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鎧を脱いで  作者: C・ハオリム
第14章 落とされた影
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176 避難者

この世界ではレベルがないため、戦闘での勝敗は実力と運にかかってきます。ケイタフもそれなりの使い手ですが、多分、全盛期のレイシーには及ばないと思われます。しかし、彼に部隊を指揮する能力がありますので、集団戦となると様相は変わってくると思われます。ネアのレベルは分かりませんが、スキルは おっさん だと思われます。

 日がそろそろ水平線の方向に傾きかけた頃、バーセンの港の桟橋の一つでは、見るからに荒くれ者たちが、どこから見ても堅気の家族を前にずらりと並んでいた。

 「これで、女将さんのメシが喰えなくなると思うと……」

 「嬢ちゃんの笑顔が見られなくなるなんて……」

 貨客船「海を渡る風」号のゴツイ船員たちは桟橋に並んでそれぞれ泣いたり、鼻水を流したり、格好つけて背中(震えている)を見せて、暫くの間であったが、苦楽を共にしたエリグ一家との別れを涙ながらに惜しんでいた。

 「女将さん、これ、俺たちの気持ちです」

 むさ苦しい連中の中で比較的マシな見てくれの航海士が、涙を拭くこともせず綺麗な紙袋をフランに手渡した。

 「ありがとう、なにかしら」

 フランも涙を堪え、笑顔で袋を開けると中には鮮やかな青のスカーフが入っていた。

 「素敵・・・、皆、ありがとう」

 フランはスカーフを胸にぎゅっと抱きしめると、涙声で礼を述べた。

 「嬢ちゃん、ありがとうよ。嬢ちゃんの笑顔でどれだけ癒されたか、俺たちの女神様だったよ」

 必死で笑顔を作っている調理長がミエルに銀で作られた小さな錨のペンダントを手渡した。

 「安全な航海のためのお守りだ。これがあれば、どんな大時化でも無事に港に錨を降ろせることができるんだ。気をつけてな」

 「おじさん・・・」

 ミエルは手にしたペンダントを早速首にかけ、調理長に抱き着いて感謝を表した。その光景を見てあちこちから舌打ちの音がしたのは当然のことであった。

 甲板長は、むすっとした表情のままヘルムの前に立つと、大きめのナイフを取り出し、彼に手渡した。

 「坊主、お前はこれから、どんどん強くなるぜ、俺たちが保証する。困難は自分で切り開け、がんばれよ」

 ヘルムは泣きそうな顔で顔で甲板長からナイフを受け取ると、甲板長は低い声で「男が泣くな」と涙声で一声かけた。

 「泣いてなんて・・・ないですよ」

 ヘルムは必死で笑顔を作ってみせた。甲板長も同じような笑顔で応えた。

 「ジーエン、否、ケイタフ、最初はどうなるかと思ったが、短い間にこいつらを鍛えてくれてありがとよ。この腕があれば、少々の海賊には太刀打ちできそうだ。感謝するぞ」

 「海を渡る風」号の船長ブレンは節くれだったゴツイ手でケイタフとがっしりと握手した。

 「これは、「海を渡る風」号からの気持ちだ。受け取ってくれ」

 「こいつは、いいのか・・・」

 「俺たちが持っていても宝の持ち腐れだ。コイツでかみさんや嬢ちゃんを守ってやってくれ」

 ブレンは部下から渡された長剣をケイタフに差し出した。ケイタフはそれをしっかり受け取るとさっと頭上に掲げた。その時、船員たちから大きな拍手が沸き上がった。

 「お前たちに、いつでもいい風が吹くことを祈ってるぜ、じゃあな。お前ら、いつまで湿気た面してやがるんだ。さっさと持ち場に付きやがれ。お涙ちょうだいはもう終いだ」

 ブレンはさっと振り返ると涙目の船員たちをどやしつけた。その声に、船員たちは弾かれたようにそれぞれ持ち場に去って行った。

 「良い風が吹かんことをっ!」

 波止場を後にするエリグ一家に船員たちは声を合わせて、別れの言葉を投げかけてきた。

 「ありがとう」

 エリグ一家は「海を渡る風」号と心優しき荒くれ者たちに一礼すると港街の喧騒に飲み込まれていった。


 「これは、凄いな」

