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鎧を脱いで  作者: C・ハオリム
第14章 落とされた影
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175 バーセンへ

今回も迷宮探索も新たなスキル獲得もなく、日常が淡々と過ぎて行っています。

これは、このお話の仕様ですので、問題ありません・・・、多分。

 「タップはお留守番だよ」

 明日からの秋のキャラバンに出発するため、月の光に照らされた庭の風景に目を奪われることもなく、荷造りをしているティマにフォニーが優しく話しかけた。

 「お別れは嫌・・・です」

 自分の荷物にヌイグルミのタップを入れることを止められたティマは首を振った。

 「この子が、留守の間、ティマのベッドを守ってくれるんですよ。だから、私たちはここに帰ってくることができるんです。この子のいる所が私たちの帰る所、ここはティマのお家でもあるんですからね」

 タップを強く抱きしめているティマにネアは優しく諭した。ネアの言葉にティマはしぶしぶ頷き、そっとタップを元の場所に戻した。

 「ネアの言う通りだよ、ここがうちらのお家だからね」

 フォニーは部屋の中を見回してから、ちょっとふくれっ面になっているティマに声をかけた。

 「フォニーやネアの言う通りですよ。ここは、私たちのお家です。前にも言ったでしょ。私たちは種族は違うけど、姉妹だって。血は繋がってないし、ティマのお母ちゃんにもお姉ちゃんにもなれないけど、でもティマは私の妹だから。貴女が違うって言っても、私は貴女を妹だと思っていますよ」

 ラウニは優しく言うと、そっとティマを抱きしめていた。

 「ちょっと暑苦しいけど、アリエラさんもいるし、ビブちゃんもいるから・・・、寂しかったら、辛かったら、我慢することはないですよ」

 ラウニに抱きしめられているティマをほほえましく眺めながらネアは自分の荷造りを続けていた。今回からは、ワーナンの郷の都ではなく、ワーナンの港街であるバーセンでの行商となるため、ネアたちの表情にはどこか楽し気な色が滲んでいた。ワーナンの都は郷主の方針で穢れの民への排斥が行われており、一時は、街に入ることを許可された獣人なら首輪、それ以外は腕輪を装着することが義務付けられたぐらいであった。一方、バーセンは様々な地方から様々なモノが運び込まれる商いの街であるため、穢れの民への排斥はワーナンの郷の中では例外的に行われていなかった。そのためか、最近、追い出された穢れの民が集まってきて、街が大きくなり、活気も盛んになってきている状態になっていた。

 「バーセンって言えば、うちらがティマと会った街だよね。まだ、あれから半年なんだよね。感覚的には、ティマとは何年も付き合っているような気がするんだけどさ」

 荷造りを終えたフォニーは、初めての荷造りに手間取っているティマの元に行くと、そっと手伝いだした。

 「フォニ姐さん、それって大げさですよ。ティマはまだ4歳ですよ。私もまだ7歳だし」

 ネアは苦笑しながらフォニーに突っ込んでいた。ネアからすると、この世界の子どもたちの成長は自分がいた世界のそれより、早いように感じられていた。それは、肉体的に早熟と言うのではなく、精神的に早熟であるようにネアには見えていた。ネア自身が前の世界のおっさんの記憶を持っているため、随分と子供らしさがない子供であるが、そうではない子供も、良く言えばしっかりしている、悪く言えばひねていると見ることができた。そんな世界で家族を失い、働いて自活しているラウニたちはさらに大人じみていた。そんなフォニーから耳にした年齢に関わる発言に、ネアは彼女の子供らしい一面を見た様な気がしていた。

 「そんな事じゃないよ。ずっと昔から知っていたような気がするの。ひょっとして、うちらは前世では本当に姉妹だったかも。これで、よし。忘れ物はないよね。パンツは多めに持って行くのが秘訣だよ」

