188 お祭りに吹いた風
今年初のUPです。このお話もはじまってから4年になりました。これも、こんなお話でも読んでくださる方のおかげです。このお話はまだまだ続きます。終わるまでどれぐらいかかるのか……。その時まで、生暖かく見守っていただければ幸いです。
「聞き捨てならねぇな」
謝罪することもなく、自分たちの主張を口にするだけの男にいきなり声がかかった。その声の主はスキンヘッドの巨漢、ハチであった。彼は、一団の行き先を妨げるように仁王立ちになり、男たちを睨みつけていた。
「そこのお嬢さんに、謝ってくだせぇ。あっしもこれ以上、事を荒立てて、折角のお祭りに水を差す気はねぇんで」
ハチはそう言うと、腕組みをして白いローブの男たちを睨みつけた。そのハチの姿に男たちはたじろいだものの、相手が一人だと分かるといつでも飛び掛かれるような姿勢を取った。それを見たハチは、指を簿記簿記鳴らすと、さっと半身にかまえた。
「ハッちゃん、やめなさい」
今にも、衝突が発生しようとしている時、レヒテがハチに喧嘩をするなと鋭く命じた。
「しかし、お嬢、こいつら・・・」
拳を納めながらもハチは不服そうにレヒテを見つめた。レヒテは白いローブの一団とハチを相互に見つめて、静かに白いローブの男に声をかけた。
「貴方がどう考えていようが、貴方の勝手です。しかし、あの者は我が郷の大切な民です。郷主の娘として、その民を目の前で傷つけられて黙っているわけにはいきません。今は謝罪だけで許してあげましょう」
レヒテはハチの横に駆けて行くと白いローブの男を睨みつけた。彼の後ろにいる男たちから「暴れ姫だ」、「危険だ」などの声が小さく上がっていた。
「郷主の娘か・・・、その顔に免じて・・・、すまぬ。さ、行くのである」
先頭の白いローブの男は形式的に突き飛ばした娘に軽く頭を下げるとさっさと歩き出した。
「ここで揉めては、元も子もないのである。大事の前の小事である。堪えるのである」
先頭の男は不満の声を小さく上げる男たちに厳しく言いつけると、不満の声が止まった。
「お嬢、あいつらをぶん殴るなら、いつでも命じておくんなせい。このハチが、アイツらが二度とふざけた真似化ができないように、身体に言い聞かせてやりやすぜ」
ハチは腕をさすりながら、去って行く一団を見つめて唸るように口にした。
「その時が来たらお願いするね。ラウニ、騎士団に妙な連中が騒ぎを起こしそうだって、伝えてきて」
これから発生するであろう荒事に向けて、エプロンの裏のポケットに隠したカイザーナックルを確認しているラウニにレヒテは命じた。
「はい」
「ラウニちゃん、多分、あいつらはワーナンでも活動していた。矯正団って言う過激派だよ。それを言えば、ヴィットさんも分かってくれるはずだから」
走り出そうとするラウニにカティが先ほどの連中について簡単に説明すると、ラウニは頷いて走り出して行った。
「矯正団?」
「正義と秩序の実行隊みたいなものかな」
「どっちも嫌っ」
残されたネアたちがカティの言葉とさっきの一団の行動を見て首を傾げた。その様子を見たアトレがそっとネアたちに近づいて小声て話しかけてきた。
「矯正団っていうのは、正義の光の教えを忠実に守らせようとする奴らよ。どんな場所にでも顔を出して、騒ぎを起こして、催しを台無しにしたり、人を傷つけたりする連中。アイツらは自分たちが絶対に正しいと思っているから捕まっても反省しないし、騒ぎで命を落としたら名誉だって考える、イカレた連中よ」
そう語るアトレの表情はまるで苦い薬を無理やり飲ませされた様な嫌な表情を浮かべていた。
「それと、私たちはアイツらと話はできないから。アイツらにとって穢れの民は人ではないから、こうやって言葉を話していても、意味のない動物の鳴き声と同じって考えだからね」
