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鎧を脱いで  作者: C・ハオリム
第14章 落とされた影
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181 大切なもの 2

寒くなってきました。厄介な病気も流行っていたりで、どんよりとした気持ちになりますが、このお話が少しでも退屈潰しになれば幸いです。

 ネアがケイタフの前で大泣きしてから、暫くたってから、彼は正式に館の警備隊に責任者として雇われた。それまで、鉄の壁騎士団がローテーションしていた警備を、新たに警備隊として設立させたのである。このことにより、鉄の壁騎士団、黒狼騎士団から何名かの団員が引き抜かれ、それと合わせて郷主の実施する試験、面接をクリアした者が新たに警備隊に加わった。これは、ひとえにケイタフの実力と人柄によるところが大きく、難民として逃れてきた者としては異例のことであった。また、彼の妻のフランも奥方様の工房に専属のお針子として雇われ、エリグ一家はケフに新たに根を張ることになった。


 「もう、違和感が無くなりましたね」

 「そうだねー、あの子、お弁当見たけど、すごいよ。うちと同い年とは思えない腕してるよ」

 ミエルがケイタフのために弁当を届けに館に入ってくるのを窓から見ていたネアは思わずつぶやいていた。その呟きにフォニーもネアと同じように三毛がらの猫族の少女を見つめながら同意していた。館の近くに居を構えたエリグ一家は、隔日にミエルがお手製の弁当をケイタフとフランに届けるという生活パターンになっていた。長男のヘルムは目下、黒狼騎士団で団員の見習いとして剣の修行中、ミエルも弁当の配達がない日は近くの庶民と何ら変わりのない生活を送っている貴族の元に読み書きなどの手習いに通っており、それなりに忙しい日々を送っているようであった。

 「外を見るのもいいですが、ちゃんと手を動かさないとダメですよ」

 自分たちにないモノを少し羨ましそうにしながら、窓の外を見ているネアとフォニーにラウニが声をかけた。

 「はーい」

 フォニーが生返事をするのに合わせて、ネアもボタン付けの作業に取り掛かった。


 使用人たちが、いつも指折り数えている黒曜日の朝、館のホールで外出着に着替えた、バト、ルロ、アリエラがエルマを前に小さくなっていた。

 「バーセンで、奥方様から言いつけられたこともそこそこに、遊び歩いていた人たちがいたと聞いたのですが。貴女たち、心当たりはありませんか」

 エルマはバトたちにそう言うと、一人一人を舐め回すように見つめた。そのエルマに彼女らは何も言えず、ただ黙っていることしかできなかった。

 「その人たちは、随分とお酒やお食事、ショッピングに熱心だったと聞き及んでいます。まさか、仕事は適当、遊びは全力なんて・・・、貴女たちには関係ないとは思いますが。そんな人が、このお館にいるとは信じられませんね。そうは、思いませんか」

 エルマのちくちくとした叱責にバトたちがさらされている時、ネアたちが外出しようとしているのがルロの視界に捉えられた。

 「・・・!」

 ルロは懸命に手の先だけ動かして、ネアたちを呼び寄せようとした。

 【あの子たちなら、分かってくれるはず・・・】

 彼女は、一縷の望みに全てを託していた。

 「あ、お師匠様、お説教もらってる」

 ラウニに手を引かれたティマが心配そうな声を上げた。

 「ルロさん、助けを求めてますよ」

 ルロの渾身のサインに気付いたネアが小声でラウニに言うと、ラウニは少し考えるよう眉をひそめた。

 「あの人たち、仕方ないなー、ここは、フォニーさんが一肌脱いであげますか」

 フォニーは不敵な笑みを浮かべると、お説教を喰らっている3人の元まで歩み寄ると、そっとエルマを見つめた。

 「私たち、バトさんたちに、引率してもらう約束でしたが、お仕事中みたいなので、私たちだけで外出します。・・・危険な臭いは分かりますから、多分大丈夫だと思います。じゃ、行ってきますね」

