201 護衛たち
仕事も私事もバタバタとしていて、落ち着かない春ですが、こんなお話でも、退屈しのぎなっていれば幸いです。
「外から温めたら、今度は中から温めるぞ」
ラスコーはネアたちの目の前で湯気を上げている鍋に具材をどっさりと入れて行った。その具材に火が通るまでネアたちは鍋の中の具材に火が通るのを無言で鍋を見つめていた。
「お前さんらもこっちで食わんか」
ルシアの護衛がチビチビと食堂の片隅で盃を傾けているのを見てドクターが声をかけた。
「俺たちは護衛ですから」
「お誘いは嬉しいけど、入り口は固めて置かないとね」
「私たちの事はお構いなく」
実戦の中で鍛え上げた様なゴツイ身体の護衛がにこやかに手を振って辞退し、彼とともに護衛についている女性2人も笑顔でドクターの申し出を辞退した。
「ほう、己のやるべきことはきっちりと心得ておられるようじゃな」
ドクターは顎髭をしごきながら彼らの動きに感心していた。そもそも、護衛につく傭兵は二つしかタイプがないと言われている。一つは、護衛対象にただついて来ているだけの者と、護衛対象を何が何でも護りぬく信念を持っいる者である。彼らは後者と言えた。
「美味そうな匂いがしやがる・・・」
リーダー格のリックが団子鼻をひくひくさせて呻くような声を上げた。
「我慢だよ、大将」
細身の剣を傍らに立てかけて、リラックスしているように見せながらも警戒を怠らない、栗色の毛を簡単にまとめただけのカイが苦笑しながらリックに話しかけた。
「これが、私たちの仕事ですからね」
黒髪を肩口辺りで短く切りそろえたクゥが仕方がないとばかりに肩をすくめてみせた。
ルシアの護衛についているこの3人組であるが、リーダー格のリックが27歳、そしてカイとクゥがそれぞれ20歳であった。彼らは元々同じ村出身の真人であり、先に傭兵として働いていたリックが、同郷のよしみという事で仲間に引き入れたのである。元々、リックは女性、子供の護衛を専門にしようと考えており、この考えに彼女らが適任だったのも彼が彼女らを仲間に引き入れた大きな理由であった。
護衛対象が女性の場合、入浴やトイレなど、どうしても男が立ち入れない時期と場所の護衛は頭が痛い問題であり、また護衛対象が子供の場合、その子供が怖がってしまうという問題もあったため、彼は護衛に女性を配することにしたのである。この目論見が当たったのか、彼らはルシアの専属護衛として、安定した収入を得ることができていた。食いはぐれることが多いこの業界で、リックはニッチな仕事のシェアを確実にモノにしていた。
「今回の仕事なんか、まさに私たちじゃなければ、できない仕事ですよ」
「そ、大将がお風呂の中に入ったら、護衛から襲撃者になっちゃうもんね」
クゥとカイの言葉に、リックは難しい表情を作ると手酌で酒をグラスに注いでぐっと飲み干した。
「腐らない、腐らない、あっちからのおすそ分け」
シャルが湯気を上げる小さな鍋を彼らの前にどんと置いた。
「おっ、これは・・・」
「ありがたくて、目からよだれが」
「口から涙も出てますよ」
護衛3人組は顔面に笑みを浮かべると鍋の中身に手を伸ばしていった。
「あのね、ここに来る途中でね、あたしたちルシアさんのお家のマークがついた馬車を見たの」
ティマがひたすら口を動かしているルシアを見ると何かを期待するように尋ねてきた。
「それはですね。今年からボーデン様がケフの都にお店を出すことなったのですよ。お嬢様はそこで、お店のことをお勉強されるんです。つまり・・・」
「私、ケフの都にお引越しするんだよ」
マーカがティマの疑問に答えるようにしゃべると、食べる手を止めてルシアは嬉しそうな声で簡単に話を締めくくった。
「これで、いつでも会えますね」