アトレはため息をついて、連中の頭の中を見てみたいとこぼした。
「困った連中もいるんですね」
「動物ですら感情があるのに」
「馬鹿・・・です」
アトレの言葉にネアたちは呆れたように先ほどの連中が去って行った方向を見つめた。ネアはアイツらが面倒な事を起こさないことを祈りながら、多分それはないだろうと冷めた目で事の成り行きを見ようとしていた。
「ラウニ、そいつらはどこに行ったのですか」
鉄の壁騎士団の臨時詰め所に息を切らしながら飛び込んだラウニの話を聞いたヴィットは剣を掴むと立ち上がり、その場にいる騎士団員に集合を命じた。
「歩いて行った方向から考えると、教会だと思います」
「分かった。ありがとう。よし、我々は、連中に悟られないように動く。奴らが騒ぎを起こしたら捕縛せよ。罪状は、擾乱だ。祭りの場で刃傷沙汰をする連中だ。少々痛い目に遭わせても構わん。完全に安全化してもやむを得ない場合は、ためらうな」
集まった団員に向けてヴィットは簡単な指示を出すと報せにやって来たラウニに視線を合わせるためにひざを折った。
「君のおかげで、大ごとになる前に何とかできそうだよ。ありがとう」
ヴィットは仮面の奥で微笑むと、ラウニの頭を優しく撫でて立ち上がり、剣にを手を当てると速足で詰め所から出て行った。
「ヴィット様に褒められた・・・、ヴィット様に撫でて貰った・・・」
ラウニは憧れのヴィットの言葉をきっかけに、あっちの世界に飛び込んでいった。
「陣形を取るのである」
教会の前に辿り着いた白いローブの一団を率いる男が付いて来る男たちに声をかけた。その声とともに、声をかけた男を護るように数名の男がその背後、両脇に陣取り、何名かは聴衆がいることになるであろう場所にローブを脱いで、その場にたまたま居合わせたような格好になるべく白いローブの一団とは無関係を装って佇んでいた。
「・・・」
白いローブの一団を率いてきた男はそれぞれが持ち場に着くまでずっと無言で見守っていた。
「お前らは、間違っているのである」
先頭の男は大音声を発し、広場にいる人々の注意を引くと、フードを外して素顔をさらした。そこには白くなった髪を修行僧のように短く刈り込んだ頭と、やせた頬と深く刻まれたしわだらけの顔があった。
「お前らの大きな間違いは、こんな邪教を信仰していることである。すぐさま、この愚かな信仰を捨てるのである。誤った信仰をしている者は、人ではないのである。過ちは正さなくてはならないのである」
演説している男は、行きかう人々を指さし、大声で叱りつけるように叫んだ。その叫び声に合わせるように、聴衆に紛れ込んだ男たちはその声に合わせて、「そうだっ」とか「我々は間違っていた」と叫び声を上げていた。
「なにやってんだ」
「あれなに?」
この大声に野次馬が次々と集まってきた。それを見た演説をしている男は口元に小さな笑みを浮かべた。
「我々、真なる人、無辜の民と、そこにいるケダモノが同じ人である訳でないのである。見よ、その醜き鼻づら、毛皮、人にはあってはならぬ尾を」
彼は手近にいた馬族の娘を指さして糾弾した。その娘は糾弾されると思わず俯いてしまった。
「ケダモノはまだ見ただけで分かるが、エルフ族、ドワーフ族も遠目では分かりにくい性質が悪い人に非ざる者である。人にあるまじき形の耳を見よ。それらが、我々と同じ人と言えるのか」
演説する男は新家な表情を作って聴衆に問いかけた。
「同じなわけはないぞ」
「俺たち真人と一緒にするな」
聴衆に紛れ込んだ男たちが一斉に吠えた。一部の吠える男をその他の人たちはちょっと距離を置いていた。
「お兄ちゃん、何の騒ぎかな」
「うーん、あんまり楽しそうじゃないね。さっさと行こう」
