211 これからのこと
暑かったり、雨だったりで鬱陶しい日々ですが、このお話が暇つぶしのお役に立てれば幸いです。
来週は申し訳ありませんがUPできません。ごめんなさい、です。
「あ、あったー」
シモエルフを話の肴にした翌日、シモエルフの呪いか、明日には帰ると言うのに朝から雪が気前よく風に吹かれて降っていた。時折、風の唸るような音がしてくる中、ビブは本棚から気に入った絵本を見つけると、それを取り出して大切そうに抱えた。
「あーちゃ、えほん」
レイシーの整体を終えたアーシャがホールでくつろいでいる所にビブが絵本を持ってアーシャの元にとてとてと歩いてきて、彼女の膝に手をかけて、じっと見上げた。
「絵本かー、いいね。じゃ、読んであげるね」
アーシャはビブから絵本を受け取ると、椅子から降りて床に腰を降ろした。
「アーシャちゃんに懐きましたね。明日の帰りはきっと、大泣きでしょうね」
床にぺたんと腰をおろしたアーシャの膝の上にちょこんと乗って、絵本を読んでもらっているビブを見ながらレイシーが苦笑した。
「そうじゃな。あの娘は強いだけでなく、面倒見がよく、優しい娘じゃな。あの整体の技術、わしらの診療所にも欲しいぐらいじゃよ。ウェルと言い、米豹族と言うのは、優しい気質なのかのう」
ここで、アーシャの整体を受けてから、レイシーの動きが良くなっていることを間近で見ているドクターは顎髭をしごきながら目を細めた。
「種族じゃないと思いますよ。アーシャちゃんとウェル君のご両親がきちんと育てられたんだと思いますよ。私も、ビブが優しい子に育って欲しいです」
「そうじゃな・・・」
ドクターはアーシャの膝の上で絵本を読み聞かせてもらっているビブを愛おしそうに見つめ、力強く頷いた。
「ここに来ると、何だかんだとあるよねー」
お昼の食事までまだまだ時間がある中、お部屋でかけっこの新たなアイデアを、ラスコーたちが書き損じた便せんの裏にメモしながらフォニーが苦笑した。
「冬知らず、大雨、そして刺客・・・、でも、美味しい物を食べることができるので、些細な事です」
ラウニが達観したように言いながらお茶を飲んでほっと小さなため息をついた。
「あたし、ここに来てから初めて食べた物がいっぱいあるよ。全部、美味しかった・・・です」
ティマが木の実入りのクッキーを両手で保持して齧りながらニコニコしていた。
「明日には、お館に帰るけどね、あーあ、楽しい時間はあっという間だよ」
ティマはそう言うとその場に突っ伏して大げさなため息をついた。
「私たちは、これからケフの都が住処になるから、ちょっと不安だけど、楽しみでもあるんですよ。街で見かけたら、美味しいお店とか教えてくださいね」
クゥがちょっとブルーが入っているラウニたちに親し気に話しかけてきた。
「それなら、私たちのお店に住みませんか。お部屋が空いているんです。お父様たちが大きなお店を準備したみたいだから。それと・・・、近くにいてもらえると、心強いから」
ルシアがクゥの横にそっと寄り添うとちょっと心細そうにクゥを見上げた。
「それな、マーカさんからさっき俺も聞いたばかりなんだ。定宿を探すか、下宿を探すかと悩んでいた時によ。しかも、当面の仕事もある。有難い限りだ。お嬢様、ケフでの安全は俺たちにお任せください」
リックがいきなり現れると、ルシアに慣れない騎士風の礼をとってみせたが、あまりにもそれがぎこちなかったので思わずそこにいた彼女たちは吹き出していた。
「笑うことはないだろ。・・・慣れないことはするなってことか」
リックは肩をすくめると、恥ずかしそうに頭を掻きながらその場から去って行った。
「クゥさんたちは、信用できるし、腕もたつから、心配してないよ」
ルシアはニコニコしながらクゥに言うと、クゥは深々とルシアに首をたれた。