 ケイタフはバーセンの街を行き来する人たちを見て感嘆の声を上げていた。彼が目にしたのは、真人とそれ以外の人たちの比率が逆転したような光景だった。今まで住んでいたキナの町は、真人とそれ以外の人たちの比率は8:2程度で、真人以外に出会うことは普通に町を歩いていてもそんなに出会うことはないのであるが、ここでは目を転じるだけで彼らの姿を捕えることができるのである。

 「お兄ちゃん、手、つないでいもいいかな」

 ヘルムの横をはぐれない様に懸命に歩いているミエルは兄を見上げると、恥ずかしそうに小さな声で尋ねた。

 「迷子になると大変だからね。さ、お嬢様、お手をどうぞ」

 ヘルムが手を差し出すと、ミエルはその手をしがみつくように両手でつかんで、兄に身体を預けた。

 「あんまりくっつくと歩きにくいよ」

 戸惑ったようなヘルムの言葉に、ミエルはにこにこ笑って答えるだけだった。

 「あなた、私たちも」

 ヘルムとミエルの様子を見たフランは、いきなり、ケイタフに身体を摺り寄せてきた。

 「こうやって、通りを歩ける所があるなんて・・・、信じられん」

 当初は戸惑いを見せたケイタフであったが、すり寄ってくる妻を優しく見つめると改めて驚きの声を漏らしていた。


 「準備は完璧ね。明日からお商売になっても忙しくなるから、皆、身体を休めてね。まだ移動の疲れは取れていないと思うから。それでは、今日のお仕事は、これでお終い」

 奥方様は行商の場となるホールの準備状況を見回して満足そうな笑みを浮かべると、居並ぶ侍女たちに今日の仕事の終わりを告げた。侍女たちは、ホールから立ち去る奥方様を気をつけの姿勢で見送り、その姿が消えるとほっと全身の力を抜いた。

 「もう知っていると思うけど、もう一度確認するよ。明日の一番のお客様は、9時に来られるからね。それまでにお茶の準備、モデル役は髪を整えて、着替えておくこと。モデルの着せ替えの統制は、ロミがすること。小さい子の相手は、タミーが仕切る。ラウニたちはタミーの指揮下に入ること。お茶とお茶菓子は・・・」

 ルーカが明日の行動とその責任者に次々とやるべきことを指示していった。ネアは彼女が、メモも何も見ずにさっさと割り振る様子を見て感心していた。

 【毎度のことながら、現場の指揮官だよな。どんな戦場に行ってもルーカなら見事な指揮を執れるだろうな。寿命のことを考えなければ、エルマさんの後釜候補の筆頭かな】

 自信あふれる様子で現場を取り仕切るルーカを眺めながらぼんやりと考えていた。そのルーカの指示が一通り終わり、侍女たちからの質問に淀むことなくルーカが答え終えるとフォニーがネアの耳にそっと話しかけてきた。

 「これからバトさんたちと一緒に外出しない?」

 ネアはフォニーの誘いにすぐに頷いて応えていた。


 「はぐれないようにね。危険を感じたら大声だよ」

 外出用の服に着替えたネアたちを引率するように歩きながらバトが注意を促してきた。

 「危ないのは目につきにくいから、貴女たちなら鼻を利かせるように。・・・なんで、お嬢まで当然のようにここにいるんですか。今夜は晩餐会あるんでしょ」

 ネアたちと一緒に何気について来ているレヒテを見てバトは呆れたような表情を浮かべた。

 「あれは、退屈なんだもん。母様も行っていいって、ね、ギブン」

 眠そうな目をしているギブンの手を引いてレヒテは嬉しそうな表情を浮かべた。

 「今日はお酒の席になるからだよ。僕たちが動くだけで、彼女たちがどれだけ負担になるか考えてないの」

 バトたちは言わずとも、ネアたちまでもが街を楽しむモードに移行する前に警備、警戒モードになっていたからである。

 【イクルさんも一緒だったら、安心できたのにな】

 ネアは今夜の宴席の準備と給仕で忙しく立ち働いているイクルのことを思い浮かべていた。そんな中、街中での行動に慣れているバトとルロはウィンドウショッピングを楽しみつつ、周囲を警戒していた。そんなバトたちのようにアリエラも警戒をしていたが、その動きはバトたちに比べるとどこかぎこちないように感じられた。