 フォニーは少し不安そうな表情を浮かべてエルマに言うと軽くお辞儀をして退出しようとした。

 「フォニー、待ちなさい。それは、どういうことですか」

 エルマはフォニーの言葉に首を傾げていた。

 「最近、他所から来る人が多くなっているらしくて、マーケットにうちらだけで行くと、ネアの時みたいなことに・・・」

 フォニーは少し不安そうな表情を浮かべて、上目遣いでエルマを見上げた。そんなフォニーを見たエルマは優し気な笑みを浮かべた。

 「ファニー、貴女、随分と演技が上達しましたね。」

 「えっ」

 エルマの言葉にフォニーの動きが止まってしまった。

 「お前らが、シーツの染みになるか、母ちゃんの中に入るかの瀬戸際のころから、私ゃ侍女をやってるんだ。それぐらいのこと分からないと思ってるのか。あーっ」

 固まったフォニーに顔を近づけて、エルマは怒鳴り声を上げた。

 「この、私を欺けると思ったのなら、思い上がりも甚だしい。・・・しかし、こいつらを何とかしようとする男気、気に入った。フォニー、貴女の勇気だけは認めてあげましょう」

 エルマの気迫に泣きそうになっているフォニーに彼女は優しく微笑むと、きっとバトたちを睨みつけた。

 「年下の子に助けを求めるとは、なかなかいい根性してるな、おい。・・・今日は、フォニーに免じて指導はここまでにしておいてやる。さっさと行け」

 「Yes,ma’am !!」

 バトたちは、大声で返事すると、エルマは、直立不動の姿勢のまま立ち尽くしているバトたちをその場に残し、背を向けるとさっさとその場から立ち去って行った。

 「ちびりそうになった・・・」

 エルマが立ち去ったのを見届けた後、フォニーはその場にへなへなと座り込んでしまった。

 「ちびりましたた・・・、パンツ替えてくる・・・」

 「私も・・・」

 「そんなに、ゆるくないのに・・・、フォニーちゃん、ありがとう。ちょっとまっててね。おねーさんたち、ちょっと着替えてくるから」

 バトたちはへたり込むフォニーに声をかけると、さっと走って行った。

 「大丈夫でしたか」

 「パンツ替えますか」

 「怖かった・・・」

 へたり込むフォニーにネアたちが抱き着くようにして、その実を案じた。

 「ふん、フォニーさんのしまりは、格が違うんだよ」

 フォニーは立ち上がると、尻の当たりの埃を払った、そしてハッとした表情になった。

 「ちょっと替えてくる」

 気まずそうな表情を浮かべて、フォニーは走り去っていった。


 「フォニーちゃんのおかげで助かったよ。おねーさんたちからお礼として、一品、買ってあげるよ。でも、高すぎるのはやめてね」

 バトの言葉でもって、マーケットのいつもの尾かざりの露店でフォニーがまるで、雪の中の得物を探すような勢いで品定めをしているフォニーを畏怖のこもった目で見つめていた。

 「バト、私たちのお財布の中身・・・」

 「でも、助けてもらったでしょ」

 ルロとアリエラがひそひそと話しかけ来るのを聞いたバトは、ポンと両名の肩を叩いた。

 「あんたらが、股開いて横になっているだけでそれなりのお金になっ、ぐっ」

 バトの言葉が終わらないうちに、彼女の鳩尾にルロとアリエラの肘が深々と突き刺さっていた。

 「これに決めたよ」

 フォニーが手にしたのは、彼女の黄金色の尻尾に映えそうな赤い牡丹を意匠がこらされたものだった。

 「毎回のことだが、お嬢ちゃんの目は確かだねー」

 露店の店主の犬族の若い男がこの道何十年みたいなことをいいながら、フォニーの選んだ尾かざりを袋に入れて、手渡すと、こそっとバトたちと値段のことを相談しだした。

 「支払いは終わったよ。じゃ、次行こうか」

 バトたちはそれぞれ財布の中身を確認して、ほっとした表情になっていた。

 「そろそろ、お腹空いて来ませんか?ご飯食べて行きましょうよ」

 歩き出して暫くすると、ルロが腹をさすってネアたちに声をかけてきた。

 「賛成」

 その言葉に、尾かざりの入った袋を大事そうに抱えたフォニーが真っ先に反応した。残りの侍女見習いたちもフォニーにつられるように、それぞれが「温かいものが食べたい」、「まず、ハチミツ」などと勝手なことを口にしだした。

