214 害虫駆除
天候が優れない中、少しでも暇つぶしの一助になれば幸いです。
ルシアの店は街の中央の広場からほど近いが、大通りにも広場にも面していない場所にあった十数年続いた酒場を買い取り、改築したものであった。その酒場であるが、近所の人や常連に暦の代わりされるぐらい、定期的に食中毒を発生させる上に、タダの気難しさを拘り、不味さを新たな世界、とごり押ししたため、当然のこととして潰れてしまったのであった。そんな店が十数年続いたことは未だに解明されない謎とされている。
「とても素敵です」
ケフの大工やヤヅから来てくれたスタッフのおかげで、店の中は以前が酒場だったとは思えないような明るく、可愛らしくなっていた。
「何か、夢の世界みたいだよね」
現在の所、警備の仕事がないカイがフリルがやたらと多い給仕服を店内の鏡に映しながらうっとりとした表情になっていた。
「直線を排して、全てを柔らかなカーブにして、印象を可愛くしているんですね。準備中に何度も目にしましたけど、こうやって商品があって、装飾がきちんと配置されると別物に思えます。マーカさんのセンスがいいってことですね」
クゥも開店間近の店内を見つめて目を細めていた。店内のデザインから商品の選別、配列、店員の衣装から包装紙のデザインまで全てマーカの発案によるものであった。
「そんなに褒めても、出るモノは夕食のデザートぐらいですよ」
いつの間にか彼女らの背後に立っていたマーカがニコニコしながら一声かけると、花畑で蜜を採取しているハチのように店内をあちこち動き回って開店のための点検に余念がなかった。
「お店、手伝ってくれて、ありがとうございます。お二人とも見間違えるぐらい可愛いです」
名義上は店長であるルシアがいつもとは違う雰囲気のクゥとカイを見上げて目を潤ませていた。
「傭兵のお仕事の時は勇ましくて、店員の時は可愛いなんて・・・、お姉様とお呼びしたいぐらい・・・」
両手を胸の前に合わせ、見上げるプラチナブロンドにヘッドドレスを纏った美少女から発せられるオーラにクゥとカイは思わず跪きそうになった。
「勿体ないお言葉・・・」
「お褒めにあずかり、恐悦至極にございます」
2人はルシアの纏う気に飲み込まれ、姫に仕える従者のような動きになってしまっていた。
「もう、お2人ともルシアの家の人なんですから、そんな他人みたいなことは悲しいの・・・」
少し寂しげな表情を見せるルシアに2人は息を呑んだ。そして、知らずのうちに彼女に忠誠を誓っていた。この事は、随分と後で気付くことになるのであるが。
「そ、そうだよね」
「お姉様は勘弁してください。気やすくクゥと呼んでください」
ルシアはぎこちない動きのカイとクゥに
「じゃ、クゥさんとカイさんと呼ぶことにするの。でもね、私、クゥさん、カイさんをお姉さんみたいに思ってるから」
ルシアはそう言うと商品のチェックに余念のないマーカの元に走って行った。
「・・・ありゃ、魔性の女か・・・、それとも姫様か・・・」
ルシアとクゥ、カイのやり取りを見ていたリックがなれない執事服で2人の元に来ると畏怖の表情を滲ませながらマーカと一緒に商品のチェックをしているルシアを見つめた。
「リック・・・、悲しいけど、それ似合ってないよ」
「酒場の用心棒みたいですね」
「実際、用心棒なんだからよ。問題ないだろ」
カイとクゥの言葉にむすっとしてリックは言い返した。
「お花畑の中に、松が一本生えているぐらいに浮いているからね。お客様は若い女の子だからさ、怖がらさないようにね」
「怖がらすって、人をバケモノみたいに言いやがってよ。お、そうだ、勝手に決めたが「ジーエイ警備」ってのが俺たちの会社の名前だ。案外手続きがサクサク進んでよ。その場で会社名を書けってきたもんだから、その場で決めた。イロイロと言いたいことがあると思うが堪えてくれ」