「うわー、楽しみ」
ラウニとフォニーは、互いに見合ってはしゃいだ声を上げた。声こそ上げないモノの、ティマもニコニコしたと表情でじっとルシアを見つめていた。そして、何があったのか良く理解していないビブも、つられてはしゃいだ声を出していた。
「私としては、何のお店か気になる・・・」
そんな中、皆と少し違う方向に気持ちがはしゃいでいた。そんな、ネアの表情を読み取ったのかルーカが小さく咳払いして、注目を集め、徐に口を開いた。
「様々な国々のかわいい小物や、お人形、ヌイグルミなど、女の子が喜ぶような物、珍しいアクセサリー、化粧品などの大きな女の子が喜ぶ物などを商う予定です」
「うわー、楽しみ、これでまた一つケフの都に行く理由ができたね」
アーシャはドクターが飲み干した葡萄酒の瓶を片付けているシャルに笑いを含んだ声をかけた。
「ケフの都は他に比べると安全だけど、そうとも言い切れないから・・・」
ウェルが先日の事件のことを思い出しながらぽつりとこぼした。
「お前さんが、暴れたってのもあったからのう」
ドクターがウェルをじっと見据えて呟いた。その目は弟子を心配する師匠のモノであった。聊か、アルコールの色も滲んではいたが。
「暴れた? 」
ラスコーがドクターの言葉を耳にするときっとウェルを睨みつけた。一人娘を溺愛する父親が、娘が危険な男に気があることを見逃すことはなかった。
「うん、お兄ちゃん凄かったよ。皆一撃で沈めたし、その内の一人なんてあごの骨が折れて、歯が殆どなくなったぐらいだから」
アーシャが自分の兄の雄姿を思い出しながら、少し自慢そうに口にした。
「シャル、こんな危険な猛獣に近づくんじゃないぞ。男はケダモノだが、特にこいつは危険だ」
ラスコーはいきなりの展開について行けず、目を泳がせているウェルにびしっと指さして、娘に警告を発した。
「おい、ラスコー何も聞いてないのか? シャル嬢ちゃん、言ってないのか」
ドクターは今までの話の流れを聞いて引きつった表情を浮かべているシャルに尋ねかけた。
「あ、あんなことがあったら、もうケフの都に行かしてもらえないと・・・」
シャルは消え入りそうな声を出して、身を小さくした。それは、悪さが見つかり、今まさに怒られようとしている、小さな子供の姿だった。
「何があったんだ、シャル」
ラスコーはシャルに詰め寄った。そんなラスコーの前にぬっとウェルが立ち塞がった。
「最後まで話を聞いてください。シャルさんは何も悪くありませんから」
「お前ら、最後まで話を聞けっ」
目の前のドタバタに思わずドクターは大声を張り上げていた。この声を聞いたビブは泣きそうな表情になってレイシーに抱き着いた。護衛の3人組はそれぞれ武器を手にその場に立ち上がって、辺りを見回していた。
「落ち着け、大声を出したのは悪かった。しかし、こうでもせんとお前ら耳を貸さんだろ。特にラスコーよ」
一瞬ざわついた周りを納めるようにドクターは落ち着いた声を出した。
「そこの護衛も聞いておくとよい。最近、皆が知っておるように、南の方でわしら穢れの民が迫害されておるのは聞いておろう。金持ち連中が飼うための穢れの民の数が不足しているらしくての。阿呆な連中が狩りをしておるんじゃよ。そして、運悪く、そこのシャル嬢ちゃんがめ目をつけられてのう」
ドクターはここまで語ると、グラスに手酌で葡萄酒を注ぐと、ぐっと飲み干した。
「襲ってきおったのは、なんと獣人じゃ。あちこちで、人を拐しておったようじゃよ。そいつらは、事もあろうか、シャル嬢ちゃんを手にかけようとしてな・・・」
「な、なんじゃと、どこじゃ、そいつらは、ぶっ殺す」
ラスコーは近くにあった包丁を手にして立ち上がり、怒りを身体全身から発した。
「慌てるな、そいつらは、ウェルにボロボロにされよったわ」