 「今日のお昼は、パンケーキ、小麦の森が、新しくその場で食べられるカフェをお店に増設したの。マサタネさんの所は間違いがないから、きっとおいしいと思いますよ。ティマちゃんも食べたいでしょ」

 ティマの手を嬉しそうに引いているアリエラが、思いついたように提案してきた。

 「それ、いい、絶対にいいよね」

 アリエラの言葉に、バト飛びつくとネアたちも、その考えに同意した。ただ、ルロだけが

 「あそこ、お酒置いてない・・・」

 とつまらなそうな表情を浮かべていた。


 「屋外に椅子とテーブルを置いたのを増設と言うのは如何なモノかと・・・」

 ネアは、小麦の森の店舗の前に間に合わせのように置かれた椅子とテーブルを見てひとり呟いた。

 「気難しいマサタネさんからすると、これは店の改築級の出来事ですよ」

 ラウニはネアの小さな疑問など気にすることなく、テーブルに着くと、メモ書きのように書かれたメニューに目を通しだした。

 「小麦の森は素材と味で勝負してるんだから、ロケーションとか、おしゃれとかは雑味にしかならないんだよ。多分ね」

 フォニーもラウニと同じように席に着くと、さっそく財布の中身と食べたいものの不一致による葛藤に陥って行った。

 「質実剛健ってところかー、小麦の森らしいよね」

 バトもマサタネの人柄を思い出して、納得していた。

 「嬢ちゃんたち、よーく分かってるじゃねーか。で、何にする、ここは顔見知りと、新規開店のサービスとして、お安くしておくぜ」

 ネアたちが席に付くのを確認したマサタネは藍色の前掛けで手を拭きながら店から出てきて、ネアたちの言葉を聞いて傍からは分かりにくい笑顔を浮かべた。

 「パンケーキとお茶のセットだったら、嬢ちゃんたちに限り、半額にするぜ」

 「皆、それでいいよね」

 マサタネの言葉を聞いたバトの意見に反対する者はいなかった。


 「バーセンでもそうだったけど、ここでもこうやって手をつないで歩いていても、誰も何も言わないね」

 兄のヘルムの手を握りながら、ミエルは嬉しそうな声を上げていた。その足取りもどこか跳ねるようなもので、彼女の心中があらわれていた。

 「そうだね。どこのお店も2人で入れるし、マーケットの人もふっかけないし、真人じゃない人もお店出していたし、信じられないよ」

 比較的、穢れの民に寛容とされたヒーグの郷ですら、ケフの郷とは比べ物にならないことに、兄妹は驚きと嬉しさがない交ぜにしながら街を歩いていた。

 「私ね、ずっと、お兄ちゃんと一緒にこうやって人が沢山いる街を歩きたかったんだよ。あそこだったら、お兄ちゃんが嫌な事を言われたりしたけど、ここはそれがないもんね」

 かつて、ミエルは兄とともにキナの町を歩いていた時に、兄に向けて『ペットを甘やかすな』や『畜生と家族なんて信じられない』と言う言葉を少なからず耳にして、2人で出歩くことを自ら控えていたのであった。

 「あんまりくっつくと、歩きにくいよ」

 「文句を言われるより、ずっといいでしょ」

 兄妹は傍から見れば、一部の可哀そうとされる人々から、爆ぜろと言われるような状態で歩いていた。

 「あ、いい匂いがするよ」

 ミエルがピンク色の鼻をひくつかせて街の空気から興味のある匂いをつまみ上げた。

 「そう言えば、もうお昼ご飯だね。父さんは、仕事だし、母さんはマーケットで生地を探しているか家に帰っても誰もいないから、どこかで食べて行こうか。そうだ、その匂いを辿って行こうよ」