リックはさらりと重要な事を告白して軽く頭を下げた。そんなリックにクゥもカイも呆れたような表情を浮かべるだけで何も言わなかった。
「でもさ、ジーエイとは大きく出たねー」
「知る人ぞ知るヤヅの英雄、素人たちを訓練し精強な騎士団を作り上げた救国の英雄の名前ですからね」
リックがあやかったのはクゥが言ったように、ヤヅでは知らぬ者はいないぐらい有名であるが、他の郷でとなるととんと名前すら耳にしない、リトルメジャーな英雄だったのである。呑んだくれて道端で寝るぐらい庶民的で、あちこちに子供を作るぐらい家庭愛に満ちたことを考慮に入れても、彼は英雄であった。
「ジーエイの名に恥じない働きをしないとね。そして、英雄ジーエイの伝説をケフにも広めるんです」
普段は割と落ち着いているクゥが熱く語り、拳を握りしめていた。
「さ、皆、店を開けますよ。雑貨の店、「星の花」、開店します」
その時、マーカが大きな声を出して、ケフで雇った兎族とドワーフ族の娘に扉を開けるように命じた。
「さ、作戦開始だ。ぬかるなよ。ジーエイ警備、最初の仕事だ。ま、無報酬だけどな」
「なーに言ってんの、お食事と寝床って報酬貰ってるじゃない」
「みっともない事は、ジーエイの名にかけてできません」
ケフの都で一歩を踏み出した少しばかり頼りない傭兵たちの初仕事が始まったのであった。
「・・・今日は、美味巡りをしないんですね・・・」
自分たちの後をついて来る残念トリオを見てネアは呆れたような表情になった。ルシアの店に行こうと相談していたネアたちの話にまず乗っかってきたのが、残念トリオであった。アリエラにとってティマが行く所はどこでも付いて行きたいという欲望。バトとルロは可愛いモノを手に入れ、他の侍女から頭一つ抜き出て、玉の輿に乗ると言う、皮算用からであった。その事についてはネアは彼女らならあり得ることだと読んでいた。
「こういうことがあると、炎竜会(恥)みたいなアホが湧くんだよね」
「あの手は、殲滅しないといけません」
外出用の服に、いつも見せないような凶暴な表情を浮かべたルーカとタミーが付いて来ることは、ネアにとっては予想外だった。
「あの手のアホはお祭りごととか、賑やかな事があると湧くからねー」
フォニーはルーカとタミーの話を聞いて頷いていた。
「凝りもせず、孤児院の子たちも来ているでしょうね。世の中を逆恨みしても、惨めさしか手にできないのに・・・」
ラウニが少し曇った表情になった。
「うわ、人がいっぱいだよ」
アリエラに手を引かれたティマがルシアの店である星の花の前に集まっている人々を見て驚きの声を上げた。
「アレだけ人がいて、しかも全部、女性・・・、凄い・・・」
ネアは繁盛しているルシアの店を見て顔をしかめた。今から、あの女の園に突入するのであるが、ネアにはあまりにもハードルが高いように感じられていた。
【前の姿だったら、確実に通報モノだぞ】
知らずのうちにネアの毛が逆立っていた。尻尾はフォニーの尻尾のように太くなっていた。
「ネア、どうしたの。ひょっとして突入するために臨戦態勢に入ったのですか」
ラウニがネアの変化に気付いて声をかけてきた。
「あの人混みと言うか、女の人ばかりだし・・・、怖くなって・・・」
ネアはルシアの店の前をじっと見ると怯えた表情になった。
「なーに言ってんの。ここに股座に何かぶら下げた人なんて誰もいないよ」
「バトの言う通りだよ。いまさら何が怖いんだい」
ルーカが腰をかがめてネアの目を覗きこんできた。
「あの、目つき、まるで狩りをする時の獣の目ですよ」
ネアは何とかその場をごまかそうとして、店の前に集っている淑女たちをじっと見ていると、咄嗟に口にした言葉が間違っていないことを確認した。
「少しでも良い物を手に入れたいって、みんなそう思うでしょ、ね」