「でも、皆が助けてくれたから、任務を全うすることができたんです。私たちだけだったら、まんまと裏をかかれていたかもしれません。あれ、ネアちゃんは・・・」
クゥはふと辺りを見回し、今回の件に関しては思いのほか立ち回ってくれたハチ割れの姿を探したが、その場に見つける事は出来なかった。
「ネアなら、お風呂だよ。露天風呂で雪景色を堪能するんだって」
「風流を感じたいとか言ってましたね」
フォニーとラウニが互いに見合ってから、理解できないと首を傾げた。
「んーっ」
ネアは頭に積もった雪を払って湯船の中で身体を伸ばし、唸り声を上げた。
「・・・」
ネアは湯船に背中を預けて、足を伸ばし、ぎゅっと目を閉じた。
「俺、何しているだろう」
ネアはポツリと呟いて、湯船の中に沈んで行った。
「元の世界に戻れるのか・・・、でも帰ってなにかあるのか・・・、ないな・・・」
ネアは穴だらけの前の世界の記憶を撫でながら、湯の中でブクブクと泡を吐いた。覚えていないと言うのも大きい要因であったが、それ以上に仕事との繋がり以外に人との交わりの記憶が殆ど欠落していると言うのが大きな原因であった。
【俺って、悲しい人だったのか】
ネアは、湯から顔を上げると風に吹かれて舞い踊る雪をじっと見つめた。ネアは暫く雪を見つめていると、今度は己の掌をじっと見つめ、拳を作ったり拳を広げたりして、温泉の影響でいつもより血行がくなって赤みがかっている己の肉球をしげしげと見つめ、も片方の手で股間を確認した。
「人の掌じゃないよな、もう、男ではないし・・・」
そう呟くと深いため息をついた。ネアは自分がどれだけのモノを失ったのか改めて考えてみた。
【金はあった・・・はず、だけど使った覚えがないし、家族に関しても何にも思い出さないし、友達、恋人・・・、全く思い出せない。失ったモノはアレが一番大きいな】
「そんなに失ってないな。コレ以外は」
ネアは股間に手を当てて渋い表情を浮かべた。
「得た物・・・」
ネアは軽く目を閉じてこの世界で得たモノを考え出した。
「ラウニ、フォニー、ティマ。そしてお嬢やお館様、ご隠居様・・・・、そしてここに居る人・・・」
ネアはそう考えると口元がほころんでくることを感じていた。
「前の世界で得た物って、なーんにもなかった。ここで得たモノって、はははは、あの50年以上はなんだったんだよ。・・・くそっ、今更気付くなんて・・・」
ネアは小さな声で絞り出すように言うと、その場に俯き目を堅く閉じた。その目からは涙が滲みだしていた。穴だらけの記憶であっても、大切なモノを置き去りにしていたことだけははっきりと認識することができた。そして、認識と共に激烈な後悔が襲ってきた。今まで、刺客と対峙するために抑え込んでいた、身体の方の感情が大きな波となって襲ってきた。
【マズイ】
ネアのおっさんの部分が警告を発する前に、彼女の両目から大粒の涙がとめどなく溢れてきた。ネアは泣き声を殺すため、思わず口を湯の中につけた。彼女の鳴き声はくぐもった音となって、風に巻かれて降る雪と共に雪原の中に飛んで行った。
「あっ」
仕事の休憩中にお風呂に入ろうと、浴場に入ってきたカイは浴場で力なく横たわっているネアを見つけて声を上げた。
「どうしたの。大丈夫」
彼女は思わずネアに駆け寄り大きな声で呼びかけた。
「・・・湯あたりしました・・・。身体を冷ましている最中です、その内、復活しますから・・・」
ネアはうっすらと目を開けてカイを見ると消え入りそうな声で答えて、再び目を閉じた。
「何言ってるの、さ、出るよ」
カイはネアを抱き上げ、そのまま脱衣場に連れて行き、身体にタオルを巻き付けるとホールにいる者たちに声をかけた。
「ネアちゃんが、湯あたりしたの。お水持ってきて」