 ティマの荷造りが完了したことを確認すると、フォニーはティマにバッグの蓋をしめさせた。

 「バーセンはとても大切な場所・・・です。そこで若に助けられて、お姐ちゃんたちに会って、お嬢やイクルさんに会えたとても大切な場所だから」

 ティマはバッグの上に小さな手を置いたまま天井を見上げて、少し悲しそうな表情を浮かべながら辛かった日々を思い出していた。

 「怖いこと、悲しいことが止まったの」

 ティマはそう言うとネアたちに笑顔を見せると、恥ずかしそうにベッドに飛び込んでタップをぎゅっと強く抱きしめた。

 「私たちにとっても可愛い妹と会えた大切な場所ですよ。それに、あそこは姿形でなんだかんだと文句を言ってくるような街じゃないですからね。あの首輪には、私も随分とムカつきましたからね。あの首輪を返すとき、わざわざ爪で傷をつけた子もいましたね」

 ラウニは荷造りを終えてベッドに伸びているネアをチラリと見た。

 「姐さんたちもやったでしょ。私はそんなに悪い子じゃないですよ」

 ネアはむすっとしながらラウニを睨んだ。そんなネアにラウニは意味ありげなニヤニヤ笑いを浮かべた。

 「普通の子が、ケフの凶獣なんて二つ名を戴くものでしょうか」

 「あれは、勝手に噂が大きくなっただけです」

 ラウニの言葉にむすっとしたネアは毛布を頭からかぶってふて寝を始めた。

 「気に入らないみたいだねー、かっこいいのに」

 ふて寝するネアを見ながらフォニーが残念そうな声を上げた。

 「その称号、フォニー姐さんにあげますよ」

 他人事として気楽にネアの現状を眺めているフォニーにムッとしたネアが毛布をかぶったまま声を上げた。

 「同じ二つ名なら、うちは、ケフの幻獣がいいなー」

 うっとりした表情でフォニーはそう呼ばれている自分を想像していたようで、にやけた表情を浮かべていた。

 「二つ名なんて・・・、バトさんのシモエルフだけでお腹いっぱいですよ」

 ラウニはため息交じりに言うと、全員が荷造りを終えたことを確認した。

 「明日は、早いですからね。朝ごはんも携帯食だから、時間を考えて持って行くのか、その場で食べるのかは自分で判断してください。灯りを消しますね。おやすみなさい」

 明日のことを簡単に説明すると、ラウニはランプの灯りを消しベッドの中に入った。窓からは月が冷たく蒼い光を部屋の中に投げ入れていた。ネアは横たわりながら、今日奥方様から命じられたことを思い返していた。

 【俺はともかく、この子たちにできるのかな・・・、不味いことにならなければいいんだが】

 既に寝息をたてだした侍女見習いの子たちの気配と自らの中にある不安を感じながらいつしかネアは眠りに落ちていた。

 

 「今回の行商はバーセンで行うことは皆が知っていると思います。で、前に言ったように、貴女たちには噂話を集めて欲しいの。お付きで来る侍女の方、旅の人、行商人、様々な人が語る話をその日の最後に私に報告して頂戴ね。でも、耳にしたことを仲間内でも話し合うことは禁止します。互いに話し合っているうちに聞いた話が作った話になることが多いからです。決して、自分からお話聞かせて、なんてやらかしたらダメよ。ただ、耳を澄まして聞くの。貴女たちは皆、好い耳を持っているからできるわよね」

 仕事が終わり、奥方様に挨拶しようとした時、奥方様がネアたちに情報収集を命じたのであった。今まで行商は金儲けのついでに噂話を集める程度であったが、今回からは積極的に噂話を集める方針になったのである。この理由は勿論、怪しい動きを続ける英雄と正義と秩序の実行隊についてできるだけ情報を集め、来るべき日に備えることが目的となっている。奥方様の直々の命令を受けたネアたちは神妙な面持ちで執務室を後にしたのである。そして、不思議なことにおしゃべりなフォニーが一切この件について話をしなかった。勿論、残りの侍女見習いも奥方様からの命令について口にすることはなかった。