タミーはまさしく頭突きをかまそうとしている羊のように身構え、あの群れの中に突っ込んで行きそうであった。
「良い物を手にするには、それなりの危険を覚悟しないとね」
フォニーは口元に笑みを浮かべると、その場で身体を捻ったりしてほぐしだした。
「ここで尻込みしたら、全てに一歩遅れをとるの。玉の輿を手に入れるのも同じです」
ルロもまさに突貫をかけようとする兵士の如く己の両頬を叩いて気合を入れていた。
「皆の目が怖い・・・」
ネアは殺気立ってくる、侍女たちに恐怖を感じていた。
「良い物を持ってるねー、あたしたちに寄付しようって気持ちにならないかなー」
「金持ってるんでしょ、恵まれない人に奢ってもバチはあたらないよ。アンタも痛い目に遭うのは嫌だろ」
ネアが恐怖を感じている時、どこかで聞いたような声質とありふれた脅し文句が聞こえてきた。
「思った通り、湧きましたね。ああいうのは、害虫と同じで、湧いたら、即、潰す。ケフに害虫はいりませんからね」
タミーがニコニコしながらルーカを見つめた。ルーカも嬉しそうな表情になり、肩を回し、指を鳴らしだした。
「可愛そうに、あの子たち、竦みあがってますよ」
タミーが人相の悪そうな少女に取り囲まれて震えているちょっと身なりのいい少女たちを指さした。
「3人もいれば絡まれないと踏んだようだけど、数でモノを言わすと言うのはアイツらも同じだってことだねー。でも、戦闘力から考えると、タミー、行けそうかい」
「聞かれなくても行きますよ」
2人は互いに見合ってニヤリと笑うと獲物を取り囲む人相の悪い少女たちににこやかに歩み寄って行った。
「んー、あの程度ならあの2人ならお釣りが来るね」
「私たちが出る幕はありませんね」
バトとルロはルーカたちが喧嘩を買おうとしている相手を見てほっとしたような表情になっていた。
「私たちが出張ったら確実にオーバーキルだからね」
心配そうな表情になったティマにアリエラが安心させるように優しく語り掛けた。
「大丈夫そうですね。では、私たちはお買い物に向かいましょう」
ラウニはルーカたちを相手にするであろう少女たちの中に、以前自分たちに喧嘩を吹っかけてきた顔があるのを確認すると、なにも問題はないと判断し、ルシアの店に突撃する号令を発した。その言葉にフォニーとティマは頷くと小走りに駆け出した。そしてなぜかその後を残念トリオが追いかけるように走って行った。
「・・・」
ポツリと取り残されたネアはため息をつくと侍女たちの後を追うように歩き出していた。
「おやおや、元気がいいねー」
「私たちも混ぜてもらえませんか」
獲物を取り囲み脅しをかけている少女たちにルーカとタミーがにこやかに声をかけた。
「なんだよ。てめーら」
いきなり声をかけられ、ムッとした年齢の頃は14~5歳ぐらいのひょろっとした少女が声を上げた。
「・・・オバさんには用はいなよ。怪我しないうちにさっさと行きな」
リーダー格と見られる17~8歳ぐらいの少女がルーカを見て唾を吐いた。
「威勢がいいじゃねーかよ。オバさん? まだ毛も生えていないような小便臭いのに言われたかないね」
「・・・知性をあまり感じられない話し方ですね。言葉を発しているようですが、意味を理解して発声しているとは思えません」
威嚇するように睨みつける少女たちを眺めていたタミーがそう言うと、大げさなため息をついた。
「てめー、全身の毛、刈られたいみたいだな。お前らはアタイらに狩られる立場だってこと忘れたみたいだな」
犬族の少女が牙を剥いてタミーを威嚇した。そんな威嚇をタミーは涼風を受け流すように笑みを浮かべて応えた。
「アンタらは・・・8人か、こっちは2人だ。ま さ か、オバさん相手に尻尾を巻いて逃げるなんてしないよな」
ルーカは牙を剥いている少女を挑発するように言うと笑みを浮かべた。