 「正義と秩序の実行隊に力強い隊長が就任したぞ。南の方で郷同士で同盟を結成したぞ」

 通りの目立つ場所に小さな台を置いて、その上に派手な衣装を着こんだ男が大きな身振りをして叫んでいた。

 「バトさん、噂紙買ってきていいですか。気になるんです」

 ネアは自分の横を警戒のそぶりを見せることなく、気配を探っているバトに声をかけた。

 「了解ッ、じゃ、皆止まって、私とネアでちょっと買い物してくる。はぐれずに固まっていてね」

 バトはルロとアイコンタクトをとると、ネアの手を引いて噂紙のスタンドに足を進めた。

 「実行隊のと同盟のを一つずつ、下さい」

 ネアはスタンドのおじさんともおばさんともつかない真人に小銀貨を手渡した。

 「あいよ。嬢ちゃんたち、住みにくくなってくるね。困ったもんだよな」

 スタンドの人物はネアに噂紙を手渡しながら同情の声をかけてきた。

 「お館様がいるかぎり、大丈夫」

 ネアはスタンドの人物ににっこりして返すと、バトに手を引かれて皆の場所に戻って行った。その時であった。

 「え、その服、良く見せてっ!」

 いきなり、ラウニたちの方向から声が上がった。

 「ルロっ、何があったっ」

 バトはネアの手を取って引きずりように駆けだした。ネアは今かったばかりの噂紙を手放さないようにしっかりと握りしめていた。

 「いきなり、この人が・・・」

 ルロが指さす方向にはサビ柄の猫族の女性がラウニの服を間近でじっと見つめていた。その姿にラウニは引き気味になっていた。

 「フランっ、なにしてるんだ。申し訳ない。コイツがまた暴走したみたいで」

 ラウニの服を喰いつくように見ている女性の元に剣士を思わせる出で立ちの男が彼女の首根っこを掴んで引きずって行こうとした。

 「ね、待って、その服、お針子姫、モーガ・ピケット様の作でしょ。私、今までモーガ様の作品を見せてもらって、観察してきたから、分かるの。色は褪せているけど、それすらおしゃれに見せるすごさ、この子たちの服のデザインはドレスみたいだけど、ボタン、リボンの取替ると、ほら、かわいい外着になるの。それに、ここまで洗濯しても解れもないしっかりした縫製、派手さはないけど古臭さを感じさせないデザイン、まさしくモーガ様の作よ。これ」