ドクターはフンと鼻先で笑うと、手でいきり立つラスコーを宥めるようなそぶりを見せた。
「1人はそこのアーシャ嬢ちゃんが、見事に腕と肩、それに肘、おまけに手首、それぞれ見事に関節を粉砕した上に腱までズタズタに、可哀そうに、あれじゃ腕は使い物にならんわ。残りは内臓を潰されたり、顎を砕かれたり、頭蓋骨を割ったりと・・・、我が事じゃないのが幸いだと思うぐらいの惨状だったぞ」
そこまで言うと、ドクターはため息をついた。
「ウェルとアーシャ嬢ちゃんの見事な働きのおかげで、シャル嬢ちゃんはこうやって、お前の元に戻って来られたんじゃぞ。感謝こそすれ、睨みつけるようなもじゃないぞ」
「そんな、大したことじゃないですよ」
ウェルが恥ずかしそうに頭を掻き、アーシャも俯いてもぞもぞとしていた。
「ケフの都に行くことは・・・」
ラスコーがシャルに何か言い渡そうとした時、ヒルカが葡萄酒の瓶を持って厨房から出てきた。
「アーシャちゃんと一緒で、ウェル君が護衛につかない限り認めませんからね」
「え、あ、それはな・・・」
自分の言いたいことを口にすることも許されず、あまつさえ自分の思いとは違う方向に話を盛って行かれたラスコーは、言葉を探していた。
「これからそうするね。よろしくね、アーシャちゃん。ウェル君、ちゃんと守ってね」
シャルが嬉しそうにアーシャとウェルに言うと、アーシャは「こちらこそ」と嬉しそうな表情を浮かべ、ウェルは何が起きているのかさっぱり分からず、ただ「はい」と答えるのが精一杯だった。
「おい、何気に凄まじい話を聞いた気がするぞ」
「米豹族って、獣人たちの中でもパワーファイター系だって聞いたことがありますよ」
「じゃ、あの黒い人もそうなのかなー」
ドクターの話を聞いて護衛の3人衆が小声でささやきあっていた。
「あの人は豹族だ。米豹族は、ゴツイ、あの娘とあの黒豹のご婦人を見比べてみろ。分かるだろ」
リックはそっとクゥに囁いた。誰にも聞かれないようにと囁いたつもりであったが、食堂にいた獣人たちは皆その声を耳にしていた。
「ゴツクて悪かったわね。ええ、あいつら、私に オカマ なんて言ったんだから、腕の一本ぐらい持って行かれても当然だったんだよ。腕一本で済んだことに感謝してもいいぐらいよ」
アーシャはリックをむすっとした顔で睨みつけた。その視線を感じたリックはぶるっと身震いした。
【米豹族の女性に体型について口にするのは、危険だということが良く分かった】
むすっとしたアーシャを横目で見てネアはこの世界の禁足事項を一つ学習した気分になっていた。
「おじさーん、獣人はね、耳がイイから、内緒話は注意してね」
ネアは突き出た三角形の耳をピコピコ動かしながらリックに話しかけた。
「おじさんじゃねぇ、おにーさんだ」
リックはネアの言葉にむすっとしながら料理をかき込んだ、そんな彼をカイとクゥは面白そうに眺めていた。
「あの年齢は、微妙なんだよな・・・」
リックのむすっとした表情を見て、ネアは苦笑した、その姿はどう見てもおっさんだった。それに気づいたのは幸いな事にラスコーだけだった。そして、彼は、シャルをネアに無防備に近づけさせないことを心に改めて誓っていた。
「おいしかった・・・です」
寝巻に着替えたティマがベッドの上で膨らんだお腹をさすりながら至福の笑みを浮かべていた。
「うちもさ、最初に食べた時、びっくりしたんだよね。美味しくてさ」
「食後のハチミツがかかったヨーグルトも絶品でした。もう、幸せすぎて・・・」
うっとりとした表情を浮かべてフォニーとラウニもぐでーっとベッドに横たわり、満足そうな表情で目を軽く閉じていた。
