185 後任者
寒くなってきました。鍋が恋しい季節ですが、来週は都合によりUPできません。こんなお話でも楽しみにして下さる方には申し訳ありません。
モンテス商会ケフ支店で「桔梗」のミーファこと、ネアから、大量の書類を受け取ったトバナはそれらを自分が作ったように見せるための上申書の文言に頭を抱えていた頃、ネアは間近に迫った年迎えのお祭りを支えるため、これはあくまでも表向きで、実態は毎年恒例だから、伝統行事だからと言う名目の下、街の上層部の子女からなる奉仕会の活動についての会合も割と頻繁におこなれるようになっている、奉仕会の会合に参加するレヒテの付き人として出向くことが多くなっていた。。今年は、昨年と違い、何かと噛みついたり、足並みを乱そうとするワーナンの大使の娘、ロートがいないおかげで淡々と物事が決められいた。実質的に会を取り仕切っているパルにとって、ロートがいかに自分にとってストレッサーであったかという事を、彼女はしみじみと感じていた。
「今日は、差し入れの中身と、お嬢の提案された雪像の取り壊しの時のお手伝いについて具体的に決めたいと思っています」
メラニ様の教会に向かう途中、ネアと2人の護衛を引き連れたレヒテと行き会ったパルは白い息を吐きながらレヒテに今日の会合の議題について話し出した。
「そうだね。今年は皆にもっと喜んでもらえたらなって、思っているんだよ」
ロートが居なくなったのおかげか、レヒテも会合の最中に居眠りをすることなく、議長として会合を引っ張り、居眠りをして過ごすこともなくなっていた。
「今年は、最初はグダグタでしたけど、あの子がいなくなったら、途端に物事が良いように動くようになったんだよね。ま、グダグダ言うやつは私の鉄拳を喰らうか、ケフの凶獣の餌食になるかしかないんだけどね」
レヒテは自分の後に付いて来るネアを振り返ってニヤリと笑った。
「私も噂は聞いてますよ。血に飢えた怖いのがケフにいるって、それがネアちゃんなの」
パルの後ろをネアと同じように歩いているメムが周りに聞こえてはいけないという感じの小声でネアに尋ねてきた。
「全力で否定したいです・・・」
ネアは俯いて、ニコニコしながら行われたメムからの問いかけに、これ以上突っ込まないでくれという空気を滲ませて、そっと答えた。そして、それが全くの無駄だと気付いた。となりでニコニコしているのは、空気に関しては文盲であったことを思い出したからであった。
「かっこいい二つ名なんだから、もっと自慢してもいいのに。私だったら、言いふらすけど」
メムが勿体ないとばかりにため息つきながら言うのをパルの耳がとらえた。
「貴女には、「古代文字」の二つ名をあげましょう」
パルは振り返ることもなくメムに二つ名を授けた。
「あ、それカッコイイね。ちょっと神秘的にところもあるし、でも、メムは歴史の勉強家でもないし・・・」
パルのメムに与えた二つ名にレヒテがその名づけの理由を尋ねた。
「古代文字も、この子も、読めない。それだけ」
レヒテに二つ名の由来を説明すると、パルは肩をすくめた。
「ネアちゃん、聞いて、聞いて、私、「古代文字」だって」
流石と言うか、やはりと言うか、メムは素直にパルからもらった二つ名に感動していた。
「理由を聞いていたと思いますけど・・・」
「うん、キツイ理由だけど、それよりもね、お嬢様から頂けたことが嬉しいんだよ」
パルのその言葉に偽りがないことを彼女の尻尾が雄弁に物語っていた。
「・・・ちょっと羨ましいかもしれないですね」
メムの笑顔を見て、ネアはメムらしい理由で喜んでいる彼女の気持ちが少し分かったような気がした。
「え、ち、ちょっと、そんな、もっとマシな名前にするから」
メムの空気の読めなさを揶揄するつもりで、思い付きでつけた名前にメムの想定外の反応にパルは戸惑った。