 翌朝、朝と言うにはまだまだ暗い中、ネアたちはお館の前に整列された馬車の横に並んでいた。

 「あ、ウェル君だ」

 今回の行商に初参加するウェルの姿を目ざとく見つけたフォニーが声を上げた。

 「おはようございます」

 「あ、おはよう」

 ネアたちの挨拶を受けて、ウェルは初めてネアたちがいることに気付いたようであった。

 「常に、周りに気を配れと言って居るだろ。誰もが患者になり得る可能性がある。そこを忘れるでないぞ」

 ネアたちの存在に気付かなかったウェルにドクターが指導を与えていた。

 「今までは、薬を持たせておっただけじゃったが、今回からはお前が行商の際の奥方様たちのお身体を守るのじゃぞ」

 薬箱を背負い、医療器具が詰まった重そうなカバンを両手に持ったウェルは不安そうな表情でドクターを見つめた。

 「悩むより、動け、患者は待ってくれんぞ。時間とともに症状は悪化する。時間とともに良くなるのは酒ぐらいじゃぞ」

 不安そうなウェルをごく簡単な一言を投げかけるとドクターは眠そうな欠伸をした。

 「では、気張れよ。わしはもう少し寝てくるでな」

 ドクターは出発を見送ることもなくさっさと自宅兼診療所に戻って行った。

 「大変ですね」

 大荷物と一緒に不安そうに佇んでいるウェルにそっとネアが声をかけた。

 「不安だ・・・、否、大丈夫だよ。即死じゃない限り、何とかして見せるよ」

 無理やり不安を押し殺してウェルは精一杯の笑顔を作った。その健気なまでの仕事に対する姿勢にネアは思わず胸がキュンとしてしまった。

 「これで、安心できます。がんばってくださいね」

 【なんだ、今の感覚は・・・】

 ネアはウェルに感じた気持ちに戸惑いを覚えていた。もし、ネアが前の世界で、勉学や仕事以外にも興味を持っていれば、当然ながら理解できる感情の動きであったが、仕事に関係のないもの全てを斬り捨ててきた彼女は戸惑っていた。

 「ウェル君、何て言ってた?」

 ネアが自分の気持ちに戸惑っている最中にフォニーが声をかけてきた。

 「大丈夫だそうですよ。即死以外は何とかするって・・・」

 「ふーん、で、ネアは何か言われたのかな」

 ネアの返答にフォニーが目を細め、さらに尋ねてきた。

 「特に、何もないですけど」

 フォニーが何を聞きたいのか、を探りながらネアは首を傾げながら答えた。

 「そうなんだー、ちょっとネアの雰囲気がいつもと違うなーって感じてさ。うちの思い過ごしかな」

 ウェルとのやり取りでネアは確かに今まで感じたことのない感情を認識したが、その戸惑いを表に出すようなことはしなかった。しかし、フォニーはネアから何かを感じていたようであった。

 「何かあったのですか」

 ネアとフォニーのやり取りを耳にしたラウニが2人に尋ねてきたが、ネアもフォニーも首を傾げて答えるだけだった。

 「そうですか。私は、昨日、酔い止めを貰っていますから、ウェル君には今のところ用はないですからね」

 ラウニはちらりとウェルを見るとネアたちに列に並ぶように促した。


 馬車での移動は各自が準備した端切れを利用したクッションのおかげでそれぞれの尻は振動から護られて痛めることもなく、強烈な酔い止めのおかげでラウニは乗り込むなり意識を手放して幸せな夢の世界に出かけて行った。おかげで、毎回繰り広げられた馬車での長距離移動に伴う地獄のような様相は随分とマイルドになっていた。

 「うちも寝る・・・」

 いつも、ラウニの気をそらそうと五月蠅いぐらいにおしゃべりをしていたフォニーも静かに目を閉じていた。そんな中、ティマとネアは興味津々で流れていく風景を目で追っていた。