 フランはラウニたちの服を指さしながら首根っこを掴む夫に訴えかけた。

 「待ってください」

 フランを引きずって行くケイタフにネアは思わず声をかけていた。

 「奥方様の服のことをよくしっておられるようですが、何故そこまで」

 フランの尋常ならざる思い入れに、漢の浪漫と通じる何かを感じたネアはフランに興味を持ってしまっていた。

 「え、モーガ・ピケット様のご関係の方・・・、お願いしますっ」

 「モーガ・ピケットは私の母様だけど・・・」

 何気なく口にするレヒテにフランはその場に跪いてネアたちに頭を下げた。

 「母さん、なにを・・・」

 いきなり駆けだした母親の後を妹の手を引いて追いかけてきたヘルムは、己の母親の姿を見て絶句した。

 「お母ちゃん・・・」

 ミエルも言葉を失い、ただ跪く母親を見つめることしかできなかった。

 「ここからずっと離れたヒーグの郷からお針子姫の工房に入ることを夢見てにここまで流れてきました。是非ともお目通りのほどをお願いします」

 「えーと、母様に会いたいんだよね。でも、今夜は忙しいから、明日の9時からフーディンのお屋敷でお商売するから、その時に来ればいいと思うよ」

 跪くフランの前にレヒテはしゃがみ込んで気さくに声をかけた。その言葉にフランは更に深く頭を下げた。

 「ありがたいお言葉です。私は、キナの町の元自警団長ケイタフ・エリグの妻、フラン・エリグと申します。では、明日、9時にお目通りに上がります」

 フランは立ち上がると、レヒテに最敬礼し、静かに去って行った。その後を彼女の夫や子供たちが追いかけて行った。

 「何だったの、アレ」

 フォニーがさっきからずっと固まっているラウニに声をかけた。ラウニははっと我にかえると、何が何だか分からないと首を振った。

 「ヒーグの郷・・・、聞いたことがある、あたしが住んでいた郷の近くだったような・・・」

 ティマはフランの言葉に合ったヒーグの郷と言う言葉を聞いて何かを思い出したように口にした。

 「さ、皆、ご飯に行くよ」

 能天気なレヒテは、それぞれが何だかんだと考えているネアたちを残したまま美味しそうな匂いを発している店を目指して歩いて行った。

 「姉さんはきっと忘れていると思うから、フランさんが来たら対応してね。母様には僕から話をしておくから」

 気を取り直してレヒテの後を追いかけるバトたちにレヒテの性格をよく知るギブンは、先ほどの件をお願いしていた。

 「了解しました。若。今はお嬢を暴走させないようにしないと」

 ルロがギブンの手を取りながら彼の命令を了解した旨を伝えていた。


 9時に時計仕掛けのようにフーディンの屋敷のドアをノックしたエリグ一家はフランだけが奥方様にお目通りし、ケイタフたちは同行者の休憩室で落ち着くこともできず、じっとしていた。

 「貴女が、フラン・エリグさんね。私の作品についてよくご存じみたい、そこまで熱心なファンがいるなんて裁縫師として嬉しい限りです」

 モーガはにっこりしながら緊張するフランにお茶薦めた。

 「モーガ様、恐れ多いのですが、これを視て頂けませんか。私の作ったものです」

 昨日貰った蒼いスカーフを指先で直すと、フランは持参したカバンの中から巾着袋、小物袋を取り出した。それらは頑丈でありながら美しい発色の布と丁寧になめされた皮革を綺麗に縫い合わされて作られた、モーガの作品と同じようにシンプルで頑丈でありながら、見ていて飽きないデザインだった。

 「あら、可愛らしい子たちね。・・・、皮と布がしっかりと綺麗に・・・、フランさんは、誰かに師事されたのですか」

 フランの作品を手に取り、じっくり視たモーガはそっとそれらを彼女に返しながら尋ねた。

 「いいえ、お恥ずかしながら、独学です。ですから、基礎からしっかりと修行したいのです。・・・モーガ様の工房で」

 フランはそこまで言うとその場にひれ伏した。

 「失礼な事とは十分に承知しています。私は皮革の取り扱いには慣れています。皮革を取り扱うことがあれば微力ながらお力になれると存じています」

 ひれ伏しながらフランは自分の思いを口にした。それを聞いたモーガはにっこりとほほ笑んだ。

 「独学でこの域に達するなんて、相当鍛錬されたんですね。皮革の取り扱いはなかなか難しくて、慣れている方がおられたら心強い限りです。明日からここに来て、手直しなどの技量を見させてくださいね」