「寝るんだったら、しっかり歯を磨いて、お布団の中に入らないと風邪をひきますよ。おしっこも忘れないようにしないと、暗くて寒い中トイレに行かなくちゃなりませんよ」
ネアはベッドの上に転がる3人に向かって、ごろ寝はダメだと小言を吐いた。
「ネアは、こういう時はしっかりしていますね」
ラウニはぶつぶつ言いながら立ち上がると、歯ブラシとタオルを片手に部屋から出て行った。
「折角、いい気持だったのにー、ティマ、歯を磨きに行こうね」
「うーっ」
文句の唸りを上げるティマの手を引いてフォニーは口を砥がせながら部屋から出て行った。
「私も行きますか。言い出したのが寝転がっていちゃ、何にもならないから」
ネアはラウニたちの不服そうな表情を思い出して苦笑した。
「・・・冷えると、近くなる・・・」
真夜中、ネアは小自然が荒れ狂うのを感じて目を覚ました。布団の外は寒く、トイレに行くのをためらうぐらいであったが、布団の中でぐずぐずしていると取り返しのつかないことになるのは明白であった。
「ーっ」
ネアは意を決して布団から出ると、スリッパに履き替え、トイレに向かって暗い廊下を速足で進んで行った。真人には暗すぎるかもしれないが、獣人の目をもってすれば問題の無い事であり、これはネアが今の身体の気に入っている能力の一つであった。
「毎度思うけど、面倒くさいな、これは・・・」
下着をずらし、腰かけると冷え切った便座の冷たさが牙を立てるのを堪えながらネアは要求を解放していた。もう、一年以上、この身体で過ごしているから、初めの時の様な無様なことは起こしていないが、この身体だと小さな出来事がトンデモない事件を引き起こすことを経験的に思い知っていた。いずれの場合も、内密に処理ができたのが幸いであった。それは、ひとえにネアの運が良かっただけのことに過ぎなかったのである。勿論、ネアはそのことを承知をしていた。
「ん? 」
トイレから出てふと廊下を見ると、ネアたちの泊っている部屋とは反対方向に腰かけているような人影がネアの視界に入ってきた。トイレに入る前は、辺りに気を使う余裕がなかったので気がつかなかっただけなのである。ネアは好奇心に駆られ、少しは警戒しながら、足音を殺してその人影に近づいて行った。
「っ、なんだ、ネコの嬢ちゃんか・・・」
その人影は、ルシアの護衛をしているリックであった、彼はネアが近づいて来るのを察知すると傍らにかけていた長剣に手をさっと伸ばしたが、近づくのものの正体を確認すると小さなため息とともに県にかけた手を離した。
「こんな夜にどうした。小便か? 」
リックは暗がりの中、目を凝らしてネアを見ると静かに声をかけてきた。
「女性にそんな質問は失礼ですよ。でも、お察しの通りです。・・・徹夜で警備されているんですか」
椅子に深く腰を掛け、腕組みをしてじっとしているリックにネアは小さな声で尋ねた。
「そうだ。夜はこうやって俺が見張っている。カイとクゥはお嬢様と同じ部屋で休んでいる。ああ見えても、鋭いから何かあればすぐに対応するけどな」
リックは視線をネアに向けることなく囁くような小さな声で答えた。
【周辺視か、真人には暗いからな・・・】
「おにいさん、灯りは点けないの」
「灯りは、消されると何も見えなくなるから点けない。夜目が利く獣人からすれば、お笑いかも知れないがな」
リックは視線をネアにあわすことなく、口角を上げて笑みを作った。
「おにいさんは寝ないの」
「朝飯を食って、一風呂浴びたら昼過ぎぐらいまで眠らせてもらうさ。どんなに騒がしくても寝られるから、変に気を使う必要はないぜ。嬢ちゃんもさっさと寝ろ。そんな格好じゃ風邪をひくぞ」
リックは手をひらひらさせてネアに寝床に行くように促した。ぶっきらぼうな態度の中にも、小さな子供を気遣う気持ちが滲んでいた。
「おやすみなさい」