 「ここに来るときは、ずっと泣いてたから、お外をみてなかったの、あ、きれいな泉だよ。なんだろ、いっぱいお店もあるし、あれはメラニ様の教会?かな・・・」

 馬車がネーアの泉のほとりを通り過ぎようとした時、ティマは不思議な光景に少し興奮していた。

 「メラニ様がお遣わしになった女の子が奇跡を起こして、女神様の元に帰ったことを記念しているんですよ」

 【半年前は少し立派な塚だったのに、露店まで・・・】

 事の真相に本人でもあるネアはその風景にひきつった笑みを浮かべていた。どこの世界でも、なにかがあればそれを利用して金儲けを企む連中がいることをネアは改めて認識した。

 「商魂たくましいってこのことなんだ・・・」

 ネアは思わず独り言をつぶやいていた。


 キャラバンはいつものように旧スージャの関で遅めの昼食を摂り、夕方にはスージャの関の門をくぐっていた。

 「ここの行水は寒くてキツイから、今日はブラッシングだけにしようよ。風邪ひいたら、何にもできないし、お荷物になっちゃうから」

 一夜の寝床となる大部屋のベッドの上に日用品と着替えが入ったバッグを置くとフォニーはラウニに提案してきた。昨年と違って今年の冬はどうも速足のようで、日が落ちてから外に出ると肌寒いぐらいになっていた。

 「あー、残念、私の美しすぎる身体を見せることができないなんて」

 フォニーの言葉を耳にしたのか、バトがいきなり悩ましげな声を上げた。

 「毛がないから寒さが堪えるんですね」

 妙に身体をくねらせるバトに冷静にアリエラが突っ込んだ。

 「あの程度の毛なら、貴女も大して防寒効果ないでしょ。せめて、ルロぐらいの剛毛じゃないと」

 「勝手に人を下ネタにまきこむなーっ」

 バトが言葉を言い終えるといきなり、ルロがバトの背後から飛び上がってその後頭部を思いっきりはたいていた。

 「痛ーっ」

 頭を抱えて蹲るバトの背後からルロが仁王立ちで見下ろしていた。

 「でもさ、ルロはそんだけ生やしていたら、少しは温かいでしょ」

 振り返りながら涙目でルロを見上げるバトの頭頂部に彼女はためらうことなく手刀を叩き下ろしていた。

 「痛いって、何度も女の子を叩くなんて、最低だよ」

 頭をさすりながら抗議するバトをルロは冷めた目で見ると

 「貴女が女の子なら、馬車馬は淑女です」 

 「酷いなー、そっか、馬たみたいに常から露出すればいいんだ」

 バトは何かを思いついたように手をポンと打った。バトの斜めな解釈にルロは深いため息をついた。

 「私は気にしませんから、どうぞ」

 アリエラが、冷たくバトに言い放つとバトはつまらなそうな表情になった。

 「寒いから、ヤメだよ。あー、この季節のおかげで、世の殿方の楽しみが一つ失われることになったねー」

 「最初からその気がないくせに」

 バトの言葉を聞いていたルロが呆れたように吐き出した言葉を耳にしたバトは思わず苦笑していた。


 関所からバーセンの街までは、全く何事もなく平和なうちにキャラバンは街の門をくぐっていた。街は以前に来た時より目に見えて賑やかになっていた。

 「バーセンってこんな感じだったっけ」

 馬車の中から外を眺めたバトがちらりと視線が合った若い男に手を振りながら首を傾げていた。

 「予想以上に賑やかになってますね」

 ルロも外を眺めながら感心したような声を上げていた。その横でアリエラがそっと財布の中身を確認していた。

 「早く、お仕事を終わらして、さっさと繰り出しましょう。きっとおいしいモノがあるはずです。それが私とティマちゃんに食べられるのを待っているんです」

 「遊びに来たんじゃないよ。やることやってたら遊ぶ時間も体力もないからね。それでも遊びに行くってのは仕事の手を抜いたか、さぼったヤツってことになるからね」

 ルーカがどすを聞かせた低い声ではしゃぐアリエラに釘を刺した。ルーカの言葉でアリエラのはしゃぐ心はみるみる萎れていった。暫くすると、馬車は坂道を上がり、フーディン家の本宅となった元別荘のエントランスの前で止まった。