カイの言葉を聞いたドクターはワインの入ったグラスをそっとテーブルに置くと立ち上がり、暖炉の前でソファ深く腰掛けてウトウトしているウェルを見つめた。
「急患じゃ」
ウェルはドクターの言葉にさっと飛び起きるとホールに置いていた救急箱をさっと手にした。
「良い反応じゃ。患者は脱衣所じゃ。入るぞ」
ドクターはカイに声をかけると、脱衣場に殴り込みをかけるような勢いで雪崩れ込んでいった。
「ネ、ネアちゃんが・・・」
タオル巻いただけのカイがネアの横にしゃがみ込んでネアの頭を優しく撫でながら不安そうにドクターを見つめた。
「慌てるな。・・・湯あたりじゃな。ウェル、水を持ってきてくれ。・・・それとな、お嬢さん、慌てているのは分かるが、イロイロと見えておるぞ」
ドクターはウェルに指示を出すと、ちょっと間をおいてからカイに声をかけた。カイはタオルを巻いていたものの、その裾がはだけていたため、彼女の子孫繁栄につながる部分がドクターの目にさらされていたのであった。ドクターがウェルを水を取りに行かせたのは彼女の名誉を護るためでもあったのであった。
「あっ」
カイはドクターの言葉に顔を真っ赤にするとさっとタオルの裾を直した。
「気にせんでよい。仕事柄見慣れておるからの。さ、風呂に入って来い。その格好では、風邪をひくぞ」
ドクターはカイの顔を見ることなく、手をひらひらさせて彼女を浴場に追い払おうとした。カイは顔を真っ赤にしたまま頷くと、隠れるようにして浴場に入って行った。
「嫁入り前の娘・・・、と言うか、まだ月のモノも来ておらんのが、なんちゅう様だ」
ドクターは力なく横たわるネアの額にそっと手を当てると小さなため息をついた。
「・・・すみません・・・」
ネアはため息をついているドクターに申し訳なさそうな小さな声を上げた。その時、水差しとコップを持ったウェルが脱衣場に入ってきた。
「ほれ、飲め」
ドクターはウェルから水差しとコップを受け取ると、コップに水をなみなみと注いでそっとネアに差し出した。
「ありがとう・・・ございます・・・」
ネアは半身を起こしてドクターからコップを受け取ると水をあっという間に飲み干した。
「ウェルよ。まだ小さいとはいえレディじゃ。そうジロジロ見るもんじゃないぞ」
心配そうにネアを見つめるウェルにドクターは苦笑しながら告げると、ウェルは慌てて脱衣場から出て行った。
「・・・見られて減るもんじゃないですよ・・・」
「減らず口を叩ける余裕はあるようじゃな」
ドクターはぐったりしているネアを見つめて苦笑すると、そっと床に身体を横たえて身体の上にタオルをかけてやると「気分が悪くなったら声をかけるんじゃぞ」と言い残して、脱衣場から出て行った。
「・・・」
ネアは脱衣場の天井をぼんやり見つめながら、ドクターに言われた「まだ月のモノも来ておらんのが」と言う言葉を噛みしめていた。そして、そっと自分の下腹部に手をやった。
【この下に、子宮があるんだよな・・・】
ネアにとって己の性別は男でも女でもないと言う認識であったが、これもその内「月のモノ」の来訪によって嫌でも自分の性を思い知らされることになることに気付いた。今まで敢えて考えてこなかった事であった。
「女か・・・」
ネアは横たわったまま小さな声で呟いていた。
【この世界では、成人は大概家庭を持つけど、俺もそうなるのか・・・、夫を迎える・・・、それは・・・、ハードルが高すぎる】
ネアは遠いのか近いのか分からない将来に発生するであろうことを考えて、ため息をついた。
「・・・」
カイが風呂から上がる前には、ネアは何とか復活してホールのソファーにぐったりと座り込んでいた。
「お風呂で茹でられるのが風流なのかなー」
そんなネアにフォニーが面白そうに尋ねてきた。