「まさしく、「読めない」ね。メムのことを良く表してていいと思うし、メムのことを良く知っているパルらしい名前だよ」
慌てるパルを面白がるように見ながらレヒテは彼女の背中をドント叩いた。流石の獣人であるパルもレヒテの一撃に前につんのめってしまった。その時、ネアの横の気配がさっと動いた。
「お嬢様っ」
メムがよろけたパルを一瞬の間に動いて支えていた。いつもの日向水のようなメムの思いもよらない動きにネアは目を見開いていた。
「正しく、読めない・・・だ」
メムの動きにネアはひきつった笑みを浮かべた。
「お嬢、これ以上のことになると、このメム、無礼を承知で動くことになります」
パルを抱きとめたままメムは牙を剥いてレヒテに唸った。
「あ、ごめん、ちょっと、力が強く入りすぎたよ」
頭を掻きながらレヒテは頭を下げた、その言葉にパルはいつもの事だと肩をすくめたが、メムはまだ牙を剥きだし、唸り声を上げていた。
「お嬢、いつもいつも、お嬢様、パル様に・・・」
怒りの表情を引っ込めないメムにネアは小さなため息をついた。
【くっ、仕方ないか】
ネアはさっと身を転じるとメムとレヒテの間に割って入った。
「メムさん、その牙をしまってください。貴女が牙を向けているのは、誰かご存じなんでしょうね」
牙をむき、唸るメムにネアは負けじと牙をむき、シャアと威嚇の声を上げた。
「待て」
「なーに熱くなってんの」
メムはパルの一言で我にかえり、飼い犬が飼い主に叱られたようにしゅんとなってしまった。それは、ネアよりマシな扱いだった。
「お嬢っ、これは、主の身を護ろうとした忠臣に対して、あんまりだと思いますが」
ネアはレヒテに首を掴まれて持ち上げられていた。子猫のように背を丸めてネアはレヒテをじっと見つめた。
「正しく、ケフの凶獣だよね。尻尾を持ってぶら下げられなかっただけありがたいと思ってね」
さっきの牙を剥いていた姿を思い出しながら、レヒテはそっとネアを降ろした。
「お嬢がそれをなさったら、このネア、例え、奴隷の身に落ちても永久のお暇を頂きますから」
ネアはニコニコしながらレヒテを見つめると、レヒテはちょっと気まずそうな表情を浮かべた。
「尻尾と、毛皮を剃るのはご法度ね。楽しみがどんどん消えていくよ」
「「お嬢、そんな恐ろしい」」
ネアの言葉にちょっと気落ちしながら、レヒテが呟くとパルとメムが合唱するように怯えた声を上げた。
「真人なら、誰もが感じる好奇心だよ。でも、そんなことしないって。・・・、それよりさ、行こうよ、間に合わなくなるよ」
尻尾を持った三つの視線にレヒテはたじろぎながら、話題を無理やり変えて、さっさと歩き出した。
「お嬢様方、決して、真人が皆あのように思っているわけではありませんので」
護衛についていた騎士団員が、呆れたようにレヒテの背中を見ているネアたちにそっと声をかけてきた。
「存じておりますよ。気になさらないで」
パルは、その騎士団員にとびっきりの笑顔で応えた。これにより、パルに忠誠を誓う存在が1名増えたのであるが、これは本筋にさほど重要な事ではなかったりするので、これ以降は割愛となる。
「これから、会合か・・・、荒れなければいいけど」
お付きの使用人たちの待機室でネアは正面に座っているメムに、お嬢がいるであろうあたりの天井を見上げながら言った。
「大丈夫ですよ。誰も暴れ姫やケフの凶獣に手を出しませんから」
メムは、事も無げにネアの気にしていることを口にして笑い声をあげた。
「気づきませんか、皆、私から距離を置いているの」
何故か、ネアの周りには安全地帯を設けたかのようにメム以外の人がいなかった。
「それって、有名税ってやつなんだと思うよ」
メムは呑気に言うと、用意されていたクッキーを口の中に放り込んだ。
「あら、貴女は・・・、失礼ですが見かけない顔ですので」