 「さ、起きて、荷物を降ろすよ。腰を痛めないように注意してね」

 馬車が止まったとたんにルーカがテキパキと使用人たちに指示を出していた。ネアたちもその指示に従って運べるものを次々と行商の場となるフーディン家の屋敷のホールに運び込んでいた。運び込まれた荷物は奥方様の指揮の下、商談の場、試着の場、待合室、使用人たちの待合室等を組み立て式の仕切り板で作って行った。日が完全にくれる頃にはホールはすっかり行商の場となっていた。

 「皆さん、お久しぶりですね。あらあら、また大きくなられましたね。ティマちゃんもすっかりお姉さんらしくなって」

 仕事が終わってホールの片隅のベンチに腰かけて休んでいたネアたちにイクルがニコニコとしながら声をかけてきた。

 「あ、イクルさん、お世話になります」

 ネアたちはぱっと立ち上がると、ラウニの挨拶に合わせてカーテシーをしてみせた。

 「ティマちゃん、素敵ですよ。エルマさんの教育がいいのかしら」

 イクルは、眠そうな目をさらに細めて楽し気に笑い声をあげた。

 「あ、イクルさんだ。お世話になります。今回も稽古、お願いします」

 バトはイクルの姿を認めるとさっと駆け寄って、いつものへらへらした態度を微塵も出さず、元騎士団員らしいきびきびした動きで挨拶をした。

 「ルロ、アリエラ、イクルさんにご挨拶しないとダメだよ」

 やっと仕事を終えて疲れた足で自分の寝床に戻ろうとしている2人にバトが声をかけると、彼女らは慌ててイクルの前に駆けてきた。そして、バトと同じようにあいさつと稽古のお願いをした。

 「あら、貴女は初めてかしら」

 イクルはアリエラの顔を見て首を傾げると、アリエラはずいっと一歩前に出た。

 「私は、「水しぶき」のアリエラと言います。今年、黒狼騎士団から侍女になりました。恥ずかしながらティマの師匠でもあります」

 「あらあら、かわいいお師匠様ね。そう言えば、エルマさん、最近、お稽古していないのかしら」

 アリエラに挨拶を返すとイクルはふわふわの白い指を顎に当てて首を傾げた。

 「エルマさんは、お館のお仕事が忙しくなって、お稽古は騎士団の方々に付けてもらうことなりました。エルマさんに稽古をつけてもらった侍女も私たちまでです」

 エルマの元にルーカとタミーが駆け寄ってきて、エルマの疑問に答えた。

 「そうよね。ケフのお館はこのお屋敷と違って規模も大きいし、人も多いから、仕方ない事ですね。お身体に障りが無ければよろしいのですが。機会があればイクルがお邪魔しに行くとお伝えくださいね」

 イクルは声を落としてエルマのことを心配すると、暇を見つけてケフに行くことを口にした。

 「私たちも楽しみです」

 イクルがケフに来ることを想像してネアたちは嬉しそうな表情を浮かべた。

 「私もですよ」

 ネアたちの表情を見て、イクルが優しく微笑んだ。

今回から奥方様の行商の場はバーセンとなります。懇意にしていたフーディン家が左遷されたため、ワーナンで行商する旨味がなくなったことと、穢れの民の迫害による景気の悪化など行商がしにくくなったからです。フーディン家のイクルとピケット家のエルマは多分旧知の仲です。

今回も、この駄文にお付き合いいただきありがとうございました。ブックマーク、評価を頂いた方に感謝を申し上げます。

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