「大自然と一体になっているのに、酔っていたんですよ。自然を五感で感じているうちに時間を忘れていたんですよ。まさに風流の極みですよ」
ネアはニヤニヤするフォニーを余裕の表情で返していた。
「風流もいいですけど、身体には注意して下さいね」
ネアとフォニーのやり取りを傍で聞いていたラウニが心配そうにネアに声をかけてきた。
「注意します・・・」
ネアは素直にラウニの忠告を聞くことにした。
「・・・ヤヅの郷に潜んでいる黒幕の見当はつきそうかい」
夕食後、ラスコーに呼ばれたネアとリックは彼の書斎で今回の襲撃事件に関して何があったのか、これから発生するであろう危険性について話し合っていた。そんな中、ラスコーが静かにネアとラスコーに尋ねてきた。
「・・・マーカさんが言うには、ジルエって野郎がボーデンさんに取り入って、ここ数年で実力を伸ばしてきたらしいんですが。どうもこいつが何を腹に抱えているのか分からないらしいんですよ」
リックはマーカから聞いたことを口にしていた。
「ジルエ・・・、夏の時に私らを教会から追い出そうとした、嫌な奴でしょ。私らを汚らわしい物を見る目で見ていたのを覚えていますよ。でも、大物感はありませんでしたね。どこまで行っても、誰かの権威をあてにしているような感じの・・・小物ですかね」
ネアはマーカが警戒しているジルエに対して、己の彼に対する人物評を脚色することなくラスコーとリックに披露した。
「しかし、ボーデンさんに取り入っているなら、鑑札の用紙とインクを手にすることはできるんじゃないのか」
リックがネアに腕組みをしながら疑問を投げかけてきた。
「その件も考えました。でも、この鑑札の件が大っぴらになれば、ボーデンさんに嫌疑がかかるのは当然ですよね。実際、私たちもその線を否定していませんからね。でも、現在はボーデンさんの威を借りているジルエがそんなことするでしょうか。もし、ジルエがやったとするなら、ボーデンさん以外の存在に使われている、と考えた方が良いと思いますよ」
ネアはリックに自分の今回の黒幕に関する考えを展開して見せた。ラスコーはネアの意見に黙って頷き、リックもそれ以上に言い返す言葉を見つけられなかった。
「ネア、これから襲撃があるかどうかに関してはどう考えている。今までの奴らの計画はマーカさんを亡き者にして、じわじわとボーデンに圧をかけると言うヤツだったが、それを俺たちが跳ね除けた。そして、奴らにとってマズイことに鑑札のことについて俺たちは知ってしまった。ここの騎士団がどう動くかは分からないが、鑑札についてはタダではすまんと思うぞ。奴らにとって俺たちはムカつく存在になったという事は間違いないよな」
リックは自分たちやルシアたちの身の安全を案じて彼なりの考えを述べてきた。
「鑑札の件でここの分遣隊から直接にヤヅに持って行っても、有耶無耶にされるのがオチでしょうね。ここは、郷を通じて外交的に持って行くのが理想的ですが。下手すると互いの関係が悪化しかねないでしょうね。変な言いがかりをつけてきたって、居なおられる場合も考えられますよ」
ネアはため息をついて肩をすくめてみせた。リックはネアにつられるように小さなため息をついていた。
「ああ、あの鑑札な、明日の定期便でお前さんらと一緒にケフの都の鉄の壁騎士団に送られるそうだ。まさかとは思うが、警戒はしておいた方が良いな」
ラスコーがリックに注意を促した。そして、何かを考えてから口を開いた。
「確か、ルシアさんが詠んだのは、郷の偉い人が友達になりたいと言ってきた国の人々を招き入れ、その友達になりたいって人たちが大切な物を奪っていく、彼らは優しくて強い人にやっつけられて、奪われたものも戻ってくるって内容じゃったな。郷主が何事かを企んでおるのか・・・、しかし、ヤヅの郷主は結構な年齢で持病もあるらしいからのう。すると次の郷主か・・・。リック、次の郷主について何か聞いたり、噂話を耳にしたりしたか」
