その手の問題は、共通言語が使えないケースが多いんだよね。共通言語で説得しても、後々また蒸し返されるし、心から納得もできないし、面倒なんだよね」

 アトレは軽くため息をついて顔をしかめた。これについては、彼女自身に何か思うところがあったようであった。

 「難しい問題ですね」

 ラウニがアトレの言葉に納得したように頷いた。


 「この服装で良かったよー」

 池の中の木陰になった場所に風呂に浸かるように身体を伸ばしたバトが穏やかな波に揺られながら涼んでいた。

 「これに関しては、バトの言葉に同意しますね。気持ちいいです」

 「何もする気がしないよー」

 ルロとアリエラも生きたまま暑さに茹でられた魚のように水の中に漂っていた。

 「お嬢様ー、動き回ると疲れますよー」

 「日焼けはお肌に良くないですよー」

 ネアたちとはしゃいで水しぶきを上げるルシアにカイとクゥが注意を促していたが、野営間に寝る事すら勿体ないと思っているルシアに届くことはなかった。

 「暑いのに・・・」

 「お肌が・・・」

 護衛の任務に縛られた彼女らは恨めしそうにバトたちを見つめた。そんな彼女らの視線をアリエラは敏感に感じ取った。

 「私たちが引き継ぎません? カイさんもクゥさんも疲れているようだから」

 カイとクゥの視線に耐えかねてアリエラがバトとルロに提案してきた。

 「そうだねー、不寝番の時に居眠りしたら大変だもんねー」

 バトはそう言うと唸りながら立ち上がった。それに倣ってルロも立ち上がるとカイとクゥに手を振った。

 「護衛、交代しましょう。貴女たちはお昼まで休んでいてくださいね」

 ルロの呼びかけに、カイとクゥの顔に安堵の表情がさっと浮かんだ。

 「助かったー」

 「彼女たちが神々しく見えます」

 カイとクゥはバトたちとハイタッチをして交代すると木陰になった場所でゆらゆらと池に揺られだした。


 「若、こりゃ、昼からキッツいのが一雨ありそうですぜ」

 ハチが空を見上げ、昼食の準備の手伝いをしているギブンに注意を促してきた。

 「こんなに晴れているのに、雨だなんて」

 ハチの言葉にギブンが首を傾げた。そんなギブンの横でヘルムが空気の匂いを嗅いでいた。

 「水の匂いがするような気がする。妹ならもっとはっきりと分かるだろうけど、真人に匂いの判別は難しいですから」

 「若、いいですかい。あの山にかかった雲、ついさっきまでは握り拳一個分の大きさだったのに、もう掌を広げた以上に大きくなってやす。アレは雨を降らす雲でやんすよ。これだともう、山の方は降っているかも知れねぇや。早くお嬢様方に自ら上がるように言わないと」