「そこまで言うなら、相手しやるよ。ババァでも手加減はしねーからな」
リーダー格の少女が手で合図すると路地から人相の悪そうな少年が5人、ニヤニヤしながら出てきた。
「ババァ、吐いた唾、飲み込むんじゃねーぞ」
自分たちの戦力を信奉している少女は笑い声を上げた。勝利は確実だと彼女は確信していた。
「あららら、こうなったら・・・、ちとヤバイかな」
「そうですねー」
新たな増援を確認したルーカとタミーは互いに見合って苦笑した。
「金を置いて行くなら、痛い目に遭う事はないよ。どうするババァ」
彼女は確実に勝利したと思っていた。ルーカたちが詫びを入れるか逃げを打つと踏んでいた。
「これだけの数ですからねー」
「ごめんよ。手加減できないよ。不具になっても責任は持てないからかね。今のうちに謝っておくよ」
この言葉が合図となって、少女たちは怒声を上げてルーカたちに襲い掛かった。
「可愛いよ。これ」
自称、尾かざりの目利きのフォニーが尾かざりを手にして声を上げた。彼女が手にしていたのは外の灰色の世界とは違う、春を思わせる明るく淡い色に蝶を思わせる意匠を施された尾かざりであった。
「このデザインで、このお値段、買わないという選択肢をフォニーさんは持ってないよ」
フォニーは尾かざりを片手に他の商品を人にもまれながらその場から動き出した。
「この容器、いいですね」
春を思わせる花柄の陶製の容器に入ったクッキーを手にしてラウニは目を細めていた。その商品の主体は中身のクッキーより容器であったが、クッキーからハチミツの香りが漂っていたことがラウニの購買欲を刺激していた。
「ティマちゃんにはこれが似合うかなー」
アリエラは店にある髪飾りを片っ端からティマに試着する勢いだった。次々と髪に刺される髪飾りにうんざりしながらもティマは大人な対応していた。
「人混みは苦手だ・・・」
ネアは店内で人が少なそうなところを移動していた。
「おっ」
そんなネアの視界にネアが今まで欲しいと思っていたものがあった。それは携帯できる筆記具とそれを格納できる物であった。ネアが目にしたのは小さな鉄製のペン先を持つペンと小さく確実に蓋ができるインク壺、そしてそれらをがっしりと収納してくれる専用のポーチ、しかもメモ用紙程度の大きさの紙を収納することもできる品であった。デザインも周りのファンシー系とは違い、淡い緑色一色のシンプルなモノでネアの購買意欲を刺激していた。
「お値段は・・・」
手にした商品や棚になんの表示もなくネアは商品を手にしたまま、その場で思案していた。そこにマーカが通りかかりネアに声をかけてきた。
「ネアさん、来て頂いてありがとうございます。ゆっくりと買い物を楽しんで行って下さいね」
「こんにちは、あのー、これの値段って分かりますか」
ネアは手にした筆記セットをマーカに見せた。
「あ、それですね。・・・小銀貨5枚ですよ」
マーカの提示した金額はネアが手にした商品にしては格安であった。
「本当にその値段なんですか、中銀貨5枚じゃないんですか」
ネアは信じられないとばかりにマーカに尋ねると、彼女は苦笑した。
「可愛い感じの筆記具を発注したら、何かおじさんが使うようなデザインのが入荷したんですよ。でも色はいい感じだし、返品もできませんから、値段を下げて販売しているんですよ」
ネアは手にした商品があった棚を見ると淡い青の筆記セットが一つ残っていた。
「この二つ買います」
「こんな地味なのでいいんですか。ネアさんは前に随分とお世話になりましたから2つ合わせて小銀貨7枚でいいですよ」
「ありがとうございます」
ネアは財布を取り出すと小銀貨を7枚マーカに手渡し、筆記具セットを肩にかけた小さなカバンに丁寧に仕舞いこんだ。
「何か、外が騒がしい感じがしない? 」