ラスコーは顎を撫でながら気になっていることをリックに尋ねた。
「今の郷主様のご健康が優れないのは郷の民で知らぬ者はいないと思いますよ。しかし・・・、次の郷主様についての噂なんかトンと聞かないんですよ。ご子息のバルン様が普通なら次期郷主なのでしょうが、バルン様も公の前にお姿をお見せにならないので、次の郷主じゃないんじゃないかってぐらいですね」
リックは現在のヤヅの郷について知っていることを話したが、何か決め手に欠けていた。
「そのバルン様って人のお人柄ってどうなのでしょうか? 」
ネアは初代は立派だが、2代目で台無しにすると言う古典的なパターンを思い出しながらリックに尋ねた。
「現郷主のカーウィン様は良くも悪くも政にあまり関わらず、民に自由にさせている感じですが、バルン様については全くお姿をお見せにならず、一時は病に臥せっておられるのではないかと噂されたぐらいで、郷の民も計りかねているぐらいですよ。ひょっとすると、バルン様が誰かに良いようにあやつられているのかもしれない・・・のか? 」
リックは現在のヤヅの郷主とその事情について話したが、次期郷主についてはそんなに情報は持っているようではなかった。これは、リックが政に無関心というわけではなく、実際に現郷主のカーウィンの一人息子について彼以上に知っている者はヤヅにそうはいないのが事実であった。
「なんか気持ち悪いですね。トンデモないことにならなきゃいいですね」
「何となく心配なんだよ。なんか悪い予感がするんだよな・・・」
ネアの言葉にリックは渋い表情になってため息をついた。
「もう、ダメかもしんない」
リックたちが黒幕探しの迷宮をさまよっている頃、寝室でカイが思いつめたような表情でクゥに話しかけていた。
「何がダメなの」
いつも陽気なカイの落ち込み具合に心配になったクゥが優しく尋ねた。
「お嫁に行けないかも・・・」
「え、どうしたの」
いきなりのカイの告白にクゥは驚いたような口調で聞いた。
「・・・見られた・・・、親にしか見せたことないのに・・・」
カイはそこまで言うとベッドの中に潜り込んでしまった。
「何を、誰に見られたのよ」
要領を得ないカイの言葉にクゥは少々イラっときていたが、何とかそれを押し殺した。
「あそこ、女の子の大切な所をドクターに見られた・・・」
泣きそうな声で話すカイの言葉にクゥは首を傾げた。
「ドクターがカイを無理やり裸にしたの? 」
「ううん、ネアちゃんがお風呂場で斃れていた時、タオルで隠してたんだけど、まくれていて・・・」
クゥはカイの言葉を聞いて大きなため息をついた。
「気にすることはないわよ。一目見て病気だったら今頃大騒ぎになってますよ。ぱっと見は普通だったんですよ。気にすることはありませんよ」
クゥは呆れつつもカイを何とか宥めたが、カイは今にも泣きそうになっていた。
「じゃあさ、クゥのを見せて。私のが普通なのか、確認するからさ」
「お断りします」
「私だけみられるって、不公平だよー」
この実りのない不毛な会話は、カイが疲れて眠りの水底に落ちるまで続いた。
ヤヅの郷は切り立ったラマク山脈の隅っこにある郷です。正面は海、背後は切り立った山で、住める場所は海沿いの限られた地域です。漁業と小さいながらも大型の船が入って来られる港を活かした貿易でもっているような、お世辞にも富んでいる郷ではありません。規模はケフの半分もない大きさです。経済はそれ以上の差があります。
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