教会のいつもの会議室に一堂に並んだ少女たちを見回してパルはその中に見慣れない赤毛の少女を見つけて怪訝な表情を浮かべた。
「ごめんなさい、紹介が遅れてしまいました。私は、トルデア家の後に大使になった、エイケロン・ヴァンフの娘、カティ・ヴァンフです。こんな、楽しそうな会にお呼びいただき、感謝しています。私、お祭りとか大好きなんです」
赤毛をポニーテールにまとめたソバカスの少女は元気よく挨拶した。
「前任者と違うね」
「まだ分からないけど」
「ノリがお嬢に近い感じがする」
会合に集まっていた少女たちがざわつきだした。
「貴女を奉仕会に歓迎します。私は、郷主の娘、レヒテ・ビケットです。これからよろしくね」
議長席に居たレヒテは席を立ってスタスタとカティに近づくと手を差し出した。
「え、貴女が、あの有名な暴れ姫」
レヒテを見てカティは思わず口にして、慌てて自分の口を手でふさいだ。
「そう、私が暴れ姫、気にしなくていいよ。私、堅苦しいのが好きじゃないんだ」
「あ、それ私も一緒です」
このレヒテとのやり取りを見たいた少女たちは、このカティが前任者のロートとは全く違うタイプであり、このケフの都に馴染みやすい性質を持っていることを悟った。このためか、新顔のカティはあっという間に奉仕会の少女たちに溶け込んでいた。
「そうなんだー、ここじゃ、年迎えのお祭りを大きなお祭りにしているだ。いい時に、来られた。私、雪像のための雪運びや、差し入れのお料理も手伝うよ。何でも言ってね」
カティは、今度の雪像作成に携わる人たちへの差し入れについて誰がどの担当になるかの話し合いの中、嬉しそうな声を上げて自分は何でもすると宣言した。
「え・・・」
その言葉に、進行役をやっていたパルは固まった。
「信じら・・・れない」
あまりにも、前任者がアレだったため、パルは口を開けたまま固まっていた。その横でレヒテも口に突っ込んだクッキーを咀嚼することも忘れてカティを見つめていた。
「間違っていたら、ごめんなさいね。貴女たちはレヒテ様とパル様のお付きの子で間違ってないかな」
ネアがメムの天然な発言をいなしながら、パルの精神力の凄さを感じていた時、いきなり声をかけられて、彼女らは声の方向を見た。そこには、グレイの髪を短く切りそろえ、そこから小さな耳が見える、獺族の若い女性が微笑みながら立っていた。
「あの、貴女は?」
ネアが椅子から立ち上がり、軽くお辞儀をすると声の主に尋ねた。
「私は、今回赴任された、ワーナン大使、エイケロン・ヴァンフ様のご息女であられる、カティ・ヴァンフ様のお付きの「丸石」のアトレと申します。よろしくお願いします。初めて、ケフに来て分からないことだらけだから・・・」
アトレは小さな水かきがあるほっそりとした手を差し出してきた。その手をネアとメムは順に二義ながら、自己紹介をはじめた。
「ケフの郷主、ゲインズ・ビケット様のご息女であられるレヒテ・ビケット様のお付きの「湧き水」のネアと申します」
「黒狼騎士団長、ガング・デーラ様のご息女であられるパル・デーラ様のお付きの「糸車」のメムと申します。多少、空気が読めないことがありますが、悪気は全くありませんので、先に誤っておきます。ごめんなさい」
メムは自己紹介をした後、すぐさま謝った。それをみたアトレはクスクスと笑った。
【この辺りが、天然なんだろうな。悪い子じゃないんだけど】
「ここいいからしら」
ネアが、メムのいつもの事に軽くため息をついていると、アトレはネアたちのテーブルの席に腰かけた。
「ケフって、噂に聞いていたけど、すごいよね。私みたいな穢れが一人で街を歩いていても、だれも絡んでこないし、首輪もいらないし、どこのお店にも・・・、お金があればだけど、入れるし」
アトレはネアたちにケフで体験した彼女としては信じられないことを次々と口にしていた。