白いローブの男たちが声を張り上げている近くをヘルムとミエルの兄妹が通りかかった時であった。
「おい、お前、ペットは手をつないで散歩させるもんじゃないだろ。ちゃんとリードをつけて散歩させろ」
聴衆に紛れ込んだ男の一人がヘルムとミエルを見つけて声を張り上げた。
「そこの少年、ここに来るのである。さ、早く」
演説をしていた男はその小さな出来事を見逃さず、エリグ兄妹を自分の近くに連れてこさせた。
「ペットを連れて歩くなら首輪とリードが必要なのである。放し飼いは認めがたいのである」
その男はヘルムを糾弾するように詰め寄った。
「ペットだと、この子は僕の妹だ。大人なのに礼儀も知らない人なんですね」
男の言葉にヘルムはむっとして怯えるミエルの手を取ってその場を去ろうとした。
「い、妹だと。そんなケダモノを家族、しかも妹だと。お前は間違っている。間違っている。このような道を誤った者をどうすればよいか」
男は大げさに驚き、聴衆に尋ねた。すると、聴衆に紛れ込んだ男たちが大声を張り上げた。
「教導せよ。矯正せよ。教導せよ。矯正せよ」
その言葉を聞いて、演説していた男はにこりとほほ笑んだ。
「少年よ。今のうちならまだまだ正義に戻れるのである。このまま誤った道を進むと破滅がまっているのである。今、この場で、その汚らわしいケダモノを打ち据え、追い払え」
その男はローブの下から乗馬用の鞭を取り出し、ヘルムに持たせようとした。
その言動にミエルは不安になってヘルムにしがみついた。
「お兄ちゃん・・・」
ヘルムは、いまにも消え入りそうな声を上げるミエルの頭をそっと撫でると怒りで肩を震わせた。
「断るっ。お前のくだらない御託は聞いてやった。さ、行くぞ」
ミエルの手を取ってその場を立ち去ろうとしたヘルムの前を演説をする男の護衛についていた男たちが妨げた。
「お前が過ちを正さないというのであるならば、我々が正すのである。これは、正しき道に戻るための正義の鞭である。この痛みはお前の目を覚ませ去るものである。この事にお前は感謝を捧げることになるであろう」
演説している男は鞭を振り上げ、ヘルムを打擲しようとした。その時であった。
「我が郷の民に、勝手な事をされるとこまるなあー」
いきなり声がかかり、男は声の主を見た。それは、仮面をつけた鉄の壁騎士団長のヴィットであった。
「過ちを正すのである。これにどこの郷などは関係ない。正義は行われなければならず、過ちは正さなければならないのである。この少年を正しき道に導くのに躊躇する方がおかしいのである」
男はそう叫ぶと鞭をヘルムに振り降ろした。
「くっ」
襲い掛かる痛みを予期してヘルムは歯を食いしばったが、痛みは襲って来なかった。ふと目を上げると鞭を落とし手首をさすっている男の姿があった。その男に聴衆の中から声がかかった。
「愛のない鞭は痛いだけだよ」
ヘルムは見ていなかったが、男が鞭を振り降ろそうとした時、雪玉と言うか、氷の塊に近いのが見事に男の手首に当たり、男は鞭を落としていたのである。そして、雪玉と言うか氷玉を投げつけたのは、一部の人々からシモエルフの二つ名で知られたバトであった。
「ん、その耳、人に非ざる者がなんてことをするのであるか。おい、それは私にいきなり暴力を振るってきたのである。それを始末するのである」
男はバトを指さしてヴィットに命じた。その言葉にヴィットは肩をすくめた。
「いきなり、年端も行かぬ者を己の理屈だけ打擲しようとする人が、これまたご立派なことを口になれますね」
ヴィットは皮肉交じりに言いながら男に近づき、そっとヘルムの背を押して、その場から立ち去るように促した。
「あのバケモノを捕縛するのである。アレは危険なのである。聞こえているのであるか」