 ハチはさっと立ち上がると、水辺に走り出した。

 「お嬢様方、直ぐに水から上がってくださせぇ。水が流れ込んできて危ないことになりやす。ヘルム坊ちゃんターフの準備をしやしょう。テントの位置はまず大丈夫だから」

 ハチの呼びかけにいち早く反応したのは現在護衛の任務に就いているバトたちだった。

 「お嬢、水から出ますよ」

 「皆、急いで」

 「小さい子を忘れないで、そこ、呑気に浸かってないで、早く上がって」

 ルロははしゃいでいるレヒテに声をかけた。その声にいつもの軽い調子が無い事を察したレヒテはさっと周りを見回した。

 「水から出るよ。水遊びはここまでだよ」

 レヒテの言葉にネアたちは慌てることなくさっさと自ら上がって行った。

 「お嬢様、ただ事じゃないようだよ」

 「早く、上がりましょう」

 アリエラの呼びかけに反応したカイとクゥはルシアを抱えると駆け足で水から出て行った。

 「晴れているよ・・・、あ、水の匂いがする。これ、来るよ」

 ちょっと不満な表情を浮かべていたミエルが鼻をひくつかせて空気の匂いを嗅いで表情が引き締まった。

 「ティマ、早く行くよ」

 ネアはまだ遊びたそうにしているティマの手を引いてテントのあるあたりまで速足で連れて行った。


 「・・・本当だったね」

 彼女たちが水から出て、温かなスープを口にしている時、空が灰色になり、ポツリポツリと大粒の雨が落ちて来たのを見たカイが不思議そうに呟いた。

 「ねぇ、ハッちゃん、どうして天気が悪くなるって分かったの。教えてよ」

 じっと空を睨み上げているハチにレヒテが手品のネタ明かしをせがむように声をかけた。

 「風向き、雲の大きくなる速度、そして湿気でやんすね。海の上と陸の上はちょいと違いやすが、気をつける基本は同じでやんすよ」

 「ハッちゃん、すごいですね。知らないまま遊んでいたら危なかったかもしれません。ハッちゃんのおかげで助かりました。ありがとう」

 パルが雨に打たれて白くななっている水面を見ながらハチに礼を述べた。

 「パル様、勿体ねぇお言葉ですぜ。オレは知っていることをそのまま報せただけ、オレの言葉を信じて下さったレヒテ様やパル様が賢明な行動をされただけでやんすよ」

 ハチは茹でられたタコのように真っ赤になりながらパルに恐縮していた。


 「きゃっ」

 昼食後から本格的に降りだした雨は、おやつの時間帯には池の対岸が見えないぐらいの雨量となっていた。その上、雷が景気よく鳴り響き、遠くにある木に落ちたりするもので、大きな音が響くたびにティマは悲鳴を上げてネアにしがみついてきた。これは、ティマだけではなく、他の侍女たちも一緒だった。

 「いつまで降るのかしら」

 ラウニが簡易ベッドに腰かけて不安そうな声を出した。

 「やまない雨はないって言うよ。この場所もハッちゃんが安全だと判断して選んだ場所だし、大丈夫だよ」

 フォニーが自分に言い聞かせるようにラウニに言葉をかけていた。

 「テントを打つ雨の音、雷の紫の光、風の音、風流じゃないですか」

 ネアは簡易ベッドに横になってテントの屋根を見上げるようにして呑気そうに呟いた。

 【何事も楽しまないと、この状況も状況で楽しめばいいんだ】

 ネアは昨夜アリエラに言われた言葉を思い出すと、知らず内に笑みがにじみ出ていた。

 「ネアちゃんは随分と楽しそうだね」

 簡易ベッドに腰かけて小さなボトルからダイレクトに多分アルコールであろうモノを呑んでいたアトレは面白そうに声をかけてきた。

 「怖がっていても、うんざりしていても雨はやみませんから、そうだったらこの状況を楽しむのが一番ですよ。テントの中で豪雨にあうって、なかなか経験できない事ですよ」

 ネアは呑気そうに横たわったまま答えた。そんなネアの態度が影響したのか、黙って尻尾を股間に巻いていたメムも何とか落ち着きを戻していた。

 「自然の音楽と思えばいいんですよ。下手な吟遊詩人より上手なぐらいですよ」

 ネアはそう言うとそっと目を閉じた。


 「きゃーっ」

 稲光と派手な雷の音にいつもは冷静なパルが悲鳴を上げていた。

 「パル、何ならバトたちのテントに非難する? 」

 尻尾を巻いたパルの背中を抱きながらレヒテが優しく声をかけていた。

 「パルさんが雷が苦手なんて以外だよ」

 カティが優しくパルの手を優しく握りながら、自分も怯えていることをパルに悟らせないために必死に何もないように振るまっていた。

 パルが何とか頭を上げてレヒテやカティを見ようとした時、野営地からそんなに離れていない場所に地響きを上げて雷が落ちた。そのあまりの音の大きさに、悲鳴を上げたのはパルだけではなかった。レヒテもカティも悲鳴を上げて3人がぎゅっと団子のように固まっていた。

 「・・・」

 暫くして互いに顔を上げたレヒテたちは互いを見合って、緊張の糸が切れたのかクスクスと笑い出した。


ハチが天候を察知できたのは船乗りの経験があったからのようです。

ヘルムは田舎育ちですので天候の変化には真人にしては敏感です。

獣人であるネアたちが気づかなかったのは、獣人とは言え、ある程度の都市部で生活していると自然の変化をかぎ取る勘のようなものが鈍るためです。

今回もこの駄文にお付き合いいただきありがとうございました。また、ブックマーク、評価を頂いた方に感謝を申し上げます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