カイが自分と同じように接客に勤しんでいるクゥに小声で尋ねてきた。
「店内じゃないからいいかなと思っていましたが、飛び火するのは好ましくありませんね」
クゥは店の外に目をやりながら少し心配そうな表情を浮かべた。
「お前らは仕事を続けるんだ。外の事は俺が見てくる」
リックが手に警棒を持って厳しい表情で店の外に出ようとすると、大量に押しかけていたお客がその形相に驚き、モーゼの海割りの如く左右にさっと別れた。
「どうかしましたか」
店から少し離れた路上に十数名の人影があることをリックは認識した。そして、その大半が石畳の上に横たわっているのも目にした。そして、まさに横たわる人間が増える様を目撃することなった。
「坊や、もう少しいい男になってから、来な」
ガタイのいい少年に身体を密着させたルーカが妖艶に微笑み、そのまま首投げでその少年を石畳に叩きつけた。
「え、こいつらをアンタたち2人で・・・」
路上に横たわったり蹲っている少年少女と服についた埃を払っているタミーと激しい動きで乱れた服を直しているルーカを交互に見ながらリックは驚きの声を上げていた。
「大した事ないよ。食事前の運動にもならない」
「口の割には大したことありませんでしたね」
倒れた少年が何とか身体を動かして刃物を手にしたのを目にしたタミーはつまらなそうにそう言うとその少年の腕を思いっきり蹴飛ばし、刃物を路地裏に方向に跳ね飛ばした。
「おーや、まだやるガッツがあるのかい。うれしいねー」
唖然とするリックを傍目にルーカは怒りの目で睨みつけている少年の頭髪を掴むと無理やり立たせた。
「許せないんだろ。犯してから殺すんだろ、さ、やってみな」
ルーカは少年を挑発すると彼から少し間合いを取り、かかって来いとばかりに手招きした。
少年は声にならない叫び声を上げてルーカに掴みかかろうとしたが、その前にルーカに足を払われて呆気なく石畳に顔面から突っ込んで行った。
「寝るにはまだ早いよ」
顔面から突っ込んだ少年の頭髪を再びつかんで立たそうとした。
「・・・助けて・・・」
その少年は涙と鼻血を流しながらルーカに謝罪を始めた。見ようによればそれは命乞いにも見えた。
「タミー、どうする」
ルーカは、立ち上がって逃げようとする少女の胸倉を掴んで頭突きをかましたタミーに尋ねた。
「喧嘩を売った以上は、こうなるのも覚悟の上だと思いますよ」
タミーはニコリとすると涼やかに応えた。
「おい、お前ら、それ以上やると人死にがでるぞ」
リックが思わずルーカの前に立ちはだかった。
「喧嘩の勝利条件っ」
いきなりルーカが大声を上げた。
「敵の心をへし折ることっ」
ルーカの言葉にタミーが大声で応えた。
「お前ら、何言っているんだ・・・」
戸惑うリックの元に騒ぎを聞きつけたネアが歩み寄ってそっと彼の腰をつついた。
「お館の筆頭侍女エルマさんの教えです。多分あの人たち、カツアゲでもしようとしたんじゃないでしょうかね」
ネアはリックに良くあることですとばかりに穏やかに現状を説明した。
「お館って、郷主さまの・・・、どんな教えなんだよ・・・」
リックはこの時、ケフに拠点を持ったことを少し後悔していた。
お館に奉公している人たちは案外、武闘派であることの一片が見えたお話です。
ルーカは貧しい村から口減らしとして奉公に出され、酷い仕打ちに在った事があります。現在は、お館で幸せに奉公していますが、貧しさを理由に罪を犯す人たちを嫌っています。タミーは他人を泣かして得をする人たちを毛嫌いしています。そんな2人はエルマから直接様々な戦いの術を叩き込まれていますので、下手な傭兵より腕が立ちます。彼女らに喧嘩を売ったのは多分炎竜会(笑)の関係者かも知れません。
今回もこの駄文にお付き合いいただきありがとうございました。ブックマーク、評価を頂いた方に感謝を申し上げます。