 ヘルムは、にこにこしてくっついて来るミエルに言うと、ミエルは大きく頷いて空気の中から目指す匂いを選り分けて、兄の手を引っ張って行った。


 「あ、あそこだよ。フォニーちゃん、こんにちは」

 兄の手を引いてやってきたミエルはネアたちの姿を見るとブンブンと手を振った。

 「こんにちは、妹がいつも、お世話になっています」

 ヘルムはネアたちに頭を下げると、空いた席の一つを引いてミエルを座らせ、その対面の席にしずかについた。

 「あの子、いい男だよね」

 そんなヘルムの姿を見たバトがそっとルロとアリエラに囁いた。

 「確かにそうだけど、まだ、子供ですよ」

 アリエラがバトの言葉に異議を投げかけると、バトは鼻先で笑った。

 「あの年齢から、好みの男に育て上げるの。おねーさんか手取り足取りついでに真ん中の、ごっ」

 テーブルの下でルロがバト言い終わるのを待たずに脛を蹴りつけていた。

 「この人は、あの子までも毒牙にかけるつもりですか。何が好みの男に、ですか。貴女の好みにされると、あの子の人生が滅茶苦茶になります。それより、今はお館の警備隊長のご子息、行く行くは・・・」

 ルロも真っ当な事を言うかと思えば、玉の輿の可能性をヘルムに見ていた。

 「あのー、お2人とも年齢が随分と上の気がしますけど・・・」

 アリエラがおずおずとバトとルロに話しかけると、2人はにやりと口角を上げて笑みを浮かべた。

 「私たちはね、真人に比べると老けるのが遅いの」

 「ヘルム君がイイ男になった時に、私たちもちょうどいい感じになっているって訳ですよ」

 「それって、ズルい・・・」

 バトとルロの種族的な特性を聞かされたアリエラがポツリと呟いた。

 「ヘルム君、おねーさんたちと一緒しない?」

 妹と一緒にメニュー見つめているヘルムにバトが甘い声をかけた。その声に、ヘルムより先にミエルが反応した。

 「私が先約なんですっ」

 ミエルは、むっとしてバトに言い返した。ヘルムも、折角のお誘いありがとうございます。と定型のお断りの文句をバトに告げると、妹と楽しそうに雑談に耽り始めた。

 「大人の女の魅力で・・・」

 「おねーさんが優しくしてあげるのに・・・」

 アリエラは、諦めの悪いバトとルロを見て、ため息をつくだけだった。


 「ヘルム君って人気者ですね」

 隣のテーブルの出来事を面白そうに眺めていたネアがポツリと感想をもらした。

 「彼は、男前でしかも、やさしい。得点が高いよ。でも、妹と仲が良すぎると・・・」

 フォニーは、自分のことを彼らに当てはめて考え、実感のこもった感想を述べた。ティマ言うところのお姫様は彼女にとってはちょっと煙い存在だったからである。

 「彼が、バトさんたちに玩具にされないように祈りましょう。普通の男なら、あの2人に声をかけられたら・・・、本性を知らなければついていきますね」

 ネアは隣のテーブルの獲物を狙う、肉食獣のような目つきを見て、ヘルムの行き先を案じていた。

 「男の人って、あの手のタイプが好きなんですか」

 ラウニが不思議そうな表情を浮かべてネアに尋ねてきた。

 「男の人って、私は男じゃないですよ」

 ネアは、何を聞いて来るんだとばかりにラウニを睨みつけた。

 「ネアって、男の人みたいな雰囲気があるからね」

 ネアが複雑な表情を浮かべているのを気づかないようにフォニーがニコニコしながら被せてきた。

 【それは、否定できないけど・・・】

 「でも、ついてないよ」

 ティマが風呂場で見たことをそのまま口にした。

 「ついてないのは知ってるよ」

 「そのことは、ネアが初めて来たときに確認しています」