「16年生きてきて、初めての事ばかり、ケフはいい街だよね」
「ええ、時々ワーナンにも行きましたが、あそこは私には息苦しい所でした」
ネアはアトレの感想を最もであると肯定しつつ、自分がワーナンで感じたことを口にした。
「私も、1回行ったけど、お店に入れなかった。あとは、臭いもしてないのに、臭いって言われて」
アトレは少し悲しそうな表情を浮かべた時、待機室の扉が元気よく開かれた。
「アトレーっ、会議終わったよ。早く行こうよ、ここに来るとき、嗅いだいい匂いを追いかけようよ」
カティが部屋の中に飛び込んでくると、カティに抱き着いた。
「あ、私、今度赴任してきた大使の娘のカティ、よろしくね、ワンちゃん、ニャンちゃん」
余りの事にあのメムですら目を見開いている状態の中、カティは呆れたような表情になっているアトレを引っ張るようにして部屋から出て行った。
「何だったのかしら」
「何となく、お嬢と似ている気がしませんか」
ネアとメムは互いに顔を見合わせ、連れて行かれたアトレのことを少し気の毒に感じていた。
「あんな子が来るなんて、予想外もいい所、いい意味だけど」
レヒテは帰り道に今日であった強烈な個性について感想をもらしていた。
「ロートとは、大違いですね。これから、楽しくなりそうです」
パルは既にロートに様をつけることはやめていた。これが、ささやかな彼女の復讐の一環なのであろうとパルの言葉を聞いたネアはそう理解した。
「お前、ワーナンの大使の娘だよな。前任者のツケ、払ってもらうぞ」
ネアたちが帰路を急いでいると、いきなりわき道から怒声が響いた。
「何か、トラブルみたいですね」
怒声を耳にしたメムがパルを見て指示を仰いだ。郷を護ることを任務としている騎士団の長の娘、そしてその付き人としては、トラブルを見過ごすことはできない相談であった。
「言うまでもありません。行きますよ。お嬢、すみません」
白と茶色の主従はいきなり走り出し、わき道に突っ込んでいった。
「パルたちだけに危険な目に遭わせられないよね」
「その言葉、お待ちしておりました」
ネアはレヒテは互いに見つめあい、頷くとパルたちの後を追いかけた。
「前任者と私って関係ないんだけど」
カティは目の前に獣人の強面の若い衆を目の前にしてたじろぐことなく怒声に冷静に答えていた。その横でアトレはいつでも飛び出せる準備を目立たぬようにしていた。
「どうも、ワーナンの連中は躾がなってないみたいでね。お前の前任者に俺の妹は散々、馬鹿にされ、挙句の果てに畜生が服を着ているなんて生意気だって、服を破られたんだぜ。アイツの使用人でもない、街角のカフェのウェイトレスなのにな」
黒い兎族の男がカティを指さして糾弾した。しかし、彼の言っていることが真実であっても、それをカティの責とするのはあまりにも理論が飛びすぎていたが、彼女が落とし前をつける前にさっさと帰ったことで行き場のない彼の怒りが偶々街で見かけた後任者のカティに向かったのであった。そして、そこに居合わせた面々は少なからず前任者のロートに対して感情的なモノを抱えている連中であった。
「この人たちに理屈は通じません。ここは、共通言語を使用する必要があると思います」
手にはめたカイザーナックルを薄暗い街灯の光に輝かせながらアトレがカティを庇うように前に出た。
「アトレ一人だと説得に時間がかかるでしょ。私も説得するよ。共通言語でね」
カティはアトレの言葉を受けて鞘がしっかりと取り付けられた短剣を構えた。
「え、これを・・・」
石畳の上に転がる男たちを見てパルは言葉を失った。転がっているのはどれも体格のいい連中で、堅気ではあるが、見方によればあっちの世界の住人と言っても過言ではない連中だった。
「食前の準備運動にもなりませんでしたね」