 モーガはフランに顔を上げるように促しつつ、彼女の手を取った。

 「それと、ヒーグの郷についてお話して頂けるかしら。ええ、この後、お客様のお相手をした後で、それまでご家族と一緒に寛いでいてくださいね」

 モーガは接客をするために席を立ち、その場から去った。フランはその背中に改めて頭を下げた。


 緊張の面持ちで休憩室で待機しているエリグ一家にメイザはお供をつけることなく部屋に入ってきた。

 「あんたがフランさんだね。あんたが旦那のケイタフさんか、なかなかいい男じゃないか」

 メイザはじっくりとエリグ一家を見回すとケイタフの正面の席に腰を降ろし、温くなったお茶をみずからカップに注ぎ、一口飲んだ。

 「あの、恐れ入りますが、貴女様は・・・」

 ケイタフが恐る恐るメイザに尋ねると、彼女はにやりと笑った。

 「紹介が遅れてすまないね。私は、メイザ・ビケット、前の郷主の嫁だよ。言い方を変えればモーガの母親だね。ちょいと耳にしたんだが、あんたらヒーグの郷から来たんだってね。あっちの暮らしぶりはどうだったんだい」

 メイザは飾ることもなくケイタフに尋ねた。

 「私どもが住んでいたのはキナと言う田舎の小さな町でした。私はそこで自警団長を務めさせていただいておりました。バーセンの街で漸く家族そろって街を歩くことができました。ヒーグも妻のような人種にはあたりが厳しくて、田舎町のキナはそれほどでもありませんでしたが、家族そろって動くことは憚られる有様でした」

 ケイタフはバーセンで穢れの民と真人が一緒になって働いたり、遊んだりしている光景をみて驚愕を感じたことをメイザに告げた。

 「自警団長までしていたのに、町はどうしたんだい。捨てたのかい」

 今までニコニコしていたメイザの目が鋭くなり、ケイタフを貫くように見つめた。

 「捨てた、と言われれば言い返す言葉はありません。ただ、町にとどまり続ければ家族に危害が加わると判断しました。恥ずかしながら私の力では家族を守り抜くことはできませんので」

 ケイタフの言葉を聞いてメイザは目をさらに鋭くした。

 「すると、町の人々はどうなるんだい?」

 「キナは田舎町と言えども、妻のような人種は町の2割にも満たない有様です。そこに、あの英雄がやってきたのです。町はアレを歓声で迎えました。・・・アレの横に控えていた導きの乙女、彼女の真人以外を見る目は、汚物を見る目でした。あんな連中をありがたがるような町です。形だけの騎士団長なんぞ、アレを接待して覚えをめでたくしてもらいたい一心でしたよ。その挙句、ドワーフ族の鍛冶屋が謂れのない言いがかりで正義と秩序の実行隊に殺されたんですから」

 ケイタフは自分のふがいなさ、騎士団の連中、正義と秩序の実行隊、そして英雄に怒りを感じ、拳を強く握りしめていた。

 「そうかい、大変だったね。でも、あんたもそれなりに使えるんだろ。それなら、戦うこともできたんじゃないのかい」

 メイザの問いかけにケイタフは苦しそうな表情を浮かべた。

 「正義と秩序の実行隊の隊員と1対1なら勝つ自信はありますが、集団となると我が身を守るのが精一杯です。そして、英雄、彼が戦うところは目にしておりませんが、あの集団の誰よりも強く、彼らが束になっても勝てないとのことでしたので、私なんぞは瞬殺でしょう。実際、アレから発される気のようなモノをヒリヒリと感じたぐらいですから」

 「そうかい、そんなに英雄は強いのかい。男なら家族を守るのが第一さね。あんたは間違ったことはしてないよ。御大層な大義名分を叫んで家族もろともくたばるより、何千、何万倍マシなことだよ。その気があるなら、ケフの郷はアンタたちを歓迎しするよ」

 ケイタフの言葉を聞いたメイザは微笑むと彼に手を差し出した。

 「ありがたいお言葉です。我ら、微力ながらもケフに付くさせて頂きます」

 ケイタフは差し出されたメイザの手をしっかりと握った。そして彼の家族は全員、メイザに服従を示すように頭を下げた。

エリグ一家は避難民としてケフに移住することになります。彼の自警団長としての経験が多分活かされることになると思われます。

今回もこの駄文にお付き合いいただきありがとうございました。ブックマーク、評価を頂いた方に感謝を申し上げます。

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