男は偉そうにヴィットに命令をしていたが、ヴィットは何もせずニコニコと男の主張を聞いているだけであった。
「うわっ」
いきなり聴衆の中から男の叫びが聞こえた。ヴィットがニコニコしながその方向を見るとナイフを持った手をバトにひねりあげられている男の姿があった。
「早く、アレを退治するのである。私の部下が危険なのである」
演説していた男はヴィットに掴みかかるような勢いで早くバトを捕縛せよと訴えた。
「うーん、どう見ても、あの女性にナイフで襲い掛かったのが逆襲されたとようにしか見えませんが」
悲鳴を上げる男をチラリと見てヴィットは面白そうに詰め寄る男に答えた。その答えに男は顔の色が怒りで赤くなった。
「この罰当たりどもを全て矯正するのである。我ら正義に逆らうものは、悪である。悪の芽を早く積むのは我らの責務である。躊躇う事はないのである」
男はそう叫ぶと、ヴィットから距離を取ってローブの下に隠し持っていた細身の剣を抜いた。それに合わせるように護衛についていた男たちも抜刀した。
「正義の名のもとに、悪を滅する、是、我らの誉なり」
抜刀した男たちは一斉に叫ぶと周囲にいる者たちに斬りかかろうとした。その時、聴衆の中からひときわ高い悲鳴が上がった。
「手が、手がーっ」
掌を失った手首を押さえ、よろめきながら聴衆に紛れ込んだ男が叫んでいた。それを冷ややかに眺めるルロの姿もそこにあった。
「いきなり斬りかかるからですよ」
手斧を構え、辺りを警戒しながらルロがつまらなそうに叫ぶ男に答えていた。すると、また別の個所で悲鳴が上がった。そこには二の腕を切り裂かれて必死で傷口を押さえている男の姿があった。
「子供に襲い掛かるなんて、最低ですよ。もし、ティマに襲い掛かっていたら、瞬殺しましたよ」
両手にナイフを持ったアリエラが血まみれの腕をだらりと下げた男の尻を蹴飛ばしてその後に転がした。
「もう一本持ってたんだー」
腕をねじり上げていた男が別の腕でナイフを取り出すのを見たバトはねじり上げた腕に力をかけ、本来なら曲がらない方向に腕を曲げた。その痛みで男はナイフを取り落とし、膝から崩れ落ちた。
「あっちは安全になったみたいだ。こっちも安全にさせてもらうよ」
矢継ぎ早に別働の扇動部隊が潰されたのを見て怒りに震える男にヴィットは気さくに声をかけ、抜刀した。その動きに合わせるようにその場に鉄の壁騎士団の団員がさっと現れ、同じように抜刀した。
「くっ、退くのである」
男の言葉に他の白いローブの男たちはその場から駆け出した。悠々と教会の前に辿り着き、逃げるように去って行くことに演説をしていた男は恥辱を感じていた。
「このままでは終わらせないのである」
走りながらふと見ると、こちらに向けて猫の子が走ってくるのが見えた。男はその子を人質にして形成の逆転を図ろうとした。相手は猫族、人ではないので殺めることに自分は、躊躇を感じないが、アイツらはこんなケダモノでも、真人と同じ郷の民と言う戯けものである。このやり方は充分に使えると判断した。彼は、走って来る猫族の少女に襲い掛かろうとした時、その少女はさっと止まり、彼を睨みつけた。その生意気な態度に彼は怒りを感じた。
「痛い目に遭いたくなければ、こちらに来るのである」
彼は、数年ぶりに穢れの民に話しかけた。この行為ですら彼には汚らわしく、屈辱的なモノであったが、背に腹は代えられぬと何とか我慢した。
「その言葉に、綺麗にラッピングして、おまけと抽選券をつけてお返ししますよ」
その猫族の子はそう言うと、隠し持っていた鉄製のシャフトをさっと伸ばして身構えた。
【あの目つき、いってる奴だ】
シャフトを構えたネアは白いローブに細身の片手剣を構えた男を見て直感的にそう思った。この手の連中に通じる言葉があるとしたら、それは「共通言語」しかあり得ないとネアは判断した。