 フォニーとラウニがネアが必死に考えまいとしている、傷を思いっきり広げて、塩、いやタバスコを塗り込んでくれていた。しかも、悪意なんて、全くない状態で。

 「そんなに、ついてない、ついてないって・・・」

 ネアは半世紀余り付き合ってきた、ブツのことを思い返そうとしたが、それは夢で見たように朧げなモノになっていた。

 「男の子みたいだけど、ネアはついてないよ。完全に女の子だよ」

 バトが何を当然のことを、とばかりに口にした言葉にネアは喪失したモノの大きさ、そのモノの物理的ではなく精神的な大きさを再確認していた。

 「昼間っから、ついてるとか、ついてねーとか、若い娘が口にする言葉じゃないぜ」

 マサタネが湯気が立っているパンケーキをネアたちの前に次々と置いて行った。

 「今日のスペシャルだ」

 と、言って、大きなハチミツの入ったポットをテーブルの上に置いた。それを見たラウニの目の色が変わったことに落ち込んでいるネアですら気づく有様だった。

 「野生の目になったよ」

 そんなラウニを怖そうに見ながら小声でフォニーが呟いた。

 「ティマ、ハチミツはラウニが使ってからだよ。そうじゃないと、怖いことになるからね」

 いつもは冷静そうに見えるラウニの目つきが変わっていることに、ちょっとした恐怖を感じているティマにネアはそっと注意を与えた。

 「人をまるで野生動物みたいに・・・」

 ラウニは口でそうは言いつつ、ポットに入ったハチミツを飛び掛かるように勢いで見つめていた。

 「さ、温かいうちに食べようよ。ティマちゃん食べさせてあげる」

 アリエラが自分たちのテーブルのハチミツをかけると、ティマを手招きした。

 「あたし、一人で食べられるから」

 アリエラは、ティマのにべもない返事にがっくりと落ち込んでいた。


 「僕たちも、あれと同じものにしようか。僕でもいい匂いがしてくるのが分かるからね」

 ヘルムは野生の目つきでパンケーキにハチミツをかけているラウニを横目で見ながらミエルに提案した。

 「うん、私もそれがいいよ」

 ヘルムはミエルの言葉に聞いてマサタネにパンケーキのセットを注文した。

 「パンケーキのセット2つだな。ん、見かけない面だな」

 注文を取っていたマサタネが2人の顔をしげしげとみつめて首を傾げた。

 「僕たちは、最近、こっちにきたんです」

 「お館の警備隊長のご子息のヘルム・エリグ君とそのご令嬢のミエル・エリグちゃんだよ」

 ヘルムが自己紹介する前にバトが彼らについてマサタネに話した。

 「そんな、ご子息なんて」

 ヘルムは謙遜と言うより、勘違いだと言いたいような声を上げた。

 「お兄ちゃん、ごれいじょうってなに」

 「偉い人の娘のことだよ。僕たちは違うけど」

 ヘルムがミエルに分かりやすいように説明しているのを聞いたルロがじっとヘルムを見つめた。

 「姓がある時点で、私らと違うんじゃないですか」

 ルロはそう言うと、にこりとヘルムに微笑みかけた。 

 「・・・ルロ、露骨だよそれ」

 バトは冷めた口調で言うと、コツンとルロの頭を叩いた。

この世界において、真人と穢れの民が手をつないだり、家族になることに生理的に嫌悪を覚える人たちが一定数存在します。このような人たちが先鋭化すると、正義と秩序の実行隊みたいになってきます。また、表にまだ出ていませんが、穢れの民同士で真人の排斥しようとする運動もあります。

ケフでは、どちらも排斥することなく、それぞれの特性を活かして郷を運営しています。

今回も、この駄文にお付き合いいただきありがとうございました。ブックマーク、評価を頂いた方に感謝を申し上げます。

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