「あー、やすめ、やすめ」
リックは暗がりの中でネアにニヤッと笑うと、また腕組みをして何もない暗闇を睨みつけるようにして、警備の姿勢に戻っていた。
【まじめな男だな】
ネアは、任務に忠実なリックのことを好ましい人物であると思っていた。ネアは暗い廊下にリックを残して自分のベッドの中に潜り込んで、そっと目を閉じた。
【夏の時は、ルシアに護衛なんていなかったよな。腕っぷしの強い使用人ではなく、プロを雇うって、あの子に何があった?】
ネアは、今更ながらに、ルシアの身の周りに何か良くない変化が生じていることを感じ取り、それが一体何なのか、推測しているうちに、同じ部屋の侍女見習いたちの寝息を聞いているうちにネアは再び眠りの中に落ちて行った。
「温泉宿に来たら、これは必須なんだよな」
ネアは、小声でおっさんのようなことを言いながら、タライを小脇にかかえ、タオルを肩にかけた出で立ちで、まだ夜と言ってもいいぐらいの暗い中、朝風呂を浴びに向かっていた。
「先客? 」
脱衣場に見慣れない服と浴場からの気配にネアは怪訝な表情を浮かべた。こんな時間に風呂に入る物好きは自分ぐらいだと思っていたが、そうではないのかと、取り合えず天然の毛皮だけを身に纏った状態で浴場に入った。
「おっはよー」
先客は、髪をタオルでまいて湯船の中でぐだーっと溶けているカイだった。彼女はネアの姿を確認すると気さくに声をかけてきた。
「おはようございます。早いですね」
ネアはカイに挨拶を返すと、湯を身体にかけて、そっと身体を湯船に身を漬けた。
「君はえーと、確かケフのお館に勤めている子だよね」
「はい、侍女見習いをしている、ネアと言います」
「あたいは、カイって言うんだ。今は、ルシアお嬢様の護衛の仕事をしているんだ。ネアは、小さいのにちゃんと挨拶できるんだね。お館に勤めている子はすごいんだね。アタイはネアの歳の時なんて、泥だらけで走り回っていたもんだよ」
カイは感心したように口にした言葉にネアは内心苦笑していた。
【歳としては、君よりも随分上なんだけど・・・】
「ちゃんと、仕込まれていますから。・・・今は、護衛の仕事は休憩中なんですね」
「仕込まれるんだ・・・、って言うか、それ調教とか・・・、そだよ、今は休憩中、先にお風呂に入っておかないと、お風呂に入る機会がなくなるからねー」
ネアの何気ない説明に、カイは秒な表情を浮かべて、いろいろと想像を膨らませているようだった。
「調教だなんて、違いますよ。至って健全にお勤めさせて頂いています。調教とか、その手のことばかり口にする人はいますけど・・・」
ネアの言葉に、何か思い出そうとしているのか、カイは顎に軽く指をあてた。
「その手の事ばかり口にするって・・・、ケフには、世にも珍しい、シモエルフって種族がいるって聞いたけど」
ネアは、カイの言葉に思わず吹き出してしまった。
「その人は、一人ですよ。しかも、自称ですから」
「他人に言われたんじゃなくて、自らそう名乗っている、どんなメンタルなんだろ」
カイは噂に聞いたシモエルフなる存在について、人には言えないような事を想像していた。
「ご想像にまかせます」
ネアはいたずらっぽい笑顔を浮かべて、ちょっと赤くなったカイを眺めていた。
ルシアの護衛の三人組ですが、腕は確かのようです。この世界に冒険者なる職業はありませんが、荒事を専門としている人たちを総じて、傭兵と呼称しています。傭兵もピンキリですから、商工会などの口利きがない、実績があり、それなりの傭兵からの紹介のない傭兵は信用がありません。リックたちはマジメな働きぶりで評価されているようです。
今回もこの駄文にお付き合いいただきありがとうございました。ブックマーク、評価を頂いた方に感謝を申し上げます。、