「このケダモノが人間様に逆らうとは、この郷はケダモノの躾すらできない郷なのであるか」
剣を手にした男は嘆くように叫ぶとネアに剣を大上段に構えて襲い掛かってきた。その動きはお世辞にも早くもなく、鋭くもなかった。ネアは振り下ろされる剣を左に身をかわして避けるとがら空きなっている脇腹にシャフトをめり込ませ、手元の台尻を梃子のようにして、つんのめる相手の肩甲骨辺りにめり込ませた。襲い掛かってきた男はうめき声を上げてその場に蹲ってしまった。
「こっちです」
ネアは蹲る男を指さして鉄の壁騎士団員を呼んだ。その光景を見ていた者が思わず声を上げた。
「流石、ケフの凶獣っ」
声の主はあのブレヒトであった。彼は、ネアを揶揄する気持ちなんぞこれっぼっちもなく、ただ素直にその強さに感動しての声であった。さらに、運が悪いことにその場に居合わせた人たちから「あの子が、噂のケフの凶獣?」、「子供なのに・・・」、「ケフの凶獣って女の子だったの」と様々な声が上がり、ネアはすぐにその場から逃げたくなった。
「こっち、早く」
周囲から湧き上がる歓声に戸惑っているネアにフォニーがさっと現れその手を引っ張って走り出した。
「荒事に自ら突っ込んで行っているとしか思えないよ」
走りながらフォニーは呆れたような表情でネアの顔を見た。
「あのままにしていたら、きっと酷いことになると思ったから・・・」
「ネアらしいや」
フォニーはネアの行動に非難することなく、蹲る男を騎士団員に任せてその場から離れて行った。
「さっきは、デカい口を叩いたな、獣姦野郎が」
ヴィットに促され、その場から離れつつあったエリグ兄妹の前に、逃げてきた白いローブの男が立ちはだかった。そいつの右手には細身の片手剣が握られていた。それは冬空の日光を綺麗に反射していた。
「うんざりだよ。ミエル、騎士団の人を呼んできて、コイツは僕がなんとかする」
「でも・・・」
「ミエル、アイツはお前を襲う。だから、早くっ」
ヘルムは渋るミエルの背を押してその場から遠ざけると海を渡る風号の甲板長からもらったナイフと護身用に持っているソードブレイカーを抜刀して構えた。
「右手にソードブレイカーとは面白いな」
白いローブの男はヘルムの妙な武器の取り合わせに笑い声を上げ、薙ぎ払うように剣を振ってきた。それをヘルムは冷静にソードブレイカーで受け止めた。
「おじさん、筋は悪くないよ」
ヘルムは片手剣を抑え込みながら白いローブの男にそう言うと左手のナイフを白いローブの男の膝に突き刺した。男は悲鳴を上げそのまま後ろに下がろうとしたが、足に力が入らずその場に座り込んでしまった。
「汚い血が付いた・・・」
ヘルムは無表情で呟くと、ナイフを振って刀身についた血を払い落とした。
「くそ、近づくな、この獣姦野郎っ」
ヘルムは何も言わず、片手剣を振り回しながら虚勢を張る男の背後に回ると、力任せに蹴りつけた。その男は妙な声を上げて倒れると動かなくなった。
「ミエルと母さん、そして父さんを侮辱した罪だ」
ヘルムは倒れた男を、道端に吐き散らかされた嘔吐物を見るような目で動かなくなった男を見つめた。
熱心すぎる思想と熱心すぎる信仰は紙一重のようなものだと考えています。当人だけで完結していればいいのですが、それを他者に強制したり、意に反する者を攻撃しだすと、どうしようもなくなるとも考えています。白いローブの男たちも、決して悪いことをしているとは思っていませんし、絶対的に自分たちが正しいと信じていますので、捕縛され、刑を受けたところで恨むだけで反省することはないでしょう。
この駄文に今年もお付き合い頂きたいと思っています。呼んで頂いた方に感謝を申し上げます。ブックマーク評価を頂いた方に深謝します。