アトレがエプロンドレスを直しながらカティに声をかけると、息も乱していないカティは明るく頷いた。
「これだけの数をわずかな間に・・・」
パルとメムは互いに顔を見合わせると、この惨状を作り出した主従を凝視した。
「あちゃー、派手にやったねー」
パルたちが絶句している時、いきなり背後から楽しそうな声が響いた。
「そこで寝転がっているのはいいけど、風邪ひくよ。このことは、不問にするから早いうちに帰りなさいね。それと、もう一度こんなことをしでかすと、後は、分かるよね」
転がっている連中にレヒテは明るく声をかけると、その連中はよろよろと立ち上がり、捨て台詞も残さずその場から去って行った。
「ごめんなさい。このことでケフの事、嫌いにならないでね」
レヒテはカティに深々と頭を下げた。そんなレヒテを見てカティは慌ててレヒテに駆け寄り、その肩に手を置いた。
「いいえ、こんなこと、ワーナンでは日常茶飯事でしたから。だよね」
カティは顔を上げるとアトレを見て同意を求めた。
「それは、私みたいな穢れをいつもお供にされていたからですよ。何度も、真人の方をお供にしてくださいってお願いしていましたのに・・・、私が穢れであるから・・・」
アトレはカティの言葉を聞いてすまなそうに頭を深々と下げた。
「私は、アトレと出かけたかっただけ、アトレはアトレで、穢れでも何でもない。言いたい奴は言わせておけばいいし、それ以上のことをする奴は、共通言語で説得するだけだよ」
カティは項垂れるアトレの手をしっかりと握った。
「共通言語って」
レヒテは不思議そうにカティに尋ねた。
「拳で語り合う事、これなら簡単に説得できるでしょ。暴れ姫とケフの凶獣はよくご存じだと思いますが」
カティはにこにことしながら当然のことのようにレヒテに説明した。
「これに勝る言葉ございませんからね。お嬢様」
「これは、世界共通だもんね」
カティとアトレは互いに拳を突き合わせた。その動作は非常に慣れており、彼女らがこの言語に関しては700点以上を獲得できることを物語っていた。
「既視感がする・・・」
そんな2人のやり取りを見てネアはロートとは違う新たな問題の原因が発生したことを悟り、少しうんざりした気分になったが、それ以上にこの主従にどことなく親近感を覚えていた。
「そうか、共通言語かー、それなら私たちも結構、上級者だよね」
レヒテが郷主の娘とは思えぬことを口走り、ネアに同意を求めてきた。
「お嬢、それって、自慢になりません。けっして奥方様の前で口になされないように」
ネアは慌ててレヒテに釘を刺した。元々、腕っぷしが強いレヒテがこの言語にはまるとどんな災厄が発生するか、ネアはそれを想像するだけで全身の毛が逆立つ思いがした。
「私たちも、しょっちゅう使わないよね。母様から時々、共通言語で話しかけられるけど、それは大概酷いことをした時だけだし。あ、アトレも私にそれで話しかけることがあるよね」
「お嬢様が聞き訳が無い時に使う程度ですよ。あの言語は対人関係で最後に使う言葉です。決してお間違えなさらないように」
カティの言葉にアトレは礼儀正しく応えた。
「お嬢様は、私に対してよく共通言語で話しかけられますよね。それも、結構激しく」
新顔の主従のやりとりを呆れて見つめていたパルにメムが楽しそうに声をかけた。
「黙りなさい」
パルは言うよりも早く、メムのマズルを鷲掴みにしていた。
何かと不愉快だったロートの後任者カティがやってきました。彼女はレヒテに近い性格を持ち合わせていますが、レヒテほど凶暴ではないと思います。彼女らが使用する共通言語を多用すると、日常生活や対人関係や、社会的信用がぐちゃぐちゃになりますので、お薦めしません。
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